ダニエラ・ロモ Daniela Romo
ドラマティックでエレガントなメキシコ音楽界の女王

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 メキシコの生んだ美しき歌姫ダニエラ・ロモ。腰まで届く長いブルネットの髪にエキゾチックな容姿、そして低音でハスキーな深みのある渋い歌声。今は亡きシャンソンの女神ダリダを彷彿とさせるものがある。実際、彼女の作品を聴いていると、時々ダリダを聴いているような錯覚に陥る事がある。
 メキシコの女性歌手と言えばアナ・ガブリエルやグラシエラ・ベルトランのようなランチェラやボレロ、メキシコ民謡を歌う濃〜い感じの演歌歌手タイプか、タリーアやパウリーナ・ルビオのようなイケイケのセクシー&ゴージャス系ばかり思い浮かぶが、ダニエラ・ロモはボレロ、ランチェラをベースにしつつも、カンツォーネやシャンソンを思わせるヨーロピアンな香りのするポップスをクールに歌い上げる正統派の女性ポップ・シンガー。
 初期の代表作“Yo no te pido la luna”にしてもイタリアの女性ポップ・シンガー、フィオルダリーソのカバーだったし、イタリアやスペインでレコーディングを行う事も多い。また、故ベブ・シルヴェッティがプロデュースを手掛けた大ヒット曲“En todo momento solo tuya”などは、シルヴェッティらしいゴージャスなストリングスが余りにも美しい70年代シャンソン風バラードで、そのロマンティックな高揚感が筆舌に尽くしがたい傑作だった。

 1959年8月27日、メキシコに生まれたダニエラ・ロモは本名をTeresa Presmanes Coronaという。地元のフレンチ・スクールで教育を受け、11歳の時にザヴァラ兄弟の率いる合唱団Los Hermanos Zavalaに参加。さらにメキシコで最初のミュージカル“Contigo Pan y Cebolla”に出演。家族の後押しもあり、本格的に演技を学ぶためにAndres Solarの演劇学校に学ぶ。その後、24歳の頃からモデルとなり、数多くのテレビCMに出演。さらに女優として映画にも出演するようになる。
 1983年にシングル“Mentiras”で歌手デビューし、セカンド・シングル“Yo no te pido la luna”の大ヒットでスターに。85年には第16回世界歌謡祭に出場するために来日を果たしているが、残念ながら入賞は果たせず。その代わりといってはなんだが、その時出会った日本食が病みつきになり、今では大の日本食通らしい。
 91年にはシングル“De mi enamorate”がビルボードのラテン・シングル・チャートで21週も1位を独走するメガ・ヒットとなり、名実共にメキシコを代表する大歌手となった。プラシド・ドミンゴとの共演や、メキシコ版「クイズ$ミリオネア」の司会、テレビ・ドラマ出演など、文字通り何でも来いの仕事ぶり。ここ数年は歌手活動が散漫気味だったが、昨年は実に4年ぶりのオリジナル・アルバム“Es la Nostalgia”をリリース。シャンソン風の美しいバラードの数々を披露し、ダリダを彷彿とさせるシャントゥーゼに成長を遂げた。
 初期EMI時代は泥臭くて垢抜けない演歌・歌謡曲系の楽曲も多いが、Fonovisa(ディストリビュートはUniversal Music)移籍後は作品を重ねるごとに洗練の度を増して行き、着実に大物の風格を身に着けてきている。ミリアム・エルナンデスやタマーラと並んで、日本でももっと注目されていいラテン・ポップス界を代表するディーヴァだと思う。

 

“Me gusta J.S. Bach”のプロモ・クリップ ココ で見れます!

MEJORES.JPG NUEVO_AMOR.JPG LA_CITA.JPG VUELVES_LOCA.JPG

Mis Mejores Canciones
17 Super Exitos Vol.U

Un nuevo Amor (1996)

La Cita Vol.1 (1997)

Me Vuelves Loca (1999)

(P)1993 Capitol Records (USA) (P)1996 Universal Music (USA) (P)1997 Universal Music (USA) (P)1999 Universal Music (USA)
1,En todo momento solo tuya
2,Todo, Todo, Todo
3,Es mejor perdonar
4,Y cae la gota de agua
5,Coco Loco
6,Quiero amanecer con alguien
7,Mujer de todos, mujer de nadie
8,Amor prohibido
9,Me alimento de ti
10,Para que te quedes conmigo
11,Ya no somos amantes
12,El poder del amor
13,Ruleta rusa
14,Yo no te pido la luna
15,Veneno para dos
16,Lo que son las mujeres callamos
17,Adelante corazon
1,Me gusta J.S. Bach
2,Une nuevo amor
3,Yo soy la duena
4,Matame
5,Una aventuta
6,Te amare hasta el final
7,Las mujeres
8,Poesias
9,No soy ella
10,Ni contigo ni sin ti
11,Quiero saber

produced by Danilo Vaona
1,Amor mio
2,Cien anos
3,Voy
4,Un mundo raro
5,La cita
6,De que manera te olvido
7,La noche de anoche
8,Canta, canta, canta
9,Que va
10,Mi amigo el tiempo

produced by Bebu Silvetti
1,Mienteme
2,Tu eres mi destino
3,Alma, corazon y vida
4,Y hablame
5,Poquito a poquito
6,Me vuelves loca
7,Otra vez
8,Caminito
9,Imagenes
10,Mio, siempre mio
11,Una noche contigo
12,Quisiera decir tu nombre

produced by Bebu Silvetti
 初めて買ったダニエラ・ロモのCDがこれ。とにかくロマンティックで哀愁感に満ちたバラード#1が大好きだった。70年代にダリダやミレイユ・マチューが歌っていたようなドラマティックでゴージャスで美しい作品。ラテン・ポップスという枠を超えた傑作である。アダルトでキャッチーな哀愁マンボ#2、Juan Gabrielのペンによるイタリアン・ポップス風のバラード#3、完全に昭和40年代の歌謡ポップス風のバラード#6、これまた昭和ラテン歌謡風のポップ・ナンバー#10など、思わずニンマリしてしまうような楽曲が並ぶ。また、イタリアの女性シンガー、フィオルダリーソのカバー#14は非常に爽やかでメロウなダンサンブル・ポップで、原曲よりも完成度が高い。  ロサンゼルス、ローマ、マドリードでレコーディングされたヨーロピアンな香り漂うアルバム。バッハとフラメンコを合体させたクラシカルな雰囲気漂うダンス・ナンバー#1が素晴らしい。いかにもカンツォーネ風のポップ・バラード#3や叙情感溢れるバロック風の哀愁バラード#4、80年代のフレンチ・ポップを思わせる爽やかでダンサンブルなポップ・ナンバー#5、まるでダリダを聴いているようなメランコリックでノスタルジックなバラード#6、哀愁感炸裂のフュージョン風ダンス・ポップ・ナンバー#9など、ヨーロピアン・ポップス・ファンならほぼ全曲楽しめること請け合い。ボクの知る限り、彼女のアルバムの中では最高の出来映え。  タイトルにもある通り、2部構成で企画されたアルバムのボリューム1。どうやら、彼女が主演したメキシコのテレビ・ドラマ“Si dios me quita la vida”のサントラ的な内容らしい。全体的にメキシコ色の濃厚なボレロ・アルバムに仕上がっており、前作のインパクトが強すぎた事もあって、ボリューム2を買うほどの魅力は感じられなかった。少々古めかしすぎるのだ。ただ、ミシェル・ルグランのようなメロディのドラマティックで優雅なバラード#3は、なかなかの秀作。シルヴェッティらしいスケール感のあるストリングスも美しい。  マイアミとスペインのバルセロナで制作された作品。ボレロ発祥の地でのレコーディングには、いわゆるメキシコ歌謡的なボレロからの脱却という意味もあるのだろう。全体的には前作の“La Cita”の延長線上にある作品と言っていいと思うが、いかにもポンチョやソンブレロを連想させるような前作とは打って変わって、スパニッシュ・ポップス的な雰囲気のあるアルバムに仕上がっている。南米の文化がスペインの強い影響下にある事を改めて実感させてくれる。#6ではスペインの大御所スター、Joan Manuel Serratとのデュエットも実現。

AVE_FENIX.JPG 30_EXITOS.JPG LA_HISTORIA.JPG NOSTALGIA.JPG

Ave Fenix (2001)

30 Exitos Insuperables

La Historia

Es la Nostalgia (2005)

(P)2001 BMG U.S. Latin (USA) (P)2003 EMI Latino (USA) (P)2004 EMI Latin (USA) (P)2005 Daniela Romo/EMI Latin(USA)
1,Te quiero mi amor
2,Sombras amantes
3,Atarte a mi corazon
4,El ayer
5,Run Run (corre riesgos)
6,Ave Fenix
7,Piensa en mi
8,Llevame
9,Soledad sin fin
10,Somos solo dos
11,Las heridas
12,Quiero amanecer con alguien
13,De mi enamorate
14,Yo no te pido la luna

produced by Daniela Romo
DISCO 1
1,Quiero amanecer con alguien
2,Gitana
3,Explorame
4,Duele
5,De mi enamorate
6,La ocasion para amarnos
7,Para que te quedes conmigo
8,Mujer de todos, mujer de nadie
9,Ay, Ay, Ay
10,Nadie entiende
11,Yo no te pido la luna
12,E mejor perdonar
13,Amor prohibido
14,Todo, todo, todo
15,En todo momento solo tuya
DISCO 2
1,Que vengan los bomberos
2,Prometes
3,Tampoco fuiste tu
4,Amada mas que nunca
5,La guirnalda
6,Mentiras
7,Celos
8,Balada por un amor
9,Hoy y siempre para ti
10,Nada me falta, nada me sobra
11,Atame a tu vida
12,Me alimento de ti
13,Dimelo
14,Duena de mi corazon
15,Abuso
CD
1,Mentiras
2,Celos
3,Lo ocasion para amarnos
4,Pobre Secretaria
5,Yo no te pido la luna
6,Duena de mi corazon
7,Prometes
8,De mi enamorate
9,Adelante corazon
10,Coco Loco
11,Es mejor perdonar
12,Gitana
13,Quiero amanecer con alguien
14,Explorame
15,Todo, todo, todo
16,Duele
17,Tampoco fuiste tu
18,Que vengan los bomberos
DVD
1,Mentiras
2,Celos
3,Yo no te pido la luna
4,Duena de mi corazon
5,Prometes
6,De mi enamorate
7,Es mejor perdonar
8,Gitana
9,Quiero amanecer con alguien
10,Explorame
1,Simple
2,Debilidad
3,Seria facil
4,Cuando tu me amas
5,Oracion
6,Manana sera igual
7,Que voy a hacer sin ti
8,Amar de este modo es amar
9,No supe vivir sin ti
10,Para tocar el cielo
11,Es la nostalgia
12,Quand un oiseau pleure

produced by Andre, Tina, Daniela
 初のセルフ・プロデュースによる野心作。シェールの“Believe”や“Strong Enough”を彷彿とさせる哀愁ユーロ・ハウス#1に始まり、ストリングスやバンドネオンをフィーチャーした濃厚かつゴージャスなエレクトロ・タンゴ#2、超アッパーなハッピー系ユーロ・トランス#10、かつての大ヒット・ナンバーを爽やかなユーロ・ハウスにリメイクした#14など、ダンス系のナンバーが強く印象に残る。ちなみに、レコーディングは殆どローマで行われている。  1989年〜95年までの楽曲から選曲された2枚組ベスト。初期の代表作の殆どを聴くことが出来るお徳盤。この時期の作品には、いわゆるヨーロピアン・ポップス的な華麗なバラードやダンス・ナンバーもあれば、いかにもメキシコ的な泥臭い演歌歌謡風の作品なんかもあって、楽曲によってかなり好き嫌いが分かれるだろうと思う。いわゆる昭和歌謡的な世界に偏見がなければ、大半の楽曲は楽しめるに違いない。  CDとDVDを組み合わせた2枚組のベスト盤。やはり目玉はダニエラ・ロモの動く姿を見る事が出来るDVDだろう。テレビ・ライブからプロモ・ビデオまで、日本では見ることの出来ないダニエラのパフォーマンスが楽しめる。#2のプロモにはスペインのスーパー・スター、ミゲール・ボセが恋人役で登場。どれも非常にシンプルな作りのプロモばかりだが、ダニエラのゴージャスな美貌は存分に堪能できる。しかし、ダリダによく似てると思っていたが、松岡きっこにも似ている事に気付いた。もちろん、若い頃のね。  ダニエラの4年ぶりのオリジナル・アルバムは、とても叙情的で洗練されたロマンティックな作品。シングル向きのポップな曲こそないものの、どれも非常にクオリティの高い楽曲ばかりで、彼女のアルバムの中でも最も芸術性の高い作品と言っていいだろう。程よくラテン風味を加えたシャンソン風のドラマティックなバラードを中心に、全盛期のダリダを彷彿とさせるエレガントでゴージャスな楽曲を聴かせてくれる。表現力と説得力を増した低音のボーカルも素晴らしく、今が彼女にとって円熟期である事を強く印象付ける。特に#11をフランス語で歌った#12はダリダの「18歳の彼」にも匹敵する名曲。シャンソン・ファン必聴!

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