カルト系ホラー映画ブルーレイ レビュー

 

 

ゴッド・アーミー シリーズ全5作
The Prophecy The Compete Collection

PROPHECY_BD.JPG

(P)2012 Echo Bridge Entertainment/Miramax (USA)

ゴッド・アーミー/死の天使
The Prophecy (1995)

ゴッド・アーミー/復讐の天使
The Prophecy U(1998)

ゴッド・アーミーV
The Prophecy 3:The Ascent (2000)

The Prophecy: Uprising (2005)

The Prophecy: Forsaken (2005)

画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格:1080p/音声:5.1 DTS/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/97分/製作:アメリカ

<特典>
なし
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格:1080p/音声:2.0ステレオ/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/ 84分/製作:アメリカ

<特典>
オリジナル予告編
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格:1080i/音声:5.1 Dolby Digital/言語:英語/字幕:なし/地域コード: ALL/84分/製作:アメリカ

<特典>
なし
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格:1080p/音声:5.1 DTS/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/88分/製作:アメリカ

<特典>
なし
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格:1080p/音声:5.1 DTS/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/75分/製作:アメリカ

<特典>
なし
監督:グレゴリー・ウィーデン
製作:ジョエル・ソワソン
脚本:グレゴリー・ウィーデン
撮影:ブルース・ダグラス・ジョンソン
   リチャード・クレイボウ
音楽:デヴィッド・C・ウィリアムス
出演:クリストファー・ウォーケン
   イライアス・コティース
   ヴァージニア・マドセン
   エリック・ストルツ
   アマンダ・プラマー
   ヴィゴ・モーテンセン
   アダム・ゴールドバーグ
   スティーヴ・ハイトナー

監督:グレッグ・スペンス
製作:ジョエル・ソワソン
   W・K・ボーダー
脚本:マシュー・グリーンバーグ
   グレッグ・スペンス
撮影:リチャード・クレイボウ
音楽:デヴィッド・ウィリアムス
出演:クリストファー・ウォーケン
   ラッセル・ウォン
   ジェニファー・ビールス
   エリック・ロバーツ
   グレン・ダンジグ
   ブリタニー・マーフィ
   ウィリアム・プレイエル

監督:パトリック・ルシエ
製作:ジョエル・ソワソン
脚本:ジョエル・ソワソン
   カール・デュフレ
撮影:ネイサン・ホープ
音楽:スティーヴ・ボデッカー
出演:クリストファー・ウォーケン
   ヴィンセント・スパーノ
   ケイレン・アン・バトラー
   ブラッド・ドゥーリフ
   デイヴ・ブゾッタ
   スティーヴ・ハイトナー
   スコット・クレヴァートン
監督:ジョエル・ソワソン
製作:ロン・シュミット
脚本:ジョエル・ソワソン
原案:ジョン・サリヴァン
撮影:ガブリエル・コサス
音楽:ジョセフ・ロドゥカ
出演:ジョン・ライト
   ショーン・パートウィー
   カリ・ウーラー
   ジェイソン・ロンドン
   ダグ・ブラッドリー
   ジョージナ・ライランス
   スティーブン・ビリングトン
監督:ジョエル・ソワソン
製作:ロン・シュミット
脚本:ジョエル・ソワソン
原案:ジョン・サリヴァン
撮影:ガブリエル・コサス
音楽:ジョセフ・ロドゥカ
出演:カリ・ウーラー
   ジェイソン・スコット・リー
   ジョン・ライト
   トニー・トッド
   ジェイソン・ロンドン
   ダリア・チオバヌ

 罪深き人類を生かすか殺すか?という問題をめぐって対立する天使たちの戦いを描いたホラー・アクション・シリーズ。「バックドラフト」の脚本家グレゴリー・ウィーデンの監督デビュー作となった1作目は、映画マニアの間で結構な評判となった。で、どれほどの需要があったのかは分からないものの、結果的に4本の続編が作られてしまったのである。その全てを網羅したのが、こちらのブルーレイ2枚組セットである。
 日本での劇場公開は1作目のみ。2と3はビデオリリースされ、4と5は未公開のまま。アメリカでも3以降はビデオストレートだった。全体的に低予算のB級映画だが、3までクリストファー・ウォーケンが演じた大天使ガブリエルはなかなかな秀逸なキャラクターだった。まるで70年代のロックスターのような風貌に尊大な態度、それでいてシニカルなユーモア・センスを持ち合わせており、なんだか憎めなかったりする。怪優ウォーケンならではのパンクなエレガンスが魅力だ。また、本質的に身勝手で残酷で気ままな天使たちが人間の命や運命を弄んだり、不完全だからこそ素晴らしい人間に味方をする天使がいたりといった世界観は、人気ドラマ「スーパーナチュラル」のヒントになったのではないかと思われる。
 とりあえず最も完成度が高いのは1作目、特殊メイクやSFXなどが最も派手なのは2作目といったところだが、日本未公開の4作目もなかなか面白い。チャウシェスク大統領の独裁政権による悪夢の記憶がいまだに残り、なおかつ現在も犯罪と貧困の問題が根深いルーマニアを舞台に、善と悪が表裏一体である人間の危うさや信仰心の本質を描いていく。3作目までとの直接的な関連性は皆無なので、シリーズと呼んでいいのかどうかは意見の分かれるところだろうが、地味ながらも気骨のある小品佳作だと思う。
 本ブルーレイの発売元はミラマックスのバックナンバーを廉価版でリリースしているビデオメーカー、エコー・ブリッジ・エンターテインメント。もともとは、パブリックドメインの古い映画を低画質&激安価格でDVD発売していた会社だ。それが意外にも儲かったのか、数年前にディズニーから三行半を突きつけられたミラマックスの旧作ビデオ販売権を獲得。2本立てだ3本立てだと組み合わせを変えながら、繰り返し出し続けている。
 で、ちょうど同じ頃にやはりパブリックドメイン専門だった激安ビデオメーカー、ミル・クリーク・エンターテインメントも、大手コロンビア映画が著作権を持つ旧作映画のビデオ販売権を得て、次々と廉価版のDVDやブルーレイをリリース。両者はいつの間にかライバル会社として比較されるようになった…のだが、原版フィルムをちゃんとリストアした上で字幕などメジャーメーカー並のオプションを付けるミル・クリークと違い、エコー・ブリッジは商品化に手間暇を殆どかけない。そのため、コレクターの間での評判は玉石混淆といったところだ。
 ただ、このゴッド・アーミー・シリーズのコンプリート・コレクションに関しては、いずれの作品も過去にミラマックスがDVD発売した原版マスターの仕様や保存状態が良好であり、それをそのまま移植しているので全体的な画質や音質は意外と良かったりする。特に2作目は音声こそ2チャンネルのステレオだが、画質については十分なブルーレイ・クオリティと呼んでいいだろう。これが実売価格10ドル程度で手に入るのだから、特典がほぼ無いに等しいことを差し引いても結構なお得感だ。

 

吐きだめの悪魔
Street Trash (1986)

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(P)2013 Synapse Films (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格:1080p/音声:DTS-HD MA 5.1サラウンド・DTS-HD MA 2.0モノラル/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A・B・C/102分/製作:アメリカ

<封入特典>
ワインVIPERのラベルシール

<特典>
メイキング・ドキュメンタリー「THE MELTDOWN MEMORIES」
16mm原作短編映画
オリジナル宣伝用ティーザー
オリジナル劇場予告編
女優ジェーン・アラカワのインタビュー
未公開シーン集
製作者R・フランケスの音声解説
J・ミューロ監督の音声解説
監督:ジム・ミューロ
製作:ロイ・フランケス
脚本:ロイ・フランケス
撮影:デヴィッド・スパーリング
音楽:リック・アルフィック
出演:ビル・シェピル
   マイク・レイシー
   ヴィック・ノート
   ジェーン・アラカワ
   ニコール・ポッター
   マーク・スフェラーザ
   ミリアム・ザッカー
   ジェームズ・ロリンズ

 「ターミネーター2」や「タイタニック」、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」などで有名なステディカム・カメラマン、J・マイケル・ミューロが、ジム・ミューロ名義で手がけた監督デビュー作。酒屋の地下で発見された得体の知れない激安ワインを飲んだ浮浪者たちが、次々と体がドロドロ溶け出して死んでいく。舞台はスラム街にスクラップ工場にゴミ捨て場、登場人物は浮浪者にチンピラに売春婦、全編にわたって汚物まみれの肉塊まみれ、という悪臭漂うえげつなさ全開の怪作だ。
 筆者は劇場公開時に歌舞伎町の映画館で本作を鑑賞したのだが、それはもうなかなかの衝撃だった。なにしろ、当時まだ18歳、いわゆるZ級トラッシュ映画に目覚め始めたばかりの頃だったので、切り取った浮浪者のペニスでフットボールするシーンなんぞにはビックリしたものだった。ある意味で、悪趣味映画に免疫をつけるきっかけになった映画とも言えるだろう。
 そんな思い出深い作品が、おそらく劇場公開当時よりもハイクオリティな画質で楽しめる米国盤ブルーレイ。人体溶解シーンのグチャグチャした質感の生々しさ、赤や青や黄色の原色に彩られた体液の鮮明なカラーなどは文句なしに凄い。まあ、かえって作り物感がハッキリする分だけ気持ち悪さは若干薄まるのだけど。5.1チャンネルサラウンドにリミックスされたDTS-HD音声も無駄なくらい立派だ。
 でもって、特典映像の2時間にわたるドキュメンタリーや2種類の音声解説、本作の元ネタになった短編映画などは、同じSynapse Filmsによる旧盤DVDからの移植。日本でも「超・特別版」として同一内容のDVDがリリースされた。その一方、本ブルーレイにて初お披露目となる特典映像が、ウェンディ役を演じた日系人女優ジェーン・アラカワのインタビューと、劇場公開版からカットされた未公開シーン集。ローリングストーンズやハービー・ハンコックのバックミュージシャンと結婚してセレブな生活を送っていらっしゃるアラカワ女史は、お年は召したけれどまだまだ全然イケてるクール美女。彼女によると、激デブの乱暴者工場長を演じた役者は、実は全く正反対の繊細で優しい人物だったそうだ。
 既出のドキュメンタリーやコメンタリーも含め、こういうカルトなインディペンデント映画の当時は知り得なかった舞台裏情報を知ることができるというのも、DVDおよびBD時代の恩恵なわけだが、本ブルーレイはその役割を十二分に果たしているという意味でホラー・ファン垂涎の1枚である。

 

スペースバンパイア
Lifeforce (1985)

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(P)2013 Scream Factory (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格:1080p/音声:5.1 DTS-HD Master Audio/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/116分(インターナショナル公開版)101分(アメリカ公開版)/製作:アメリカ・イギリス
同梱DVD仕様
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/音声:5.1 Dolby Digital/言語:英語/字幕:英語/地域コード:1/116分(インターナショナル公開版)

<特典>
マチルダ・メイ インタビュー
トビー・フーパー監督インタビュー
スティーヴ・レイルズバック インタビュー
製作当時のメイキング映像
オリジナル劇場予告編集
テレビスポット集
スチル・ギャラリー
T・フーパー監督の音声解説
監督:トビー・フーパー
製作:メナハム・ゴーラン
   ヨーラム・グローバス
脚本:ダン・オバノン
   ドン・ジャコビー
原作:コリン・ウィルソン
撮影:アラン・ヒューム
SFX:ジョン・ダイクストラ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:スティーヴ・レイルズバック
   ピーター・ファース
   フランク・フィンレイ
   マチルダ・メイ
   ピーター・ボール
   パトリック・スチュアート
   オーブリー・モリス

 トビー・フーパーの映画でどれが一番好きかと訊かれたら、迷うことなく本作を選ぶ。いや、もしかすると一瞬だけ「悪魔のいけにえ2」にしようかどうしようか考えるかもしれないが、それでも最終的には「スペースバンパイア」に落ち着く。それどころか、そもそも個人的に最も大好きなSFホラーが本作と「SF/ボディ・スナッチャー」の2本だったりする。これまでリリースされたVHSもLDもDVDも購入してきた。そんな強い愛着のある作品をカルト・ホラーの再発に定評のあるスクリーム・ファクトリーがブルーレイ化したというのだから、これはもう買わないわけにはいかないだろう。
 まず、トビー・フーパー監督自身の監修のもとデジタル・トランスファーされたという画質は上々。暗いシーンになるとフィルム特有のザラつきが目立つものの、DVDの時よりは遥かに気にならないレベルだ。特にきめ細かい色彩の再現力は見事なもので、冒頭の“未知との遭遇”シーンはため息の出るほどの美しさ。ジョン・ダイクストラによる特撮のハイクオリティを存分に堪能できる。DTS-HDの5.1chサラウンドも奥行きと重厚感がある。
 ただし、これは116分のインターナショナル公開版の話。本ブルーレイにはアメリカ公開用に再編集された101分の短縮バージョンも収録されている。当時、日本で劇場公開されたのもこのバージョンだ。オープニングでヘンリー・マンシーニの勇壮なテーマ曲が流れない、宇宙船のシーンが大幅にカットされているなど、あれ?こんなんだったけ!?と少なからずビックリした。恐らく、このバージョンを見るのは20年以上ぶりのこと。116分バージョンの方が映画として断然よく出来ている。それは本ブルーレイにおける画質・音質も一緒だろう。映像のクオリティはDVDレベルといった感じだし、音声もただのステレオで迫力が全くない。まあ、あくまでもオマケなので問題はないし、劇場公開時の記憶をたぐり寄せるという意味で十分に鑑賞価値はあると思う。
 そして、お楽しみの特典映像。劇場公開時のメイキング・ドキュメンタリーも久々に見た。パインウッドスタジオに建設されたロンドン市街の巨大なセットは、本作の撮影がいかに大掛かりなものだったかを如実に語っている。パニック・シーンの撮影風景にもワクワク。また、ブルーレイ用に撮影された最新映像として、マチルダ・メイ、スティーヴ・レイルズバック、トビー・フーパー監督のインタビューが収録されているのも嬉しい。
 もともとバレエ・ダンサーで女優になるつもりなどなかったものの、エージェントの強い奨めで本作のオーディションを受けたというマチルダ。募集要項にはブロンドという条件があったにも関わらず合格し、どんな作品なのかも分からないままロンドンへ飛んだそうだ。なので、撮影前にヌードになる必要があることを聞かされた彼女は、もしかしてエロティックな映画なのでは?と早合点してパニクったという。
 また、実はトビー・フーパー監督はスティーヴ・レイルズバックの代表作「へルター・スケルター」の撮影現場を訪問したことがあり、その際に意気投合して以来の友人だったことや、その「ヘルター・スケルター」の成功で殺人鬼役ばかり回ってくるようになり、嫌気がさして1年ほど休業していたレイルズバックに監督が本作をオファーしたことなど、非常に興味深い舞台裏話を聞くことができる。
 そんなこんなで、これは「スペバン」ファンの望みうる最良のソフト化商品ではないかと思う。ホラー映画マニアは必携だ。

 

フロム・ビヨンド
From Beyond (1986)

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(P)2013 Scream Factory (USA)
画質★★★★★ 音声★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格:1080p/音声:DTS-HD Master Audio Stereo/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/86分/製作:アメリカ
同梱DVD仕様
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/音声: Dolby Digital Stereo/言語:英語/字幕:英語/地域コード:1/86分/製作:アメリカ

<特典>
SFXチームのインタビュー
バーバラ・クランプトン インタビュー
ジェフリー・コムズ インタビュー
チャールズ・バンド インタビュー
監督の回想
未公開シーンの復元
リチャード・バンド インタビュー
フォト・ギャラリー
オリジナル劇場予告編
絵コンテと映像の比較
監督&キャストの音声解説
デニス・パオリの音声解説
監督:スチュアート・ゴードン
製作:ブライアン・ユズナ
製作総指揮:チャールズ・バンド
脚本:デニス・パオリ
原作:H・P・ラヴクラフト
撮影:マック・アールバーグ
音楽:リチャード・バンド
出演:ジェフリー・コムズ
   バーバラ・クランプトン
   ケン・フォリー
   テッド・ソレル
   キャロリン・パーディ=ゴードン

 「死霊のしたたり」の並ぶスチュアート・ゴードン監督の代表作。ラヴクラフトの原作とおよそかけ離れたストーリーには賛否両論あるようだが、この血と肉とバイオレンスとエロスが大暴走する阿鼻叫喚の世界は何度見ても圧巻。動物本能のむき出しになった人間の醜さや恐ろしさというものを、未知なる向こう側の世界に魅了された科学者の狂気を通じて描く怪作といえよう。
 日本でもハピネットからブルーレイが発売されているが、筆者はそれよりも一足先に上記の米スクリーム・ファクトリー版を購入。どうやら、本編の原盤マスターはどちらも'07年に米MGMがリリースした旧DVD盤と同一のデジタルリマスターを使用しているようだ。ただし、日本盤が5.1chサラウンドとステレオの2種類から音声を選べるようになっているのに対し、北米盤はブルーレイが5.1chサラウンド音声のみ(パッケージにはステレオと記載されているけど、これは間違い)、同梱のDVDがステレオ音声のみとなぜだか別々に分けられている。
 で、その本編の画質だが、筆者の所有する北米盤旧DVDと比べて格段に良くなったというわけではないものの、ディテールのきめ細かさはやはり目に見えて向上しており、ブルーレイならではの再現力をちゃんと発揮している。DVDが未発売だった日本のファンにとっては、恐らく驚きの高画質だろう。古い映画ではどうしてもフィルムの粒子がチラついてしまうことが多いものの、本作に関してはほぼキレイに処理されておりピッカピカ。まるで新作のようだ。音楽スコアやサウンドエフェクトに広がりの感じられる5.1chサラウンド・リミックスもなかなかの出来栄え。ただ、音声選択の余地を残した日本盤ブルーレイの方が、本編に関してはポイントが高いかもしれない。
 しかし、特典映像については圧倒的に北米盤ブルーレイの方が充実している。日本盤ブルーレイが米MGM版DVDの特典に日本オリジナルの監督インタビューを加えただけ(ただし、監督&キャストの音声解説は未収録)であるのに対し、北米盤ブルーレイは脚本家デニス・パオリの音声解説やSFXスタッフ・チームのインタビュー、主演コンビのインタビュー、製作総指揮者チャールズ・バンドのインタビューといった最新の撮り下ろしコンテンツをたっぷりと収録。もちろん、監督&キャストの音声解説を含めた旧MGM版の特典も全てそのまま移植している。文字通りのてんこ盛り状態だ。英語のヒアリングに問題さえなければ、北米盤ブルーレイの方が断然お買い得だと言えよう。

 

バーニング
The Burning (1981)

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(P)2013 Scream Factory (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格:1080p/音声:DTS-HD Master Audio Mono/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/91分/製作:アメリカ
同梱DVD仕様
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/音声: Dobly Digital Mono/言語:英語/字幕:英語/地域コード:1/91分/製作:アメリカ

<特典>
メイキング・ドキュメンタリー
編集担当ジャック・ショルダー インタビュー
ルー・デヴィッド インタビュー
リア・エイヤーズ インタビュー
舞台裏映像
オリジナル劇場予告編
特殊メイクギャラリー
ポスター&スチル・ギャラリー
監督と批評家の音声解説
シェリー・ブルースとボニー・デロスキーの音声解説
監督:トニー・メイラム
製作:ハーヴェイ・ワインスタイン
脚本:ピーター・ローレンス
   ボブ・ワインスタイン
原案:ハーヴェイ・ワインスタイン
   トニー・メイラム
   ブラッド・グレイ
撮影:ハーヴェイ・ハリソン
特殊メイク:トム・サヴィーニ
音楽:リック・ウェイクマン
出演:ブライアン・マシューズ
   リア・エイヤーズ
   ブライアン・バッカー
   ラリー・ジョシュア
   ルー・デイヴィッド
   ジェイソン・アレクサンダー
   ネッド・アイゼンバーグ
   シェリー・ブルース
   ボニー・デロスキー

 '80年代のスラッシャー映画ブームを代表する名作の一つ。ストーリー的には「13日の金曜日」の単なるフォロワーに過ぎないものの、トム・サヴィーニの手がけた強烈なスプラッター・シーンを惜しげなく全編に散りばめたサービス精神は、当時量産された数多の類似映画の中でも群を抜いていた。観客の見たいものを勿体ぶらずに見せるという、エンターテインメントの基本をしっかりと押さえた優秀なB級映画だといえよう。
 日本では残念ながらDVDすら未だ発売されていないものの、アメリカでは'07年にMGMがHDリマスター版をDVDでリリース。さらに、今年に入ってカルトホラー専門レーベル、スクリーム・ファクトリーから特典映像満載の永久保存版ブルーレイが発売された。
 まず、本編は旧MGM版のHDリマスター素材をそのまま移植。パッと見の印象としては、DVD盤とほぼ同レベルの高画質といったところだが、輪郭や質感などのディテールのきめ細やかさはやはりブルーレイ版の方に軍配が上がる。オープニングショットなど部分的にフィルムの劣化が感じられるものの、ほとんど気にならない程度だ。DTS-HDのモノラル音声も非常に鮮明である。
 そして、スクリーム・ファクトリー版ブルーレイの魅力といえば、これでもかと盛りだくさんの特典映像。とりあえず、旧MGM版DVDからはトニー・メイラム監督と批評家アラン・ジョーンズの音声解説、トム・サヴィーニによるメイキング・ドキュメンタリー、ポスター&スチル・ギャラリー、オリジナル劇場予告編を再収録している。サヴィーニが「13日の金曜日パート2」を蹴って本作に参加した経緯などの裏話が興味深い。
 さらに、ブルーレイ初出の特典として編集を手がけたジャック・ショルダー、殺人鬼クロプシー役を演じたルー・デイヴィッド、ヒロイン役のリア・エイヤーズの最新インタビューを収録。さらに、製作当時トム・サヴィーニが特殊メイクの記録用にビデオ撮影していた舞台裏映像(メイキング・ドキュメンタリーでも一部流用)、同じくサヴィーニが記録用に撮った特殊メイクのスチル写真集、そばかす顔のおてんば少女タイガーを演じたシェリー・ブルースとおデブ少女マーニーを演じたボニー・デロスキーの音声解説も新たに加えられている。
 映画作りの勉強も兼ねて編集を担当したというジャック・ショルダーは、自らも「エルム街の悪夢2/フレディの復讐」や「ヒドゥン」といったホラー映画を監督しているが、実はもともとホラー映画には全く興味がなかったという。学生時代からトルストイなどのロシア文学を愛していた彼は、トリュフォーやヘルツォークといったヨーロッパ系アート映画がお好みだったのだとか。また、長男が生まれた翌日から本作の撮影に参加したというルー・デイヴィッドによると、犯人の姿を見せない残酷シーンは基本的に全てトニー・メイラム監督自らがクロプシー役を演じていたそうだ。アルジェントと同じく、人の殺し方は俺が一番よく知っている…ってワケだろうか(笑)?

 

ハウリング
The Howling (1981)

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(P)2013 Scream Factory (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格:1080p/音声:5.1 DTS-HD・2.0 DTS-HD/字幕:英語/地域コード: A/91分/製作:アメリカ

<特典>
製作総指揮スティーヴン・A・レーン インタビュー
編集者マーク・ゴールドブラット インタビュー
脚本家:テレンス・ウィンクレス インタビュー
ロケ地再訪ドキュメンタリー
旧メイキング・ドキュメンタリー
特殊視覚効果デヴィッド・アレン インタビュー
MGM版メイキング・ドキュメンタリー
未公開シーン集
アウトテイク集
オリジナル劇場予告編
フォト・ギャラリー
監督&俳優の音声解説
原作者の音声解説
監督:ジョー・ダンテ
製作:マイク・フィンネル
   ジャック・コンラッド
脚本:ジョン・セイルズ
   テレンス・ウィンクレス
原作:ゲイリー・ブランドナー
撮影:ジョン・ホラ
音楽:ピノ・ドナッジョ
出演:ディー・ウォーレス
   パトリック・マクニー
   デニス・デュガン
   クリストファー・ストーン
   ベリンダ・バラスキ
   ケヴィン・マッカーシー
   ジョン・キャラダイン
   スリム・ピケンズ
   エリザベス・ブルックス

 いわゆる現代版人狼映画の先駆けであり、特殊メイクの世界に革命を巻き起こした作品である。ダミー・ボディを駆使しながら人間が狼に変身していく過程を克明に描いたシーンは、同時期に公開された「狼男アメリカン」と並んで世間に大変な衝撃を与えたものだった。一般の映画ファンが特殊メイクというものに強い関心を示した最初の作品だったと言っても良いかもしれない。
 過去に日米で幾度となくDVD化されてきた本作。'03年に米MGMが映像特典満載のコレクターズ・エディションDVDをリリースしたが、残念ながら本編の画質は及第点レベルだった。その後、スタジオカナルがHDリマスター版を各国にディストリビュートし、日本でもエスピーオーが2年ほど前にDVD化。この北米盤ブルーレイに使用されている本編も、そのスタジオカナルのHDリマスター素材である。
 ブルーレイの再現力を十二分に生かしたハイビジョン映像のきめ細やかな美しさは絶品。古い映画ゆえに暗がりのシーンではフィルムの粒子が若干目立つものの、ほとんど気にならないレベルだ。もともとの映像がフォーカス甘めであるため、全体的に輪郭がぼやけて感じられる部分もあるが、よく見てみると役者の肌の質感や髪の毛の一本一本までくっきりと再現されていることが分かる。30年以上前の低予算映画としては十分すぎるくらいの高画質と言えよう。5.1chサラウンドにリミックスされたDTS-HD音声も大変良好。オリジナルのモノラル音声も選択ができる。
 そして特典映像。ブルーレイ用として新たに撮り下ろしされたのが、製作総指揮スティーヴン・A・レーンのインタビュー、編集者マーク・ゴールドブラットのインタビュー、脚本家テレンス・ウィンクレスのインタビュー、ロケ地再訪ドキュメンタリー、原作者ゲイリー・ブランドナーの音声解説の5本である。
 中でも特に、製作総指揮レーンのインタビューは大変意義深い。というのも、彼こそが本作の映画化に当たって最も重要な役割を果たした人物であり、その後のシリーズでも7作目を除く合計7本(本作を含む)全てに関わった唯一の人物であるからだ。もともと映画館チェーンのオーナーだった彼は、書店で見かけた原作を読んですぐに映画化の企画を思いつき、版元に連絡を取ったところ、既にジャック・コンラッドなる人物が映画化権を獲得していた。コンラッドは自ら製作と監督を兼ねるつもりだったらしいが、なにしろ彼はポルノ映画くらいしか演出経験のない人物。そこでレーンは旧知の映画会社アヴコ・エンバシーの出資と配給契約を取り付け、コンラッドに監督を諦めさせ、アヴコを通じてジョー・ダンテに白羽の矢を立てるなど、実質的に舞台裏で主導的役割を担ったのだった。そうした映画化実現までの道のりだけでなく、その後のシリーズ作品全ての製作秘話を語ってくれるのだから、これはファンなら見ておかずにはいられまい。
 また、今年の9月に亡くなった原作者ブランドナーの音声解説も大変貴重。彼がプレミア試写で自己紹介するまで、ダンテ監督が原作の存在そのものを知らなかったというエピソードは目からウロコだ。さらに、ロサンゼルス周辺のロケ地を巡るドキュメンタリーも嬉しい。ハリウッド大通りにあったオカルトショップが現在は観光客向けの土産物屋になっていたり、人狼の里の海岸が今も当時のままだったり。実に感慨深いものがある。
 なお、そのほかの特典はMGM版コレクターズ・エディションDVDや日本盤DVDと一緒。その中でも、監督&キャストの音声解説や旧メイキング・ドキュメンタリー、デヴィッド・アレンのインタビュー、アウトテイク集、未公開シーン集は90年代にリリースされたレーザーディスクの特典だった。それゆえに画質はお世辞にも良いとは言えないのだが、ファンにとって貴重な資料であることには変わりない。

 

夕暮れにベルが鳴る/誕生日はもう来ない
When A Stranger Calls (1979) / Happy Birthday To Me (1981)

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(P)2012 Mill Creek Entertainment/Columbia Pictures (USA)

夕暮れにベルが鳴る
When A Stranger Calls

誕生日はもう来ない
Happy Birthday To Me

画質★★★★★ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格:1080p/音声:2.0 DTS-HD/言語:英語/字幕:英語/地域コード: A/97分/製作:アメリカ

<特典>
なし
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格:1080p/音声:5.1 DTS-HD/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/ 111分/製作:カナダ

<特典>
なし
監督:フレッド・ウォルトン
製作:ダグ・チャピン
   スティーヴ・フェケ
脚本:スティーヴ・フェケ
   フレッド・ウォルトン
撮影:ドナルド・ピーターマン
音楽:ダナ・カプロフ
出演:キャロル・ケイン
   チャールズ・ダーニング
   コリーン・デューハースト
   トニー・ベックリー
   レイチェル・ロバーツ
   ロン・オニール
   ルターニャ・アルダ
監督:J・リー・トンプソン
製作:ジョン・ダニング
   アンドレ・リンク
脚本:ジョン・サクストン
   ピーター・ジョビン
   ティモシー・ボンド
撮影:ミクロス・レンテ
音楽:ボー・ハーウッド
   ランス・ルービン
出演:メリッサ・スー・アンダーソン
   グレン・フォード
   ローレンス・デイン
   シャロン・エイカー
   フランシス・ハイランド
   トレイシー・ブレッグマン
   マット・クレイヴン
   レノア・ザン
   リサ・ラングロワ

 アメリカの廉価版専門メーカー、ミル・クリーク・エンターテインメントによる2in1シリーズの1枚。廉価版といっても、ソニー・ピクチャーズと正規にライセンス契約を交わしたオフィシャル盤だ。しかも、「夕暮れにベルが鳴る」と「誕生日はもう来ない」という、当時を知るホラー映画マニアにはたまらないカップリング。こいつは買わにゃいられまい。
 まずは簡単に両作品の紹介を。一人で留守番をするベビーシッターのもとにかかってくる謎の電話、しかも犯人の殺人鬼が実は家の2階にいた!というショッキングなオープニングが有名な「夕暮れにベルが鳴る」。数年後に精神病院を脱走した犯人が場末の酒場で見かけた年増女にストーカーをする中盤は賛否両論分かれるようだが、しかし社会に溶け込むことのできない孤独な異邦人の怒りと狂気を描いた作品として秀逸だと思う。実力派の揃った渋いキャスト陣の名演もあって、地味ながらも強いインパクトを残す映画となった。
 一方の「誕生日はもう来ない」は、当時ブームだったスラッシャー映画の一つなのだが、いわゆるサイコ・サスペンス的なストーリー構成はなかなか凝っており、確かにご都合主義で辻褄の合わない点も少なくないものの、このジャンルの作品としては決して悪い出来ではない。ベテラン巨匠J・リー・トンプソンの演出も安定感がある。スプラッター描写は控えめだが、ラストの死体だらけの誕生パーティや力技のどんでん返しは強烈。個人的にも好きな作品だ。
 で、こちらの2本立て廉価版ブルーレイ。いや、なんともビックリするくらいに画質が素晴らしい。「暗闇にベルが鳴る」については夜間シーンで部分的にフィルムの粒子がチラつくものの、それ以外はほぼ完璧。禍々しくも美しい映像を存分に堪能できる。さらに「誕生日はもう来ない」に至っては、まるで新作映画かと見まごうほどピッカピカだ。加えて、DVDリリースの際にオリジナル音楽スコアが差し替えられてしまって大不評を食らった「誕生日〜」だが、このブルーレイ版ではちゃんと元通りに復元されている。しかも、5.1chサラウンドにリミックスされて。これが実売価格9ドル程度というのだから驚きだ。まさにグッジョブ!
 とりあえず、特典映像が全くなしというのは残念だし、せめてオリジナル劇場予告編くらいは入れて欲しかったと思うのだが、そんな不満もチャラにして良かろうと思えるくらいハイクオリティな商品だ。

 

遊星からの物体X
The Thing (1982)

THE_THING_BD.JPG
(P)2010 Geneon Universal (JP)
画質★★★★★ 音質★★★★★

ブルーレイ仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格:1080p/音声:5.1ch DTS-HD/字幕:日本語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・オランダ語・韓国語・スウェーデン語・フィンランド語・ノルウェー語・デンマーク語・ポルトガル語・中国語/地域コード: ALL/109分/製作:アメリカ

<特典>
J・カーペンター監督、K・ラッセルによる音声解説
メイキング・ドキュメンタリー
製作背景
写真付きキャスト紹介
プロダクション・アート&ストーリー・ボード集
ロケーション・デザイン集
製作過程
円盤ができるまで
ブレア・モンスターができるまで
未公開NGシーン
ポスト・プロダクション
オリジナル劇場予告編

監督:ジョン・カーペンター
製作:デヴィッド・フォスター
   ローレンス・ターマン
脚本:ビル・ランカスター
撮影:ディーン・カンディ
特殊効果:アルバート・ホイットロック
特殊メイク:ロブ・ボッティン
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:カート・ラッセル
   ウィルフォード・ブリムリー
   T・K・カーター
   デヴィッド・グレノン
   キース・デイヴィッド
   リチャード・ダイサート
   チャールズ・ハラハン
   ピーター・マロニー
   リチャード・メイサー
   ドナルド・モファット

 ジョン・カーペンター監督によるSFホラーの金字塔的傑作。天才ロブ・ボッティンによる変幻自在でグロテスクなエイリアンのクリーチャー・デザインは、まさに革新的でありショッキングそのものであった。真冬の南極観測基地という閉ざされた空間、誰がエイリアンに体を乗っ取られたのか分からないという緊張感も抜群の効果を発揮。劇場公開から30年以上を経た今も全く古さを感じさせない。
 そして、ユニバーサルからリリースされたブルーレイもまた見事な出来栄えだ。なんといっても、本編の画質のパーフェクトなこと!明暗のコントラストにしっかりとした安定感があり、輪郭もほどよくクッキリ。色彩や質感の再現力にも非の打ち所がない。エイリアンのグジョグジョ感、ヌメヌメ感もリアリルすぎるくらいに伝わってくる。フィルムの経年劣化もほぼないに等しく、まるで新作映画を見ているかのような鮮度の高さだ。ただ、そのせいで一部マット・ペインティングの合成が浮いてしまったのだけれど。まあ、こればっかりは仕方あるまい。5.1chサラウンドの音声にも奥行きと重量感があり、これまた迫力満点。独特の異様な雰囲気を高めてくれる。
 特典映像に関しては、コレクターズ・エディション版DVDと同一のものをそのまま移植。一応、本編再生中にメイキング・ドキュメンタリーの一部を同時再生できるU-CONTROLという機能が付いているものの、残念ながら利便性が高いとは言えない。というか、正直なところ必要ないと思う。あとはブルーレイ・オリジナルの特典映像も欲しかったが、さすがにそれはわがままというものか(笑)。

 

ゴースト/血のシャワー
Death Ship (1980)

DEATHSHIP_BD.JPG
(P)2012 Scorpion Releasing (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格:1080p/音声:2.0 DTS-HD/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/91分/製作:カナダ

<特典>
カトリーナのイントロダクション
ドイツ語のセリフ解説
未公開シーン集
音楽トラック
オリジナル劇場予告編
監督:アルヴィン・ラコフ
製作:デレク・ギブソン
   ハロルド・グリーンバーグ
脚本:ジョン・ロビンス
原案:ジャック・ヒル
   デヴィッド・P・ルイス
撮影:ルネ・ヴェルジェル
音楽:アイヴァー・スラニー
出演:ジョージ・ケネディ
   リチャード・クレンナ
   ニック・マンキューソ
   サリー・アン・ハウス
   ケイト・リード
   ソウル・ルビネック
   ヴィクトリア・バーゴイン

 沈没した豪華客船の生存者たちが乗り込んだ古い船が、実は呪われたナチスの拷問船だった…というオカルト映画。監督のアルヴィン・ラーコフは主にカナダやイギリスのテレビで活躍した人物だったこともあってか、本作もなんとなくテレビ映画っぽい安手な雰囲気がある。当時としてはスプラッター・シーンもかなり控えめ。とはいえ、暗い拷問船内部のおどろおどろしい雰囲気や邦題に謳われている“血のシャワー”シーンなどは強烈なインパクトがあり、一部で熱心なファンが存在することも納得できるだろう。拷問船の怨霊に取り憑かれた客船船長役ジョージ・ケネディの怪演もけっこう怖かった。
 この北米盤ブルーレイでは、オリジナルのインターポジから新たにテレシネしたハイビジョン・マスターを使用。さすがにデジタル・レストアまではされていないので、フィルムの傷などが部分的に散見されるものの、それでも全体的には十分過ぎるくらいの高画質に仕上がっている。ただ、そのおかげで制作規模のチープさが際立ってしまった感もあり。特に、豪華客船の沈没シーンで使用された古い映画の流用フッテージとの画質の差がクッキリ鮮明になってしまった。まさに思わぬ落とし穴ってヤツだろうか。モノラルのDTS-HD音声は普通に良好で、セリフもしっかりと聴き取れる。30年以上前の低予算映画としては画質・音質ともに優秀といった感じだ。
 ただ、特典には物足りなさが残る。まずは、カトリーナ嬢によるイントロダクション。発売元スコルピオン・リリーシングの看板娘的なホステス役カトリーナ嬢が本作の解説をしてくれるわけだが、今回の内容はほとんどがコントで占められており、残念ながら有益な情報は一切なし。とりあえず、ドイツ語が堪能だという彼女によるドイツ語のセリフの解説シーンは多少なりとも役に立つのだが…(^^;
 とりあえず、最も特典としての価値が高いのは2種類の未公開シーンかもしれない。とはいっても、どちらもだらだらと長いだけの会話シーンだし、劣化した古いビデオ素材から移植されているので画質は最悪だし。正直なところ、それほどのお得感はない。一部では原案を手がけたジャック・ヒル監督が実はノークレジットで演出もやっている…なんて噂もある映画なだけに、メイキング・ドキュメンタリーもしくは関係者のインタビューくらいは欲しかった。

 

ボディ・スナッチャー/恐怖の街
Invasion of the Body Snatchers (1956)

BODY_SNATCHERS_BD.JPG
(P)2012 Olive Films/Paramount (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
モノクロ/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.00:1/HD規格:1080p/音声:2.0 DTS-HD/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/ 80分/製作:アメリカ

<特典>
なし
監督:ドン・シーゲル
製作:ウォルター・ウェインジャー
原作:ジャック・フィニー
脚本:ダニエル・メインウェアリング
撮影:エルスワース・フレデリクス
音楽:カーメン・ドラゴン
出演:ケヴィン・マッカーシー
   ダナ・ウィンター
   ラリー・ゲイツ
   キング・ドノヴァン
   キャロリン・ジョーンズ
   ジーン・ウィルス
   ヴァージニア・クリスティ

 侵略型SFホラー映画の最高峰である。アメリカの平和な田舎町で住人がいつの間にか偽者エイリアンと入れ替わっていく恐怖、どこからか持ち込まれた巨大なサヤから複製人間が飛び出すショック。ストーリーを論理的に紐解いていくと確かに突っ込みどころはあるし、今時のハリウッド映画に比べれば地味なことこの上ない低予算映画かもしれない。しかし、いつもの見慣れた日常が徐々に乗っ取られていくという得体の知れない恐ろしさは全く色褪せないし、脱出劇のスリルと緊張感や絶望的なクライマックス(監督の意図に反して僅かな救いが残されてしまったが)のインパクトは今なお強烈。名作と呼ばれるに相応しい完成度の高さだ。
 残念ながら日本ではDVDすら発売されていないものの、アメリカではクラシック映画専門のインディペンデント系メーカー、オリーヴ・フィルムズからブルーレイが発売されている。このオリーヴ・フィルムズというのは、パラマウント映画とライセンス契約を結んで同社のライブラリーを次々と再発している会社。本作のオリジナル権利元はリパブリック・ピクチャーズなのだが、'60年代末から身売りを重ねた末に現在はパラマウントが著作権を保有しているのだ。
 製作当時は画面比率2.00:1のスーパースコープというワイドスクリーンサイズで劇場公開された本作だが、実はもともと1.33:1のフルフレームサイズで撮影されていた。つまり、上映用フィルムは画面の上下をマスキングでカットしていたのである。'98年にアーティサン・フィルムからリリースされた北米盤DVDでは、そのフルフレームサイズとワイドスクリーンサイズの両方を収録。ただし、ワイドスクリーンの画面比率がなぜか1.9:1という中途半端なサイズだった。
 このオリーヴ・フィルムズ版ブルーレイでは、劇場公開時と同じスーパースコープサイズを復元。画質については100点満点とはいかないものの、それでも旧DVD盤に比べると明らかにきめ細かくて自然な仕上がりだ。フィルムのキズやゴミもほぼ見られない。これでもっと黒に深みを加えて、明暗のコントラストや輪郭がシャープであれば完璧だったのにと思う。
 あと、これはその他のオリーヴ・フィルムズ製品全てにも言えることなのだが、特典として予告編すら付いていないという素っ気なさはいかがなもんだろうか。少なくとも、過去のDVDには主演俳優ケヴィン・マッカーシーのインタビューとオリジナル劇場予告編が収録されていた。廉価版ならばいざ知らず、北米盤ブルーレイとしてはそこそこの値段で販売されていることを考えると、このシンプルすぎるパッケージ仕様には不満が残る。

 

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