カルト系ホラー映画ブルーレイ レビューPt.4

 

 

獣人島
Island of Lost Souls (1932)

ISLAND_OF_LOST_SOULS.JPG
(P)2011 The Criterion Collection (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
モノクロ/スタンダードサイズ/画面比:1.33:1/HD規格:1080p/音声:リニアPCM1.0chモノラル/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/70分/制作国:アメリカ

<パッケージ仕様>
・カラーブックレット封入(16p)

<特典>
・映画史家グレゴリー・マンクの音声解説
・ジョン・ランディス、リック・ベイカー、ボブ・バーンズによる座談会(約17分)
・映画評論家デヴィッド・J・スカルのインタビュー(約13分)
・映画監督リチャード・スタンレイのインタビュー(約14分)
・ロックバンドDEVOのメンバーのインタビュー(約20分)
・短編映画「The Beginning was the End:The Complete Truth About De-evolution」(約10分)
・スチル・ギャラリー
・オリジナル劇場予告編
監督:アール・C・ケントン
製作:E・ロイド・シェルドン
原作:H・G・ウェルズ
脚色:フィリップ・ワイリー
脚本:ワルデマー・ヤング
撮影:カール・ストラス
音楽:アーサー・ジョンストン
   シグマンド・クラムゴールド
出演:チャールズ・ロートン
   リチャード・アーレン
   レイラ・ハイアムズ
   ベラ・ルゴシ
   キャスリーン・バーク
   アーサー・ホール
   スタンリー・フィールズ
   テツ・コマイ

 言わずと知れたハリウッド・ホラー草創期の傑作である。いわゆるユニバーサル・ホラーのブームにあやかり、パラマウントがSF小説の大家H・G・ウェルズの原作を映画化したもの。その後「ドクター・モローの島」('77)、「D.N.A.」('96)と2度に渡ってリメイクされているが、いずれもオリジナル版の強烈なインパクトには敵わない。
 ストーリーは至ってシンプル。乗っていた客船が沈没し、近くを通った輸送船に救助された男性パーカーは、モロー博士なる人物が所有する南海の孤島を訪れる。輸送船は島へ野生動物を届ける途中だったのだ。そこには、見るからに奇妙な人間たちがモロー博士のために働いていた。国で帰りを待つ婚約者ルースのことを気がかりに思いつつも、島の案内役を務める美女ロータに惹かれていくパーカー。しかし、島では夜な夜な人間の悲痛な叫び声が響き渡る。実は、モロー博士は島へ運び込んだ動物たち様々な実験や手術を施し、半人半獣のモンスターを作り出していたのだ。
 科学の力で動物を人間に進化させ、まさに神のごとく新たな種族を生み出してしまったモロー博士の狂気。子供のように無邪気でありながら残忍で常軌を逸したマッドサイエンティストを、天下の名優チャールズ・ロートンが取り憑かれたように演じる。ウォリー・ウェストモアによる獣人たちのグロテスクな特殊メイクは今見ても斬新かつショッキングだし、「サンライズ」('27)や「チャップリンの独裁者」('40)で知られる撮影監督カール・ストラスによる悪夢的な映像も素晴らしい。
 また、当時はまだヘイズ・オフィスによる自主規制が成立する以前だったため、サディスティックでセクシャルなニュアンスを含んだシーンも多い。トッド・ブラウニングの「フリークス」('32)に影響を受けたとされる衝撃のクライマックスも見事。ホラー映画の歴史を語る上で外すことのできない作品だ。

 '58年にパラマウントからユニバーサルに権利が売却された本作。既に著作権保護期間を過ぎていることから、現在ではパブリックドメイン素材の廉価版DVDが出回っているものの、上記のクライテリオン版ブルーレイはユニバーサルから正式に許諾を受けたオフィシャル版。オリジナルネガが既に現存していないことから、35ミリのマスターポジや上映用フィルム、個人収集家が所有する16ミリフィルムなど、複数の様々なソースからベストなクオリティのフィルムを集めて復元し、2K解像度でテレシネした上でデジタル修復を施している。
 フィルムグレインの状態は自然でなめらか、モノクロのコントラストもハッキリとしており、80年以上も前の映画であるとを考えれば、驚くほど映像はきめ細かく奥行きもある。おかげで、特殊メイクの丁寧な職人技を存分に確かめることが出来るし、美術セットの細部へのこだわりもよく分かる。さすがはクライテリオン!と唸らざるを得ない見事な仕事ぶりだ。
 音声も同じように35ミリフィルムと16ミリフィルムから、最良の部分を抜き出してミックスしており、さらに24ビットの高音質でデジタルリマスター処理を施している。さすがに古い音声素材なので聞き取りづらい部分は少なからずあるものの、目立ったヒスノイズや音声の欠落などは見られない。英語字幕のオプションもついているので、視聴に支障をきたすようなことはないだろう。

 特典の方に目を移すと、映画史家グレゴリー・マンクによる音声解説は、作品の製作背景から撮影秘話に至るまでの情報量がハンパじゃない。それに比べると、有名な評論家デヴィッド・J・スカルのインタビューはウィキペディア・レベルで面白みに欠けるものの、「フリークス」との具体的な比較など作品評としては興味深い点もある。
 さらに、ジャンル映画の名匠ジョン・ランディスと特殊メイクの王様リック・ベイカー、そしてスーツ・アクターとしても有名な映画マニアのボブ・バーンズが、本作の特殊メイクを中心に熱く語り合う座談会もホラー映画ファンなら必見。'96年版リメイク「D.N.A.」を撮影途中で下ろされたリチャード・スタンレイ監督が、当時話題となった降板劇の裏側を語るインタビューも面白い。
 また、本作の熱狂的なファンとして知られるニューウェーブ系ロックバンド、ディーヴォのメンバーへのインタビュー、彼らが'76年にミュージック・クリップの代わりとして作った短編フィルムも収録。後者に収められている楽曲“Jocko Homo”では、本作のセリフが歌詞に引用されている。

 

 

呪いの家
The Uninvited (1944)

THE_UNINVITED.JPG
(P)2013 The Criterion Collection (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
モノクロ/スタンダードサイズ/画面比:1.37:1/HD規格:1080p/音声:リニアPCM1.0chモノラル/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/99分/制作国:アメリカ

<パッケージ仕様>
・ブックレット封入(26p)

<特典>
・映画監督マイケル・アルメレイダによるビジュアル・エッセイ(約27分)
・ラジオドラマ版('44年版&'49年版)
・オリジナル劇場予告編
監督:ルイス・アレン
製作:チャールズ・ブラケット
原作:ドロシー・マカードル
脚本:ドディー・スミス
   フランク・パートス
撮影:チャールズ・ラング・ジュニア
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:レイ・ミランド
   ルース・ハッセイ
   ゲイル・ラッセル
   ドナルド・クリスプ
   コーネリア・オーティス・スキナー
   ドロシー・スティックニー
   アラン・ネピアー

 いわゆる幽霊屋敷ものである。ただ、アメリカ映画における幽霊屋敷ものといえば、基本的に推理ミステリーに属する場合が多く、超常現象と思われたものにも実はタネや仕掛けがある…というのが「猫とカナリア」('27)以来の伝統。一連のユニバーサル・ホラーにもドラキュラやフランケンシュタインのようなモンスターは登場したが、なぜか幽霊や心霊現象が描かれることはなかった。そう考えると、本作はハリウッドで初めてまともに幽霊を扱った映画と言えるだろう。
 舞台はイングランドの片田舎。ロンドンの喧騒を離れてこの地にやってきた作曲家リック(レイ・ミランド)と妹パム(ルース・ハッセイ)は、海辺の崖の上にそびえ立つ古い豪邸を購入することにする。ここはオーナーである老人の娘が自殺を遂げた場所で、地元では呪われているとの噂が絶えなかったものの、現実主義者のリックははなから幽霊の存在など信じていない。
 ところが、やがて夜毎女性のすすり泣く声が屋敷内で響き渡るようになり、様々なポルターガイスト現象が起きるようになる。自殺した女性の娘ステラ(ゲイル・ラッセル)は、それが自分の母親の霊ではないかと考え接触を試みるも、まるで何かに吸い寄せられるように崖から飛び降りそうになった。ステラのことを愛するようになったリックは、彼女を屋敷から遠ざけようとするのだったが…。
 不可解な現象が過去の忌まわしい出来事に関係者の注意を向け、そこに隠された意外な真実を明らかにし、死者の無念を晴らすこととなる。日本の怪談物語にも似た趣があると言えよう。さらに、リックとステラの奥ゆかしい恋愛ドラマにダークなホラー・ムードを絡めつつ、心霊現象よりも心理サスペンスに重点を置くことで、ヒッチコックの「レベッカ」に勝るとも劣らぬゴシック・ロマンスとなった。

 こちらの「獣人島」と同じく'58年にパラマウントからユニバーサルへ権利が売却された作品。上記のクライテリオン版ブルーレイは、ユニバーサルとのライセンス契約でリリースされたオフィシャル版だ。マスターとして使用されたのは、35ミリのデュープ・ネガ。2K解像度でテレシネされた上で、デジタル処理によってゴミや傷、ひび割れなどが修復された。部分的に小さな傷が残っているものの、ほとんど気にならない程度。モノクロのコントラストも質感の再現力も素晴らしく、特に暗闇のシーンの立体感には驚かされる。ディテールが潰れていないばかりか、暗闇の奥にまで何があるのか見て取れるのは、まさにデジタル修復の威力とブルーレイの高解像度の賜物だ。
 リニアPCMにエンコードされた非圧縮のモノラル音声は、デュープ・ネガの音声トラックから24ビットの高音質でデジタルリマスターされたもの。ヒスノイズやクリック音などの経年劣化も丁寧に取り除かれているため、セリフは明瞭だし、ヴィクター・ヤングの流麗な音楽スコアにも重量感がある。スタンダード・ナンバーとなったテーマ曲「星影のステラ」のメロディもひときわ美しい。
 一方、特典のボリューム感はいまひとつ。映画評論家としても知られるマイケル・アルメレイダ(「ナディア」「ハムレット」「アナーキー」)によるビジュアル・エッセイは、本編や関連作の映像クリップやスチルを織り交ぜながら、アルメレイダ監督が撮影の舞台裏やスタッフ&キャストのキャリアを紐解いていく、いわばビデオ解説といったような趣きだ。
 さらに、'44年と'49年に放送された本作のラジオ・ドラマ版も収録。どちらも映画版と同じくレイ・ミランドがリック役を演じており、ぞれぞれ30分弱というハイライト的な内容となっている。なお、封入のブックレットには晩年のルイス・アレン監督のインタビューが掲載されており、ビジュアル・エッセイよりもこちらの方が面白い。

 

 

恐怖の昆虫殺人
The Deadly Bees (1966)

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(P)2015 Olive Films (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:2.0 DTS-HD MA/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/ 84分/制作国:イギリス

<特典>
なし
監督:フレディ・フランシス
製作:マックス・J・ローゼンバーグ
   ミルトン・サボツキー
原作:ジェラルド・ハード
脚本:ロバート・ブロック
   アンソニー・マリオット
撮影:ジョン・ウィルコックス
音楽:ウィルフレッド・ジョセフス
出演:スザンナ・リー
   フランク・フィンレイ
   ガイ・ドールマン
   キャサリン・フィン
   マイケル・リッパー

 一時期はハマー・フィルムと双璧の人気を誇った英国ホラーの名門、アミカス・プロダクションが製作した昆虫パニック・ホラー。そのオリジナル・タイトルの通り、大量のハチ軍団が次々と人間を襲って殺していく。『恐怖の殺人蜜蜂』('74)や『キラー・ビー』('76)、『スウォーム』('78)など、殺人蜂映画というのはホラー映画の隠れた人気ジャンルであり、本作はそのれっきとした原点。しかも、監督は『人類SOS!』('62)や『テラー博士の恐怖』('64)など傑作カルト映画を世に送り出している名匠フレディ・フランシスということで、いやがおうにも期待が高まるってもんだが、蓋を開けてみれば違う意味で驚かされるポンコツ映画だ。
 精神的なスランプに陥ったことから、都会の喧騒を離れた小さな島の長閑な村で静養することになった人気ポップ歌手ヴィッキ(スザンナ・リー)。ところが、彼女の滞在先である養蜂場の周辺で蜂が人間を襲い始め、やがて死者が出てしまう。近隣に住む同業者のマンフレッド(フランク・フィンレイ)の協力で真相を調べ始めたヴィッキは、何者かが殺人目的のため意図的に蜂を操っていることに気づくのだが…。
 ということで、そもそも人間のフェロモンを使って大量の蜂を操るというトリックそのものはぎりぎりセーフだとしても、その真犯人の正体というのがあまりにも強引過ぎるため、謎解きの辻褄がまるっきり合っていない。そのうえ、本物の蜂の実写合成とプラスチック製の蜂を混合した襲撃シーンの特殊効果も、笑えるくらいにショボショボ。ストーリー的にもビジュアル的にも大変お粗末な仕上がりだ。
 脚本を手がけたのは、ヒッチコックの『サイコ』('60)でも知られる恐怖小説の大家ロバート・ブロック。しかし、フランシス監督の独断で脚本の修正がアンソニー・マリオットの手に委ねられ、大幅に書き直されてしまったらしい。謎解きの辻褄が合わないのも、ストーリーの重要なカギを握る2人のキャラクターを1人にまとめてしまったから。脚本の最終版を読んだ彼は憤慨し、完成した映画も見ようとすらしなかったと言われている。
 なお、オープニングに登場するロック・バンドは、ローリング・ストーンズのロニー・ウッドが当時在籍していたザ・バーズ。さらに、主演スザンナ・リーの歌の吹き替えを無名時代のエルキー・ブルックスが担当している。そういう意味で、UKポップスのファンならば一見の価値はあるかもしれない。

 日本では過去に1度もソフト化されたことのない本作。アメリカ公開版の権利をパラマウントが所有していることから、同社のアーカイブ作品を続々と再発しているオリーブ・フィルムが米盤ブルーレイをリリースしている。基本的に修復作業などは一切施されていないものの、原版フィルムの保存状態が良いこともあってか、約50年前の映画としてはまずまずの高画質。部分的にグレインがチラつきすぎたり、色合いが褪せて見えることもあるにはあるが、トータルで見れば十分にクリーンでクリア。かえって、画質が良すぎて俳優の髪にまとわりつく小さな蜂がプラスチック製の偽物だとひと目で分かるくらいだ。
 2.0chのモノラル音声はロスレスのDTS-HDマスター・オーディオ。もともと音響効果も音楽スコアも最小限に抑えられているため、DTS-HDの恩恵はほとんど実感できないかもしれないが。なお、オリーブ・フィルム製品の大半がそうであるように、本作のブルーレイも特典映像はゼロ。まあ、滅多に見るチャンスのない作品をフルHDの高画質で見れるというだけでヨシとすべしかもしれない。

 

エクソシスト・コンプリート・アンソロジー
The Exorcist: The Complete Anthology

THE_EXORCIST.JPG

(P)2014 Warner Home Entertainment (USA)

エクソシスト
The Exorcist (1973)

エクソシスト/ディレクターズ・カット版
The Exorcist: Extended Director's Cut (2000)

エクソシスト2
Exorcist U: The Heretic (1977)

エクソシスト3
The Exorcist V(1990)

エクソシスト ビギニング
Exorcist: The Beginning (2004)

Dominion: Prequel to the Exorcist (2005)

画質★★★★★ 音質★★★★★ 画質★★★★★ 音質★★★★★ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★★ 画質★★★★★ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語・フランス語・スペイン語(※英語・日本語)/字幕:英語・フランス語・スペイン語(※日本語・英語)/地域コード:A/ 122分/制作国:アメリカ
※日本市場向け再生器で再生した場合

<特典>
・ウィリアム・フリードキン監督によるイントロダクション
・ウィリアム・フリードキン監督による音声解説
・原作者ウィリアム・ピーター・ブラッティによる音声解説
・イメージ画とストーリー・ボード
・ウィリアム・フリードキン監督とウィリアム・ピーター・ブラッティのインタビュー
・もうひとつのエンディング
・メイキング・ドキュメンタリー「フィアー・オブ・ゴッド」
・オリジナル劇場予告編集(3種類)
・テレビスポット集(4種類)
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:6.1ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語・フランス語・スペイン語(※英語・日本語)/字幕:英語・フランス語・スペイン語(※日本語・英語)/地域コード:A/ 132分/制作国:アメリカ
※日本市場向け再生器で再生した場合

<特典>
・ウィリアム・フリードキン監督による音声解説
・ドキュメンタリー「今明かされる撮影秘話」
・ドキュメンタリー「ジョージタウン〜あのロケ地は今〜」
・ドキュメンタリー「2つのエクソシスト〜秘められたる理由」
・オリジナル劇場予告編集(2種類)
・テレビスポット集(3種類)
・ラジオスポット集(2種類)
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:1.0ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語・フランス語・スペイン語(※英語のみ)/字幕:英語・フランス語・スペイン語(※日本語・英語)/地域コードA/117分/制作国:アメリカ
※日本市場向け再生器で再生した場合

<特典>
・もう一つのオープニング
・オリジナル劇場予告編
・特報
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語・フランス語・スペイン語(※英語のみ)/字幕:英語・フランス語・スペイン語(※日本語・英語)/地域コード:A/110分/制作国:アメリカ
※日本市場向け再生器で再生した場合

<特典>
・オリジナル劇場予告編

ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.4:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語・フランス語・スペイン語(※英語・日本語)/字幕:英語・フランス語・スペイン語(※日本語・英語)/地域コード:A
/ 113分/制作国:アメリカ
※日本市場向け再生器で再生した場合

<特典>
・レニー・ハーリン監督による音声解説
・メイキング・ドキュメンタリー
・オリジナル劇場予告編

ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語・フランス語・スペイン語(※英語のみ)/字幕:英語・フランス語・スペイン語(※日本語・英語)/地域コード:A/116分/制作国:アメリカ
※日本市場向け再生器で再生した場合

<特典>
・ポール・シュレイダー監督による音声解説
・未公開シーン集
監督:ウィリアム・フリードキン
製作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
脚本:
ウィリアム・ピーター・ブラッティ
撮影:オーウェン・ロイズマン
音楽:マイク・オールドフィールド
出演:エレン・バースティン
   マックス・フォン・シドー
   リンダ・ブレア
   リー・J・コッブ
   ジェイソン・ミラー
   キティ・ウィン
   ジャック・マッゴーラン
監督:ウィリアム・フリードキン
製作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
脚本:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
撮影:オーウェン・ロイズマン
音楽:マイク・オールドフィールド
出演:エレン・バースティン
   マックス・フォン・シドー
   リンダ・ブレア
   リー・J・コッブ
   ジェイソン・ミラー
   キティ・ウィン
   ジャック・マッゴーラン
監督:ジョン・ブアマン
製作:ジョン・ブアマン
   ジョン・レデラー
脚本:ウィリアム・グッドハート
撮影:ウィリアム・A・フレイカー
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:リンダ・ブレア
   リチャード・バートン
   ルイーズ・フレッチャー
   マックス・フォン・シドー
   ジェームズ・アール・ジョーンズ
   キティ・ウィン
   ポール・ヘンリード
   ネッド・ビーティ
監督:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
脚本:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
製作:カーター・デ・ヘヴン
撮影:ジェリー・フィシャー
音楽:バリー・デヴォーゾン
出演:ジョージ・C・スコット
   ジェイソン・ミラー
   エド・フランダース
   ニコル・ウィリアムソン
   スコット・ウィルソン
   ブラッド・ダリフ
   ハリー・ケリー・ジュニア
   ヴィヴェカ・リンドフォース
監督:レニー・ハーリン
製作:ジェームズ・G・ロビンソン
原案:ウィリアム・ウィシャー
   ケイレブ・カー
脚本:アレクシ・ホーリー
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:トレヴァー・ラビン
出演:ステラン・スカルスガルド
   イザベラ・スコルプコ
   ジェームズ・ダーシー
   レミー・スウィーニー
   ベン・クロス
   アンドリュー・フレンチ
   ラルフ・ブラウン
監督:ポール・シュレイダー
製作:ジェームズ・G・ロビンソン
脚本:ウィリアム・ウィシャー
   ケイレブ・カー
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:トレヴァー・ラビン
   アンジェロ・バダラメンティ
出演:ステラン・スカルスガルド
   ガブリエル・マン
   クララ・ベラー
   ビリー・クロフォード
   ラルフ・ブラウン
   アンドリュー・フレンチ
   ジュリアン・ワダム

 1作目のディレクターズ・カット版を含む「エクソシスト」シリーズの全作品を網羅した6枚組のコンプリート・ボックス。改めて言及するまでもない大傑作「エクソシスト」('73)はともかく、それ以降の続編は作品によって賛否両論ありだが、個人的にはどれも嫌いになれない要素があったりするので、こうやってまとめて揃えることが出来るのは大いに有難い。
 とりあえず1作目は鉄板。例のショッキングなえび反りシーンやエンディングの余韻など、ディレクターズ・カット版も悪くはないのだけれど、やはりオリジナル版の方がスッキリと無駄がない。批評的にも興業的にも惨敗を喫したジョン・ブアマンの2作目は、なるほど受けが悪かった理由は分からないでもないのだけれど、これはこれでぶっ飛んでいて好き。まあ、リアリズムの欠片もないのだけれどね。
 で、個人的に1作目と負けず劣らず…とまでは言わずとも、なかなかの傑作だと思っているのが、原作者自身が演出を手がけた「エクソシスト3」。残酷シーンこそ控えめながら、宗教的イメージの濃厚なショックシーンの数々が素晴らしく、猟奇殺人×オカルトの組み合わせも抜群。ジョージ・C・スコットを筆頭とする渋めの豪華キャストも嬉しい。
 一方、レニー・ハーリン監督の「エクソシスト ビギニング」と、ポール・シュレイダー監督の「Dominion: Prequel to the Exorcist」は、同じ原案を基にしながらも全くの別物に仕上がった姉妹作。厳密に言うと本来はシュレイダー版が先に作られたものの製作会社の判断でボツとなり、新たに起用されたハーリンが改訂版の脚本と別キャストを使って撮り直しをしたというわけだ。ところが、劇場公開されたハーリン版が全くの不発だったため、本来はお蔵入りするはずだったシュレイダー版が改めて公開されたのである。
 確かに、製作会社がハーリン版を採用した理由は理解できないでもない。第二次大戦の地獄を目の当たりにして神を信じられなくなったメリン神父が、本物の悪魔と対峙することで信仰心を取り戻すというストーリーは単純明快で分かりやすいし、メジャー大作らしいVFX満載のスペクタクルを盛り込んだエンタメ性の高さも興業的には有利だ。しかし、映画の完成度としては明らかにシュレイダー版の方が高い。
 ナチスの蛮行を阻止できなかったばかりか、彼らに屈する羽目になってしまい、己の無力に絶望したメリン神父が、遠く離れたアフリカの地で同じような苦境に立たされる。教会の遺跡発掘現場で次々と怪事件が発生し、それを原住民の仕業と勝手に思い込んだ英国軍が無差別の虐殺を始めるのだ。果たして、メリン神父は再び悪に屈するのか、それとも命懸けで抵抗を試みるのか?善と悪のせめぎあいという普遍的なテーマをオカルト・ホラーの形に落とし込みつつ、異文化を頭ごなしに見下す白人優位主義や帝国主義の偽善と横暴を暴くなど、非常にポリティカルなメッセージを含んだ作品だと言えよう。いまだ日本未公開で、ソフト発売すらされていないのは惜しまれる。

 画質的には「エクソシスト2」が殆どDVDと変わらないレベルで期待ハズレだったが、それ以外は概ね良好。「エクソシスト ビギニング」と「Dominion〜」は比較的新しい映画なので高画質なのは当たり前だが、「エクソシスト」のオリジナル版とディレクターズ・カット版は、どちらも全体的に40年以上前の映画とは思えないくらいクリアでピッカピカだ。「エクソシスト3」もパーフェクトとまでは言えないものの、それでも十分にブルーレイ・クオリティ。
 音声に関しても、「エクソシスト2」はイマイチだ。恐らくリマスター作業などは行われていないのだろう。セリフなどの聞き取りに支障はないものの、全体的に音がこもっている印象は否めず、仕様も1.0chモノラルのまま。エンニオ・モリコーネによる音楽スコアが素晴らしいだけに残念でならない。
 次に肝心の特典だが、こちらは玉石混合。1作目のオリジナル版とディレクターズ・カット版、および「エクソシスト2」は、DVDよりもトータルでのボリュームが増えているものの、「エクソシスト3」はDVDに収録されていたメイキングやインタビューがごっそりカットされており、「エクソシスト ビギニング」のキャスト・インタビューが削られている。ブルーレイの容量を考えると不可解な改変だ。
 なお、コンプリート・ボックスはアメリカ盤のみのリリースだが、日本市場向けのプレイヤーで再生すると日本語字幕や日本語吹替を選ぶことが出来るのでご安心を。しかも、日本未発売の「Dominion〜」まで日本語字幕が収録されているのは嬉しい。

 

 

デビッド・クローネンバーグのシーバース
Shivers (1975)

SHIVERS.JPG
(P)2014 Arrow Films (UK)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
ブルーレイ仕様(英国盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:リニアPCM 1.0ch MONO/言語:英語/字幕:英語/地域コード:B/88分/制作国:カナダ

<パッケージ仕様>
・ジャケット2種類(リバーシブル)
・カラーブックレット封入(48p)

<特典>
・メイキング・ドキュメンタリー「Parasite Memories」(約43分)
・テレビ・ドキュメンタリー「On Screen!」(約48分)
・ビデオ・エッセイ「From Stereo To Video」(約26分)
・オリジナル劇場予告編
・プロモーション・ギャラリー
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
製作:アイヴァン・ライトマン
脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:ロバート・サード
出演:ポール・ハンプトン
   ジョー・シルヴァー
   リン・ロウリー
   バーバラ・スティール
   アラン・コールマン
   スーザン・ペトリー
   ロナルド・ムロジク

 ご存知、デヴィッド・クローネンバーグ監督の長編処女作である。とある近代的な高層マンションを舞台に、人間の動物本能を覚醒させる寄生虫が急速に蔓延し、老若男女問わず住民たちが次々と発情&凶暴化していくというパニック・ホラー。エログロ満載のエクスプロイテーション感覚は、当時の保守的なカナダ映画界では大変な反発や批判があったらしく、クローネンバーグは不届きものとして住んでいたアパートを大家に追い出される羽目になったそうだ。
 その一方、ヨーロッパを中心に国外で興業的な大成功を収めた本作は、極端な芸術至上主義のせいで産業としては全く成り立っていなかったカナダの映画業界ではちょっとした事件でもあったようだ。ただ、カナダの映像作家の多くが本業だけでは食っていけない状況の中、本作や続く「ラビッド」('77)などの低予算ホラーで稼ぎまくったクローネンバーグは、それゆえに暫くは同業者から白い目で見られることになるのだが…。
 言うなれば、カナディアン・ホラーの元祖とも呼ぶべき本作(それ以前にも「骸骨」など僅かながらカナダ産ホラーは存在したのだけれど…)。かなりの低予算ゆえにビジュアルのチープな印象は否めないし、そもそもクローネンバーグ監督以下のスタッフがこの種の映画を撮った経験がないことはスクリーンを見ても明らかなほど、エンタメ作品の演出としてはぎこちないこと甚だしいのだが、しかし全編を貫くクローネンバーグらしい気色の悪さというか、ネットリとした変態チックな感触には抗し難い魅力がある。特に、人間の皮膚の下を物体がうごめく(この場合は寄生虫)シーンの特殊効果は、明らかに「エイリアン」や「アルタード・ステイツ」を先駆けており、ハリウッドから招かれたメーキャップ・アーティスト、ジョー・ブラスコがとてもいい仕事をしている。実際、これらのシーンはブラスコが自ら演出しており、経験の浅いクローネンバーグは彼から特殊効果を使ったシーンの見せ方を学んだようだ。

 で、上記のUK盤ブルーレイはトロント国際映画祭の出資により、デヴィッド・クローネンバーグ自身が監修を務めたデジタル修復版をマスターとして使用。もともと本作はスタンダードサイズで撮影されており、劇場公開時には上下をマスキングすることでビスタサイズにしていた。従来のビデオ版やDVD版はそのオリジナルサイズである1.33:1で収録されていたのだが、こちらのBDは劇場公開サイズを再現した1.78:1にトリミングされている。
 これまで見えていた上下部分が枠外にカットされているわけなので、その点に不満を感じないわけではないし、できればスタンダード版とワイド版を選択できるような仕様にして欲しかったとは思うが、恐らくこれがクローネンバーグ監督の本来意図した画面サイズなのだろう。
 画質に関しては、古い低予算映画ゆえに決してクオリティが高いとは言えないものの、過去のDVDに比べるとだいぶ明るくて鮮明な仕上がり。色合いも自然で違和感がない。フィルムのキズや汚れも丁寧に除去されており、適度なフィルムグレインが映画らしい雰囲気を醸し出す。非圧縮のリニアPCM音声は全体的に平坦な印象。ただ、こちらも元々が安い映画なので仕方あるまい。
 特典の目玉はブルーレイ用に製作された最新のメイキング・ドキュメンタリー「Parasite Memories」。クローネンバーグが出てこないのは残念だが、メーキャップ・アーティストのジョー・ブラスコや女優のバーバラ・スティールにリン・ロウリー、そして次第に凶暴化していく夫を演じたアラン・コールマンなどが登場し、当時の思い出や撮影秘話をたっぷりと語ってくれる。初めて聞くような話も多くて面白い。
 負けず劣らず充実した内容なのが、本作の制作舞台裏を克明に追ったカナダのテレビ番組「On Screen」。こちらはジョー・ブラスコにバーバラ・スティール、リン・ロウリー、アラン・コールマンに加え、クローネンバーグ監督や製作者のアイヴァン・ライトマン、製作総指揮のジョン・ダニングにアンドレ・リンクなど、主要スタッフ&キャストが勢ぞろい。さらに、カナダ現地の映画評論家や研究者も多数出演し、本作が生まれた時代背景から当時の反応、製作までの道のりや撮影秘話など、とにかく情報量が山盛りで凄まじく勉強になる。全てのホラー映画ファン、クローネンバーグ・ファンは必見だ。
 また、カナディアン・ホラーの専門家Caelum Vatnsdal(どう発音するのか分からん!)によるビデオ・エッセイ「From Stereo to Video」では、初期の短編から「ビデオドローム」へ至るまでのクローネンバーグ作品を、本編クリップやスチル写真で振り返りながら、'70〜'80年代における彼の特異な作家性や立ち位置を詳しく考察していく。カナダ人から見たクローネンバーグ論としてとても興味深い。

 

 

レガシー
The Legacy (1978)

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(P)2014 Shout Factory (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:2.0 DTS-HD MA/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/ 100分/制作国:アメリカ・イギリス

<特典>
・編集者アン・V・コーツのインタビュー(約14分)
・特殊効果ロビン・グランサムのインタビュー(約11分)
・オリジナル劇場予告編
・テレビスポット
・ラジオスポット
・スチル・ギャラリー
監督:リチャード・マーカンド
製作:デヴィッド・フォスター
脚本:ジミー・サングスター
   パトリック・ティリー
   ポール・ホイーラー
撮影:ディック・ブッシュ
   アラン・ヒューム
音楽:マイケル・J・ルイス
出演:キャサリン・ロス
   サム・エリオット
   ロジャー・ダルトリー
   チャールズ・グレイ
   リー・モンタギュー
   ヒルデガード・ニール

 『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』('83)の監督を務めたリチャード・マーカンドの処女作。イギリスのとある大豪邸を舞台に、そこへ集まった人々が次々と目に見えぬ邪悪な力によって殺されていく。さながら、アガサ・クリスティの『そし誰もいなくなった』のオカルト版。'70年代オカルト映画ブームの末期に登場した作品だ。
 主人公はアメリカ人の建築デザイナー、マーガレット(キャサリン・ロス)と恋人ピート(サム・エリオット)。正体不明の英国人から仕事の依頼を受けてロンドンへ渡った2人は、バイクに乗って郊外を散策していたところ、黒塗りの高級車と衝突事故を起こしてしまう。車の持ち主である裕福そうな紳士ジェイソンの大豪邸へと招かれた2人は、偶然とは思えない事態の流れから屋敷の外へ出れなくなってしまい、仕方なく宿泊することとなる。
 やがて幾人もの紳士淑女が屋敷へと集まってくるのだが、なぜか誰もがマーガレットのことを知っていた。実は、彼女とピートをイギリスへ招き寄せたのはジェイソンだったのだ。そのうち招待客が一人また一人と怪死を遂げていき、人々が屋敷へ集められた理由も徐々に明かされていく。というのも、ジェイソンは悪魔のパワーを受け継ぐカルト教団の教祖で、招待客はいずれもその崇拝者。なんの関係もないと思われたマーガレットも、実は祖先が教団の創始者だった。そして今夜、最後に生き残った者がジェイソンの後継者に選ばれることとなるというのだ…。
 タイプとしてはハマー・フィルムの『影なき裁き』('66)や『悪魔の花嫁』('68)を彷彿とさせるゴシック調のオカルト・ホラー。ジミー・サングスターが脚本に参加していることからも、本作がハマーを意識したことは明らかだ。とはいえ、リチャード・マーカンドの演出はあえてホラー映画の王道スタイルを避けているように見受けられる。怪奇ムードよりも叙情的な映像美に比重が置かれ、殺人シーンのゴア描写もかなり控えめ。そのせいで中途半端な印象が残ることは否めないだろう。

 日本では本編と予告編のみというシンプルな仕様のブルーレイがパラマウントより発売されていたが、現在では既に廃盤となっている様子。アメリカでは版権元のユニバーサルとライセンス契約を結んだスクリーム・ファクトリーが、独自制作の特典映像を盛り込んだ豪華仕様のブルーレイをリリースしている。
 オリジナルのインターポジフィルムよりフルHDでテレシネされたという映像は、ごく僅かな傷がところどころに見られるものの、それ以外は40年近くの経年をほとんど感じさせないくらいの高画質。深みのあるカラーの発色も文句なしに良好だ。日本盤もかなりの高画質だったようだが、使用されているマスター素材が一緒かどうかは不明である。
 音声は日本盤がリニアPCMであったのに対し、こちらはロスレスのDTS-HDマスター・オーディオ。これといって音響効果の重要な作品ではないため、DTS-HDの恩恵はさほど感じられないかもしれない。なお、イージーリスニング的なマイケル・J・ルイスの音楽スコアは海外だとかなり不評だったみたいだが、個人的にはいかにも'70年代っぽくて気に入っている。
 そして、特典映像の目玉は関係スタッフ2人のインタビュー。中でもアン・V・コーツは『アラビアのロレンス』('62)でオスカーを獲得した女性編集者で、他にも『オリエント急行殺人事件』('74)や『エレファント・マン』('80)、『エリン・ブロコビッチ』('00)なども手がけた大御所中の大御所。そんな彼女が本作の編集を担当したこと自体が少なからず驚きだが、さらに特典映像のためのインタビューにも応えているというのも興味深い。滅多にカメラの前に出てこない人だけに貴重な映像だ。また、『狼男アメリカン』('81)や『エクストロ』('82)などにも携わったSFXマン、ロビン・グランサムのインタビューも珍しい。

 

 

ゾンゲリア
Dead & Buried (1981)

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(P)2009 Blue Underground (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★★

ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:7.1 DTS-HD・7.1 DOLBY TRUE HD・5.1 DOLBY DIGITAL SURROUND EX/音声:英語/字幕:英語・フランス語・スペイン語/地域コード:ALL/94分/制作国:アメリカ

<特典>
・ゲイリー・シャーマン監督による音声解説
・製作兼脚本ロナルド・シュセットと女優リンダ・ターレイによる音声解説
・撮影監督スティーヴ・フォスターによる音声解説
・特殊効果スタン・ウィンストンのインタビュー(約18分)
・俳優ロバート・イングランドのインタビュー(約12分)
・脚本ダン・オバノンのインタビュー(約14分)
・オリジナル劇場予告編集(3種類)

監督:ゲイリー・シャーマン
製作:ロナルド・シュセット
   ロバート・フェントレス
原案:ジェフ・ミラー
   アレックス・スターン
脚本:ロナルド・シュセット
   ダン・オバノン
撮影:スティーブン・フォスター
音楽:ジョー・レンゼッティ
出演:ジェームズ・ファレンティノ
   メロディ・アンダーソン
   ジャック・アルバートソン
   デニス・レッドフィールド
   ナンシー・ロック
   リサ・ブラント
   ロバート・イングランド

 フルチの「サンゲリア」を適当にパクった意味不明の邦題はともかくとして、これはラヴクラフト的なアメリカン・ゴシックの伝統を受け継ぐ怪奇幻想譚の傑作だ。東海岸の風光明媚な古い田舎町で、およそ似つかわしくない残酷な猟奇殺人が繰り返される。犯人は町の住人たち。ところが、しばらくすると犠牲者は何事もなかったかのように戻ってくる。
 実は、町で唯一の葬儀屋ダブス氏が遺体を修復するばかりでなく、命を吹き込んで死者を蘇らせていたのだ。既に、町の人々の多くが生ける屍として普通に暮らしており、その傍らで一人また一人と隣人や旅行者を殺しては仲間を増やしていた。その事実に気づいた保安官ダンは、ダブス氏の正体を暴いて強硬に歯止めをかけようとするのだが…。
 ノスタルジックでありながらも不気味な禍々しさを漂わせたムードがまず素晴らしい。と同時に、ショッキングな残酷描写も盛りだくさん。看護婦が患者の眼球に注射針をブッ刺す有名なシーンをはじめ、アニマトロニクス技術や解剖学の知識をフル稼働したスタン・ウィンストンによる特殊効果は、今見ても十分過ぎるくらい強烈に刺激的だ。そこへジョー・レンゼッティの甘くセンチメンタルな音楽スコアが絡まり、えもいわれぬ独特の悪夢的な世界を構築していく。
 ゲイリー・シャーマン監督はイギリス時代に「地獄のサブウェイ」('72)という傑作猟奇ホラーをものにしているが、厳かな風格と露骨なセンセーショナリズムのバランス感覚が実に絶妙。シニカルなトーンで統一された脚本もよく出来ており、クライマックスのどんでん返しも素直に驚かされる。冷静に考えれば強引なんだけれど(^^;
 なお、本作は「エイリアン」のロナルド・シュセットとダン・オバノンのコンビが脚本を書いたことでも有名だが、実はオバノンは名前を貸しただけに等しいのだという。もともと'75年頃にシュセットが脚本を書き上げ、オバノンは彼に頼まれて脚本に目を通して添削を行っただけ。で、実際に映画化される運びになった際、オバノンの名前がクレジットにあった方が興業的にプラス要素になるからとシュセットに懇願され、本当は気が進まなかったものの渋々承諾したのだそうだ。

 “カルト映画界のクライテリオン”とも称されるブルー・アンダーグランド社からリリースされた米盤ブルーレイ。ビジュアルは全体的にグレインが濃厚でザラついており、クリアで鮮明な高画質を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。恐らくマスターフィルムの状態がそんな感じなのだろう。デジタル修復でキズやホコリは除去したものの、あえて画像補正などは行われなかったものと思われる。実際、'70年代末から'80年代初頭にかけての低予算映画は、撮影でソフトフォーカスを多用しているせいもあって、画像イメージが甘かったり粗かったりすることが多い。これはこれで、そういうものと考えるしかないだろう。
 音声は7.1chのDTS-HD マスターオーディオ、7.1chのDOLBY TRUE HD、5.1chのDOLB DIGITAL SURROUND EXの3種類を用意。もともと派手な音響効果を使っているわけではないし、音楽スコアも静かで控えめなため、それぞれ聴き比べてもあまり大きな違いは感じられない。
 特典は同じくブルー・アンダーグランド社より'03年にリリースされた2枚組DVDからの移植なのだが、なぜかポスター&スチル・ギャラリーと撮影監督スティーブン・フォスター所有のロケーション・ギャラリーが欠落している。各インタビュー映像も正味15分以内のものばかりだし、ブルーレイの容量を考えればあえて削る必要もないとは思うのだが…。それでも、特典ゼロの日本盤ブルーレイよりは遥かにマシではある。

 

 

Curtains (1983)

CURTAINS.JPG
(P)2014 Synapse Films (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★★

ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン/画面比: 1.78:1/HD規格:1080p/音声: 5.1ch DTS-HD MA・2.0ch DTS HD MA/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/90分/制作国:カナダ

<特典>
・メイキングドキュメンタリー「The Ultimate Nightmare: The Making of "Curtains"」
・ドキュメンタリー「Ciupka - A Film-Maker Transition」
・女優レスリー・ドナルドンとリン・グリフィンの音声解説
・製作者ピーター・R・シンプソンと女優サマンサ・エッガーの音声解説
・オリジナル劇場予告編

監督:ジョナサン・ストライカー
製作:ピーター・R・シンプソン
脚本:ロバート・クーザ・ジュニア
撮影:ロバート・ペインター
音楽:ポール・ザザ
出演:ジョン・ヴァーノン
   サマンサ・エッガー
   リンダ・トーソン
   アン・ディッチバーン
   リン・グリフィン
   レスリー・ドナルドン
   サンドラ・ウォーレン
   デボラ・バージェス
   マイケル・ウィンコット
   マウリー・チェイキン

 北米ではカルト映画として一部で熱狂的なファンのいる作品。'70年代後半から'80年代にかけて、カナダでは『プロムナイト』('80)や『誕生日はもう来ない』('81)、『面会時間』('82)など数多くのスラッシャー映画が量産されたが、これもその中の一つである。
 季節は雪の降り積もる真冬、舞台は人里離れた大豪邸。著名な大物舞台監督ジョナサン・ストライカーの自宅に5人の女優が集まる。彼の新作『オードラ』の主演オーディションのためだ。そこへ、ストライカー作品のミューズである大女優サマンサ・シャーウッドが現れる。本来は彼女が主演するはずだったのだが、役作りのために精神病院へ入ったところ、本気で頭がおかしくなってしまった彼女は、新聞記事でオーディションのことを知って病院を脱走したのだ。やがて、一人また一人と、参加女優たちが魔女バンシーのマスクをかぶった謎の殺人鬼に殺されていく。果たして犯人は復讐に燃えるサマンサなのか、それとも…?
 まず脚本の出来がよろしくない。それは主演の大物女優サマンサ・エッガーも指摘しているところで、当時落ち目だった彼女は純粋にギャラのためだけに引き受けたと語っているが、とにかく突っ込みどころが満載なのだ。そもそも、役作りのために医者を騙して精神疾患のフリをして入院するという設定自体が無理矢理過ぎ。脱走を手助けした謎の女性というのが一瞬だけ出てくるのだが、それっきり彼女についての言及が全くないのも腑に落ちない。というか、明らかな脚本の手抜きだ。ストライカーの助手が殺されるシーンも、突然死体が映っておしまい。見るからに行き当たりばったりで作られたという印象を受ける。
 マスクをかぶった殺人鬼が鉈を手に持ってスケートを滑りながら迫り来るシーンは、本作のハイライトとしてファンの語り草になっているが、これとて見た目のインパクトのみ。まあ、わざわざスローモーションで見せる辺りのセンスは悪くないと思うのだが。あとは、クライマックスで明かされる犯人の正体も、ちょっとばかり捻りが効いていて悪くない。それでも、全体的には退屈で面白みのない平凡なスラッシャー映画だ。
 実はこの作品、支離滅裂に見えてしまうのにも理由がある。というのも、本来の監督であるリチャード・チュプカが途中でクビになってしまい、演出家としては素人の製作者ピーター・R・シンプソンが本編の約半分を監督しているのだ。もともと撮影監督としてカナダでは実績のあったチュプカは、本作をアガサ・クリスティ風の正統派ミステリーにしようと考えていたらしいのだが、そのために当時のスラッシャー映画ブームに便乗したかったシンプソンと衝突。さっさとクビを切られてしまったらしい。で、一旦中断した撮影は1年半ほどしてから再開。御蔵入りになるだろうと思っていた女優たちは、慌てて髪の色やヘアスタイルを元に戻したそうだ。しかし、追加撮影を行って完成した作品があまりにも酷い出来だったため、チュプカは監督として自分の名前がクレジットされることを拒否。そのため、本作は登場人物であるジョナサン・ストライカーの名前が監督として明記されている。
 なお、本作は無名時代のマイケル・ウィンコットがストライカーの助手役で、マウリー・チェイキンが女優ブルックのエージェント役で顔を出しているのも要注目。そのブルック役を往年の人気英国スパイドラマ『おしゃれ(秘)探偵』の3代目ヒロインとして有名なリンダ・トーソン、ローリアン役をジョン・G・アヴィルドセン監督の『ふたりでスローダンスを』('78)でヒロインを務めた元バレリーナのアン・ディッチバーン、スケートリンクで殺されるクリスティー役を『墓場の館』('82)や『巨大ねずみパニック』('82)などB級ホラー映画の主演で知られるレスリー・ドナルドン、コネディエンヌのパティ役を『暗闇にベルが鳴る』('75)のリン・グリフィンが演じている。

 アメリカではVHS時代にビデオ発売されたものの、DVDでは正規版の出ないまま長いこと海賊版が流通していた本作。30年以上も手つかずだったというオリジナルマスター(詳細は不明)から2K解像度でテレシネされたというブルーレイは、どう考えても劇場公開時より見栄えが良いのでは?と思えるくらいの超高画質だ。暗いシーンではグレインが若干目立つものの、それ以外は一点の曇もないくらいにピッカピカ。犯人が被っている魔女マスクのラテックスの質感やシワの深さまでリアルに映し出している。
 DTS-HDマスター・オーディオにエンコードされた音声トラックは、5.1chのサラウンド・リミックスと2.0chのオリジナル版モノラルを用意。どちらも非常に鮮明でクリアだが、特にサラウンド音声は煽りを効かせたポール・ザザの音楽スコアを迫力たっぷりに再現する。
 特典の目玉は最新のメイキング・ドキュメンタリーだろう。チュプカ監督を筆頭に作曲家のポール・ザザ、編集者のマイケル・マックラヴァーティ、女優のレスリー・ドナルドンにリン・グリフィンらが登場。初めて最後まで生き残れる役を演じられたのが嬉しかったというリン・グリフィン以外、全員が当時からこの作品に携わったことを後悔していたというのが面白い。どうやら製作者のピーター・R・シンプソンはあまり評判の良い人物ではなかったらしく、ザザによると“体が大きくて態度が横柄で、怒っていない時も乱暴な口の利き方をする”ような暴君だったとのこと。映画の出来についても誰もが口を揃えて“酷い”“恥ずかしい”と言っていて、ドナルドン曰く“(興行的に失敗したことで)誰も見ていないというのが不幸中の幸いだった”という。なので、後にカルト映画扱いされるようになったのは、当の関係者が一番驚いたようだ。なお、もう一つのドキュメンタリー「Ciupka - A Film-Maker Transition」は、カメラマンから監督へ転身したチュプカ監督を題材にした'80年代当時製作のテレビ用ドキュメンタリーである。

 

 

デビルゾーン
Nightmares (1983)

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(P)2015 Scream Factory (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆

ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン・スタンダードサイズ/画面比: 1.78:1・1.33:1/HD規格:1080p/音声: 2.0ch DTS-HD MA/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/99分/制作国:アメリカ

<特典>
・製作者アンドリュー・ミリッシュと女優クリスティナ・レインズによる音声解説
・オリジナル劇場予告編

監督:ジョセフ・サージェント
製作:クリストファー・クロウ
脚本:ジェフリー・ブルーム
   クリストファー・クロウ
撮影:マリオ・デレオ
   ジェラルド・ペリー・キンナーマン
音楽:クレイグ・サファン
出演:クリスティナ・レインズ
   エミリオ・エステヴェス
   ランス・ヘンリクセン
   ヴェロニカ・カートライト
   リチャード・メイジャー
   ウィリアム・サンダーソン
   ムーン・ザッパ

 '80年代はテレビを中心にオムニバス・ホラーのブームが復活した時代でもあり、映画でも『トワイライトゾーン』('83)やテレビを再編集した『世にも不思議なアメージング・ストーリー』('86)などが相次いで劇場公開されたが、その先駆けとも呼ぶべきが本作だったと言えるかもしれない。
 本編は4話のミニエピソードで構成されている。まず第1話は「恐怖の錯覚殺人」。殺人犯の脱獄で近隣に警戒が敷かれている中、真夜中に我慢できずタバコを買いに外出した主婦(クリスティナ・レインズ)が遭遇する恐怖を描く。人気のない寂れたガソリンスタンドで奥から出てきた怪しげな人物が実は…というオチがなんとも効果的だ。
 第2話の「悪魔のビデオゲーム」は、アーケードゲームに夢中で学校にも行かない高校生(エミリオ・エステヴェス)が、真夜中のゲームセンターに忍び込んで最難関のゲームに挑んだところ、絶体絶命の危機に追い込まれてしまう。ラスボスがゲームの世界を飛び出して襲いかかるという設定が当時は斬新だったが、今となってはちょっと古臭く感じるエピソードかもしれない。
 第3話は「悪霊」。弱い者が救われない現実から信仰心の揺らいだ神父(ランス・ヘンリクセン)が、教会を飛び出して車で旅に出たところ、砂漠のど真ん中で悪魔のような無人車と遭遇する。明らかに『激突!』('72)や『ザ・カー』('78)の流れを汲むエピソードだが、宗教的な要素を前面に押し出しているのがユニークと言えるだろう。
 そして、第4話は『子を呼ぶ魂』。尋常ではないねずみの被害に悩む神経質な主婦(ヴェロニカ・カートライト)だが、仕事人間で家庭を顧みない夫(リチャード・メイジャー)は妻の誇大妄想だと相手にせず、夫婦仲はどんどんと険悪に。実はこの家にはユダヤの伝説に出てくる巨大ネズミが棲みついていたのだ。夫婦の幼い娘に襲いかかろうとする巨大ネズミ。だが、それには意外な理由があった…。巨大ネズミの合成処理は原始的で粗雑な仕上がりだが、徐々に不安とテンションを高めていく語り口はなかなかな巧み。子供をそっちのけで自分たちのことばかり考えている親への戒めという教訓もピリッと効いている。
 全体的には地味な印象の作品だが、主にテレビ映画で実績のある職人監督ジョセフ・サージェントの演出は安定感があり、いずれのエピソードも丁寧に作られている。全話を一人の監督が手がけたことも功を奏したと言えるだろう。こういう映画を劇場で見ることができた時代を懐かしく思う。

 日本ではVHSで発売されたのみで、今や滅多に見る機会のなくなかった本作。アメリカでは過去にスタンダードサイズ版がDVDでリリースされていた。ユニバーサルの許諾を得てスクリーム・ファクトリーが発売した正規版ブルーレイは、スタンダードサイズ版とワイドスクリーン版の2バージョンを収録。通常、こういうケースはスタンダードサイズをマスキングして擬似ワイドにしているものだが、今作の場合はどうやらワイドスクリーンがオリジナルフォーマットで、スタンダード版は画面両サイドをトリミングしているようだ。
 映像ソースがオリジナルネガなのかインターポジなのかは不明だが、画質的にはまずまずといったところ。全体的にグレインは若干濃い目だし、輪郭もくっきりシャープとまではいかないものの、総じてクリアかつ鮮明な印象だ。DTS-HDマスターオーディオの2.0chモノラル音声も、それなりに重量感があってセリフも明瞭に聞き取れる。
 特典は音声解説と予告編のみ。製作総指揮を手がけたアンドリュー・ミリッシュと、現在は女優を引退しているクリスティナ・レインズによる音声解説は、和気藹々として楽しそうな上に貴重な情報も盛りだくさん。ファンならば大いに勉強になるだろう。中でも、本作がもともとはテレビのオムニバス・ホラー・シリーズ“Darkroom”の未放送エピソードを再編集したもの、という実しやかに伝わってきた噂が単なる噂に過ぎないことが明かされているのは収穫だ。本当のところは、第2話こそもともと“Darkroom”用に書かれた脚本で、番組終了が決まったことから御蔵入りになっていたものらしいが、本作の企画自体は全く別のテレビシリーズのパイロット版がそもそもの始まりだったとのこと。ユニバーサル傘下のネットワーク局NBCで放送される予定だったが、脚本を読んだスタジオ担当者がテレビ向けにしては刺激が強すぎる、映画にしたほうがいいかもしれないと判断したことから、テレビシリーズの企画自体をボツにして劇場用として制作された…ということだったらしい。
 また、クリスティナ・レインズは本作の製作を兼ねている脚本家クリストファー・クロウの現在の奥様なのだが、この作品の撮影では2人は一度も直に会ったことがなかったとのこと。ただ、クロウ自身は本編を見てクリスティナに興味を持ったらしく、自身が監督も務めたテレビ映画『ウルフの掟』('85)で再び彼女を起用。これをきっかけに2人は結婚したのだそうだ。

 

 

悪夢の惨劇/面会時間
Bad Dreams (1988)/Visiting Hours (1982)

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(P)2014 Scream Factory/20th Century Fox (USA)

悪夢の惨劇
Bad Dreams (1988)

面会時間
Visiting Hours (1982)

画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆

ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD MASTER AUDIO・2.0ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/85分/制作国:アメリカ

<特典>
・アンドリュー・フレミング監督による音声解説
・キャスト・インタビュー「Dream Cast」(ジェニファー・ルービン、ブルース・アボット、ディーン・キャメロン、リチャード・リンチ出演)(約21分)
・特殊メイク・メイキング・ドキュメンタリー(約2分)
・撮影舞台裏ドキュメンタリー(約9分)
・エンディング別バージョン(約10分)
・プロモーション・クリップ(約4分)
・オリジナル劇場予告編
・フォト・ギャラリー

ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:2.0ch DTS-HD MASTER AUDIO/言語:英語/字幕:英語/地域コード:A/103分/制作国:カナダ

<特典>
・脚本家ブライアン・タガートのインタビュー(約44分)
・製作者ピエール・デヴィッドのインタビュー(約11分)
・女優レノーア・ザンのインタビュー(約23分)
・ラジオ・スポット
・テレビ・スポット集
・フォト・ギャラリー
監督:アンドリュー・フレミング
製作:ゲイル・アン・ハード
原案:アンドリュー・フレミング
   マイケル・ディック
   P・J・ペティエット
   ユーリ・ゼルツァー
脚本:アンドリュー・フレミング
   スティーブン・E・デ・ソーザ
撮影:アレクサンダー・グラジンスキー
音楽:ジェイ・ファーガソン
出演:ジェニファー・ルービン
   ブルース・アボット
   リチャード・リンチ
   ハリス・ユーリン
   ディーン・キャメロン
   E・G・デイリー
監督:ジャン=クロード・ロード
製作:クロード・ヘロー
製作総指揮:ピエール・デヴィッド
脚本:ブライアン・タガート
撮影:ルネ・ヴェルジエ
音楽:ジョナサン・ゴールドスミス
出演:リー・グラント
   ウィリアム・シャトナー
   マイケル・アイアンサイド
   リンダ・パール
   レノーア・ザン
   ハーヴェイ・エイトキン

 まさに知る人ぞ知る'80年代の小品佳作ホラー2本をカップリングしたブルーレイ。中でも「面会時間」は、高校時代に五反田の名画座で初めて見て夢中になり、その後レンタル落ちVHSに輸入盤DVDを買って、何度も何度も繰り返し鑑賞してきた思い入れ深い作品である。
 まずは「悪夢の惨劇」から簡単に解説しよう。物語の始まりは'70年代半ば。カリスマ的教祖ハリスの率いるカルト教団が集団自殺を図るものの、幼い少女シンシアだけが辛うじて一命を取り留める。それから13年後、昏睡状態だったシンシアが突然目覚め、社会復帰を目指してグループセラピーでリハビリを始めるのだが、彼女の周囲に死んだはずの教祖ハリスが現れるようになり、やがて一人また一人とセラピーの患者や関係者が謎の死を遂げる。
 印象としては「恐怖の足跡」meets「エルム街の悪夢3」といった感じだろうか。冒頭の集団自殺シーンがまるで'70年代に見えなかったりなどツッコミどころは多々あるが、ひねりを効かせたストーリー展開はなかなか面白く、予想を裏切るクライマックスも悪くない。主演のジェニファー・ルービンも彼女が一番綺麗だった頃だし、精神病患者役で大好きなE・G・デイリーが顔を出しているのも嬉しい。
 一方の「面会時間」は当時ブームだったスラッシャー映画の系統に属する作品だが、ストーリーにフェミニズム的要素を盛り込んでいるところがユニーク。主人公はフェミニストの女性テレビ司会者デボラ。女性への差別や暴力をテレビで激しく糾弾する彼女が、ある理由で女性を憎悪する孤独なサイコ男コルトに命を狙われる。
 いわゆるボディカウント物と違って、登場人物それぞれの背景がきっちりと描き込まれており、その上で先の読めない異常心理の恐怖とサスペンスが展開するため、最後の最後まで緊張感が途切れることはない。怪我で病院に運び込まれたヒロインを担当する看護婦、コルトがナンパするヤンキー娘というサブキャラも魅力的。どちらも、暴力に屈するとのない闘う女性として作品のテーマをちゃんと支えている。

 画質は両作品ともに良好。特に「面会時間」は部分的にグレインが濃厚で粗く見える場面はあるが、全体的には極めてクリアかつシャープな仕上がりだ。かつて米アンカー・ベイ社からリリースされたリマスター版DVDと比べても雲泥の差。「悪夢の惨劇」は若干ながら輪郭が甘く感じられるし、細かい汚れやキズもたまに見受けられるものの、総じて気になるほどではないだろう。
 音声トラックは「悪夢の惨劇」が5.1ch DTS-HDと2.0ch DTS-HDの2種類、「面会時間」が2.0ch DTS-HDの1種類のみ。どちらも古い低予算映画なので高音質にも限界はあるのだが、経年劣化をほとんど感じさせないというだけでも立派だ。
 特典のボリュームは「悪夢の惨劇」に軍配が上がる。特に興味深いのはボツになった別エンディング。病院でのクライマックスの流れが簡略化されている一方、その後にヒロインのシンシアと精神科医アレックスが13年前の惨劇の現場を再び訪れ、悪夢に決着をつけてジ・エンドとなるのだ。確かにしつこく感じられるため、採用されなかった理由は分からないでもないが、終わり方としてはこちらの方が理に適っているかもしれない。
 また、本BD用に撮影されたインタビュー集では、主演のジェニファー・ルービン以下、ブルース・アボットにディーン・キャメロン、そして故リチャード・リンチが登場。中でも、これが最後のインタビューとなったリンチの映像は貴重だ。特殊メイク・ドキュメンタリーと、撮影舞台裏ドキュメンタリーは、恐らく当時資料用に撮影されたもの。それらの映像を編集してテレビ放送用に作られたのがプロモーション・クリップだ。こちらには、当時のフレミング監督や製作者ゲイル・アン・ハードのコメントも収録されている。
 「面会時間」の特典映像では、脚本家ブライアン・タガートに製作総指揮のピエール・デヴィッド、そしてヤンキー娘役を演じているカナダのカルト女優レノーア・ザンの最新インタビューが見どころ。いずれも滅多にインタビューを受けるチャンスのない人たちだけに、本作に関することだけでなくキャリア全般についても語っているのが嬉しい。
 特にタガートのインタビューは長時間に及んでおり、テレビドラマ「V」でも組んだマイケル・アイアンサイドとの思い出や、名コンビとなったゲイリー・シャーマン監督との仕事についてなど、実に面白く興味深い話を聞くことができる。また、初期クローネンバーグ作品のプロデューサーとしてもお馴染みのデヴィッドや、「誕生日はもう来ない」などのホラー映画で根強い人気のあるザンのコメントも、カナダ産B級娯楽映画のファンであれば結構勉強になるだろう。

 

 

 

マニアック・コップ
Maniac Cop (1988)

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(P)2011 Synapse Films (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:6.1ch DTS-HD・4.0ch DTS-HD・2.0ch DTS-HD/字幕:なし/地域コード:ALL/85分/制作国:アメリカ

<特典>
・ロバート・ツダールのインタビュー「Maniac Cop Memories」(約12分)
・トム・アトキンスのインタビュー「Out the Window」(約11分)
・ダニー・ヒックスのインタビュー「Three Minutes with Danny Hicks」(約3分)
・アート・ギャラリー・アニメーション(約3分)
・日本でのテレビ放送用追加シーン(約6分)
・オリジナル劇場予告編集(3種類)
・テレビスポット集(2種類)
・スペイン版ラジオ・スポット
監督:ウィリアム・ラスティグ
製作:ラリー・コーエン
脚本:ラリー・コーエン
撮影:ヴィンセント・J・レイブ
音楽:ジェイ・チャタウェイ
出演:トム・アトキンズ
   ブルース・キャンベル
   ローレン・ランドン
   リチャード・ラウンドツリー
   シェリー・ノース
   ロバート・ツダール
   ウィリアム・スミス
   ニナ・アーヴェンセン
   ジョン・ディクソン

 汚名を着せられて死んだ警察官が地獄から蘇って無差別に殺戮を繰り広げる…というアイディアがほぼ全ての作品。結果的にシリーズ全3作が作られ、熱心なファンを持つカルト映画となったわけだが、それもひとえに“マニアック・コップ”という強烈なキャラのおかげであろう。
 そもそも、ウィリアム・ラスティグ監督は演出の上手い人ではない。出世作の「マニアック」('80)を見ても分かるが、かなり大味でインパクト勝負の傾向が強い。勢いとパワーで押し切ってしまうというか。役者にも単純明快で大袈裟な演技を要求する。そう考えると、本作のようにアクションを全面に押し出した劇画的なB級ホラー・エンターテインメントは向いていたのかもしれない。
 また、「マニアック」でジョー・スピネリというアクの強い俳優と組んで成功したように、本作でもマニアック・コップ役にロバート・ツダールという、ある種の怪物的な巨漢俳優を起用したことが吉と出たと言えよう。ほかにもジョン・カーペンターやジョージ・A・ロメロの作品で知られるトム・アトキンスや、サム・ライミ組のブルース・キャンベルにダニー・ヒックス、B級アマゾネス女優ローレン・ランドン、ブラック・シネマの帝王リチャード・ラウンドツリー、低予算映画のマリリン・モンローことシェリー・ノースなど、ジャンル系ファンにお馴染みのキャストを揃えた点も、マニア心をくすぐってくれる。

 上記のシナプス・フィルムからリリースされた米盤ブルーレイは、基本的に日本盤と同一の内容だ。画質はそれなりにクリア。全体的に輪郭は甘めで平坦な印象だが、フィルムの経年劣化は殆ど感じられず色調もしっかりとしている。'80年代のインディーズB級映画としては上出来の仕上がりだ。6.1ch、4.0ch、2.0chと、3種類用意されたDTS-HDの音声トラックも十分に迫力がある。
 特典映像の目玉は、日本の地上波ロードショー番組で放送された際に、2時間の放送枠に合わせるため局からの依頼で撮影された追加シーン。今ではとても考えられないが、そんな贅沢が許された時代があったのである。また、撮りおろしのインタビューでは、ロバート・ツダールとトム・アトキンス、そしてダニー・ヒックスが登場。本編ではSWAT隊員としてチラッと顔を出すだけのヒックスだが、サム・ライミ作品の常連脇役として知る人ぞ知る人なだけに、さすがはシナプス、目の付けどころが違うわい…と思わずニンマリさせられる。

 

 

マニアック・コップ2
Maniac Cop 2 (1990)

MANIAC_COP_2.JPG
(P)2013 Blue Underground (USA)
画質★★★★☆ 画質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:7.1DTS-HD・5.1 DOLBY DIGITAL SURROUND EX・2.0 DOLBY SURROUND/言語:英語/字幕:英語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・ドイツ語・イタリア語・ロシア語・中国語・韓国語・日本語・デンマーク語・オランダ語・フィンランド語・ノルウェー語・スウェーデン語/地域コード:ALL/87分/制作国:アメリカ

<特典>
・ウィリアム・ラスティグ監督とニコラス・ワインディング・レフン監督による音声解説
・メイキング・ドキュメンタリー「Back on the Beat」(約47分)
・ウィリアム・ラスティグ監督の公開Q&A(29分)
・オリジナル劇場予告編集
・ポスター&スチル・ギャラリー
・削除シーン
・音楽スコア・トラック
監督:ウィリアム・ラスティグ
製作:ラリー・コーエン
脚本:ラリー・コーエン
撮影:ジェームズ・レモ
音楽:ジェイ・チャタウェイ
出演:ロバート・ダヴィ
   クローディア・クリスチャン
   マイケル・ラーナー
   ブルース・キャンベル
   ローレン・ランドン
   ロバート・ツダール
   クラレンス・ウィリアムスV
   レオ・ロッシ
   チャールズ・ネイピア

 前作で倒されたはずのマニアック・コップことコーデルが復活し、再び人殺しを繰り返していく。基本的なプロットは前作とあまり変わりないものの、予算が3倍に膨らんだというともあって、派手な銃撃戦やカーアクションなどが満載。警察組織の隠蔽体質や権力の偽善を糾弾するストーリー性も一段と濃厚になり、1作目に比べると遥かに中身の濃い作品となった。
 中でも見どころは、クローディア・クリスチャン扮する女性警官が無人の車に手錠で繋がれたまま道路を暴走する、まさに前代未聞の超絶スタント・シーン。ジャッキー・チェンの「ポリス・ストーリー」にインスパイアされたらしいが、なるほど、やはりラスティグ監督はアクション志向の強い人だということが改めて分かる。また、コーデルが警察署に殴り込みをかけ、ライフルを乱射しながら破壊の限りを尽くしていくシーンもテンションが上がる。
 さらに、前作のヒーローであるブルース・キャンベルとローレン・ランドンを、「サイコ」のジャネット・リーよろしくさっさと殺し、当時「007/殺しのライセンス」の悪役で注目されていたロバート・ダヴィと「ヒドゥン」のクローディア・クリスチャンにバトンタッチさせる展開も捻りが効いている。ナンセンスで大袈裟な要素も極力抑えられ、1作目以上にハードボイルドな刑事アクションのカラーが強くなった。

 ラスティグ監督自らが最高経営責任者を務めるブルー・アンダーグランド社よりリリースされた米盤ブルーレイ。なんといっても、本編のみとはいえ日本語字幕が選べるのは嬉しい。まあ、時々それって日本語としてどうなの?という妙な翻訳が出てくることも否めないのだけれど(笑)。
 画質はさすがにブルー・アンダーグランド。なかなかのもんです。前作のクライマックス・シーンを流用した冒頭は、全体的に輪郭がボヤけていて一抹の不安がよぎったものの、これは恐らく焼き増ししたフィルムを使用しているせいなのだろう。それ以外は概ねすっきりとシャープ&クリア。映像の質感はきめ細やかだし、奥行にも立体感がある。フィルムの汚れやキズも限りなくゼロに近い。
 音声トラックは7.1chのDTS-HD、5.1chのドルビー・サラウンドEX、2.0chのドルビー・サラウンドと3種類。メジャー映画並みとまでは言わないまでも、B級アクションとしては贅沢なくらいガッツリと重量感がある。また、音楽スコアだけを再生できるオプションも用意されている。
 特典では50分近くに及ぶメイキング・ドキュメンタリーが見応え充分。監督のラスティグと脚本のラリー・コーエンを中心に、ロバート・ダヴィ、クローディア・クリスチャン、マイケル・ラーナー、レオ・ロッシ、ロバート・ツダールといった主要キャストが勢ぞろい。警察長官役が本当はリチャード・クレンナだったものの、撮影直前に出れなくなってしまったために、ロッシが友人のラーナーに声をかけたという逸話や、テレビ司会者役でチャールズ・ネイピアが友情出演した経緯など、古き良き低予算映画ならではの現場の思い出が詳細に語られていく。
 また、削除シーンにはサム・ライミ監督が登場。夕方のテレビニュースのキャスター役をライミが演じており、マニアック・コップ騒動に対する一般市民の反応をレポートする。ラスティグ監督が特別上映会の終了後に、一般観客を相手に行った質疑応答の様子を収録したQ&Aビデオも、メイキングでは語られなかった撮影舞台裏情報が満載だ。

 

 

 

マニアック・コップ3/復讐の炎
Maniac Cop 3: Badge of Silence (1993)

MANIAC_COP_3.JPG
(P)2013 Blue Underground (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格: 1080p/音声:5.1 DTS-HD・2.0 DOLBY SURROUND/言語:英語/字幕:英語・フランス語・スペイン語・ポルトガル語・ドイツ語・イタリア語・ロシア語・中国語・韓国語・日本語/地域コード:ALL/85分/制作国:アメリカ

<特典>
・メイキング・ドキュメンタリー「Wrong Arms of the Law」(約25分)
・削除シーン&エクステンデッド・シーン集
・オリジナル劇場予告編
・ポスター&スチル・ギャラリー
・オリジナル・シノプシス
監督:ウィリアム・ラスティグ
製作:ジョエル・ソワソン
   マイケル・レアニー
脚本:ラリー・コーエン
撮影:ジャック・ヘイトキン
音楽:ジョエル・ゴールドスミス
出演:ロバート・ダヴィ
   ケイトリン・デュラニー
   グレッチェン・ベッカー
   ロバート・ツダール
   ポール・グリーソン
   ジャッキー・アール・ヘイリー
   ジュリウス・ハリス
   グラント・L・ブッシュ
   ダグ・サヴァント
   ボビー・ディ・チコ
   ロバート・フォースター

 今度はヴードゥーの魔術によってマニアック・コップことコーデルが復活。自分と同じように汚名を着せられて昏睡状態に陥った女性警官ケイトに目を付け、彼女を自分のパートナーにすべく邪魔者を殺していく。まあ、言うなればマニアック・コップ版「フランケンシュタインの花嫁」である。で、そこに前作から引き続いて登板の熱血刑事マッキニーと、ケイトが運び込まれた病院の女医スーザンが、コーデルの凶行を阻止すべく立ち向かうってなわけだ。
 前2作に比べると間延びしている印象は否めないものの、それでも全身火だるまになったコーデルがパトカーを運転して暴走する壮絶なカーチェイスを筆頭に、派手な見せ場には事欠かない3作目。白いシーツにくるまって死体のフリをしたマッキニーが、病院を占拠した犯罪者たちに近づいて銃を乱射するシーンもナイス・アイディアで面白かった。
 ところが、この作品にはいろいろと曰くがある。というのも、そもそもラスティグ監督は撮影途中で降板し、全体の3分の1くらいを製作者のジョエル・ソワソンが演出しているのだ。実は脚本のラリー・コーエンは前作の段階で既にパート3の脚本を用意しており、本来はハイチ出身の黒人刑事を主人公にハーレムで物語が展開するはずだったのだが、日本の出資者がロバート・ダヴィの続投を希望したためにオリジナル・スクリプトは却下。新たな脚本は待てど暮らせど届かず、業を煮やしたソワソンがコーエンに催促したところ、なんと電話口であらすじを喋り始めたのだそうだ。
 いや、ちゃんと正式にタイプした脚本を送ってくれよ…と思ったソワソンだったが、なにしろ本シリーズの製作者としては新参者。こういうやり方もあるのかと思ってノートに書き留め、それを元に自ら脚本をまとめ上げたのだそうだ。しかし、ラスティグ監督はこの新しい脚本が気に入らず、お金のためと割り切って撮影に臨んだものの、出来上がったラフカットはたったの51分。ソワソンに急かされて追加撮影に入ったものの、既にやる気を失っていたラスティグは、“だったら君が自分で監督すればいい”と言い残して現場を去ってしまい、仕方なく後を引き継いだソワソンが作品を完成させたというわけだ。なので、実は先述した火だるまカーチェイスもソワソンが演出したものだという。
 そんなこんなで、ブルーレイに収録されているドキュメンタリーによると、スタッフ関係者は完全に失敗作だと考えているらしいが、その一方で出演者たちにとっては楽しい現場だった様子。ケイト役のグレッチェン・ベッカーが、あの名優マーティン・ランドーの彼女(現在も内縁関係にある)だというのも意外な驚きだ。ほとんど製作にタッチしなかったコーエンは、旧知の仲であるランドーから“うちの彼女を雇ってくれて有難う”と電話をもらって困ったそうだ(笑)。

 で、肝心のブルーレイの画質だが、「マニアック・コップ2」よりもさらにハイクオリティな仕上がり。同時代のメジャー映画と比べても遜色がないくらい、輪郭はシャープだしイメージもクリア、色彩も鮮明で深みがある。音声トラックは5.1chのDTS-HDと2.0chのドルビー・サラウンドのみだが、5.1chの重量感と立体感もまずまずだ。もちろん、日本語字幕も選択できる。
 特典の目玉は、やはりメイキング・ドキュメンタリー。ラスティグ監督にジョエル・ソワソン、ラリー・コーエンを中心に、ロバート・ダヴィ、ケイトリン・デュラニー、グレッチェン・ベッカー、ロバート・ツダールらメインキャストも揃い、トラブル続きだった撮影舞台裏の事情を率直に語っている。決して社交辞令でお茶を濁したりしないところは、さすがアメリカだなあ…と思ったりして(笑)。
 また、ラリー・コーエンが当初用意していたオリジナル脚本を基に、製作会社がプリセールス用の資料として作成したシノプシスも収録されている。なるほど、本来はこういう作品になるはずだったんだ、と想像を膨らませられるし、実際に出来上がった作品との違い(だいぶ展開が異なる)を比較するのも面白い。なお、削除シーンとエクステンデッド・シーンは参考までに…といった感じで、あまり面白みはない。

 

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