カルト系ホラー映画ブルーレイ レビュー Pt.3

 

悪魔のいけにえ
The Texas Chain Saw Massacre (1974)

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(P)2014 Dark Sky Films (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤4枚組)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:DOLBY TRUE-HD 7.1ch・5.1ch・2.0ch・ORIGINAL MONO/言語:英語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:A/83分/制作国:アメリカ
附属DVD仕様
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/音声: DOLBY TRUE-HD 7.1ch・5.1ch ・2.0ch・ORIGINAL MONO/言語:英語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:A/83分/制作国:アメリカ

<特典>
・ドキュメンタリー映画「The Texas Chainsaw Massacre: The Shocking Truth」
・メイキング・ドキュメンタリー「Flesh Wounds」
・女優テリー・マクミン インタビュー
・製作マネージャー ロン・ボズマン インタビュー(新録)
・俳優ジョン・デュガン インタビュー(新録)
・編集者J・ラリー・キャロル インタビュー(新録)
・削除シーン&アウトテイク集(新録版)
・削除シーン&アウトテイク集(旧版)
・NGシーン集
・ドキュメンタリー映画「Shocking Truth」のアウトテイク集
・ロケ地訪問ドキュメンタリー
・グランパ特殊メイクスチル集
・スチル・ギャラリー
・40周年記念予告編
・劇場予告編集
・TVスポット集
・ラジオ・スポット集
・T・フーパー監督、ガンナー・ハンセン、ダニエル・パールの音声解説
・マリリン・バーンズ、アレン・ダンジガー、ポール・A・パーテイン、ロバート・バーンズの音声解説
・トビー・フーパー監督の音声解説(新録)
・ダニエル・パール、J・ラリー・キャロル、テッド・ニコローの音声解説(新録)
監督:トビー・フーパー
製作:トビー・フーパー
脚本:トビー・フーパー
   キム・ヘンケル
撮影:ダニエル・パール
音楽:トビー・フーパー
   ウェイン・ベル
出演:マリリン・バーンズ
   アレン・ダンジガー
   ポール・A・パーテイン
   ウィリアム・ヴェイル
   テリー・マクミン
   エドウィン・ニール
   ジム・シードウ
   ガンナー・ハンセン
   ジョン・デュガン

 いまさら説明の必要もないであろう、言わずと知れたモダン・ホラーの金字塔。アメリカのド田舎にひっそりと暮らす殺人鬼一家と遭遇してしまった若者たちの地獄巡りを、徹底的なまでに乾いたリアリズムと狂ったようなテンションを織り交ぜながら描き、世界中のホラー映画に多大な影響を及ぼした傑作だ。チェーンソーを振り回して暴れまくるレザーフェイスは今やホラー・アイコンとなり、続編シリーズやリメイク版シリーズも数多く作られてきた。それほどの大人気映画であるだけに、これまで発売された映像ソフトも数知れず。既にリマスター版ブルーレイもリリースされているわけだが、今回は40周年記念盤と銘打った新たなブルーレイがお目見えした。
 オリジナル・ネガを4K解像度で新たにデジタル・スキャンし、トビー・フーパー監督の監修によって改めてレストア&カラコレ作業を施したという最新リマスター。そもそも本作は安手の16ミリ・フィルムで撮影されているので、いくら高画質といっても限界はあるのだが、それにしても今回の修復版は驚くべきハイクオリティだ。ディテールのきめ細かさは言うに及ばず、色彩の自然な仕上がりも見事。フィルム・グレインも最小限に抑えられている。
 もちろん、35ミリや70ミリで撮影された大作映画に比べれば粗の目立つことは否めないが、これだけ映像の鮮明な「悪魔のいけにえ」は過去に例がなかったと言えよう。旧ブルーレイ版と比べても、その違いは歴然としている。ましてや、昔のビデオ版などと比べたら殆ど別の映画だ。舞台となるテキサスの乾いた空気や照りつける太陽の暑さまで伝わって来るような臨場感は驚きだ。
 音声も新たに制作された7.1chサラウンドを含め、合計で5種類のオプションを用意。こちらもトビー・フーパーが直々に監修しており、そよぐ風や虫の音まで立体的に浮かび上がってくる。また、スタッフやキャストによる音声解説も4種類。旧レーザーディスク収録のキャストを中心にした95年版、旧ブルーレイにも収録のスタッフを中心にした'06年版に加え、今回はトビー・フーパー監督の単独解説、そして本作に録音係として参加したテッド・ニコロー監督を含むスタッフの解説と、2種類の新録版を楽しむことが出来る。
 さらに、特典映像の充実ぶりも特筆に値する。まずは、本作の製作過程やトラブルなどを関係者の証言で追った'00年製作のドキュメンタリー映画「The Texas Chainsaw Massacre: The Shocking Truth」(75分)を、なんとアウトテイクを含めてまるごと収録。さらに、'06年の2枚組リマスター版DVD用に製作されたメイキング・ドキュメンタリー「Flesh Wounds」(74分)を筆頭に、旧ブルーレイ収録の特典映像は余すことなく移植されている。
 今回初めて収録されたのは、製作マネージャーのロン・ボズマン、編集者のJ・ラリー・キャロル、そしてグランパ役を演じた俳優ジョン・デュガン、それぞれの単独インタビュー映像。ロン・ボズマンは後に「フィラデルフィア」('93)や「ステップフォード・ワイフ」('04)などのメジャー映画を製作し、「羊たちの沈黙」('90)でアカデミー賞にも輝くプロデューサーとなったわけだが、そんな彼が本作の功績をビジネス的な視点から語っているのは興味深い。
 また、最近になって発見された削除シーンやアウトテイクも新たに収録。いずれも音声トラックが残されていないので全くの無音だが、フィルムの保存状態はビックリするくらい良好で、まるでつい最近撮りましたとでも言わんばかりに映像が鮮明だ。本番前後のスタッフやキャストの様子もそのまま映り込んでいて、まさにタイムカプセルのごとく当時の撮影現場の雰囲気をリアルに体感できる。役者がカチンコ係を兼ねているなど、独立系の低予算映画らしい和気藹々とした様子がなんとも微笑ましい。
 とにかく、全ての「悪魔のいけにえ」ファン、全てのホラー映画ファン必携の究極版ブルーレイ。筆者が購入したのは同一内容を収録したDVDとの計4枚組セットだが、ブルーレイのみの2枚組バージョンも同時リリースされている。

 

 

悪魔のいけにえ2
The Texas Chainsaw Massacre 2 (1986)

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(P)2012 MGM/20th Century Fox (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:2.0ch Surround DTS-HD Master Audio(英語)・Dolby Digital 1.0 Mono(フランス語)/言語:英語・フランス語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:A/101分/制作国:アメリカ

<特典>
・未公開シーン集
・メイキング・ドキュメンタリー「It Runs In The Family」
・オリジナル劇場予告編
・トビー・フーパー監督、デヴィッド・グレゴリーの音声解説
・ビル・モーズリー、キャロライン・ウィリアムス、トム・サヴィーニ、マイケル・フェルシャーの音声解説
監督:トビー・フーパー
製作:メナハム・ゴーラン
   ヨーラム・グローバス
脚本:L・M・キット・カーソン
撮影:リチャード・クーリス
音楽:トビー・フーパー
   ジェリー・ランバート
出演:デニス・ホッパー
   キャロライン・ウィリアムス
   ビル・ジョンソン
   ジム・シードウ
   ビル・モーズリー
   ケン・エヴァート
   ルー・ペリー

 トビー・フーパー自身が手がけた正統な続編。とはいえ、前作の荒々しいリアリズムの一切を排し、一貫して殺人鬼一家の狂気を異様なテンションで描いた本作は、殆どコメディと呼ぶべき領域へと足を踏み入れている。文明社会と半ば隔絶されていた殺人鬼一家は、今や精肉ビジネスで大成功。といっても、勿論ただの肉じゃあなさそうなのだけど…。で、そんな彼らに前作で甥っ子を殺されて復讐に燃える中年テキサス・レンジャー(デニス・ホッパー)と、たまたま殺人現場の音声を録音していたことから一家に狙われた女性DJを主人公に、血で血を洗う…というか、チェインソーとチェインソーが火花を散らせる、壮絶なバトルが展開していくわけだ。
 もともと1作目そのものが現代社会に対する風刺を込めていたものの、あまりにもリアリズム志向が強すぎたために皮肉なユーモアが理解されず、不当にゲテモノ扱いされたと感じていたらしいフーパー監督。それならば、今度は徹底的にクレイジーな映画にしてやろうじゃないか、ということで誕生したのが本作だったらしい。


 冒頭から死体の二人羽織で登場するレザーフェイスにぶったまげ、以降も悪趣味丸出しの狂ったような展開でたたみかけていく。直接的な残酷描写を殆ど見せなかった前作に対し、今回は露骨なスプラッターも盛りだくさん。あまりにも路線が変わってしまったため、劇場公開当時はかなりボロクソに言われたものだった。
 結果的に、監督はまたもや批評家から正しく理解されなかったわけだが、当時まだ1作目を見たことがなかった筆者は、このぶっちぎったイカレっぷりに呆然しつつも狂喜乱舞。その後、ほどなくして正篇をビデオで見たものの、あまりに本作のインパクトが強かったせいか、かえって“なんつー地味な映画だ”と肩透かしを食らってしまった。オリジナル版「悪魔のいけにえ」の面白さや凄さがちゃんと理解できるようになったのは大人になってから。それまでは、このパート2が筆者にとっての“正篇”だったのだ。


 で、MGMのライセンスを持つ20世紀フォックスからリリースされたブルーレイ。内容は完全版DVDとほぼ一緒だ。本編映像もDVDと同一のマスターを使用しているらしく、ブルーレイ用に改めてテレシネや修復作業を施した様子は伺えず。なので、画質的にはDVDとあまり変わらない。もちろん解像度は格段に高くなっているものの、フィルム・グレインのチラツキや輪郭の甘さはそのまま。DVDではまずまずの高画質に感じられたが、ブルーレイとしては少なからず不満が残る。2.0chサラウンドの音声もDVDと同じだ。
 一方、特典映像はまさかのグレードダウン。というのも、完全版DVDに収録されていたスチル・ギャラリーがごっそり抜けているのだ。ブルーレイの方が容量は大きいというのに!なので、ほんのちょっとでもいいから高画質で「悪魔のいけにえ2」を鑑賞したい!というコアなファンでない限り、今のところ急いで旧完全版DVDから買い換える必要はないかもしれない。

 

 

Tam Lin (1970)

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(P)2013 Paramount/Olive Films (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格: 1080p/音声:DTS-HD Master Audio Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/105分/制作国:イギリス

<特典>
なし
監督:ロディ・マクドウォール
製作:アラン・ラッド・ジュニア
   スタンリー・マン
脚本:ウィリアム・スピアー
撮影:ビリー・ウィリアムス
音楽:スタンリー・マイヤーズ
出演:エヴァ・ガードナー
   イアン・マクシェーン
   ステファビー・ビーチャム
   シリル・キューザック
   リチャード・ワッティス
   デヴィッド・ホイットマン
   シンニード・キューザック
   マデリン・スミス
   ファビア・ドレイク
   ジェニー・ハンレイ
   ジョアナ・ラムレイ
   サリナ・ジョーンズ

 「猿の惑星」('68)シリーズのコーネリアス役や、「フライトナイト」('85)のピーター・ヴィンセント役などでお馴染みの名優ロディ・マクドウォールが唯一演出を手がけた作品。スコットランドの妖精伝説を基にした、ホラーというよりも怪奇幻想色の強いアート・ムービーだ。
 主人公は大女優エヴァ・ガードナー扮する謎めいた大富豪カザレット夫人。その妖艶な美貌と有り余る財力で人々から羨望の眼差しを浴びる彼女は、大勢のお洒落でイケている若い美男美女を自分の保護下に置き、セックスと酒とドラッグとパーティに明け暮れる日々を過ごしている。若者の中から特にお気に入りの一人を選んでは愛人にし、飽きたら捨ててしまう彼女の目下のペットは、知的でハンサムで自信にあふれたカリスマ的な青年トム(イアン・マクシェーン)。ところが、そんな彼が屋敷に出入りする純朴な村娘ジャネット(ステファニー・ビーチャム)に恋をしてしまう。それに気づいたカザレット夫人は逆に興味を惹かれ、2人をオモチャのように弄び、やがて危険で残酷なゲームを仕掛けていく。


 カザレット夫人を不思議な力を持つ魔女的な存在とし、彼女のもとに集う若者たちをカルト集団のように描いている点が本作のミソ。上流社会のデカダンなムードをスタイリッシュな映像で捉えた演出は明らかにフェリーニの影響(特に「魂のジュリエッタ」)を感じさせるが、そこにハマー・ホラー的なゴシック美が盛り込まれている。
 写真家としても知られたマクドウォールらしい、モダンなビジュアル・センスが光る作品。撮影は'69年に行われており、当時のスウィンギン・ロンドン的な最先端カルチャーと中世のフォルクローレ的な幻想世界が絶妙なさじ加減で融合されている。これが唯一の監督作とは実にもったいない。


 かつてVHS時代にソフト化されたきりだった本作だが、パラマウント映画のアーカイブを再発しているオリーヴ・フィルムズからめでたくブルーレイがリリース。基本的に同社の他タイトルと同様に、フィルムの修復作業などは一切施されていないものの、原版フィルムの保存状態はすこぶる良い。部分的に細かい傷は散見されるものの、大して気になるほどでもなく。また、輪郭のきめ細かさや質感の再現力も、パーフェクトとは言えないまでも十分に合格点。壮麗な色彩の美しさも存分に堪能できる。ただ、音声にヒスノイズが若干目立つのは残念。特典映像が一切ないのも物足りないが、そこはいかんせんオリーヴ・フィルムズの方針なので仕方あるまい。

 

 

スナッフ
Snuff (1976)

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(P)2013 Blue Underground (USA)
画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.66:1/HD規格: 1080p/音声:DTS-HD Master Audio 1.0ch Mono/言語:英語/字幕:英語/地域コード:ALL/80分/制作国:アメリカ・アルゼンチン

<特典>
・Shooting Snuff (映像作家カーター・スティーヴンスのインタビュー)
・Up To Snuff (映像作家ニコラス・ウィンディング・レフンのインタビュー)
・Porn Buster (元FBI捜査官ビル・ケリーのインタビュー)
・オリジナル劇場予告編集(米国版&ドイツ版)
・ポスター&スチル・ギャラリー
・新聞&雑誌記事ギャラリー
・エッセイ「SNUFF:The Seventies and Beyond」(アレクサンドラ・ヘラー=ニコラス著)
監督:マイケル・フィンレイ
   ロバータ・フィンレイ
   サイモン・ナックターン(追加)
製作:ジャック・ブレイヴマン
   アラン・シャックルトン(追加)
脚本:マイケル・フィンドレイ
撮影:ロバータ・フィンドレイ
音楽:リック・ハワード
出演:ミルタ・マッサ
   エンリケ・ララテリ
   マルガリータ・アムチャステグイ
   アルド・マヨ
   アナ・カーロ

 撮影のため本当に人を殺したらしい…という噂がまことしやかに広がり、当時一大センセーションを巻き起こした猟奇ホラー。マンソン・ファミリーをモデルにしたヒッピー集団の内ゲバに始まり、尻軽な映画女優や強欲な映画プロデューサー、軽薄な大富豪の御曹司などが彼らによって血祭りに挙げられていく。それらの殺人シーンが実は本物らしい…と話題を呼んだわけだ。
 もちろん、そんなのは嘘八百もとい事実無根。本編を見れば一目瞭然、どこからどう見てもチープな特殊メイクなのだが、本作は配給会社のマーケティングが上手かった。「南アメリカでしか作ることのできない作品…そこは命の値段が安い!」という思わせぶりな宣伝文句、スタッフやキャストのクレジットが一切ない怪しげな本編、そして裏社会に存在すると言われる殺人フィルムを意味したタイトル。ちょうど、当時のアメリカではスナッフ映画が本当に存在するか否かという問題が世間を賑わせていたことから、本作はその旬な話題に便乗する形で大ヒットした。
 実際、本作の配給会社も製作者も本当に人を殺したなどとは一言も述べていない。時代の空気を読んだ的確なマーケティングが一般大衆の好奇心と想像力を刺激し、噂や口コミの自然的な発生を巧みに促し、結果的に商業的な成功へと結びついたというわけだ。正直なところ、中身は出来の悪い平凡なアングラ映画。ハーシェル・ゴードン・ルイス路線のセックスとバイオレンスを売りにしたグラインドハウス・ムービーだ。


 クズ映画界の名物夫婦マイケル&ロバータ・フィンドレイ夫妻がアルゼンチンで撮影した「The Slaughter」という映画が本作の原典。一部の記録によると全米3ヶ所の映画館で限定的に公開されたらしいのだが、ほぼオクラ入りに等しいような失敗作だった。そのフィルムを安価で購入したのが、ニューヨークを拠点に低予算映画の配給を手がけていたアラン・シャックルトン。この出来損ないのクズ映画をどう売り出すか考えあぐねていた彼は、ある時たまたま目にした新聞記事でスナッフ映画の存在が世間で話題になっていることを知り、先述のようなマーケティング戦略を思いついたのだそうだ。
 タイトルを「The Slaughter」からそのものズバリな「スナッフ」へと変更した彼は、さらに撮影スタッフが出演女優をなぶり殺すというクライマックスの追加シーンを制作。セットも女優も明らかにそれ以前とは違うことがバレバレの失笑シーンなのだが、これが“どうやら本物らしい”という話題性に拍車をかけた。そんなインチキ商売が平然とまかり通った平和(?)な時代だったわけだが、いずれにせよ映画作品としては紛うことなきクズだ。


 で、カルト映画の殿堂ブルー・アンダーグランド社からリリースされた北米盤ブルーレイ。なにしろ、もともとが自主制作の超低予算映画で、ほぼ使い捨てのように扱われた作品なだけに、マスターフィルムの保存状態ははっきり言って良くない。一応、現存する35ミリ上映用プリントの中から、最も状態の良好なものを選んでテレシネしたらしいが、修復不可能なくらいに大きな傷や汚れがあちこちで目立つ。世代を重ねたフィルムだけに映像のディテールも全体的に甘い。とはいえ、過去のVHS版やDVD版に比べると色彩は鮮やかだし、輪郭の滲みなども最小限に抑えられている。少なくとも、「スナッフ」史上最高の画質で鑑賞することができることは確かだ。DTS-HDにアップグレードされた音声も悪くはない。
 映像特典では、アラン・シャックルトンのもとで追加シーンの製作に関わったポルノ映画監督カーター・スティーヴンスのインタビューが興味深い。追加シーンの撮影には彼の自宅が使われたらしく、当時まだ幼かった彼の子供たちも在宅中だったそうだ。また、本作のファンだというニコラス・ウィンディング・レフン監督(「ドライヴ」「オンリー・ゴッド」)もインタビューに応えており、本編スタート前のイントロダクションまで担当している。さらに、当時FBI捜査官として違法ポルノなどの摘発捜査に携わっていたビル・ケリーが、本作を含めた当時の“問題作”映画の裏事情を解説。同様に、70年代のアングラ映画事情を解説したアレクサンドラ・ヘラー=ニコラスのエッセイも併せて読むと勉強になる。

 

 

ドッグ
Dogs (1976)

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(P)2014 Scorpion Releasing (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:DTS-HD Master Audio Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ABC/91分/制作国:アメリカ

<特典>
・メイキング・ドキュメンタリー
・カトリーナによるトリビア解説
・オリジナル劇場予告編
監督:バート・ブリンカーロフ
製作:アラン・F・ボドー
   ブルース・コーン
脚本:オブライエン・トマリン
撮影:ボブ・ステッドマン
音楽:アラン・オールドフィールド
出演:デヴィッド・マッカラム
   ジョージ・ワイナー
   エリック・サーヴァー
   サンドラ・マッケーブ
   スターリング・スワンソン
   リンダ・グレイ

 「ジョーズ」('75)の記録的な大ヒットをきっかけに、いわゆる動物パニック映画がブームとなった'70年代。「グリズリー」('76)やら「アニマル大戦争」('77)やら「スウォーム」('78)やら、動物や昆虫が人間を襲うホラー映画が大量生産されたわけだが、本作もそうしたトレンドに便乗する形で生まれた亜流映画。そのタイトルの通り、ペットの犬が集団になって人間を殺戮しまくるという作品だ。
 とりあえず、かなりの低予算で作られたことは映像を見るだけでも明らか。10数匹程度のワンちゃんたちが4〜50人の人間を皆殺しにするクライマックスなどは無理ありまくりだ。しかも、中にはどう見ても尻尾を振って喜んでいるとしか思えない犬もチラホラ。ストーリー展開はほぼ「ジョーズ」の焼き直しだし、ロケ地の住民を雇ったエキストラの素人ぶりも目立つ。
 主演にはデヴィッド・マッカラムという有名スターを据えているものの、それ以外はほぼ無名の大根役者ばかりで、一人で力演するマッカラムが気の毒に思えてくる。後にテレビ・ドラマ「ダラス」でブレイクする女優リンダ・グレイも、ほぼ脱ぎ要員的な扱いだし(笑)。
 で、犬たちが凶暴化する原因は政府の秘密実験ってことになっているのだが、その仕組みやプロセスにはまるで一貫性がない。まあ、特殊なアロマのせいで犬が暴走するってのは分からないでもないが、影響を受ける犬と受けない犬の違いがそもそもウヤムヤにされているし、壁を突き破るほど肉体が強化されてしまうのは意味不明。とはいえ、映画作品としての作りはまずまず手堅い感じだし、学生たちが狂犬軍団に襲撃されるシーンもそれなりにインパクトはある。


 そんな時代の徒花的B級映画がブルーレイで登場。アメリカでも日本でも、過去にVHSで発売されたことはあったのだが、いわゆるデジタルメディアでのリリースはこれが初めてだ。オリジナルのインターポジをフルハイビジョンでテレシネし、さらにデジタル修復を施したという映像は文句なしの高画質。正しい画面比でのソフト化も今回が初めてなのだそうだ。音声トラックはモノラルのままだが、DTS-HDにアップグレードされており、セリフもSEも驚くほど明瞭。中でも、犬たちがお互いに呼応し合う際の集団遠吠えは不気味さが際立つ。
 特典映像は可もなく不可もなく。メイキング・ドキュメンタリーにマッカラムや監督の姿がないのは残念だが、それでもジョージ・ワイナーやエリック・サーヴァー、製作のブルース・コーンなどが顔を出し、限りある選択肢の中であれこれと知恵を絞った低予算映画ならではの撮影舞台裏を楽しげに語っている。トリビア解説ムービーでは、発売元スコルピオン・リリーシングの看板娘カトリーナ嬢の寸劇コントを交えたスタッフ&キャストの紹介などが披露されるものの、ほとんどネットで拾えるような情報ばかりだし、チープな寸劇コントも大して面白くはない。

 

スキャナーズ
Scanners (1981)

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(P)2014 The Criterion Collection (USA)
画質★★★★★ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤3枚組)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:LPCM Audio Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/103分/制作国:カナダ
附属DVD仕様
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/音声: Dolby Digital Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:1/103分/制作国:カナダ

<特典>
・最新メイキング・ドキュメンタリー「The Scanners Way」(マイケル・レニック監督)
・マイケル・アイアンサイド 最新インタビュー
・スティーブン・ラック インタビュー(2012年撮影)
・デヴィッド・クローネンバーグ 1981年テレビ・インタビュー
・クローネンバーグ監督処女作「ステレオ/均衡の遺失」本編
・オリジナル劇場予告編
・テレビスポット集
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
製作:クロード・ヘロー
脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
撮影:マーク・アーウィン
音楽:ハワード・ショア
出演:ジェニファー・オニール
   スティーブン・ラック
   パトリック・マクグーハン
   ローレンス・デイン
   マイケル・アイアンサイド
   ロバート・シルヴァーマン

 ご存知、デヴィッド・クローネンバーグ監督の名前を一躍ポピュラーなものにしたSFホラーの傑作。スキャナーと呼ばれる超能力者たちを主人公に、彼らの能力を開発・利用する科学者や組織、その能力を使って世界征服を目論む悪のスキャナー集団、それぞれの思惑が複雑に絡まり、やがて超能力VS超能力の壮絶なバトルが繰り広げられていく。クローネンバーグ監督作品にしてはエンターテインメント性が高いことも功を奏して、公開当時は世界中で大ヒットを記録した。
 中でも特に話題となったのは、派手で血生臭い特殊メイク。頭部破裂や眼球破裂、浮き立つ血管など、巨匠ディック・スミスの監修による特殊メイクの数々は実に見事な仕上がりだ。当時の映画界はSFXや特殊メイクの技術が急速に進歩し、映画ファンからも熱い注目を集めていたわけだが、本作は「狼男アメリカン」('81)などと並んでそうしたブームの火付け役的な一本だったとも言えよう。

 日本ではパラマウントからブルーレイが発売されているが、筆者が入手したのはLD時代から超高画質&特典満載で世界的に知られる米クライテリオン社のブルーレイ。クローネンバーグ監督自身の監修によって、35ミリのインターポジ・フィルムから2K解像度でテレシネされ、入念な修復作業とカラコレが施されたという。ディテールの鮮明なきめ細かさは勿論のこと、どことなく色彩に冷たさを感じさせる従来のDVD版と比べて、本ブルーレイでは暖かみのある自然な色合いに仕上げられており、まるで撮り下ろしの新作のような印象さえ受ける。
 日本盤との画質の違いは未確認。どちらもオリジナルの画面比である1.85:1を1.78:1にトリミングしており、これがクローネンバーグ自身の本来意図していたサイズとのことだが、実はこの1.78:1バージョンは微妙にトリミング位置のズレた2種類のマスターが存在するらしく、日本盤ブルーレイがクライテリオン版と同一マスターを使用しているかどうかは現時点で分からない。ただ、日本盤の音声が5.1chサラウンドであるのに対し、クライテリオン版はモノラルの原盤音声を非圧縮で収録しているので、恐らく別マスターを使用している可能性の方が高いだろう。

 一方、日本盤の特典がオリジナル劇場予告編のみであるのに対し、クライテリオン版はドキュメンタリーやインタビューなどが充実。まず、撮影監督のマーク・アーウィンや特殊メイクのスティーブン・デュプイ、クリス・ウェイラス、リック・ベイカーらが出演するメイキング・ドキュメンタリーは、おのずと本作のSFXや特殊メイクの撮影秘話が中心。当時の舞台裏スチルを挿入しながら、実は裏からショットガンをぶっぱなしていた頭部破壊シーンなどの工夫&苦労話が語られていく。総尺23分程度というのは短く感じるが、破裂した頭部の中身が廃棄されたハンバーガーだったりと、ファンには興味深いトリビア・ネタも少なくない。
 さらに、マイケル・アイアンサイドの最新インタビュー、ドイツ盤DVD用に撮影されたスティーブン・ラックのインタビューも収録。当時のカナダ映画界では役者のギャラが極端に少なく、生活苦に喘いでいたマイケル・アイアンサイドは、本作で共演したハリウッド女優ジェニファー・オニールの高額なギャラを聞いてビックリし、活動の拠点をアメリカへ移すことを考え始めたという。
 その一方で、スティーブン・ラックは当時のカナダ映画界で最高額のギャラを取る人気俳優だったのだが、もともと自ら主宰する劇団の即興演劇で頭角を現した彼は、他人の書いたセリフを読んで他人のために働く職業俳優という仕事が肌に合わなかったらしく、本作の数年後に役者から足を洗って画家へと転身した。
 そして、本ブルーレイではクローネンバーグが学生時代に自主制作した処女作「ステレオ/均衡の遺失」('69)もフルハイビジョンで収録されている。こちらは35ミリのコンポジット・フィルムから2K解像度でテレシネされた上で修復作業が行われたとのこと。正直言って難解かつ退屈な実験映画だが、内容的に「スキャナーズ」のルーツとも呼べるという点で一見の価値はあるかもしれない。

 

 

バタリアン
The Return of the Living Dead (1984)

ROTLD.JPG
(P)2011 MGM/20th Century Fox (USA)
画質★★★★☆ 音声★★★★★
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HD Master Audio・2.0ch Mono/言語:英語・フランス語/字幕:英語・スペイン語・フランス語・ゾンビ語/地域コード:A/91分/制作国:アメリカ

<特典>
・キャスト・スタッフ・ゾンビによる音声解説
・ダン・オバノン監督とプロダクション・デザイナーによる音声解説
・メイキング・ドキュメンタリー「The Dead Has Risen」
・ホラー・ドキュメンタリー「The Decade of Darkness」
・メイキング・ドキュメンタリー「Designing the Dead」
・オリジナル劇場予告編(2種類)
・ゾンビの字幕コメント
監督:ダン・オバノン
製作:トム・フォックス
脚本:ダン・オバノン
撮影:ジュールズ・ブレナー
音楽:マット・クリフォード
出演:クルー・ギャラガー
   ジェームズ・カレン
   ドン・カルファ
   トム・マシューズ
   ビヴァリー・ランドルフ
   リニア・クイグリー

 こちらも80年代を代表する大ヒット・ホラー。そもそもゾンビ・ネタのホラー・コメディというのが当時は斬新だったわけだが、ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」('69)が実話だったという設定のもと、ジャンルへの愛とリスペクトを込めながら皮肉たっぷりのユーモアを散りばめた、ダン・オバノンの脚本と演出が素晴らしかった。タールマンを筆頭とするユニークなゾンビ・キャラたちも秀逸だし、徐々に生ける屍と化していく主人公たちの悲哀溢れる人間ドラマもよく出来ている。両足のない身体障害者をゾンビに仕立てるなんて、今のハリウッドでは無理だろうなあ…(笑)。

 日本ではなぜかまだブルーレイのリリースが実現していない本作だが、アメリカではMGMの版権を持つ20世紀フォックスより発売中。ただ、過去のDVD('07年発売のスペシャル・エディション)用に作成したHDマスターをそのまま流用していると思われ、画質的には可もなく不可もなくという印象。決して悪くはないのだが、ブルーレイとして求められるようなハイレベルには達していない。より解像度の高いリマスターが望まれる。
 5.1chサラウンドにリミックスされた音声や特典映像も'07年版DVDと一緒。メインのメイキング・ドキュメンタリー「The Dead Has Risen」は、クルー・ギャラガーやジェームズ・カレン、トム・マシューズなど主要キャスト全員のインタビューで構成されており、ゾンビ化しつつあるフランクが自ら焼却炉へ入っていくシーンが実は演じるジェームズ・カレン自身の発案だったなど、興味深いエピソードが沢山盛り込まれている。
 また、「Designing the Dead」ではダン・オバノン監督とプロダクション・デザイナーのウィリアム・スタウトが登場し、作品のコンセプトやセット・デザインなどの詳細を解説。さらに、「The Decade of Darkness」では80年代のホラー映画ブームを、MGMが版権を持つ作品を中心に紹介しながら、スチュアート・ゴードン監督やジョン・ランディス監督らが当時を振り返っていく。
 そして、本BDでは通常の字幕に加えて2種類のユニークな字幕オプションを用意。一つはゾンビのセリフだけを表示した“ゾンビ語”の字幕、さらにゾンビたちの“心の声”をコメント風に面白おかしく表示したThe Zombi Speaksなる字幕も楽しむことが出来る。

 

 

 

ドールズ
Dolls (1986)

DOLLS.JPG
(P)2013 New Line/Happinet (Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆

ブルーレイ仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/HD規格: 1080p/音声:DTS-HD Master Audio 2.0ch Stereo/言語:英語/字幕:日本語/地域コード:A/77分/制作国:アメリカ

<特典>
・スチュアート・ゴードン監督インタビュー(日本盤オリジナル)
・オリジナル劇場予告編
・フォトギャラリー

監督:スチュアート・ゴードン
製作:ブライアン・ユズナ
製作総指揮:チャールズ・バンド
脚本:エド・ナーハ
撮影:マック・アールバーグ
音楽:ファズビー・モース
出演:スティーブン・リー
   ガイ・ロルフェ
   ヒラリー・メイソン
   パトリック・ウィリアムス
   キャリー・ロレイン
   キャロリン・パーディ・ゴードン

 「死霊のしたたり」('85)の大ヒットで一躍脚光を浴びた鬼才スチュアート・ゴードン監督が、野心作「フロム・ビヨンド」に続いて放った作品。人里離れた古い豪邸を舞台に、小さな人形たちが汚れた心を持つ人間を次々と血祭りにあげ、純粋な心を持った人々を助けるというおとぎ話風のダークなホラー・ファンタジーだ。
 作品の詳細については当HPの「スチュアート・ゴードン」コーナーをご一読いただくとして、世界に先駆けてリリースされた日本盤ブルーレイの中身をチェックしよう。オリジナルネガから新たにHDマスターを作成して使用したとのことだが、どうやら映像の修復作業は行われていない様子。経年劣化によるフィルムの細かいチラツキなどが随所に散見される。とはいえ、カラーは鮮明で濃厚だし、輪郭もそれなりにシャープ。全体的にはまずまずのハイクオリティだと言えよう。DTS-HDにアップグレードされた音声も重厚感があって悪くない。
 特典は今年2月にリリースされたUK盤ブルーレイ収録の音声解説(北米盤の旧DVDに収録されていたものと同一)が含まれていない代わりに、日本版用として新たに撮影されたスチュアート・ゴードン監督の独占インタビューを収録。主人公の少女ジュディを演じたキャリー・ロレインの近況などを含め、ファンには嬉しい情報や撮影秘話がてんこ盛りだ。日本盤では特典映像が削られてしまう残念なケースが多い中、日本独自のオリジナル特典を用意するという英断は高く評価すべきだろう。スティングレイも最近そのような傾向を強めているが、やはりセルソフトを販売する上で特典は重要なポイントだ。


 なお、アメリカではホラー映画のハイクオリティな復刻に定評のあるスクリーム・ファクトリーから、11月に北米盤ブルーレイが発売される予定。こちらはスチュアート・ゴードン監督を筆頭にブライアン・ユズナやチャールズ・バンド、パトリック・ウィリアムスなどスタッフ&キャストが大挙出演する最新ドキュメンタリーが収録される予定だ。さらに、本編の画面比が1.78:1と日本盤およびUK盤と微妙に違っており、独自にHDマスターを作成した可能性がある。ってことは、もしかすると修復作業も施されているのか。なんともファン泣かせだが、やはり気になるので買ってしまうのだろうなあ…(^^;

 

 

ハウリング三部作
Howling Trilogy

HOWLING_TRILOGY.JPG
(P)2010 Timeless Media Group (USA)

ハウリングV
Howling V: The Marsupials (1987)

ハウリングX/最後の復活
Howling X: The Rebirth (1989)

ハウリングY/突然変異体
Howling Y: The Freaks (1991)

画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★☆☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★☆☆☆ 音質★★★☆☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/スタンダードサイズ/画面比: 1.33:1/HD規格:1080p/音声: Dolby Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/98分/制作国:オーストラリア

<特典>
なし
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/スタンダードサイズ/画面比: 1.33:1/HD規格:1080p/音声: Dolby Mono/言語:英語・ハンガリー語/字幕:なし/地域コード:ALL/96分/制作国:イギリス

<特典>
なし
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/スタンダードサイズ/画面比: 1.33:1/HD規格:1080p/音声: Dolby Mono/言語:英語/字幕:なし/地域コード:ALL/102分/制作国:イギリス

<特典>
なし
監督:フィリップ・モラ
製作:チャールズ・ウォーターストリート
   フィリップ・モラ
原作:ゲイリー・ブランドナー
脚本:フィリップ・モラ
撮影:ルイス・アーヴィング
音楽:アラン・ザヴォド
出演:バリー・オットー
   マックス・フェアチャイルド
   イモジェン・アンネスリー
   ダーシャ・ブラホワ
   ラルフ・コターリル
   バリー・ハンフリーズ
監督:ニール・サンドストロム
製作:クライヴ・ターナー
原作:ゲイリー・ブランドナー
脚本:クライヴ・ターナー
   フレディー・ロウ
撮影:アルレッジ・アルメナキ
音楽:ザ・ファクトリー
出演:フィリップ・デイヴィス
   ヴィクトリア・ケイトリン
   メアリー・ステイヴィン
   エリザベス・シー
   ベン・コール
   ウィリアム・ショックリー
   ステファニー・フォークナー

監督:ホープ・ペレーロ
製作:ロバート・プリングル
原作:ゲイリー・ブランドナー
脚本:ケヴィン・ロック
撮影:エドワード・ペイ
音楽:パトリック・グリーソン
出演:ブレンダン・ヒューズ
   ミシェル・マシソン
   ブルース・ペイン
   ショーン・グレゴリー・サリヴァン
   アントニオ・ファーガス
   キャロル・リンレイ
   ジェレド・バークレイ

 「ハウリング」トリロジーと銘打っているものの、実際のところシリーズ全8作中(7作目の“Howling: New Moon Rising”のみ日本未公開)、発売元のタイムレス・メディア・グループが版権を持っている3作品をカップリングしただけという中途半端なパッケージ企画。しかも、ビスタサイズで劇場公開されたVとXはスタンダードサイズにトリミングされており、その画質から考えても過去のビデオ用マスターをそのまま流用したと思われる。ブルーレイ・ソフトとしていかがなものかと首を傾げざるを得ない手抜き商品だが、3作品収録で実売価格10ドル以下という低価格は魅力。とりあえず、単品で場所を取らないというのもコレクターには有難い。


 とりあえず各作品について解説していくと、「ハウリングV」はオーストラリアに舞台を移し、人狼村を脱走して大都会シドニーへやって来た若い狼少女がひょんなことから映画界入りし、正体を隠してスターダムにのし上がる。で、そこへ追っ手の狼人間たちが彼女を連れ戻すために現れ、さらに狼人間の存在に気付いた科学者や軍関係者も彼女に接触するというわけだ。
 全体的にコメディ色が強く、恐らくパロディ映画の路線を狙ったのだろうが、残念ながらユーモアのセンスも特殊メイクの技術も寒い寒い。特に狼なのか狐なのか区別のつかない狼人間のデザインは最悪で、ロブ・ボッティンによる1作目の変身メイクを再現しようとした努力だけは認めるが、その仕上がりは背筋が凍るほどの酷さだ。後に「ダンシング・ヒーロー」('92)で有名になるオーストラリアの名優バリー・オットーが科学者役を演じているが、なんともお気の毒としか言いようがない。


 一転してハンガリーのブダペストを舞台に、古城に招かれた人々が次々と狼人間に殺されていく「ハウリングX/最後の復活」は、そのダークなゴシックムードが魅力。数々の続編の中では個人的に最も気に入っている作品だ。ストーリー自体はアミカス・プロ製作の「スリラー・ゲーム/人狼伝説」('74)とソックリそのまま。まあ、ルーツをたどればアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」なのだろうけど。「さらば青春の光」('78)や「ヴェラ・ドレイク」('02)で有名なイギリスの名優フィリップ・デイヴィスがミステリアスな東欧貴族を演じており、元ボンド・ガールとして知られるメアリー・ステイヴィンが往年の映画スター役で顔を出している。


 そして、明らかにトッド・ブラウニングの「フリークス」('32)を意識したであろう「ハウリングY/突然変異体」は、アメリカの片田舎の閉鎖的な町を舞台に、流れ者のイギリス人が徐々に地域へ溶け込んでいくものの、彼の正体が狼人間だと知るサーカス団長によって見世物小屋の出し物にされた挙句、殺人事件の犯人に仕立て上げられてしまう。で、この団長というのが実はヴァンパイアで、クライマックスは人狼VS吸血鬼のバトルが繰り広げられる。
 どことなく西部劇風のアメリカン・ゴシックな作風は面白いが、全体的にスローペース過ぎて飽きてしまうことは否めない。ただ、サーカス団長ハーカー役で登場するブルース・ペイン(「ダンジョン&ドラゴン」シリーズ)のカリスマ性は出色。また、「刑事スタスキー&ハッチ」のアントニオ・ファーガス、「ゆきすぎた遊び」('59)や「青春の旅情」('61)などで絶世の美少女として人気だったキャロル・リンレイといったベテラン勢が、意外に楽しげな演技を披露しているのも見逃せない。


 なお、各作品の画質に関しては「ハウリングV」がベスト。ブルーレイに求められるクオリティを考えると大いに不満は残るが、まあ、平均的なDVDレベルといったところだろうか。残りの2作品については、激安DVDと変わらないくらいの画質。音声トラックは3作品とも平坦なモノラルで、録音レベルの低さがちょっと気になるものの、ボリュームさえ調節すれば聞き取りに支障はない。

 

 

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