カルト系ホラー映画ブルーレイ レビュー Pt.2

 

襲い狂う呪い
Die Monster Die! (1965)

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(P)2014 Scream Factory (USA)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格:1080p/音声:DTS-HD マスターオーディオ・モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/80分/制作国:アメリカ

<映像特典>
オリジナル劇場予告編
監督:ダニエル・ホラー
製作:パット・グリーン
脚本:ジェリー・ソール
原作:H・P・ラヴクラフト
撮影:ポール・ビーソン
音楽:ドン・バンクス
出演:ボリス・カーロフ
   ニック・アダムス
   スーザン・ファーマー
   フリーダ・ジャクソン
   パトリック・マギー

 日本では劇場公開されず、'80年代に一度だけビデオ発売されたっきりという幻の作品。ロジャー・コーマン監督による一連のエドガー・アラン・ポー映画で大当たりを取ったAIP(アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ)が、ポーと並ぶ米国怪奇幻想文学の巨匠H・P・ラヴクラフトの映画化に挑んだホラー映画である。
 とはいえ、仕上がりとしてはストーリーも映像の雰囲気もポー作品に限りなく近い。最愛の恋人を訪ねて古い屋敷へやって来た若者が、一族に隠された恐ろしい秘密を知る…という粗筋はほとんど「アッシャー家の崩壊」。隕石から放たれる物質が人間に致命的な影響を及ぼすという原作の骨子だけは残されているが、それ以外はほとんど原型をとどめていない。なので、これをラヴクラフト映画と呼ぶことに異議を唱えるファンが多いことも頷けよう。
 しかしながら、原作では七色に光るエネルギー生命体のようなものとして描かれていた物質を放射能と設定し、その汚染によって人間も動物も植物もモンスター化してしまうというアレンジは、核実験による放射能汚染の問題が取り沙汰されていた当時の社会情勢を反映していて興味深い。また、ロジャー・コーマン作品の名カメラマンだったダニエル・ホラーによる、ゴシック・ムード溢れる荘厳な映像美も見応えがあり、出来栄えそのものは決して悪くない。
 で、アメリカでは過去にMGMからDVDがリリースされていた本作。そのMGMからライセンス許諾を得たホラー映画専門レーベル、スクリーム・ファクトリーより再発された今回のブルーレイは、旧DVD盤と比べても雲泥の差と呼べるくらいに画質が向上している。白味がかっていたテクニカラーの色彩は鮮やかに甦り、ディテールの再現も驚くほどきめ細かい。オリジナルネガの劣化に起因するノイズは若干見られるし、当時の原始的なオプチカル効果による特撮シーンの粗さも気にならなくはないものの、それ以外はすこぶる良好。DTS-HDにリマスターされたモノラル音声も非常にクリアだ。
 ただ、通常は特典映像満載が売りのスクリーム・ファクトリー製品にしては、予告編以外のボーナスが何も付いていないというのは惜しまれるところ。とりあえず、'60年代クラシックホラー映画ファンは必携の1枚である。

 

 

Mr. Sardonicus (未) / 悪魔の血族
Mr.Sardonicus (1961)/The Brotherhood of Satan (1970)

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(P)2013 Mill Creek Entertainment/Sony Pictures Home Entertainment (USA)

Mr.Sardonicus

悪魔の血族
The Brotherhood of Satan

画質★★★★★ 音質★★★★☆ 画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
モノクロ/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.85:1/ HD規格:1080p/音声:DTS-HDマスターオーディオ・モノラル/言語:英語/字幕:英語・フランス語/地域コード:A/89分/制作国:アメリカ

<映像特典>
なし
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格:1080p/音声:DTS-HDマスターオーディオ・モノラル/言語:英語/字幕:英語・スペイン語/地域コード:A/ 92分/制作国:アメリカ

<特典映像>
なし
監督:ウィリアム・キャッスル
製作:ウィリアム・キャッスル
脚本:レイ・ラッセル
撮影:バーネット・ガフィー
音楽:ヴォン・デクスター
出演:ロナルド・ルイス
   オードリー・ダルトン
   ガイ・ロルフェ
   オスカー・ホモルカ
   ウラジーミル・ソコロフ
監督:バーナード・マクヴィーティ
製作:L・Q・ジョーンズ
   アルヴィー・ムーア
脚本:ウィリアム・ウェルチ
原案:ショーン・マクグレガー
撮影:ジョン・アーサー・モリル
音楽:ハイメ・メンドーザ=ナヴァ
出演:ストローザー・マーティン
   L・Q・ジョーンズ
   チャールズ・ベイトマン
   アーナ・カプリ

 ソニー・ピクチャーズとライセンス契約を結び、コロンビア映画のライブラリー作品を廉価版でコンスタントに再発しているミル・クリーク・エンターテインメントから、かなりマニアックなカルト系ホラー映画2本立てが登場。ギミック映画の帝王ウィリアム・キャッスルのキャリアの中でも比較的忘れられがちな「Mr. Sardonicus」に、知る人ぞ知る70年代の超マイナーなオカルト映画「悪魔の血族」という、えらく通好みな佳作の顔合わせである。
 まずは「Mr. Sardonicus」。かつての恋人からの手紙を受け取ったロンドンの高名な外科医ロバートが、今は人妻となってヨーロッパの僻地に暮らす彼女のもとを訪れる。若い娘達が次々と姿を消す閉鎖的な村、時代遅れの怪しげな実験が行われている古い城、そして仮面の下に醜い素顔を隠した彼女の夫サルドニクス氏。果たして、この地域で何が起きているのか、ロバートが呼び出された理由とは何なのか、そしてサルドニクス氏の正体とは?
 奇想天外なアイディアやトリックが身上のウィリアム・キャッスル作品としては、極めてオーソドックスでストレートなゴシック怪奇譚だが、「アッシャー家の崩壊」にジル・ド・レやマルキド・サドの伝説を絡めたようなおどろおどろしさは悪くないし、サルドニクス氏の特殊メイク・デザインもなかなかショッキング。地味ながらも見応えのある作品だ。
 一方の「悪魔の血族」は、サム・ペキンパー作品の常連俳優としても有名な名脇役L・Q・ジョーンズが製作と出演を兼ねた作品としても知られている。とある一家がドライブ旅行中に田舎町へ立ち寄ったところ、そこでは次々と幼い子供たちが姿を消し、その親たちが不可解な死を遂げていた。しかも、町を逃げ出そうとする人々もことごとく無残な死を遂げている。見知らぬ町で立ち往生してしまった主人公たちは、やがて近隣に巣食う悪魔崇拝のカルト教団による恐ろしい計画を知ることになるのだった…。
 平穏な日常の裏で尋常ならざることが起きているという得体の知れない不安感、周囲を砂漠で囲まれた小さな町に囚われてしまったという閉塞感。特殊効果や残酷シーンなどに殆ど頼ることなく、じわじわと恐怖が迫ってくるストーリーと禍々しい雰囲気だけで見せきってしまうのは立派だ。「コンバット」や「ガンスモーク」などのテレビドラマを数多く手がけたバーナード・マクヴィーティ監督の、硬派でひたすら真面目な演出がまたリアルな空気を生んでいる。
 で、そんな隠れたホラー映画の名作2本をフルハイビジョンで収録した本BD。特に「Mr. Sardonicus」の完璧過ぎるくらいの高画質は少なからず驚きだ。モノクロのコントラストは極めて明瞭で、衣装や小道具などの質感も実にきめ細かい。50年以上も前の低予算映画なのに、フィルムのキズやゴミなどの劣化もほぼナシ。モノラル音声もセリフがくっきりと浮かび上がる。「悪魔の血族」は部分的にスクラッチノイズが目立つなどフィルムの劣化が若干見受けられるものの、全体的なディテールの再現力は素晴らしいし、なによりもテクニカラーの濃厚な美しさが際立つ。ただの廉価版と侮るなかれ。

 

 

血の祝祭日 / 2000人の狂人 / カラー・ミー・ブラッド・レッド
Blood Feast(1963)/Two Thousand Maniacs! (1964)/Color Me Blood Red (1965)

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(P)2011 Something Weirdo Video/Image Entertainment (USA)

血の祝祭日
Blood Feast

2000人の狂人
Two Thousand Maniacs

カラー・ミー・ブラッド・レッド
Color Me Blood Red

画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ 画質★★☆☆☆ 音質★★☆☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/66分/制作国:アメリカ
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/83分/制作国:アメリカ
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/79分/制作国:アメリカ
<特典> ※特典映像の映像規格は全て480i
監督ハーシェル・ゴードン・ルイスと製作者デヴィッド・F・フリードマンによる音声解説(全作品)
未公開シーン集(全作品)
短編映画「Carving Mgic!」
短編映画「Follow That Skirt!」
オリジナル劇場予告編集(全作品+「ゴッドファーザー・オブ・ゴア」)
フォト・ギャラリー
監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス
製作:デヴィッド・F・フリードマン
脚本:アリソン・ルイーズ・ダウン
撮影:ハーシェル・ゴードン・ルイス
音楽:ハーシェル・ゴードン・ルイス
出演:トーマス・ウッド
   マル・アーノルド
   コニー・メイソン
   リン・ボルトン
監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス
製作:デヴィッド・F・フリードマン
脚本:ハーシェル・ゴードン・ルイス
撮影:ハーシェル・ゴードン・ルイス
音楽:ラリー・ウェリントン
出演:コニー・メイソン
   トーマス・ウッド
   ジェフリー・アレン
   シェルビー・リヴィングストン
監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス
製作:デヴィッド・F・フリードマン
脚本:ハーシェル・ゴードン・ルイス
撮影:ハーシェル・ゴードン・ルイス
出演:ドン・ジョセフ
   キャンディ・コンダー
   エリン・ワーナー
   パトリシア・リー
   ジェローム・イーデン

 スプラッター映画の元祖ハーシェル・ゴードン・ルイスの代表作(「カラー・ミー・ブラッド・レッド」を代表作に入れるかどうかは意見の分かれるところだと思うが…)3本を収録したブルーレイ。日本盤はディスク1枚で3枚分の値段というバブルな価格設定が物議を醸した(?)が、こちらはちゃんとディスク1枚分金額しか取らない良心的価格の米国盤だ。
 まあ、それはいいとして、日米共に同一マスターを使用したBDの画質は玉石混合。そもそもH・G・ルイスの作品というのは超低予算のインディペンデントで、ぶっちゃけ言ってしまえばアングラ映画である。素人に毛の生えたような演出とカメラワーク、無名俳優たちによる学芸会レベルの演技、手抜きだらけのアフレコとSE。とりあえず独創的過ぎる脚本のシュールな面白さや、徹底的な人体破壊にこだわったスプラッター・シーンの時代を先駆けた過激さは魅力だし、それこそがH・G・ルイス映画の醍醐味なわけだが、そうは言ってもゲテモノ映画であることに変わりはあるまい。なので、スタジオ作品のようなフィルムの保存状態など期待できるはずもなく。
 とりあえず、エジプト人の雑貨屋が美女たちを次々と神の生贄にする出世作「血の祝祭日」は最も状態がいい。部分的にフィルムの白いキズがパチパチするし、シーンによっては多少シャープネスが甘かったりするが、それ以外は目立った劣化や損傷もなく、全体的には意外なくらいに精細かつ鮮明な画質だ。ただ、それだけにフェードアウトやオーバーラップなどの編集技術の粗雑さが際立ってしまうという難点はあるのだけれど、まあ、それもまたC級映画ならではの味わいだろう。モノラル音声もまずまずの合格点。
 で、画質・音質の両方で最も状態が悪いのは、南北戦争で滅んだ南部の町の住人たちが幽霊になって北部からの旅行者を血祭りにあげる傑作「2000人の狂人」。個人的に3本中最も好きな作品だけに残念だ。冒頭からフィルムの退色が目に見えて明らかな上、中盤に差し掛かると大きなノイズやキズがそこかしこに。確か旧DVD盤も全く同じ状態だった。恐らく、この作品はオリジナルネガやマスターポジが残っておらず、使い古した上映用プリントからテレシネしているのではないかと思われる。音声もヒスノイズが全編に渡ってバッチリ入っており、セリフは十分に聞き取れるものの、やはり耳障りで気になってしまう。
 スランプに悩む画家が人間の生血を絵の具代わりに使うという「カラー・ミー・ブラッド・レッド」は、H・G・ルイスのフィルモグラフィーの中でもかなり微妙な位置にある作品。本BDに収録されているフィルムのクオリティについても、なんというか、良くもなく悪くもなくといった按配。これもまた恐らく上映用プリントなのだろう。フィルムの破損や劣化は全体的に少なく、そういう意味では保存状態良好なのだが、ディテールの粗さが複製を重ねていることを物語っている。
 そして、監督と製作者の音声解説を含む特典は、各作品の旧DVD盤からそのまま移植したもの。ただし、日本盤の音声解説はバタリアンズ(山口雄大&井口昇)のものに差し替えられている。短編の「Carving Magic!」は肉料理の切り方や盛り付け方を解説した教育映画で、「血の祝祭日」と「2000人の狂人」に出ている俳優トーマス・ウッドことウィリアム・カーウィンが出演している。また、「Follow That Skirt!」はH・G・ルイス作品にインスパイアされたと思しき短編スプラッター。恐らく、成人映画として作られたのだろう。
 なお、いずれの作品もオリジナルの画面比はスタンダードサイズなのだが、ブルーレイ化に際して映像の上下をカットしてビスタサイズに変更されている。なので、H・G・ルイス・マニアであれば旧DVD盤も手放せないかもしれない。

 

 

血の魔術師 / ゴア・ゴア・ガールズ
The Wizard of Gore (1970)/The Gore Gore Girls (1972)

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(P)2012 Something Weird Video/Image Entertainment (USA)

血の魔術師
The Wizard of Gore

ゴア・ゴア・ガールズ
The Gore Gore Girls

画質★★★★☆ 音質★★☆☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★☆☆☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/95分/制作国:アメリカ
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/80分/制作国:アメリカ
<特典>
ハーシェル・ゴードン・ルイス監督による音声解説(両作品)
オリジナル劇場予告編集
フォト・ギャラリー
監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス
製作:ハーシェル・ゴードン・ルイス
脚本:アレン・カーン
撮影:ハーシェル・ゴードン・ルイス
音楽:ラリー・ウェリントン
出演:レイ・セイガー
   ジュディ・クレー
   ウェイン・レイテイ
   フィル・ローレンソン
監督:ハーシェル・ゴードン・ルイス
製作:ハーシェル・ゴードン・ルイス
脚本:アラン・J・ダックマン
撮影:アレックス・アメリ
音楽:ハーシェル・ゴードン・ルイス
出演:フランク・クレス
   エイミー・ファレル
   ヘッダ・ルービン
   ヘニー・ヤングマン

 「悪魔のかつら屋」('68)以降、しばらくホラー映画から遠ざかっていたハーシェル・ゴードン・ルイス監督が、さらに過激なスプラッターてんこ盛りで世に送り出した'70年代の代表作「血の魔術師」と「ゴア・ゴア・ガールズ」。まさに狂い咲きというかなんというか、女性の顔面をたたきつぶして目玉をくり抜いたり、パンチマシンでドテッ腹に穴を開けて内蔵を引きずり出したりと、それこそ神をも恐れぬエゲツなさ。メジャー映画ではまだまだ血みどろ描写が憚られた時代に、よくぞここまでやったもんだと感心せざるを得ない。特にマジシャンが催眠術を悪用してステージ上で殺戮を繰り返す「血の魔術師」は、その独創的でシュールなストーリー展開も手伝って、映画史の裏街道に燦然と輝く稀代の怪作となった。
 そんなスプラッター映画ファン必見の2本をカップリングしたブルーレイ。内容は日本盤とほぼ同じ。値段は日本盤の半値以下。というか、上記の3本立てもそうなのだが、なぜオリジナル特典の音声解説をバタリアンズのものに差し替えてしまったのか。本人たちからしか聞けない撮影の舞台裏や、俳優を含む関係者の素顔などの面白い話がたっぷりと語られているのにね。
 とまあ、日本盤を買ったわけでもない自分が文句を言うのも筋違いな気もするので、さっさとBDレビューを片付けちまおう。まずは「血の魔術師」。画質的には概ね良好。フィルムそのものの経年劣化によるキズやノイズは散見されるものの、輪郭はシャープだし質感の再現力もバッチシ。間違いなく過去ベストの高画質と言えるだろう。ただ、モノラル音声の状態は悪し。セリフは問題なく聞き取れるものの、全編に渡ってヒスノイズが鳴りまくっている。
 一方の「ゴア・ゴア・ガールズ」も、輪郭と質感は十分にブルーレイ・クオリティ。…なのだが、こちらは更にフィルムの劣化が激しく、かなり大胆なキズや汚れがそこかしこに見て取れる。モノラル音声の状態も「血の魔術師」と同様。両作品とも素材がオリジナルネガなのかマスターポジなのかは分からないが、少なくとも上映用の複製フィルムを使用しているわけではないことは一目瞭然なので、ひとえに保存状態の悪さが惜しまれる。

 

 

血の唇
House of Dark Shadows (1970)

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(P)2013 Warner Home Video (Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(日本盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:1.0ch DTS-HDマスターオーディオ/言語:英語/字幕:日本語・英語/地域コード:ALL/97分/制作国:アメリカ

<特典>
オリジナル劇場予告編
監督:ダン・カーティス
製作:ダン・カーティス
脚本:サム・ホール
   ゴードン・ラッセル
撮影:アーサー・オーニッツ
音楽:ロバート・コバート
出演:ジョナサン・フリッド
   ジョーン・ベネット
   グレイソン・ホール
   キャサリン・リー・スコット
   ロジャー・デイヴィス
   ナンシー・バレット
   ジョン・カーレン

 昼メロなのにホラー、しかも吸血鬼やら魔女やらタイムスリップやら何でもアリの奇想天外なストーリー展開。いろいろな意味で異色過ぎる作風からアメリカでは社会現象となったものの、残念ながら日本では放送されなかったテレビシリーズ“Dark Shadows”の、これは人気キャラである吸血鬼バーナバス・コリンズにまつわるエピソードで構成された劇場版だ。
 トータルで1225本という驚異のエピソード数を誇る“Dark Shadows”で、バーナバスが主人公を務めたエピソードは594本。つまり半分にも満たない。呪われたコリンズ家の複雑怪奇かつ波乱万丈な歴史を描いた同シリーズにおいて、実はバーナバスは数ある主要キャラクターの一人に過ぎなかったのだ。ただ、残酷な運命と過去の悲恋を背負ったロマン主義的な人物像はファンの間でも特に人気が高く、“Dark Shadows”といえばバーナバスと呼ばれるほどの看板キャラクターとなった。
 本作は“Dark Shadows”の壮大な大河ドラマから彼に関わる部分だけを抽出して再構築し、テレビ版のオリジナル・キャストを揃えて劇場用に撮り直しされている。なので、ティム・バートン版リメイク「ダーク・シャドウ」は、オリジナル・シリーズよりもこちらをルーツにしていると考えてもいいかもしれない。
 日本でも当時はロードショー公開され、レンタルビデオ全盛期にはVHSソフト化もされたのだが、それ以来長いこと日本では見ることができなかった。それがようやく、リメイク版ヒットの余波で米ワーナーがブルーレイでの再発を決めたことから、それに合わせて日本盤もリリースされたというわけだ。
 オリジナル・シリーズはテレビドラマゆえに血生臭い描写を盛り込むことができず、ホラーというよりもダーク・ファンタジー風の愛憎劇だったのに対し、この劇場版「血の唇」はイギリスのハマー作品を彷彿とさせるストレートなゴシック・ホラーに仕上がっている。テレビ版のような荒唐無稽もなし。ダン・カーティス監督らしく古典的な怪奇ムードを重視した、まさに王道系のヴァンパイア映画と言えよう。
 で、日米ほぼ同時発売となったブルーレイ盤。画質的にはまずまずといった按配なのだが、オープニングの鮮やかなクレジットタイトルに比べて、全体的にはややディテールのきめ細かさに欠ける印象。もちろん、過去のVHSや米国盤LDと比較すれば段違いのハイクオリティと言えるだろう。音声はシンプルに1.0チャンネルのモノラルなのだが、経年劣化による雑音などは殆どなし。非常にクリアだ。唯一、特典が予告編のみというのは少々寂しい。

 

 

血の唇2
Night of Dark Shadows (1971)

NIGHT_OF_DARK_SHADOWS.JPG
(P)2012 Warner Home Video (Japan)
画質★★★★☆ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:1.0ch DTS-HDマスターオーディオ/言語:英語/字幕:日本語・英語/地域コード:ALL/94分/制作国:アメリカ

<特典>
オリジナル劇場予告編
監督:ダン・カーティス
製作:ダン・カーティス
脚本:サム・ホール
撮影:リチャード・ショア
音楽:ロバート・コバート
出演:デヴィッド・セルビー
   ケイト・ジャクソン
   ララ・パーカー
   グレイソン・ホール
   ジョン・カーレン
   ナンシー・バレット

 前作のヒットを受けて作られた劇場版第2弾。当初はバーナバスを主人公にした純粋な続編となるはずだったらしいのだが、タイプキャストを心配したジョナサン・フリッドが再登板を断ったことから、テレビ版シリーズ後期に登場して人気の沸騰したコリンズ家の祖先であるイケメン貴公子クエンティンを主人公に据えることとなった。
 ところが、蓋を開けてみるとクエンティンの設定が現代の画家へと変更され、その他のオリジナル・キャストたちの大半もテレビ版とは全く違う役柄で登場。当時の観客は面食らってしまったという。そもそもテレビ版シリーズで魔女アンジェリークと愛憎関係にあったのはバーナバスであり、クエンティンではない。恐らく、ダン・カーティスはバーナバスとアンジェリークをメインにした脚本を用意しており、ジョナサン・フリッドの起用が不可能と分かった段階でクエンティンに差し替えたのではないか。ヨーロッパ的なセンチメンタリズムを漂わせたゴシック・ロマンスとして優れた作品だと思うのだが、オリジナル版との違いがファンの不評を買ってしまったのか、残念ながら興行成績は前作に及ばなかった。
 日本での劇場公開は見送られ、テレビ放送やビデオ発売もなかったことから、こちらのブルーレイ盤が本邦初公開。画質・音質共に上記の1作目とほぼ同レベルと言えるだろう。フィルムの保存状態はすこぶる良好なのだが、全体的に輪郭が滲んでしまっており、いまひとつ鮮明度に欠けるきらいがある。なので、DVDでの鑑賞でもあまり画質の差は感じられなかったかもしれない。

 

 

Student Bodies (未) / 新・ジキルとハイド氏
Student Bodies (1981)/Jekyll & Hyde Together Again (1982)

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(P)2011 Legend Films/Paramount Pictures (USA)

Student Bodies

新・ジキル博士とハイド氏
Jekyll & Hyde Together Again

画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆ 画質★★★☆☆ 音質★★★☆☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/86分/制作国:アメリカ
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:1.78:1/HD規格: 1080p/音声:モノラル/言語:英語/字幕:なし/地域コード:A/87分/制作国:アメリカ
監督:ミッキー・ローズ
製作:マイケル・リッチー
脚本:ミッキー・ローズ
撮影:ロバート・エビンジャー
音楽:ジーン・ホブソン
出演:クリステン・リッター
   マシュー・ゴールズバイ
   ジェリー・ベルソン
   ジョー・フラッド
   ジョー・タラロウスキー
   ミミ・ウェデル
監督:ジェリー・ベルソン
製作:ローレンス・ゴードン
脚本:モニカ・ジョンソン
   ハーヴェイ・ミラー
   ジェリー・ベルソン
   マイケル・リーソン
撮影:フィリップ・H・ラスロップ
音楽:バリー・デヴォーゾン
出演:マーク・ブランクフィールド
   ベス・アームストロング
   ティム・トマーソン
   クリスタ・エリックソン

 パラマウント映画のライブラリーは現在オリーヴ・フィルムズという会社がライセンス契約をしてブルーレイ化しているが、それ以前はクラシック映画の修復業務で知られる会社レジェンド・フィルムズが許諾を受けていた。これは、その頃にリリースされたもの。'80年代初期のマニアックなホラー・コメディ2本立てだ。
 日本未公開の「Student Bodies」は、当時大ブームだったスラッシャー映画をパロディにした作品。要するに「最終絶叫計画」シリーズの元祖であり、スラッシャー映画のお約束を皮肉っているという意味では「スクリーム」を先駆けた映画とも言えるだろう。ザッカー=エイブラハム=ザッカーの「フライングハイ」から影響を受けたであろうナンセンスでスラップスティックなギャグは、ぶっちゃけ数打ちゃ当たる的なノリが否めなかったりするものの、マニアならば思わず“そうだよね”とほくそ笑んでしまうネタも多し。その先見性を含めて一見の価値ある作品だ。
 一方の「新・ジキル博士とハイド氏」は、日本では過去にVHSソフトとして発売されたことがある。薬で人格が豹変するという設定以外はロバート・スティーブンソンの原作をほぼ無視(笑)し、下ネタや差別ネタなど過激なブラックなジョークを全編に散りばめつつ、ドラッグや医療格差、性風俗などの社会問題を痛烈に皮肉った作品。当時テレビのお笑い番組で脚光を浴びていたコメディアン、マーク・ブランクフィールドのハイテンションな怪演も見ものだ。
 で、ブルーレイ化に当たって特にレストア作業などは行われなかったらしく、両作品ともに画質は今ひとつ。フィルムのキズや汚れなどがそのまま残されており、カラコレなどの映像補正も全くされていないため、オリジナルマスターの経年劣化がそのまま画質に反映されている。メジャースタジオの作品なので、さほど保存状態は悪くないというのがせめてもの救いだが、それでも少なからず不満は残るだろう。

 

 

ザ・グリード / ブレイン・スナッチャー 恐怖の洗脳生物
Deep Rising (1998)/The Puppet Masters (1994)

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(P)2012 Mill Creek Entertainment (USA)

ザ・グリード
Deep Rising

ブレイン・スナッチャー
/恐怖の洗脳生物
The Puppet Masters

画質★★★★☆ 音質★★★★☆ 画質★★★★★ 音質★★★★☆
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格: 1080p/音声:5.1ch DTS-HDマスターオーディオ(英語)、2.0chドルビーステレオ(スペイン語)、5.1chドルビーサラウンド(フランス語)/言語:英語・スペイン語・フランス語/字幕:英語/地域コード:A/106分/制作国:アメリカ

<特典>
オリジナル劇場予告編
ブルーレイ仕様(北米盤)
カラー/ワイドスクリーン(スクィーズ収録)/画面比:2.35:1/HD規格: 1080p/音声:2.0ch DTS-HDマスターオーディオ(英語)、2.0chドルビーステレオ(スペイン語・フランス語)/言語:英語・スペイン語・フランス語/字幕:英語/地域コード:A/109分/制作国:アメリカ

<特典>
なし
監督:スティーブン・ソマーズ
製作:ローレンス・マーク
   ジョン・バルデッキ
脚本:スティーブン・ソマーズ
撮影:ハワード・アザートン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:トリート・ウィリアムス
   ファムケ・ヤンセン
   アンソニー・ヒールド
   ケヴィン・J・オコナー
   ジェイソン・フレミング
   ジャイモン・フンスー
   デリック・オコナー
   クリフ・カーティス
監督:スチュアート・オーム
製作:ラルフ・ウィンター
原作:ロバート・A・ハインライン
脚本:テッド・エリオット
   テリー・ロッシオ
   デヴィッド・S・ゴイヤー
撮影:クライヴ・ティックナー
音楽:コリン・タウンズ
出演:ドナルド・サザーランド
   エリック・サール
   ジュリー・ワーナー
   キース・デイヴィッド
   ウィル・パットン
   リチャード・ベルザー
   ヤフェット・コットー

 ソニー・ピクチャーズ作品のリイシューの多いミル・クリーク・エンターテインメントだが、その一方でディズニーやワーナーなどともライセンス契約を結んで、旧作をDVDおよびブルーレイにて再発している。で、これは今はなきディズニーの子会社ハリウッド・ピクチャーズが製作したSFホラーの2本立て。どちらも劇場公開時には興行的な失敗を喫したものの、だからといって必ずしも出来が悪いというわけではない。
 特に「ザ・グリード」は、ハリウッド・ピクチャーズらしからぬグロ描写満載のゲテモノSFパニック・ホラーであり、当時コテンパンに酷評されたのが信じられないくらいの怪作。まあ、好き嫌いが極端に分かれる映画だろうなとは思うのだが、個人的には大好物だ。一方の「ブレイン・スナッチャー/恐怖の洗脳生物」も、当時は原作者ハインラインのファンから総スカンを食らってしまい、日本ではビデオストレート扱いという憂き目にあった作品だが、侵略型SFホラーとして及第点レベルくらいには健闘していると思う。確かにドナルド・サザーランド主演という点も含めて、傑作「SF/ボディ・スナッチャー」の二番煎じと言われてしまえばそれまでなのだけれど。
 で、そんな2作品をカップリングした本BD。どちらもDVDに使用したマスターをそのまま流用しているらしく、特にレストア処理などは施されていないように見受けられる。とはいえ、それほど古い作品ではないので素材の状態は良好。中でも「ブレイン・スナッチャー」は新作と見まごうばかりの高画質だ。その点、DVDとほぼ印象の変わらない「ザ・グリード」は若干の物足りなさが否めない。
 DTS-HDにアップグレードされた音声に関しても十分過ぎるくらい合格点。贅沢を言えば、「ブレイン・スナッチャー」の2.0chを5.1chないし6.1chにリミックスしてくれればモアベターだったのだけれど。特典映像が「ザ・グリード」の予告編だけというのも寂しい感じ。まあ、廉価版なので仕方ないか(笑)。

 

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