DANCE SINGLES REVIEW
PART 3

 

 

 久々のディスク・レヴューです。まあ、いろいろと他に聴きたい音が沢山あったので、クラブ系の音にはそれほど力を入れていなかったというのもあるんですけど。それでも一応はクラブ・チャートだったり、クラブ系の情報サイトはチェックしてはいたのですが、どうもこうガツンッと来るような作品に巡り会えなかったんですね。それは多分、実際にクラブに足を運ぶことが全くなくなってしまった事も大きな一因ではあると思うのですが、それと同時にそろそろハウスやテクノもネタが尽きてきたのかな、ってとこなんでしょうね。きっと。
 それでも、エレクトロ系の音は少なからず面白いものがあります。一方で、歌ものハウスやハード・ハウス、プログレッシブ・ハウス、テクノ辺りはすっかり飽和状態ですね。あと、クラブ系のマーケット自体がどんどんアンダーグラウンド化してしまって、ほとんどプロモ盤や限定プレスでしか手に入らなくなってきてしまったという現状もあります。特にアメリカのダンス系レーベルはネットのダウンロード・ビジネスが主流になってしまい、CDは殆んど出さなくなってしまいました。まあ、ダウンロードで手に入るのだからいいのかもしれませんが、コレクションする楽しみが無くなってしまったのはちょっと寂しいところ。それも時代の流れなんでしょう。特に、クラブ系の音は今や水ものも同然の状態ゆえに、コレクションしてまで手元に残しておきたいような作品が少ないのもまた事実なわけだし。
 まあ、そんなこんなで、この1年間で特に印象に残っている作品を紹介しておきます。

 

 

MR_DJ.JPG I_WISH_U_WOULD.JPG 13TH_STREET_NEW_YORK_CITY.JPG WHEN_LOVE_BECOMES_A_LIE.JPG
Mr DJ (2007) / Charlean Dance

I Wish U Would (2007)
/ Martijn Ten Velden

13 Street New York City (2007)
/ Cumana & Bridges feat. Eva

When Love Becomes A Lie (2007) / Liz Kay

(P)2007 Positiva/EMI (UK) (P)2007 Phonetic/Robbins (USA) (P)2007 Kult Records (USA) (P)2007 AATW/Universal (UK)
1,Radio Edit 2:59 ビデオ
2,Club Mix 5:33
3,Moto Blanco Remix 7:24
4,Richard Grey Remix 6:52
5,Speakerjunk's Tarantula Remix 5:35
6,JC Productions Remix 4:34
7,Paleface Remix 5:58
bonus video clip

produced by Sticky & Count De Money.
1,Radio Edit 3:12 ビデオ
2,Bermudez & Preve Radio Edit 3:32
3,Original Club 8:35
4,Bermudez & Preve Club Mix 9:16
5,Hook & Sling Remix 7:45
6,Whelan & Di Scala Remix 7:10
7,Luetzenkirchen Remix 6:42
8,Original Dub 8:34
9,Bermudez & Preve Dub 7:45

produced by Martijn Ten Velden
#2,4,&9 remixed by Joe Bermudez & Francis Preve
#5 remixed by Hook & Sling
#6 remixed by Whelan & Di Scala
#7 remixed by Luetzenkirchen
1,Original Retro Funky House Mixshow Edit 6:22
2,E.G. Electrohouse Mixshow Edit 4:55
3,Original Retro Funky House Extended Vocal Mix
   7:36
4,E.G.Electrohouse Extended Vocal Mix 6:58
5,Will Monotone vs Fama Big Room Dub Mix 8:25
6,Arenna Extended Electric Vocal Mix 7:56
7,Nikos Toscani Tech House Extended Vocal Mix
   7:32
8,Arenna Extended Alternative Vocal Mix 7:59
9,Shalven Extended Progressive Vocal Mix 8:41
10,D-Lav Extended Grondin Vocal Mix 7:57
11,A Capella 5:04

produced by Eddie Cumana & Stuart Bridges
#2&4 remixed by Enzo Ginosa
#5 remixed by Fama
#7 remixed by Nikos Toscani
#6&8 remixed by Victor Diniz & Esteverson Morae
1,Radio Edit 3:06 ビデオ
2,Ballad Version 3:44
3,Cascada Remix 4:20
4,Extended Mix 5:02
5,Dancing DJs Remix 6:19
6,Flip & Fill Remix6:38
7,Riffs & Rays Remix 8:19

produced by Manuel Reuter & Yann Peifer
 最近で一番のお気に入りがコレですね。カッコいいです。アシッド・ジャズをベースにしつつ、ハウスやエレクトロの要素をふんだんに盛り込んだ、クールでお洒落なガラージ・ハウス。これっぽっちもスノッブにならず、思い切りキャッチーなのも好印象。ソフトでエロい感じのボーカルもスムースで気持ち良いです。ベストなミックスは#1と#2かな。80'sなテクノ感が爆発のエレクトロ・ミックス#5もお茶目でユニーク。  オランダ出身で、現在はUKを中心に活躍するベテランDJ、マーティン・テン・ヴェルデンのシングルで、これが恐らく全米デビュー盤。多分。ビルボードのホット・ダンス・エアプレイで最高12位をマークしています。とってもノーティな感じのエレクトロ・ハウス。お下品でアバズレな感じの女性ボーカルは好き嫌いが分れるかもしれませんけど、音的には非常にファンキーでカッコいい仕上がり。  ダイナミックスの片割れエディ・クマーナがスチュアート・ブリッジスとコンビを組んだクマーナ&ブリッジスによるシングル。基本的にはジャズ・ファンクっぽいムードのガラージ・ハウスで、いかにもニューヨークのアンダーグランドな雰囲気を伝えてくれる猥雑なナンバー。個人的には#2と#4のエレクトロ・ミックスがお気に入り。昔のフリースタイルっぽい硬質なテクノ感が気持ち良いです。  エリザ・クルールの名前でも知られ、ドイツを中心に活躍するオランダ出身の女性ボーカリスト、リズ・ケイのヒット・シングル。フィンランドでは最高11位をマークしたそうです。まさにバブルガムな感じの王道系ユーロ・ポップ・トランス。ほど良く哀愁を帯びたメロディもキャッチーで、どことなく懐かしさを漂わせるナンバー。ちょうど、80年代のレディ・リリーやターシャ辺りを思わせる感じですね。結構好きです。

FREE_MY_LOVE.JPG LUCKY.JPG GUILTY.JPG FALL_IN_LOVE.JPG

Free My Love (2007)
/ Suzanne Palmer

(Maybe You'll Get) Lucky (2007)
/Soundbluntz featuring Cheyne

Guilty (2007)
/ De Souza ft. Shena

Fall In Love (2007)
/ Melinda Jackson

(P)2007 Star 69 (USA) (P)2007 Gut Records (UK) (P)2007 Hed Kandi (UK) (P)2007 SPY/MGM (Australia)
1,David Morales Remix 10:30
2,The Tube Guys Remix 8:28
3,Offer Nissim Remix 8:40
4,Peter Bailey Remix 8:27
5,Jose Spinnin Remix 8:44
6,Alyson Calagna & Thomas Penton Remix 8:28

produced by David Morales.
#2 remixed by Roberto Intrallazzi & Luca Provera
#3 remixed by Offer Nissim
#5 remixed by Jose Spinnin Cortez

1,Smax & Gold Radio Mix 2:39
2,F's Radio Edit 2:52 ビデオ
3,Smax & Gold Remix 8:04
4,Hoxton Whores Remix 6:18
5,Ibiza Sunrise Mix 7:35
bonus video

produced by The Sound Bluntz
#1&3 remixed by Eric Smax & Thomas Gold
#4 remixed by Hoxton Whores.

1,Radio Edit ビデオ
2,Club Mix
3,Bimbo Jones Remix
4,Eddie Thoneick Remix
5,Smooth Edit
bonus video

produced by Chris Morris & Chris Allen
#3 remixed by Marc JB & Lee Dagger
#4 remixed by Eddie Thoneick
1,Radio Edit 3:43 ビデオ
2,L'amore Mix 4:02
3,Van She Tech Mix 5:06
4,L'amore vs The Audio Thieves 6:48
5,Van She Tech Dub Mix 4:51
6,Radio Rap 3:42

produced by Sam Littlemore
#3&5 produced by Van She Tech.
 さすがスザンヌ姐さん。ゲイ・ディスコの王道を行くパワフルなハード・ハウス・ナンバーです。ただ、さすがにマンネリ化してきた感は否めず、ビルボードのダンス・チャートでも最高27位とイマイチ奮わず。悪くはないんですけどね。オネエ様方にはバッキンバッキンにトライバルなハード・ハウスに仕上がった#2がオススメでしょうか。ディープでプログレッシブな#4も捨て難し。モラレスのミックス#1が何故だか一番地味です。  5年前にマイケル・ジャクソンの“ビリー・ジーン”のカバーで当てたカナダ出身のDJユニット、サウンドブランツの最新シングル。派手でイケイケなディスコ・ハウスです。個人的にはキラキラしたストリングス(打ち込みですが)がゴージャスな#2がとてもお気に入り。これのエクステンデッドを収録して欲しかった。それにしても、このシェインという女性ボーカリスト、クリスタル・ウォーターズにそっくりなんですよね、声が。  派手さではこちらも負けておりません。バーブラ・ストレイサンドの“Make It Like A Memory”をサンプリングしちゃってる辺りなんかモロにツボですね。このゴージャス感、大箱でバンバン盛り上がること必死でしょう。特に古いオネエ様方たちが(笑)。やっぱりベスト・ミックスは#1と#2ですかね。ストリングスをバンバン使いまくった#5の、やり過ぎなまでのドラマチックさも捨て難いものがあります。  オーストラリアのダンス・ポップ・クィーン、メリンダ・ジャクソンのセカンド・シングル。まさに80年代ノリのバブルガムなダンス・ポップ・ナンバー。ただ、ユーロビートというよりも、ゴーゴーズとか、ベル・スターズとか、その辺りに近い路線ですかね。微妙にミッシング・パーソンズっぽいところも(笑)。もちろん、しっかりとエレクトロやハウスのエッセンスも盛り込んでいて、何も考えずに楽しめる作品に仕上がってます。

HEATER.JPG GET_DOWN.JPG CRY_FOR_YOU.JPG ELECTRO.JPG

Heater (2007) / Samim

Get Down (2007)
/ Groove Armada

Cry For You (2006)
/ September

Elektro (2006)
/ Outwork featuring Mr.Gee

(P)2007 Data Records (UK) (P)2007 Sony BMG (UK) (P)2006 Catchy Tunes (Finland) (P)2006 Defected (UK)
1,Radio Edit 3:00 ビデオ
2,Album Version 6:28
3,Claude Vonstroke Remix 6:57
4,Diplo Remix 3:57

produced by Samim Winiger.
#3 remixed by Claude vonStroke
#4 remixed by Diplo
1,Get Down ビデオ
2,Calvin Harris Remix
3,Henrik B Remix
4,Stretch & Form Remix

produced by Andy Cato & Tom Findlay
#2 remixed by Calvin Harris
#3 remixed by Henrik B. Mastered
#4 remixed by Professor Stretch & Adam Form.
1.Single Edit 3:30 ビデオ
2,Radio Extended 5:25
3,Jackal Remix Short 4:00 ビデオ
4,Jackal Remix Long 5:48

produced by Jonas von der Burg
#3&4 remixed by The Jackal
1,The Cube Guy's 'Delano' Remix ビデオ
2,Joey Negro Club Mix
3,Scott Wozniak Remix
4,Robbie Rivera Mix
5,Video

produced by The Cube Guys
#2 remixed by Dave Lee
#3 remixed by Scott Wozniak
#4 remixed by Robbie Rivera
 UKで話題沸騰のアコーディオン・ハウス。アルベルト・パチェコの“La Cumbia Cienaguera”をサンプリングした、ラテン風味のお気楽ナンバーです。サミムというのは、スイスを拠点に活躍するペルシャ系の人気DJ、サミム・ウェインジャーのこと。ミニマルなサウンド・プロダクションはセンス抜群です。トライバル感を全面に押し出した#3も気持ち良し。  相変わらずお下品でファンキーで愉快なグルーヴ・アーマダ。やっぱカッコいいね〜。今回は、中でもスウェーデン出身のDJ、ヘンリク・Bの手掛けたミニマルでトライバルなエレクトロ・ミックス#3が猛烈に素晴らしい出来映え。この打ち込みのカッコ良さときたら!カルヴィン・ハリスの#2も悪くないですね。でも、ドラムン・ベースに仕上げた#4はちょっとやり過ぎ。  スウェーデンの人気ダンス・ポップ・グループ、セプテンバーのシングル。個人的にあまり好きではないグループなんですけど、このシングルはそこはかとない哀愁感が絶妙で、とても繊細なタッチのユーロ・ディスコに仕上がっています。80年代ジャーマン・ユーロ風のエレクトロ・ハウスに仕上がったリミックス#3と#4もまずまずの出来映え。派手過ぎないのがミソですね。  イタリアのDJ、ピエトロ・ベルティによるユニット、アウトワークのファースト・シングル。ガラージ風味のファンキーなエレクトロ・ハウスです。ジャケ写の女性は全然関係がなくって、ボーカルを取っているのはミスター・ジーという男性。ジョーイ・ネグロが手掛けた#2は、いかにもデイヴ・リーらしいディスコティックな仕上がり。#3と#4はどちらも遊びが過ぎてしまい、逆に退屈です。

DESTINATION.JPG LETS_GET_DOWN.JPG PARTY_ALL_THE_TIME.JPG ONE_DAY.JPG

Destination (2006) / Jacinta

Let's Get Down (2006)
/ Hernandez vs DJ Tyo

Party All The Time (2006)
/ Sharam

One Day (2006) / Madison Park

(P)2006 Chunky Music (USA) (P)2006 No Label/Robbins (USA) (P)2006 Data Records (UK) (P)2006 Basic Lux (USA)
1,Peter Presta-Elektribal Club Mix 7:34
2,Friscia & Lamboy-Club Mix 9:12
3,Peter Presta-Elektribal Dub Mix 7:34
4,Friscia & Lamboy-Dub Mix 7:58
5,Pleasure Center-Club Mix 8:41
6,JAC&Barnes-Club Mix 7:17
7,Acapellas 3:41

produced by Anton Bass
1,Vocal Radio Mix 3:25
2,Original Radio Edit 3:18
3,Extended Vocal Mix 5:54
4,Club Dub 6:50
5,Da Loop Brothers Remix 7:20
6,Dub Luxe Remix 8:33
7,Power Extended 6:00

produced by Franco Amato & Andrea de Antoni
#5&6 remixed by Dub Deluxe
1,Radio Edit 2:16 ビデオ
2,Orignal 10:38
3,Fedde Le Grand Remix Edit  3:35
4,Tocadisco's Bombenalarm Mix 6:32
5,Dennis Christopher Dirty Edit 6:56
6,Uniting Nations Remix 6:38
bonus video

produced by Sharam
#3 remixed by Fedde Le Grand
#4 remixed by El Tocadisco
#5 remixed by Simmons & Christopher
#6 remixed by Paul Keenan & Daz Sampson
1,Lenny B/J.A.C.E. Electro Radio Edit 3:56
2,Mike Rizzo Global Club Extended Mix 7:25
3,Lenny B/J.A.C.E. Extended Electro Club Mix
   6:30
4,Peter Haze Dub 9:46
5,GXR Euro-Trance Mix 5:46
6,Mike Rizzo Global Club Radio Edit 3:29
7,GXR Euro-Trance Radio Edit 4:00 ビデオ
8,Original Mix 3:17

produced by DeAnna Cool & James Cool
#1&3 remixed by Lenny Bertoldo & James Cool
#2&6 remixed by Mike Rizzo
#4 remixed by Peter Haze
#5&7 remixed by GXR (Simon Cooper & Phil Webb)
 オーストラリア出身の女性ボーカリスト、ジャシンタの全米におけるセカンド・シングル。ビルボードのダンス・チャートで23位をマークしています。このシングルはリミックス盤で、CD-R仕様で限定数発売されたもの。いかにもゲイ・ディスコ向けの歌ものハード・ハウスです。ただ、歌い上げるディーバ系ではなく、ユーロ・ハウス・タッチのミステリアスなポップ・ナンバー。そこはかとない叙情感が好みです。  こちらもゲイ・ディスコ受けバツグンのキャッチーなディーバ系ディスコ・ハウス。どうもイタリア発のシングルらしく、そう言われれば全盛期のブラック・ボックスを思わせるようなイタロ・ハウス臭がプンプンしますね。なんとなく懐かしい雰囲気。ビルボードでもダンス・エアプレイで22位まで上りました。とりあえず、ファンキーでグルーヴィーなダブ・ミックス#4が一番のオススメ。ダブ・デラックスのリミックスは凝り過ぎ。  リック・ジェームズをサンプリングした、超キャッチーなディスコ・ハウス。ビルボードのグローバル・ダンス・チャートで最高5位を記録した他、ヨーロッパのナショナル・チャートでも初登場33位をマークしています。この手のダンス・ナンバーとしてはまずまずの健闘ぶりでしょう。やはりオリジナル・バージョン#2がベストですが、遊び心溢れるエレクトロ・ファンクに仕上げた#3もなかなかカッコいい出来映え。  “Ocean Drive”のクラブ・ヒットで知られる男女ユニット、マディソン・パークのシングル。残念ながらチャート・インはしませんでしたが、ダークでブルーな感じの非常に美しい哀愁系ポップ・ハウスです。リミックスの中では、耽美的で叙情感溢れるマイク・リッツォの#2と#6がベスト。オリジナルはかなりダウンテンポな作品ですが、こちらはスピード感があって気持ち良いことこの上なし。まさにリミックス・マジックです。

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