ブルジュ・ギュネシ Burcu Gunes

 

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 トルコの若手女性アーティストの中でも、特にずば抜けた人気と実力を誇っているスター、ブルジュ・ギュネシ。なんと言っても、その素晴らしい歌唱力には誰もが圧倒されるはずだ。小股の切れ上がった歌声、豊かな表現力と圧倒的な声量、そして天才としか思えないこぶし回し。もちろん、トルコの伝統音楽と時代のトレンドを融合させた、キャッチーでポップな楽曲の良さも大きな魅力だ。中でもバラードを歌わせたら天下一品。鳥肌ものである。
 ブルジュは1975年8月12日、エーゲ海に面するトルコ第2の都市イズミルで生まれた。父親がジャズ・ミュージシャンという音楽一家に育ち、12歳の頃には趣味で作詞・作曲を始めるようになったという。学生時代には父親のオーケストラで歌うようになり、リゾート地の高級レストランなどのステージに立つ。その卓越した歌唱力は、早くから関係者の注目を集めていたらしい。
 その後、18歳の時にイズミルの音楽学校に学び、数多くの音楽コンテストに優勝。自主制作したデモ・テープが大手レコード会社のディレクターに認められ、98年にファースト・アルバム“Ask Yarasi”でデビューを果たす。シングル“Alimallah”がヒット・チャートの1位に輝き、アルバムのセールスも大成功。彼女はその年最も注目された新人スターとしてメディアにも大々的に取り上げられた。
 さらに、2001年には大物プロデューサー、Erol Koseと組んだセカンド・アルバム“Tilsim”をリリース。ここからはタイトル・ソングや“Biz Aski Meleklerden Caldik”がシングル・カットされ、アルバムはトータル・セールス70万枚というトルコ音楽界では異例の大ヒットを記録している。2004年のサード・アルバム“Ay Sahit”では大半の楽曲で作詞・作曲を手掛けたほか、大先輩である大物女性シンガー・ソングライター、ナザン・オンジェルが2曲を提供。こちらも50万枚を超えるセールスを記録した。
 しかし、音楽的な方向性を巡って制作会社と意見が対立するようになり、本人が自分の契約権を買い取るという事態に発展。レコード会社も移籍し、2006年には4枚目のアルバム“Ben Ates Ben su"をリリース。それまでの歌謡ポップス路線から脱皮し、よりアーティスト性の高い洗練された作品に仕上がっていた。もちろん、ヒット・チャートでも1位をマークする大ヒットとなり、2008年にはこのアルバムからのシングル曲を丸ごとリミックスした企画盤“On The Club”までリリースされている。願わくば、そろそろオリジナルの新作が待ち遠しいところ。その点も含めて、これからの成長と活躍を是非とも期待したい女性アーティストだ。

 

TILSIM.JPG AY_SAHIT.JPG BEN_ATES_BEN_SU.JPG ON_THE_CLUB.JPG

Tilsim(2001)

Ay Sahit (2004)

Ben Ates Ben Su (2006)

On The Club (2008)

(P)2001 Karizma Muzik (Turkey) (P)2004 Cinar Muzik (Turkey) (P)2006 Seyhan Muzik (Turkey) (P)2008 Seyhan Muzik (Turkey)
1,Alayli
2,Zorba Ask
3,Cile Bulbulum ビデオ
4,Uzak Deglim ビデオ
5,Biz Aski Meleklerden Caldik ビデオ
6,Kahve Telvesi
7,Ask Kimlerde
8,Yansin Geceler ビデオ
9,Tilsim ビデオ
10,Yar Degidin
11,Ogut
12,Pardon
13,Gunes Dogacak
14,Tilsim (Remix)

produced by Erol Kose
1,Ay Sahit ビデオ
2,Sinfta Kal ビデオ
3,Yakisir
4,Uyan ビデオ
5,Sahilden ビデオ
6,Distortion
7,Savulun Yillar
8,Carpar
9,Kanim Kaynadi
10,Cografya
11,Uzagina Dustum
12,Son Mektup
13,Kulun Olayim
14,Ne Olacak
15,Alismak
16,Sahilden (Dance Version)

produced by Erol Kose
1,Olmazsan Olmaz ビデオ
2,Ben Yeter miyim? ビデオ
3,Gaip Yol ビデオ
4,Kaybol Benle ビデオ
5,Erteleme
6,Artik Ask Yok
7,Seven ビデオ
8,Takilir Aklim
9,Maske ビデオ
10,Gayya Kuyusu
11,Bu Gece ビデオ
12,Ozgurlugun Bedeli
13,Jamaika
14,Dogustan Boyleyiz
15,Yalan

produced by Burcu Gunes
1,Olmazsan Olmaz (Latino Mix)
2,Maske (House Mix) ビデオ
3,Kaybol Benle (H2O Mix)
4,Bu Gece (Electro Mix)
5,Yalan (Electro Mix)
6,Feel Your Love (Olmazsan Olmaz) ビデオ
 (Latino Mix)
7,Kaybol Benle (Club Mix) ビデオ
8,Yalan (Space Mix)
9,Bu Gece (Ethno Mix)
10,Maske (Radio Edit)
11,Kaybol Benle (Radio Edit)
12,Bu Gece (Radio Edit)

produced by Burcu Gunes
 70万枚を超えるセールスを記録したセカンド・アルバム。ここからはタイトル・ソング#9のほか、キャッチーなオリエンタル・ダンス・ポップ#1、トルコの古典的な民謡をカバーした#3、叙情的でドラマチックなバラード#5、スケールの大きなロック・バラード#8がシングル・カットされています。いずれもブルジュの圧倒的な歌唱力が存分に生かされた佳作ばかり。特に#5と#8は聴き応え十分。ただ、全体的にリリース当時でも若干古めかしいサウンド・プロダクションが気になるところ。妙に90年代を引きずっている印象なんですよね。  こちらも同じく、何となく90年代っぽさを漂わせたサード・アルバム。まあ、プロデューサーが同じだから仕方ないっすよね。また、全体的にダンス・ポップ路線を押し出しすぎてしまい、ボーカリストとしての聴かせどころを外してしまっているという印象も拭えません。とはいえ、90年代のユーロ・ディスコを彷彿とさせるポップでキャッチーな哀愁系ハウス#1はかなり好みだし、アラベスク風のオリエンタル・ディスコ#3は彼女の天才的なこぶし回しを堪能することが出来ます。相変わらずサウンド・プロダクションは古臭いけど。  大物プロデューサー、Erol Koseのもとを離れ、初めて自らプロデュースを手掛けた4枚目のアルバム。15曲中11曲で作詞・作曲を担当するという力の入れよう。楽曲のクオリティーはもちろんのこと、その堂々とした歌いっぷりにも並々ならぬ自信を感じさせる作品。アレンジも非常に洗練されています。今のところ、彼女の代表作と呼んでも構わない1枚ですね。70年代ディスコ風の哀愁ダンス・ナンバー#1や歌謡ロック風の#2、幻想的なオリエンタル・ディスコ#11といったシングル・カット曲以外にも、オススメの作品が満載。名盤です。  アルバム“Ven Ates Ben Su”からシングル・カットされた曲ばかりを丸ごとリミックスしてしまった企画盤。さすがに、トルコのDJにまでは詳しくないので、リミキサーたちの詳細については分かりませんが、サウンド・プロダクションを聴く限りではNYやパリのトップDJと比べても遜色のない仕事をしてますね。特に#1の程よいラテン風味と派手なパーカッションの絶妙なバランスの心地よさときたら!ヘヴィーなベースラインとプヨプヨしたテクノ・サウンドがクールな#4や、幻想的でドリーミーなトランス・ミックスに仕上げた#8などもオススメです。

 

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