タチャーナ・ブラノワ Tat'yana Bulanova
〜ロシア音楽界のプリンセス〜

 

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 ロシアで最も人気の高い女性ボーカリストの一人だ。1990年のデビュー以来、実に23枚のアルバムをリリースしており、数え切れないくらいのヒット曲を放っている。初期は軽めの歌謡ポップス、90年代半ば以降はテクノ・ポップスといった具合。当時はロシア音楽界そのものがまだ洗練されていなかった時代だったこともあって、個人的にはあまりマークしていなかったボーカリストだが、2004年のメガ・ヒット“Angel(天使)”辺りからアーティストとして急速な成長を遂げてきた。
 もともと、非常に歌の上手い人だとは思っていた。ロシア民謡風の独特のコブシ回しや、裏声を巧みに使った歌唱法はどこか甘酸っぱい響きを醸し出すし、とても女性的で凛とした清々しい声の持ち主だ。“Angel”は従来のテクノ・ポップス路線ではあったものの、メロディの完成度が非常に高く、タチャーナのセンチメンタルな歌声が美しく生えていて、おやっと思わされたものだった。さらに、同作を含むアルバム“Belaya Cheryomuha(野生のウワミズザクラ)”を聴いて、なるほどと大いに納得した。ロシア風のセンチメンタルなメロディを基調に、アコースティックからダンス・ポップスまでカラフルで鮮やかなサウンドを聴かせるアルバム。それまでのキャリアの集大成とも言える力作に仕上がっていた。とても丁寧に作り上げられた美しいメロディが秀逸で、このアルバムから本格的にアーティストとしてのタチャーナ・ブラノワが生まれたと言っても過言ではないかもしれない。

 タチャーナは1969年3月6日、サンクト・ペテルブルグ(当時のレニングラード)に生まれた。父親は船乗りで、14歳の頃からギターと歌を習い始めたという。1987年にレニングラード文化大学に入学し、89年に卒業。その後、レニングラード音楽劇場で音楽を学ぶが、あまりにも演劇的な学習内容に辟易して辞めてしまう。知人の音楽バンドに参加したのをきっかけにスカウトされ、90年にアルバム“25本のカーネーション”で歌手デビュー。91年には“Kak Djal(何て可哀想なの)”でヤルタ音楽祭に出場し、さらにサンクト・ペテルブルグのシュルーゲル音楽祭にてグランプリを受賞。たちまちトップ・シンガーとして活躍するようになり、1995年には3枚ものアルバムをリリースしている。当時のロシアの経済状況や音楽界の状況を考えると奇跡とも言える活躍ぶりだ。
 96年6月15日には交通事故で重傷を負うものの奇跡的に回復し、その年の10月にはモスクワで大規模なコンサートを行って話題をさらった。2004年にはシングル“Angel”が驚異的な大ヒットを記録し、改めてトップ・スターとしての存在を見せ付ける。私生活では最初の結婚で息子サーシャをもうけ、2005年に再婚したサッカー選手ヴラディスラフ・ラディモフとの間に今年第2子をもうけたばかり。その出産の直後には最新アルバム“Lyublyu i Skuchayu(愛して慕って)”をリリース。シャンソンやヒップ・ホップの要素を取り入れたバラエティ豊かなアルバムに仕上がっており、アーティストとしても女性としても円熟期を迎えたことを強く印象付けている。

※アルバム・タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記し、さらにその英訳を併記してあります。楽曲タイトルはロシア語を英語アルファベットで表記してます。

KRASNOE.JPG BELAYA_CHEREMUSHA.JPG LETELA_DUSHA.JPG LYUBULU.JPG

Krasnoe Na Belom (2002)
Red On White

Belaya Cheryomuha (2004)
Wild Birdcherry

Letela Dusha (2005)
Let My Soul Fly

Lyublyu i Skuchayu (2007)
I Love And Yearn

(P)2002 J.R.C. (Russia) (P)2004 APC Records (Russia) (P)2005 APC Records (Russia) (P)2007 Kvadro Disc (Russia)
1,Sluchainui Prohodjii
2,Odinokaya Strannitsa
3,Pozovi ビデオ
4,Prostoi Syudjet
5,Mehanicheskoe Serdtse
6,Minutui
7,Vse Tak Nado
8,Mne Vse Ravno
9,Beluii Procherk
10,Lyudi, Kak Ptitsui
11,Sluchainui Prohodjii (Karaoke Version)
12,Mne Vse Ravno (Karaoke Version)
13,Vse Tak Nado (Karaoke Version)
14,Odinokaya Strannitsa (Karaoke Version)

produced by Dimitris Tambovskii
1,Vot Takie Dela
2,Belaya Cheryomuha
3,Mui Letim Za Oblaka
4,Zelenue Ogni
5,Kartochnui Domik
6,Dodjdu Stuchit v Moe Okno
7,Angel ビデオ
8,Znaki
9,Svecha Na Vetru
10,Bednue Tsvetu
11,Ne Tot
12,Slezu Na Ladonyah
13,Osenu
14,Zontik
15,Kakaya Nelepostu
16,Vot Takie Dela (Remix)
17,Dodjdi Pistoletu (duet with Zveri)

produced by Nikolai Tagrin
1,Hochesh?
2,Vot I Vse
3,Oseni v Glaza ビデオ
4,Uleteli Listya
5,Letela Dusha ビデオ
6,Osennii Dodjdu
7,Belaya Metelu
8,Ne Grusti, Ne Djalei
9,Samoe Glavnoe
10,Zimnee Solntse
11,Oseni v Glaza (video clip)
12,Letela Dusha (video clip)

produced by Nikolai Tagrin
1,Cheryomuha
2,Tanya, Tanya
3,Lyubili Mechtali
4,Ya Budu Djdatu i Pomnitu
5,Korabli
6,Polovina
7,Tuk Tuk
8,Prtyadjenie
9,Lyublyu i Skuchayu
10,Lyublyu Tebya
11,Ot Zari Do Zari
12,Poezd Nochnoi (duet with Sasha)
13,Kak-Nibudu

produced by Nikolai Tagrin
 この頃までは“ロシアン・テクノの女王”とか呼ばれていましたっけ。全体的にテクノ&トランスを前面に押し出した内容で、いわゆる当時の流行だったサウンドが満載。とはいえ、いずれも楽曲としては及第点という感じで、サウンド・プロダクション優先で作られた作品という印象です。悪くはないんだけど、格別良くもない。そんな感じ。似たような曲ばっかしというのもポイント下がるな。音作りそのものは結構凝ってて、それはそれで面白いんですけどね。  これは名盤です。ロシア的なセンチメンタルで甘いメロディが印象的なアコースティク・ナンバー#1からとろけます。さらに、ジャーマン・ディスコ風サウンドと哀愁系美メロがノスタルジックなミディアム・ダンス・ナンバー#2も思い切りツボ。もちろん、大ヒットを記録した#7も入ってるし、70年代のプガチョワを思わせるドラマチックで美しいバラード#10や煌びやかで華麗なヨーロピアン・ディスコ#12も最高。タチャーナのボーカルもエレガントで、聴くたびに味の出る1枚。  前作よりもちょっと地味な印象を受ける作品。ユーロ・ダンス・ポップとロシア的アコースティック・サウンドの中間路線を狙ったアルバムで、ポップスとしての完成度は決して低くないものの、何故か全体的に地味なんですよね〜。シングル曲#3と#5にしても、悪い曲じゃないんだけどパンチが足りないというか。前作のような思い切ったセンチメンタリズムとか甘さを抑えている分、無味乾燥に聴こえてしまうのかもしれない。  前作の不満を一気に解消するような、非常に完成度の高い最新作。フアネス風のアコギにジプシー風サウンドとシャンソン風メロディをミックスした佳作#1から渋くてノスタルジックな雰囲気。さらにロマン派チックなメロディのユーロ・ダンス・ポップ#3やロシア民謡とR&Bを合わせた小粋なナンバー#7、70年代のフレンチ・ポップ風ナンバー#8、愛息サーシャとデュエットしたセンチメンタルで愛らしいユーロ・レゲエ#12と、とにかく素敵なメロディのオンパレード!大推薦です!!

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