バックス・フィズ Bucks Fizz

 

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初代メンバー(ボビー、シェリル、マイク、ジェイ)

 

 1981年のデビュー曲“Making Your Mind Up”でユーロビジョン・ソングコンテストのグランプリを獲得し、“UK版アバ”として華々しくデビューした男女4人組バックス・フィズ。その後も次々とヒット・シングルを連発し、全英ナンバー・ワンが3曲、トップ10が4曲という、ユーロビジョン出身のポップ・グループとしては、アバに次ぐ大成功を収めることになる。
 そもそも、アバが自然発生的に誕生した“ポップ・バンド”であったのに対し、バックス・フィズはあくまでもプロデューサー主導のもとに集められた“ボーカル・グループ”。当時ヨーロッパ中に溢れていた“アバもどき”グループの大半が、彼らのような操り人形的な即席グループであり、正直なところアバ・ファンは彼らをアバと比べること自体がナンセンスだと思っている。
 しかし、ことバックス・フィズに関して言うならば、その楽曲のクオリティの高さはアバ・ファンも認めざるを得ないところだろう。それもこれも、ひとえに作曲・プロデュースを手掛けたヒット・メーカー、アンディ・ヒルの功績に負うところが大きいと言える。
 1957年ブラックネルに生まれたアンディは、当時まだ無名のプロデューサーだった。主にテレビのコマーシャル・ソングを製作していた彼は、友人のジョン・デインターと共に書いた曲“Making Your Mind Up”をユーロビジョン・ソングコンテストに出品することを考える。
 しかし、そのためには楽曲を歌うアーティストが必要だ。そこで、彼は後に妻となる恋人ニコラ・マーティンと共に、新たなアーティストの発掘に乗り出す。その結果生まれたのが、バックス・フィズというグループだったわけだ。
 初代メンバーはボビー・G、シェリル・ベイカー、マイク・ノーラン、ジェイ・アストンの4人。シェリルは70年代に“ココ”というグループのメンバーとして活躍しており、メンバーの中では唯一芸能界でのキャリアがあった。
 デビュー曲“Making Your Mind Up”はロックン・ロール・スタイルのキャッチーで軽快なナンバーで、巧みに計算された4人のコーラス・ワークが印象的な素晴らしい作品。まさに、ユーロビジョン優勝当時のアバを彷彿とさせるような楽曲だった。当時のアバは既に大人のポップ・バンドへと成長しており、かつてのように単純明快なポップ・ナンバーからは遠ざかっていた時期。それだけに、アバ全盛期の再来を思わせるバックス・フィズの登場は、当時のイギリスでは待ち望まれていたものだったのかもしれない。
 イギリス代表としてユーロビジョンのダブリン大会出場を決めた彼らは、本大会でも見事にグランプリを獲得。“Making Your Mind Up”は全英ナンバー・ワンを獲得し、オーストラリアやニュージーランド、アイルランドなどでも1位をマーク。トータルで400万枚を売り上げる大ヒットとなった。
 ユーロビジョン優勝者の全てに言えることだが、彼らにとってはここからが本当の意味でのスタート。ユーロビジョンの優勝曲が大ヒットするというのは当たり前のことで、その後がまさに正念場なのだ。アンディ・ヒルもそのことは十分に認識しており、“一発屋では終らせたくない”という思いが非常に強かったという。
 セカンド・シングルとして発売された“Piece of the Action”はさらにアバを意識したピュアなポップ・ナンバーで、全英チャートでは12位をマーク。ユーロビジョン優勝曲の次は必ずコケるという通例を考えると、これはかなり健闘した結果と言えるだろう。
 その次のシングル“One Of Those Nights”は全英20位と振るわなかったが、セカンド・アルバムからのファースト・シングル“Land of Make Believe”で見事に全英ナンバー・ワンへ復活。これは82年当時流行していたレゲエ・スカの要素を取り入れたハッピーなナンバーで、彼らにとっては“Making Your Mind Up”に匹敵する大ヒットとなった。
 さらに、続く“My Camera Never Lies”も全英ナンバー・ワンを獲得し、ノスタルジックなバラード“Now Those Days Are Gone”も全英8位をマーク。この頃には、バックス・フィズはイギリスを代表するトップ・アーティストへと成長していた。
 その年の11月には、サード・アルバムからの先行シングル“If You Can't Stand The Heat”をリリース。これもレゲエのリズムを取り入れたナンバーで、全英10位をマーク。それまでにはないダークでシニカルな世界観で、ポップ・グループとしての新境地を開いた。

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第2期メンバー(シェリー、ボビー、マイク、シェリル)

 83年の11月には早くもベスト盤“Greatest Hits”をリリース。ここからは3曲の新作がシングル・カットされ、第1弾となる“When We Were Young”は全英10位にランクされた。
 しかし、翌84年に発売されたアルバム“I Hear Talk”は批評家から高い評価を受けたものの、セールス的には全く伸びず、ファースト・シングル“Talking In Your Sleep”(ロマンティックスのカバー)も最高15位という結果に。さらに、メンバーの乗っていたツアー・バスが交通事故に遭い、マイクが大怪我をして視力を失いかけるというアクシデントに見舞われてしまう。
 こうしたスランプ時期の中、ジェイ・アストンがグループからの脱退を表明。ロンドンで行われた公開オーディションで新メンバーを募り、当時21歳だったシェリー・プレストンが新たに加わることとなった。
 86年にはRCAからポリドールへと移籍。その第一弾となったシングル“New Beginning (Mamba Seyra)”が全英8位をマークする大ヒットとなり、バックス・フィズは再び第一線に復帰する。しかし、残念ながらその後が続かず、88年に“Heart of Stone”が全英50位にランクされたのを最後に、彼らはヒット・チャートから姿を消してしまった。なお、この曲は後にシェールがカバーして大ヒットしている。
 ちなみに、アンディ・ヒルはバックス・フィズの大成功で一躍プロデューサー兼作曲家として名をあげ、アマズルやグロリア・ゲイナーなどのヒット・シングルを手掛けるように。バックス・フィズのもとを離れてからも、セリーヌ・ディオンやピーター・セテラ、イル・ディーヴォなどにヒット曲を提供している。

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分家メンバー(リアンナ、マイク、サリー、デヴィッド)

 さて89年の正月にシェリー・プレストンが脱退したバックス・フィズは、その後しばらくボビー、マイク、シェリルの3人編成で活動。とはいえ新曲のリリースは全くなく、ライブ活動やバジェット・プライスのベスト盤発売などで食いつないでいた。
 しかし、93年にはシェリルまでもが脱退し、新たにハイジ・マンソンとアマンダ・シュワーツを加えた4人編成として再出発を果たした。ところが、96年にはマイクとアマンダがグループを離脱。70年代から80年代にかけて人気男女デュオ、ダラーのメンバーとして活躍したデヴィッド・ヴァン・デイと新人カレン・ローガンを新メンバーとして迎え、かくしてオリジナル・メンバーはボビー・Gただ一人となってしまう。
 そして、99年にデヴィッド・ヴァン・デイが脱退したことから、落ちぶれた往年のポップ・グループにありがちな泥沼劇が繰り広げられていくことになるのだ。デヴィッドは旧友でもあった初代メンバー、マイク・ノーランと接触。さらにサリー、リアンナという女性メンバーを
加え、全く別のバックス・フィズを結成してしまう。
 だが、01年にはデヴィッドの強引なビジネスに嫌気のさしたマイクが“分家”を離脱。かくして、オリジナル・メンバー不在のまま、デヴィッドは勝手にバックス・フィズを名乗ってライブ活動を続けることとなった。
 これに腹を立てたのが本家バックス・フィズのボビー・G。すぐさま裁判所に訴えでて、法廷で争うことに。02年には裁判所の判決が下り、デヴィッドは“David Van Day's Buck Fizz Show”というトリビュート・ショー名義での活動を余儀なくされることとなった。
 そして、04年12月には第2期オリジナル・メンバーが揃って復活ツアーを開催。当初はツアー期間限定での復活という予定だったが、あまりの反響の大きさから、その後もライブ活動を継続することに。彼らは“The Original Bucks Fizz”を名乗り、ボビー・Gは現行の本家バックス・フィズと掛け持ちで参加している。さらに、今年の4月にはシェリー・プレストンが“The Original Bucks Fizz”の活動から離れることとなり、その代わりとして初代メンバーのジェイ・アストンが復活することとなった。
 その一方、05年に発売された2枚組ベスト“The Ultimate Anthology”が大変好評だったことから、イギリスでは新たなベスト盤やレア・トラック集などのリリースが相次いでいる。その背景に80年代リバイバルというムーブメントがあることは間違いないだろう。
 しかし、同時期に活躍したポップ・グループの多くが今も半ば忘れられた存在であるのに対し、バックス・フィズがこれだけ再注目を集めているということは、やはり彼らの楽曲が数多の“アバもどき”グループとは一線を画していたことの証だ。それだけに、ドゥーリーズやノーランズなどに比べて、日本ではいまひとつ成功しなかったという事実が惜しまれる。
 ちなみに、このバックス・フィズがユニークなのは、男性メンバーのボビー・Gとマイク・ノーランの二人が女性かと思うほど高音のベビー・ボイスで、男女の声の違いが殆んど分からないということ。まるで女性コーラス・グループみたいなのだ。

 

FIRST_ALBUM.JPG ARE_YOU_READY.JPG HANDS_CUT.JPG GREATEST_HITS.JPG

Bucks Fizz (1981)

Are You Ready (1982)

Hand Cut (1983)

Greatest Hits (1983)

(P)2004 RCA/BMG (UK) (P)2000 BMG/Camden (UK) (P)2004 RCA/BMG (UK) (P)1984 RCA Records (UK)
1,Piece Of The Action ビデオ
2,Midnight Reservation
3,It's Got To Be Love
4,Took It To The Limit
5,One Of Those Nights ビデオ
6,Making Your Mind Up ビデオ
7,Lady Of The Night
8,Getting Kinda Lonely ビデオ
9,Shine On
10,The Right Situation
bonus tracks
11,Don't Stop
12,Always Thinking Of You
13,Noches Sin Tin (One Of Those Nights)
14,Via Libre (One Way Love)
15,Eso Fue Ayer
  (Now Those Days Are Gone)
16,Otra Noche (Another Night)
17,El Mundo De Illusion
  (Land Of Make Believe)
18,I Used To Love The Radio
19,Love In A World Gone Mad
20,Heart Of Stone (12" Version)

produced by Andy Hill
1,My Camera Never Lies ビデオ
2,Easy Love ビデオ
3,Love Dies Hard
4,One Way Love
5,Are You Ready 
6,Breaking And Entering
7,Now Those Days Are Gone ビデオ
8,Twentieth Century Hero
9,Another Night
10,The Land Of Make Believe ビデオ
bonus tracks
11,Now You're Gone
12,What Am I Gonna Do
13,What's Love Got To Do With It?
14,When We Were Young
  (Extended Club Version)
15,Rules Of The Game (Extended Mix)

produced by Andy Hill
1,Run For Your Life ビデオ
2,10, 9, 8, 7, 6, 5, 4 * ビデオ
3,I Do It All For You
4,Where The Ending Starts
5,Surrender Your Heart *
6,If You Can't Stand The Heat ビデオ
7,I'd Like To Say I Love You ビデオ
8,You Love Love
9,Shot Me Through The Heart
10,Running Out Of Time
bonus tracks
11,If You Can't Stand The Heat
  (12" Version)
12,Stepping Out
13,When The Love Has Gone
14,London Town (Extended Club Mix)
15,Identity
16,When We Were At War

produced by Andy Hill
* produced by Brian Tench
1,My Camera Never Lies
2,London Town ビデオ
3,Piece Of The Action
4,Now Those Days Are Gone
5,Making Your Mind Up
6,When We Were Young * ビデオ
7,Land Of Make Believe
8,One Of Those Nights
9,Oh Suzanne
10,If You Can't Stand The Heat
11,Run For Your Life
12,Rules Of The Game * ビデオ

produced by Andy Hill
* produced by Andy Hill & Brian Tench
 ファースト・アルバムにB面ソング、スペイン語バージョン、未発表曲などを加えた再発盤。やはりユーロビジョン優勝曲#6とセカンド・シングル#2は、アルバムの中でも特に抜きんでた出来栄えだと思いますね。この痛快なキャッチーさは絶品です。叙情的なバラード#3と#8もなかなか良いし、70年代ディスコっぽさを残した#4も結構好き。ちなみに#19は未発表バージョンで、後のポリドール移籍後に再レコーディングされています。アバのアグネッタもカバーした作品です。なお、アルバムは全英最高14位をマークしています。  全英10位をマークし、バックス・フィズにとって最大のヒットとなったセカンド・アルバム。#1と#10がナンバー・ワン・ヒットになったほか、#7が全英8位を記録しています。また、#9は日本でのみシングル・カットされ、当時ヤマハ世界歌謡祭出場のため来日を果たしています。ダンサンブルなエレクトロ・ポップ#2はヴィッキー・ベンソンがカバーしてディスコ・ヒット。とにかく、楽曲が実に粒ぞろいです。ボーナス・トラックで注目は#13。あのティナ・ターナーの大ヒット曲で、彼らは同時期にレコーディングしたものの、お蔵入りになっています。  前2作ほどのシングル・ヒットには恵まれなかったものの、全英17位を記録するベスト・セラーとなったサード・アルバム。全英10位を記録した#6は個人的にも大好きな楽曲です。後のアマズルでも証明されたように、ポップ・レゲエはアンディ・ヒルの十八番ですね。#11では12インチ・バージョンも聞けます。同じレゲエ路線の#14は次のベスト盤からのシングルですが、ここでは12インチ・バージョンで収録。こちらも名曲です。また、ジェイのボーカルをフィーチャーした美しいバラード#4も佳作。#8は89年にシングル・カットされてます。  彼らにとって初のベスト盤であり、CDで発売された最初のアルバムになります。RCAレコードにとっても、これが最初期のCD商品だったようです。渋谷の宇田川町にあった頃のタワーレコードで購入しました。確か87〜88年頃ですかね〜(^^; 今聴くと音質はあまり良くありませんが、プレス枚数も少ないので貴重なお宝です。#2と#6、#12が新曲として収録され、シングル・カットされています。中でも、エッジーでダークなポップ・レゲエ#2と、ノスタルジックなバラードの傑作#4は大・大・大好きな作品。懐かしいですね。

I_HEAR_TALK.JPG WRITING_ON_THE_WALL.JPG NEW_BEGINNING.JPG GOLDEN_DAYS.JPG

I Hear Talk (1984)

Writing On The Wall (1986)

New Beginning (1986)

Golden Days

(P)2004 RCA/BMG (UK) (P)2004 Spectrum/Universal (UK) (P)1986 Polydor/Polygram (USA) (P)1992 Pickwick Music/BMG (UK)
1,I Hear Talk ビデオ
2,Indevted To You
3,Tears On The Ballroom Floor *
4,Cold War *
5,Golden Days ** ビデオ
6,Talking In Your Sleep ビデオ
7,Breaking Me Up
8,January's Gone
9,She Cries ***
10,Thief In The Night *
bonus tracks
11,Don't Think You're Fooling Me
12,Where Do I Go Now
13,One Touch Too Much
14,Pulling Me Under
15,Invisible
16,Evil Man
17,Here's Looking At You
18,Young Hearts

produced by Andy Hill
* produced by Brian Tench
** produced by Terry Britten
*** produced by Pip Williams
1,New Beginning (Mamba Seyra)* ビデオ
  (Full Length Version)
2,Soul Motion **
3,Love The One You're With (Dance Edit)
4,Keep Each Other Warm ビデオ
 (7" Version)
5,Love In A World Gone Mad *** ビデオ
  (1986 New Version)
6,Don't Turn Back ****
7,The Company You Keep ****
8,Give A Little Love
9,In Your Eyes
10,Too Hard
11,I Need Your Love
12,New Beginning (Mamba Seyra)*
  (Ian Levine Club Mix)
13,I Hear Talk (1986 Remix)
14,Love In A World Gone Mad ***
  (1986 New Extended Mix)
15,New Beginning (Mamba Seyra)*
  (Ian Levine Dub Mix)

produced by Andy Hill
* produced by Andy Hill & Mike Meyers
** produced by Andy Hill & Trevor Vallis
*** produced by David Motion
**** produced by Bobby G
side one
1,New Beginning (Mamba Seyra)
2,I Hear Talk
3,You And Your Heart So Blue
4,Now Those Days Are Gone
5,Land Of Make Believe
side two
1,Love The One You're With
2,Oh Suzanne
3,Golden Days
4,If You Can't Stand The Heat
5,Magical
1,If You Can't Stand The Heat
2,You And Your Hearts So Blue
  (Extended Version)
3,Rules Of The Game
4,When We Were Young
5,Heart Of Stone
6,Where The Ending Starts
7,Making Your Mind Up
8,Now Those Days Are Gone
9,My Camera Never Lies
10,Piece Of The Action
11,London Town
12,I Hear Talk
13,Golden Days
14,Magical
15,Oh Suzanne
16,The Land Of Make Believe
 収録曲の半数をアンディ・ヒル以外のプロデューサーが手掛けており、アーティストとしての新境地を狙ったと思われる4枚目のアルバム。楽曲やサウンド的にはヤズー辺りを彷彿とさせるものがあり、とてもクオリティの高い作品に仕上がっています。スカのエッセンスを盛り込みながら、突き抜けるように爽やかなポップ・ナンバーに仕上がった#1は特に秀逸。後期アバを彷彿とさせるドラマティックな#4も名曲です。全英アルバム・チャートで最高66位という結果は納得いたしかねるところだと思いますね。  これがポリドール移籍後にリリースした唯一のオリジナル・アルバム。アフロ・サウンドとハイエナジーを融合させた大ヒット曲#1を筆頭に、トータルでエスニック色の濃厚なポップ・アルバムに仕上がっています。このCD盤はオリジナル盤収録曲とボーナス・トラックを混ぜ込んだラインナップで、ちょっと統一感に欠けるのが玉に瑕。それぞれの楽曲のクオリティはとても高い作品です。また、イアン・レヴィンの手掛けたリミックス#12のスケール感はなかなか圧巻。バラード#4も大好きな曲です。  これは高校生のとき、自分のお小遣いで買った最初のバックス・フィズのアルバム。かなりレアな1枚です。当時アメリカでは初期にアルバムが1枚リリースされたのみで、全くの不発でした。そこで、#1のイギリスでの大ヒットを受けて、ショーケース的な意味合いでアメリカのポリドールがリリースしたのが、このベスト盤だったというわけです。#5以外の初期ヒット曲が丸々抜けているというのは、やはりアメリカ市場を意識した選曲なのでしょう。アメリカ人はキラキラしたポップ・ソングって嫌いですからね。  トリオ時代にリリースされたベスト盤。イギリスのリイシュー専門レーベル、ピックウィックからの発売です。ジャケットだけ見るとリメイク物みたいな印象を受けますが、中身は全てオリジナル・バージョンでの収録。ただ、#2だけがなぜか12インチ・バージョンなんですよね。なんだか意図が全く分かりません(笑)当時のCDとしては音質もかなり良好。その後出回るようになった廉価版ベストでは見過ごされがちな#5が収録されているのも嬉しいところでしょう。

MAKING_YOUR_MIND_UP.JPG THE_BEST_OF.JPG

ULTIMATE_ANTHOLOGY.JPG

Making Your Mind Up '98 (1998)

The Best Of Bucks Fizz

The Ultimate Anthology

(P)1998 President Records (UK) (P)1998 Elap Music (UK) (P)2005 Sony BMG Entertainment (UK)
1,Making Your Mind Up '98 (Single Edit)
2,Making Your Mind Up '98
  (Extended Vocal Mix)
3,Making Your Mind Up '98
  (Over 18 Speed Mix)
4,U-Gotta-Vision

produced by Paul Tams
#3 remixed by Over 18
1,Making Your Mind Up
2,Piece Of The Action
3,One Of Those Nights
4,The Land Of Make Believe
5,My Camera Never Lies
6,Now Those Days Are Gone
7,If You Can't Stand The Heat
8,Run For Your Life
9,Talking In Your Sleep
10,I Hear Talk
11,When We Were Young
12,London Town
13,Let's Party (All Night)
14,(Gimme One More) Chance
15,Lazy With Your Love
16,New Beginning

produced by Erwin Keiles, John Thirkell & Chris Daniels
1,Making Your Mind Up ビデオ
2,Piece Of The Action ビデオ
3,One Of Those Nights
4,The Land Of Make Believe ビデオ
5,My Camera Never Lies ビデオ
6,Now Those Days Are Gone ビデオ
7,If You Can't Stand The Heat ビデオ
8,Run For Your Life
9,When We Were Young
10,London Town ビデオ
11,Rules Of The Game ビデオ
12,Talking In Your Sleep
13,Golden Days ビデオ
14,I Hear Talk (Single Version)
15,You And Your Heart So Blue ビデオ
16,Magical ビデオ
17,New Beginning (Mamba Seyra)ビデオ
18,Love The One You're With ビデオ
 (7" Edit)
19,Keep Each Other Warm
20,Heart Of Stone ビデオ

1,Oh Suzanne
2,When We Were Young
  (Extended Club Mix) ビデオ
3,Rules Of The Game (Extended Mix)
4,What's Love Got To Do With It?
5,You And Your Heart So Blue
  (Extended Mix)
6,New Beginning (Mamba Seyra)
  (Original Extended Mix)
7,Keep Each Other Warm (Long Version)
8,Give A Little Love (Long Version)
9,If Paradise Is Half As Nice
  (Extended Version)
  Cheryl Baker Solo Track
10,This Fragile Heart
  Cheryl Baker Solo Track
11,My Camera Never Lies (1987 Remix)
12,The Land Of Make Believe
  (1991 Dance Funk Remix)

 元ダラーのデヴィッドがマイク・ノーランを強引に誘って結成した分家バックス・フィズによるシングル。そう、ユーロビジョン優勝曲のリメイク・バージョンです。リメイクというよりも、この場合はカバーといった方が良いかもしれませんね(笑)サウンド的には当時流行のポップ・トランス。なんとも軽薄でチープな仕上がりで、オリジナルの魅力をものの見事にぶち壊しております。こりゃイカンでしょう。  で、その分家バックス・フィズがリリースしたリメイク版ベストがこいつ。なんと言いましょうか、場末のレストランでライブ・バンドの安っぽい演奏を聴いている・・・といったような感じですかね。しかし、マイク・ノーランのボーカル・パートはまだ許せるにしても、女性ボーカリスト2人の下手ックソなこと!サウンド・プロダクションもスッカスカで、なんともお寒い出来栄えです。#13〜15はオリジナル作品。  似たような廉価版ベストばかりのリリースに、長いこと辟易していたファンにとって嬉しいサプライズだった2枚組ベスト。この1枚目はいわゆるシングル・ベストですが、UKチャートにランク・インされたナンバーをリリース順で全て網羅しています。さらに、全曲当時のシングル・バージョンでの収録にこだわったということで、まさに決定打とも言える一枚かもしれません。  こちらは本作の目玉となるレア・トラック集。12インチ・バージョンや未発表リミックス、そしてシェリルのソロ・シングルなどが収録されています。#6は86年当時のオリジナル・12インチ・バージョン。隠れた名曲#7のロング・バージョンも嬉しいですね。#11はオリジナル・バージョンに若干手を加えたという感じ。#12はオリジナル・トラックにヒップ・ホップ風のオーバー・ダブ処理がなされています。

THE_LOST_MASTERS.JPG

THE_LOST_MASTERS-2.JPG

The Lost Masters

Lost Masters 2 The Final Cut

(P)2006 Sony BMG Music Entertainment (UK) (P)2008 Sony BMG Music Entertainment (UK)
1,Breaking Me Up (Extended Version)
2,Easy Love (Blazer's Version)
3,If Paradise Is Half As Nice
  (Original Version)
4,Invisible (Early Version)
5,I Love Music (Edit)ビデオ
6,Oh Suzanne (7" Unreleased Version)
7,I Can't Live Without Love
  (1986 Version)
8,What's One Lonely Woman
9,Thief In The Night (Extended Version)
10,These Boots Are Made For Walking
11,Skin On Skin
12,Breaking & Entering (Demo)
13,You & Your Heart So Blue
  (So Blue Mix)
14,If You're Right (Original Version)
15,Young Hearts (Ulreleased Version)
16,She Cries (Original Version)
1,Oh Suzanne (Extended Version)
2,Indebted Tp You
  (Dead Ending Version)
3,I'd Like To Say I Love You
  (Alternate Take)
4,My Camera Never Lies
  (2006 Good Eyes Remix)
5,Invisible (Extended Version)
6,Cold War (Extended Version)
7,Now Those Days Are Gone (2006)
8,If You're Right (Re-Recorded Version)
9,Every Dream Has Broken
10,New Beginning (Original Version)
11,I Can't Live Without Love
  (1987 Version)
12,Tears On The Ballroom Floor
  (Long Version)
13,Move Over (I'm Driving)
14,Young Hearts
15,You And Your Heart So Blue
  (Acapella Version)
1,Talking In Your Sleep
  (Full Unedited Version)
2,Breaking Me Up (7" Version)
3,Rules of the Game
  (Dead Ending Version)
4,Pieces of the Action (Demo)
5,My Camera Never Lies (Alternative Mix)
6,Don't Think You're Fooling Me (Demo)
7,I'd Like To Say I Love You
  (Alternative Mix)
8,Magical (The Rock Mix)
9,Golden Days (2008 Extended Version)
10,If You Can't Stand The Heat
  (Early Mix)
11,You And Your Heart So Blue
  (Andy Hill's Mauritus Mix)
12,The Right Situation (Early Mix)
13,Tears On The Ballroom Floor
  (The Original Idea)
14,Every Dream Has Broken
  (Alternative Version)
1,Another Night (Alternative Version)
2,Easy Love (European Version)
3,Putting The Heat On
4,Run For Your Life
  (2008 Extended Version)
5,One Of Those Nights (Demo)
6,Invisible (Early Edit)
7,You Love, Love (TV Version)
8,Cold War (7" Version)
9,Getting Kinda Lonely
  (Unedited Version)
10,Because Of Susan
11,Indebted To You
  (Jay Aston Lead Vocal)
12,The Land Of Make Believe
  (2008 Extended Remix)
13,Let's Get Wet
  (Chryl Baker Lead Vocal)
14,Every Dream Has Broken
  (Sugar Cube vs Buck Fizz Remix)
 アンディ・ヒルのスタジオに保管されていた未発表マスターをもとに企画された2枚組レア・トラック集
。こういうものが出るようになるとリバイバルも本物ですね。中には未完成のままだったデモ・トラックもあり、このCDのために最終仕上げが行われたそうです。有名曲のお蔵入りバージョンだったり、メンバーの未発表ソロだったりと、ファン垂涎のお宝トラックが目白押し。ジェイがソロを担当した#6やレゲエ風アレンジの#13などは特に興味深いですね。また、UKハウスの帝王サイモン・ハリスがプロデュースしたシェリーのソロ・ナンバー#8も目からウロコですね。

 #1はジェイのリード・ボーカルによるエクステンデッド。ということは、このバージョンでのオフィシャル・リリースも考えてたってことですかね?#4は82年のオリジナル・バージョンに第2期メンバー、シェリーのボーカルを加えたテイク。#6はアルバム・トラックのエクステンデッドで、かなりスケールの大きな仕上がり。#7はニュー・レコーディング・バージョン。ボーカルが年齢を感じさせますね(^^; #10は未発表のオリジナル・バージョンですが、あまり変わりありません。ちなみに、#14と#15はジャケットにクレジットなしの隠しトラックです。

 前作がかなりの評判だったらしく、丸1年を費やして新たにコンパイルされた第2弾がこれ。今回はこのアルバムのために製作されたロング・バージョンなんかも含まれています。このディスク1では#9がそうですね。恐らくオリジナル・バージョンに別テイクのトラックを編集で織り込んだのでしょう。また、大ヒット曲#4と#5のデモ・トラックもファンには興味深いところ。特に#4は最終テイクとの違いを聴き比べると、なぜ大ヒットしたのかが良く分かると思いますよ。また、シェリルのリード・ボーカルでレコーディングされた#11は、オリジナルとは違ったドリーミーな仕上がり。  こちらのディスク2は、なんといっても#12が目玉になりますね。オリジナル・バージョンのバック・トラックを使用しつつ、新たなパーツやエフェクトを加え、ファンも十分に納得できる原曲に忠実なエクステンデッド・リミックスに仕上がっています。当時は12インチ・バージョンが製作されなかったので、これは実に有り難いトラックです。また、隠れた名曲とも言える美しいバラードのフル・バージョン#9も個人的には嬉しい選曲だし、未発表にも関わらずファンの間で人気の高い名曲をハウス・リミックスとして仕上げた#14がまたとても爽やか。バックス・フィズって奥が深いですね。

ジェイ・アストン ソロ・ワーク

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Alive And Well (2002)

(P)2002 Angel Air Records (Austria)
1,Pigs Are On The Cake
2,Stay With Me
3,Waiting For The Day
4,Jack 'N' Jill
5,Wednesdays Child
6,Sorrows Wedding
7,Yours Truly
8,Everlasting Love
9,Love, Hate & Gasoline
10,Objects Of Desire
11,Rosie Banks
12,Lox
13,13
14,Everlasting Love (Dance Mix)

produced by Mark Smith
 シェリル・ベイカーやボビー・Gもソロ・シングルをリリースしていますが、バックス・フィズのメンバーで唯一ソロでフル・アルバムをリリースしているのはジェイのみ。これはそのファースト・アルバムになります。お兄さんが元シェイクスピア・シスターズのマーセラ・デトロイトのダンナさんで、彼女自身も仲が良いということもあってかどうかは分かりませんが、かなり捻くれたセンスのポップ・アルバムに仕上がってます。ゴールドフラップとかシアなんかが好きな人ならハマるはず。なかなかクオリティの高い作品。ジェイのボーカルも、バックス・フィズ時代に比べて格段の上手さです。

 

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