ラテン・ガール・ポップinロシア〜ブレスチャーシェ(Blestyashie)

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(左からアンナ、クシューシャ、ユリア、ナディア)

 ロシアのポップ・シーンは文字通りガール・グループ花盛り。日本でも話題になった猛烈お色気軍団バイアグラ(個人的にはロシアのガール・グループの中でも最低レベルだと思う)をはじめ、“クリーム”の名前で秘かに日本デビューしていたヴィア・スリフキ、ここ数年で人気が急上昇しているファブリカ、中堅クラスとして息の長いリーツェイ、歌って作曲して演奏までするマルチな才能のプロパガンダ、そして去年大ブレイクしたロシア版Pussycat Dollsとも言うべきアソルティなどなど・・・。いずれも容姿端麗・・・なんて言葉が安っぽく感じられるくらいにゴージャス、セクシーで洗練された大人の鑑賞(目・耳ともにね)にも耐えうるアーティストばかり。

 そんなロシアのガール・グループ群の中でも、キャリア、人気、実力共に抜きん出ているのがブレスチャーシェ。ブレスチャーシェとはロシア語で“輝き”とか“きらめき”とかいった意味。95年のデビュー以来、常にヒットを飛ばしているベテラン・グループで、メンバー・チェンジが頻繁なこともあって現在のメンバーは6代目に当たる。
 いずれもセクシーで超美形、しかもボーカリストとしても各人ユニークな持ち味があり、エンターテイナーとしても芸達者なことこの上ない。彼女たちのプロモ・ビデオなんか、毎回卒倒しそうなくらいにセクシーでゴージャスでキュートで楽しいのなんの!何よりも、それぞれの女の子がきれいなだけのお人形さんではなく、非常に個性豊かで自己主張の強い“アーティスト”であるというところがダントツの魅力と言えるだろう。
 また、ダンサンブルでキャッチーなラテン・ポップやノスタルジックでロシア的な優しいバラードなど、ポップスとして非常に完成度の高い楽曲に恵まれているという点でも、他のガール・グループと一線を画する。彼女らの仕掛け人はアンドレイ・グローズヌイとアンドレイ・シュリコフ。ソヴィエト時代の1970年代からロシアのポップ・シーンの第一線で活躍してきたベテランのプロデューサー・チームだ。

 グループの歴史をざっと紐解いてみよう。先述したように、デビューは1995年。結成当時のメンバーはオルガ、ポリーナ、バルバラの3人だった。デビュー曲“Tam, Tolyuko Tam”(そこに、ただそこに)が大ヒットし、97年には同名のファースト・アルバムをリリース。その直後にバルバラが結婚のために引退し、代わりにジャンナとイリーナの二人が加入、現在のような4人編成となる。翌年には哀愁ラテン風味の超アップテンポなサンバ・ハウス“Cha-Cha-Cha”(チャ・チャ・チャ)が大ヒット。
 しかし、99年にポリーナが脱退し、現在最も古いメンバーであるクシューシャが加入する。翌年ウルトラ・キャッチーでクールなラテン・ダンス・ポップ“Chao, Bambina!”(チャオ・バンビーナ!)が爆発的な大ヒットを記録。その直後に、それまでメンバーのリーダー的存在で、作詞なども手掛けていたオルガがソロに転向するため脱退。代わりに振付師だったユリアが加入する。その後も、リッキー・マーティンも真っ青のラテン・ダンス・ナンバー“Za Chetuire Morya”(4つの海を超えて)や戦後ロシアを代表する懐メロ・ナンバー“Moskovskie Okna"(モスクワの窓)のカバーといったヒットを連発。
 2003年にイリーナが脱退し、世界的なフィギュア・スケート選手だったアンナが加入。さらに2004年の暮れには最古参だったジャンナがソロ転向のために脱退し、モデル出身のナディアが加入、現在のメンバー構成となる。その間も、ラテン&ベリー・ダンスなオリエンタル・ポップ・ナンバー“Apelsinovaya Pesnya”(オレンジの歌)やノスタルジックで微笑ましいポップ・バラード“Novogodnaya Pesnya”(新年の歌)など、とにかくヒット・ポテンシャルの高い優れたポップ・ナンバーを次々と発表している。

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2000年当時のメンバー(左からジャンナ、クシューシャ、オルガ、イリーナ)

 ここで、現在のメンバーをざっとご紹介!グループ史上最強のメンバーといっても過言ではない面々で、とにかくそれぞれが女性としてもアーティストとしても非常に魅力的だ。

現在のメンバー

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クシューシャ

ユリア

アンナ

ナディア

 まずは、メンバー最古参のクシューシャ。丸顔で童顔、隙っ歯が何ともキュートで、甘えるような優しい歌声に心癒される。モスクワの出身で、ブレスチャーシェ加入以前には他のポップ・グループのリード・ボーカリストだった。ここ数年は作詞も手掛けている。一昨々年のロシアの年末の歌番組で、トップレスの上に白のシースルーのドレスといういでたちで登場、おっぱい透け透けの丸見えでびっくりしました。日本でいうところの「紅白歌合戦」みたいな国民的番組だったんですけどね・・・。“ヌードには全く抵抗がない”と断言してるし、まあ、本人の意思だったのでしょう。日本の歌番組では絶対にあり得ないですね。

 個人的に大ファンなのがユリア。フワフワとしたお姫様みたいなチャーミングな顔立ちと、白鳥のようにしなやかで美しい体の持ち主。自由奔放で憎めないキャラクターが親しみやすい。少女時代からダンスが大好きで、ダンサーを経て、ロシア国内の様々な舞台やテレビ番組などの振付師となり、オーディションを受けてメンバーとなる。本人も認めるメンバー唯一の微乳の持ち主でもあります(笑)

 次に童顔ながら濃厚なお色気の巨乳美女アンナ。熱烈なフィギュア・ファンならアンナ・セメノヴィッチという名前を記憶している人もいるのではなかろうか。そう、彼女はれっきとした一流のフィギュア・スケート選手だったという変り種。ウラジーミル・フョードロフとのペアで、95年にNHK杯で3位に入賞。さらに97年のスケート・アメリカでも3位、98年のロシア全国大会でも3位に入賞し、2000年の引退後はアメリカで3年間プロのスケーターとして活躍、帰国後はロシアのスポーツ番組のキャスターをしていた。グループ加入直後は少々ぎこちない感じだったが、最近は歌もダンスも豪快そのもので風格すら感じさせてくれる。

 そして、最後がエキゾチックでゴージャスなブルネット美女ナディア。思わず耳を疑うくらいにハスキーで迫力のある歌声の持ち主で、ソロでも十分にやっていける逸材。しかも、そのルックスからは想像もつかないくらいの苦労人だったりする。田舎町に生まれたナディアはモデルを夢見てモスクワへやってくるが、コネもなければお金もない彼女は、住んでいたアパートの近くにある森でキノコや野いちごを摘んできては飢えをしのいでいたという。エージェントに入ったはいいものの、田舎育ちで不器用な彼女はなかなかいい仕事にありつけない。あるとき、エージェントの指示で他のモデルたちと一緒に顧客の内輪のパーティに出席するが、どうも雰囲気がおかしい。男たちは馴れ馴れしく体に触ってくるし、マネージャーに何やら耳打ちをしている。すると、マネージャーがやってきて、“気分転換に皆でプールで泳がないか?”と誘う。そこで自分の置かれた状況を察した彼女は、一緒に出かけるふりをしてこっそりと抜け出した。そう、彼女は危うく売春まがいの夜の接待を強要されるところだったのだ。そして、翌日から誰も口をきいてくれず、徹底した村八分が始まる。モデルの仕事など与えられず、一晩ギャラたった7ドルのパーティー・コンパニオンみたいな仕事ばかりさせられた。しかし、そんなパーティーの一つで知り合ったのが、ロシアの人気ボーイズ・アイドル・グループ“ダイナマイト”のメンバー、イリヤ・ズーディン。彼の紹介でブレスチャーシェに参加することになったのだがら、人生いつ転機が訪れるか分らない。苦労は報われるものである。

 冒頭でも述べたように、ロシアでは数多くのガール・グループが活躍しており、ルックス的にも実力的にもレベルが非常に高い。そんな中で、常に音楽シーンのトップに立ち続けているブレスチャーシェの素晴らしさは、美しいだけではない人間味溢れる女の子たちを常に起用するプロデューサーの確かな選択眼、さらに脱退したメンバーもプライベートでは一緒に食事やショッピングを楽しむという強い連帯感のもとに成り立っているように思う。そして、何度も繰り返すが、その最大の魅力は楽曲の良さに尽きるだろう。
 サンバやマンボ、メレンゲ、サルサといったラテン・ミュージックのエッセンスとロシア的なキャッチーで哀愁感漂うメロディ、そして最先端のクラブ・シーンを意識したゴージャスなサウンド・プロダクション。本場のラテン・アーティストには出せない、まがい物ならではのポップ・センスが実に楽しい。そう、ボサ・ノバが本場ブラジルの作品よりもヨーロッパ産のものの方がエレガントで耳ざわりが良かったりするように。その一方で、ここ数年はロシア音楽の伝統を継承するようなノスタルジックで心温まる、甘酸っぱいバラードも数多く発表している。日本人の琴線にも触れること請け合いである。

 日本のレコード会社のみなさま、バイアグラなんかを日本デビューさせる暇あるんなら、ブレスチャーシェを連れてくるべきです。ハイ。

“Palumi Parami”の超キュートなプロモ・クリップ ココ で見れます!

“Apelusinobaya Pesnya”のプロモ・クリップ ココ で見れます!(画質悪し)

“Bostochnaya Skazka”のプロモ・クリップ ココ で見れます!

“Nobogodnaya Pesnya”の超乙女チックなプロモ・クリップ ココ で見れます!(名曲です!)

“Za Chetuire Morya”のプロモ・クリップ ココ で見れます!(何故か中国語の字幕付き・・・)

※CDレビューは、アルバム・タイトルのみ英語訳表記してあります。なお、楽曲はロシア語を英語アルファベットで表記してあります。

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About Love (2000)

A White Snow (2000)

For Four Seas (2002)

(P)2000 Iceberg Music(Russia) (P)2000 ARS Records (Russia) (P)2002 Iceberg Music (Russia)
1,Chao, Bambina
2,Milui Ruleboi
3,Koluibelunaya
4,Za Osenuyu Pridet Zima
5,Toluko tui
6,Djaz i Fanki
7,Ogonek
8,Tam, Za Oblakami
9,Nobuii God
10,Milui Ruleboi (Remix)
1,Beluim Snegom
2,Cha-Cha-Cha
3,Oblaka
4,Gde Je Tui, Gde
5,Chao, Bambina!
6,Dolgo Tebya Jdala
7,Miluii Ruleboi
8,Tam, Za Oblakami
9,Tam, Toluko Tam
10,Tsvetui
11,Tuman
12,Za Osenuyu Pridet Zima
13,Chao, Bambina! (Remix)
14,Beluim Snegom (Remix)
15,Dolgo Tebya Hdala (Remix)
1,Za Chetuire Morya
2,A Ya Vse Letala
3,Juravlu
4,Builo i Proshlo
5,Moskovskie Okna
6,Hochu Eshe
7,Ne Planeta Luna
8,Steklyannaya Lyubov
9,Ay-Ay
10,Ya i Tui
11,Ya Tebya Ne Lyublo
12,Za Chetuire Morya (Remix)
13,Za Chetuire Morya (DJ Jeff Remix)
14,Za Chetuire Morya (Live Mix)
15,Oblaka (Remix)
16,Za Chetuire Morya (Karaoke)
17,A Ya Vse Letala (Karaoke)
18,Ay-Ay (Karaoke)
 ブレスチャーシェにとって3枚目に当たるアルバム。大ヒットした#1はセクシーでキャッチーなマンボ風ラテン・ダンス・ポップ。物凄くキレの良いコンガのリズムがむちゃくちゃカッコいい。哀愁感たっぷりのジプシー風ミディアム・ダンス・ナンバー#2も、スチールっぽい硬質なドラムの響きが凄くクールで気持ちいいんだよなー。ラテンの人がやりそうでやらない音作りが、とても新鮮だったりする。ただ、全体的には、この2曲以外は小粒な楽曲ばかりで地味な印象。アコーディオンのメロディが哀しくも切ないバラード#9にしても、もう少しサビでの盛り上がりが欲しかった。#2のリミックス・バージョン#10は、すっかりラテン色を取り払った哀愁系トランス仕様で、嫌いではないが可もなく不可もなくの仕上がり。

 新曲#1やリミックス・バージョンを含むベスト盤的内容の企画アルバム。その#1はR&B風打ち込みの平凡なバラードでパッとせず。セカンド・アルバムからの大ヒットとなった#2は、適度にラテン風味を加えたハイエナジー・サンバで、間奏のグルーヴィーなラテン・ギターの音色も気持ちいい。そして、デビュー・ヒットとなった#9。むちゃくちゃ平凡なダンス・ポップです。ん〜、安っぽい(笑)。デビュー当時の楽曲は、今聴くとかなり寒い仕上がりですね〜。そして、“チャオ・バンビーナ”のリミックス#13。ほとんどダブみたいな仕上がりだけど、アンダーグラウンドな雰囲気のラテン風ガラージ・ハウスって感じで、なかなかクール!アフター・アワーズで盛り上がるにはいい感じのクラブ・ミックスです。

 リッキー・マーティンも顔負けのファンキーでダンサンブルでウルトラ・キャッチーなラテン・ポップ・ナンバー#1で幕を開ける4枚目のオリジナル・アルバム。メキシカンなラテン・ジャズ風の味付けとユーモラスで茶目っ気たっぷりなボーカルが楽しい。これまた大ヒットした#2はドリーミーなユーロ・ダンス・ポップ。そして、ロシア人なら誰でも知っている国民的愛唱歌のカバー#5は、エレクトロ・ジャズ風のムーディーなアレンジとノスタルジックで切ないメロディが見事に溶け合った都会的な素晴らしいラウンジ・ナンバーに仕上がっている。また、デビュー当時のデスチャ風の打ち込みと哀愁感溢れるメロディが粋な仕上がりの#9も捨てがたい佳作。ラテン、ジャズ・フュージョン、R&Bなどのエッセンスを詰め込みながら、全体的にバランスの取れたアルバムになっている。ボーナス・トラックには#1のリミックスを収録。思い切りアゲアゲなサンバ・ハウスに仕上げた#12と、むせ返るようなお色気たっぷりの気だるいジャズ・ボサに仕上げた#14が秀逸。

ORANGE_SONG.JPG EAST_FAIRY_TALES.JPG

Orange Paradise (2003)

Eastern Fairly Tales (2005)

(P)2003 CD Land (Russia) (P)2005 CD Land (Russia)
1,Apelusinobaya Pesnya
2,Trus Ne Igraet V Hokkei
3,Ne Nado Pechalitusya
4,Udet Soldat Po Gorodu
5,Kaplya V More
6,Lyubimuii Gorod
7,Moskovskie Okna
8,Na Tihoretskuyu Sostav Otpravitsya
9,Tam Za Oblakami
10,Ogonek
11,Konfetki-Baranochki
12,Ojidanie
1,Bostochnaya Skazka
2,Palumui Parami
3,Azent 007
4,Ei, Arro Au
5,Kak Zbezda
6,Poberula
7,Kapitan Dalunego Prabanuya
8,Operupolnomochennuii
9,Brat Moi Desantnik
10,Halemelu Bdrug Dojdi
11,Nobogodnaya Pesnya
12,Vengerov & Fedoroff & Blestyashie
13,Nobogodnaya Pesnya (Remix)
14,Apelusinobaya Pesnya (Remix)
 ブレスチャーシェ通算5枚目のオリジナル・アルバム・・・とはいえ、4曲が前作からの収録という、ちょっと手抜きな作品だったりする。それでも爆発的なヒットとなった#1を聴けるだけでも価値のある1枚。ラテン音楽とオリエンタルなアラベスクを融合したエレクトロ・ラテン・ポップで、とにかく凄まじいくらいにキャッチーでセクシーでファンキーな大傑作。シチリア辺りを思わせる南国のオレンジ畑で撮影されたプロモ・ビデオもキュートだった。70年代に国民的な人気を得た男女混合ポップ・グループSamotsvetuiの懐メロ・ポップをカバーした#3なんかも、2ステップ風のアレンジで懐かしくも新鮮な仕上がり。日本の懐メロ青春グループ“青い三角定規”を思わせるような爽やかで切ないメロディが素敵です。繊細でノスタルジックな優しいポップ・バラード#6もしんみりとしていい感じ。全体的に社会主義時代への懐古趣味的な雰囲気の漂う楽曲が多く、それでいてきっちりと今風のサウンドに仕上げているのが好感持てる。  昨年暮れにリリースされた最新アルバム。ブレスチャーシェの最高傑作とも言える充実した内容の作品。オープニングを飾るのはヨーロッパで大ブレイク中のペルシャ人アーティスト、Arashのヒット曲“Temptation”をArash本人との共演でカバーしたオリエンタル・ダンス・ポップ#1。そして#2はブレスチャーシェの十八番である超キャッチーでお茶目でセクシーなラテン・ダンス・ポップ。去年の夏の大ヒットナンバー。ノリノリのビーチ・サウンドって感じで、濃厚な哀愁メロディがまたエロくて最高!大好きです。そして、これまたベリー・ダンス&エレクトロ・ファンクなジャンプ・ナンバー#6もセクシー。昨年ヒットしたミディアム・ダンス・ポップ#7のノスタルジックで爽やかな切なさ、昨年の春の大ヒットナンバー#8のたまらないくらいに哀切感溢れる優しいメロディとアコーディオンの音色、そして一昨年の暮れに大ヒットした#11のチャーミングかつノスタルジックで暖かい民謡風メロディ、どれを取っても素晴らしい仕上がり。#12は#2をロシアで大人気のリミックス・チーム、Vengerov & Fedoroffがラテン・ロック風ハウスに仕上げたナイス・リミックス。

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