GERMAN POP DIVAS
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バルバラ・シューネベルゲル Barbara Schöneberger
ジャーマン・ポップスと一口にっても、モダン・トーキングやジェニファー・ラッシュのように国際マーケットへ向けて英語で歌うアーティストもいれば、国内マーケット向けにシュラゲルと呼ばれる歌謡ポップスをドイツ語で歌うアーティストもいる。ここでは、その後者に当たる歌謡ポップス系の女性アーティストを順次紹介していきたい。
その第一弾として今回ピックアップするのがバルバラ・シューネベルゲル。マリアンネ・ローゼンベルグやニコレットなど、第一弾としてもっと相応しい大物アーティストがいるのでは!?とお叱りを受けるかもしれないが、彼女の最新アルバム“Nochmal,
Nur
Anders(もう一度、違った形で)”がとても良い出来栄えだったので、あえて“プロではない”彼女を選ばせてもらった。
そう、彼女はプロのシンガーではない。本業はテレビの司会者。01年から05年まで放送されたトーク番組“Blondes
Gift(ブロンド・ポイズン)”の歯に衣着せぬ毒舌トークが評判となり、ドイツでは女性を中心に大変な人気を集めているという。
そんな彼女が歌手業に進出したのは06年。テレビ番組“Stars
Go
Swing”の中でオーケストラをバックに歌を披露したのがきっかけだった。翌年にはベルリン・ポップス・オーケストラを従えて初のコンサート・ツアーを開催。その年の11月にファースト・アルバム“Stzt
Singt Sie Aucn Noch!(今回彼女は歌も歌います!)”をリリースしている。
これは50〜60年代のオールディーズ・ポップスを意識したアダルト向けポップス・アルバムで、コール・ポーターやロジャース&ハートのカバーを織り交ぜながら、とても上品で洒落た内容の作品に仕上がっていた。ここからはメランコリックなキャバレー風ナンバー“Männer
muss man
loben(男を讃えなくてはならない)”がシングル・カットされ、ヒット・チャートで58位にランク・イン。アルバムも28位まで上昇し、英米ポップスがチャート上位を占めるドイツにおいてまずまずの成績を残した。
そして、09年9月にはセカンド・アルバム“Nochmal,
Nur
Anders”を発表。今度は一転して70年代のディスコ&ダンス・ポップス系のサウンドに挑戦し、思わずワクワクするくらいキャッチーで煌びやかなナンバーを聴かせてくれている。チャート・アクションは43位と前作を下回ってしまったものの、アルバムの完成度自体はすこぶる上出来だ。
バルバラは1974年3月5日ミュンヘン近郊の生まれ。父親ハンスはクラリネット奏者だったという。93年にミュンヘン市内の高校を卒業した彼女は、アウクスブルグの大学で社会分析学、情報科学、美術史を学ぶ。一方、その傍らでミュンヘンのマーケティング会社でアルバイトをするようになり、テレビにもチョコチョコ顔を出すようになった。そこで彼女は学業を諦め、本格的にテレビの世界へ入ることにする。
トーク番組で共演した有名司会者ハラルド・シュミットの推薦で“ティー・ブレイク”という番組にレギュラー出演するようになった彼女は、さらに日曜朝のトーク番組“Weck
Up(目覚まし)”の司会に抜擢された。さらに、先述した“Blondes
Gift”の司会でブレイク。以降、現在に至るまで数多くのトーク番組やバラエティ番組の司会を務めている。
また、司会業や歌手業の他に、女優として映画やドラマにも出演。欧米では一般的に歌手は歌手、俳優は俳優、司会者は司会者と、それぞれのフィールドに専念して活動する人が圧倒的に多いのだが、ドイツはワリと日本のようにその境界線が緩いのかもしれない。
Jetzt Singt Sie Auch Noch!
(2007) Nochmal, Nur Anders
(2009)
(P)2007 Universal/Polydor
(Germany)
(P)2009 Universal/Polydor
(Germany)
1,Jetzt Singt Sie Auch
Noch
2,Männer muss man loben ビデオ
3,Sei Mal
Verliebt
4,Nicht Dass Du Denkst ビデオ
5,Fredy
6,Ich
Glaub Ne Dame Werd Ich Nie ビデオ
7,Guck Doch
Hin Wo Du Willst ビデオ
8,Glucklich
In Acht Tagen
9,Das Bisschen Haushalt
10,Wie War's Fur
Dich
11,Mailverkehr
12,Zu hässlich für München ビデオ
13,Sag Es Mir
In Deinem Traum
produced by Matthias Hass & Frank
Ramond1,Berboten Gut ビデオ
2,Liebesleben ビデオ
3,Berlin
Mitte
4,Denk Jetzt Bitte An Ein Nilperd
5,Glitzer
6,Ich Steh Auf
Jungs ビデオ
7,Ich Weiß
Was Ich Will
8,Was Ein Mann Tun Muss
9,Du Machst Die Liebe ビデオ
10,Alles
Echt
11,Wenn Das Wenn Nicht Wär ビデオ
12,Barbaradies ビデオ
produced
by Matthias Hass & Frank Ramond
ジャズ・スウィングをベースに50〜60年代のポピュラー・ミュージックを再現したノスタルジックなアルバム。本格的なジャズ・オーケストラをバックに、バルバラはキュートで艶かしい歌声を聴かせてくれます。13曲中4曲がカバーで、あとは全てオリジナル。高級ナイトクラブやキャバレーの歌姫を彷彿とさせるような雰囲気はなかなか洒落ていると思います。本当にオーソドックスな仕上がりなので、よくこれでチャート上位に入ったなと感心。もちろん、完成度はとても高いんですけどね。女性ジャズ・ボーカル・ファンにもおススメできる1枚です。
スリー・ディグリーズ辺りを彷彿とさせるフィリー・サウンド風ディスコ・ポップ#1で幕を開けるセカンド・アルバム。全体的に70年代のダンス・ポップを意識した仕上がりです。中でも個人的に大好きなのが、モータウン・サウンドを70年代風ディスコ・アレンジで甦らせたような胸キュン・ポップ・ナンバー#2。本作からのシングルは#1だったみたいですが、絶対に#2を先にカットするべきだったでしょう。ドナ・サマーの『マッカーサー・パーク』を彷彿とさせる#7やモータウン風のキャッチーなジャンプ・ナンバー#
12もお気に入り。おススメです。