バルカン・ガールズ〜旧ユーゴの歌姫たち

 

 そもそものきっかけは、新宿の某中古CDショップのセール・コーナーでごっそりと購入したCDの山の中の1枚。それがAlka Vuicaのアルバム"Balkan Girl"なのでした。これがもうツボにはまりまくった。旧ユーゴの音楽なんて、それこそエミール・クシュトリッツァ監督の映画「アンダーグラウンド」なんかを手掛けていたGoran Bregovicや、今ではすっかり日本に住み着いてしまったJadrankaくらいしか知らなかった。そもそも、日本じゃワールド・ミュージックなんてフランスやイタリア、トルコ辺りの一部の音楽先進国を除けば、CDショップで手に入るものといえばルーツ・ミュージック、とどのつまり民族音楽しかないというのが現状。


 でも、いつも思うのだが、その国の音楽や文化を知るのに一番重要なのは“流行歌”だと思うのですよ。“流行歌”。確かに、民族音楽を聴けば、その国の民族のルーツは理解できるだろうけど、でもそれって結局は“お勉強”なんですよね。“お勉強”。ワールドミュージックに興味あるんだよねー、とかいってインディーズのルーツ・ミュージックみたいなのばっかり聴いてる輩は沢山おりますが、どうも音楽を知識の一つ程度にしか考えていないスノッブなインテリ趣味としか思えないのですよねえ。これって偏見?
 だいたい考えてみてくださいな。海外の大型CDショップに行って、ワールド・コーナーの日本音楽の棚に琴や尺八のCDしか置いてなかったりしたら、なんか違うだろーって正直思いますよね?確かに、日本人のルーツではあるのかもしれないけど、部屋で本読みながら尺八のCDを聴いている日本人なんてそうははいないはず(いたらゴメンなさいね)。日本の生の音楽や文化を知るのであれば、それこそモーニング娘。やユーミン、Orange Rangeなんかを聴いたほうがいいに決まってるのだ。要はそういうこと。それぞれの国で独自に進化を遂げてきた流行歌、大衆音楽を聴くことによって初めて、その国のリアルな文化を実感できると思うのである。そして、何よりもそういう音楽に触れることの楽しさ。新しい発見の数々。いやあ、ヒップ・ホップの打ち込みもこんな感じに料理しちゃうんだあ、といったような意外性に満ちた音の大冒険ができちゃうのである。それこそが、音楽を聴く楽しみなんじゃないのかな、などと思うわけです。

 

 さて、ちょいと話がずれてしまいましたがAlka Vuica。東欧、ロシアは古くからジプシー音楽の影響が色濃いのですが、旧ユーゴにもロマと呼ばれるジプシー音楽の伝統があるんですね。さらにバルカン半島は歴史的にオスマントルコの文化の影響も強い。そんな旧ユーゴの文化的背景が見事に反映されたエキゾチックで大胆で自由奔放で、それでいてどこかもの悲しさの漂うルーツ・ミュージック的要素を強く匂わせながら、キャッチーでダンサンブルなポップ・ミュージックとして仕上げられている1曲目の"Opet volim"に完全ノックアウトされちまいました。とにかく面白い。しかも、男と間違えかねないAlka姐さんのドスの効いたスケールの大きいボーカル。やっぱり、どこの国にも凄い人はいるもんである。
 もともと女性ボーカルは大好きなもんだから、すっかりいてもたってもいられなくなったボクちゃん。Alka姐さんの他のアルバムも聴きたい!旧ユーゴの他のアーティストも聴いてみたい!必要は発明の母とは申しますが、すぐさま見つけました。バルカン・ポップ専門のオンラインショップを。そして、代表的スターと思われる女性アーティストのCDを早速オーダーしたのでした。
 確かに今でこそセルビア・モンテネグロ、クロアチア(Alka姐さんの祖国)、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニアと、それぞれに独立をしてしまっているものの、歴史的にみても非常に密接な関係にある旧ユーゴ諸国。コソボ紛争はかつての隣人同士が殺しあうという悲劇を生み出したものの、その歴史の試練と過ちを乗り越えて一つの文化圏として連帯し、共に盛り上げていこう。そんな活気というか、勢いのようなものが感じられる、
エネルギーとパワーに満ちたアーティストとの出会いに恵まれたわけです。これだから音楽探検はやめられない。

 

 Alka姐さんの大先輩と言えるのが、デビューして20年以上という既にベテランの域に達しているLepa Brena。彼女はボスニア・ヘルツェゴビナの出身で、現在はセルビア・モンテネグロを活動の拠点とする旧ユーゴのトップ・スターだった人。ダンナさんが有名なテニス選手で、5年前に息子が誘拐事件に巻き込まれて地元では大事件になったという。
 ここ数年の間でトップ・スターの座に上り詰めたクロアチアのVesna Pisarovicは、バルカン色がかなり薄い欧米的なポップ・スター。そして、昨年のプライベートH映像流出事件のおかげで変に日本でも名前が知られてしまったクロアチアのSeverina。しかし、そんなスキャンダルが霞んでしまうくらいに素晴らしい実力派。キュートな顔立ちに似合わないハスキーでパワフルな歌声も魅力的。自らプロデュースや作曲も手掛けている。ハメ撮り映像の一つや二つ流出しようがどうってことないじゃん、ってくらいに(?)才能溢れる女性。
 その他、旧ユーゴ時代から女王的存在であるクロアチアの国民的スターDoris Dragovic、超セクシーなルックスと美しい歌声で絶大な人気を誇るセルビア・モンテネグロのスーパー・スターCeca Raznatovicなど、旧ユーゴ圏には素晴らしいディーヴァが数多い。そのユニークな音楽性も含めて、今最も興味深い音楽圏だと思うのです。

 

Alka Vuicaの“Mali”のプロモ・クリップは ココ で見れます!(画質悪いです)

Severinaの“Adam i Seva”のプロモ・クリップ ココ で見れます!(こちらも画質悪し)

Jelena Karleusaの“Slatka Mala”のオカマいっぱい(笑)のプロモ・クリップ ココ で見れます!(必見!)

Ceca Raznatovicの“Svice Dan”リミックス・バージョンのファン・クリップ ココ で見れます!

ALKA_VUICA1.JPG ALKA_VUICA2.JPG ALKA_VUICA3.JPG

Balkan Girl
Alka Vuica

Profesionalka
Alka Vuica

Cirkus
Alka Vuica

(P)1999 Croatia Records (P)2001 City Records (P)2004 City Records
1,Opet volim
2,Varalica
3,Nek' ti jutro mirise na mene
4,Nema te
5,Kad bi opet
6,Bez tebe bez mene
7,Balkan Girl
8,Nema nam druge
9,A jos ga volim
10,Sta ima noro
11,Dala majka sinove
12,Voli me jos
1,Profesionalka
2,Mac u kamenu
3,Da si sada tu
4,Nije lako
5,Bolje bi ti bilo
6,Casino
7,Od juga do sjevera
8,Pioniri
9,Ko se samnom druzi
10,Sta te briga...
11,Kriva
12,Ratuj
13,Delem
14,Ruzica
1,Cirkus
2,Zauzeto
3,Fotomontaza
4,Prava ljubay
5,Ldi sada
6,Dugo se nisam...
7,Bosna (gost Halid Beslic)
8,Mali
9,Badava
10,Mana
11,Subota
12,Pecat
13,Ne prelazi mi put
14,Iluzije

 ジプシーmeetsタルカンな(チュッチュ
ってのが特にね)#1からバルカン魂炸
裂な傑作アルバム。Alka姐さんの肝っ
玉の据わった豪快なオヤジ声もカッコ
良し!かと思えば地中海タッチの軽快
な#5の牧歌的な楽しさ、「トルコ行進曲
」をトランス風のユーロ・ハウスに仕上
げちゃったユーモアセンス溢れる#7、フ
ラメンコ風のラテン的哀愁溢れるミディ
アムナンバー#8など、様々に表情を変
える賑やかさはクロアチアの、いやバ
ルカン半島の多彩な文化的背景を物
語っているのかもしれない。ジプシー、
トルコ、ギリシャなど周辺大国からの影
響が、この土地の複雑な歴史を感じさ
せる。ポップ・ミュージックって実は奥深
いものなのだ。

 こちらも冒頭から飛ばしまくりの1枚。
ベリー・ダンス・ファンクとも言うべき派
手で豪快な#1で幕を開けるAlka姐さん
の勢いは止まることを知りませぬ。お
祭り気分なオリエンタル・ラテン・ファン
クって感じの無国籍ワールド・ダンス・
ポップ#5のお気楽な楽しさ、バラライカ
風ギターの哀しいメロディとアコーディ
オンの音色が郷愁を誘う南欧風バラー
ド#7、「朝日のあたる家」風のギターに
始まり、ラップ風のAlka姐さんのボーカ
ル、サビでは子供のコーラスでお遊戯
タイムみたいな大合唱が始まってしま
う奇想天外なハイパー・ハウス#8、まん
まギリシャのライカみたいな哀愁のエス
ニック・ダンス・ポップ#11など楽曲
の充実ぶりが凄いです。

 通算6枚目に当たるAlka姐さんの最
新作。悲哀に満ちたジプシー節炸裂の
ミディアム・ダンス・トラック#1にまず心
奪われる
。前2作と比べると全体的に
賑やかでありながらそこはかとない哀
しみの漂うアルバムに仕上がってます
。可笑しくも哀しきかな人生、って感じ
ですか。そういった意味では、今までに
なくロマ的要素の強い作品。心なしか
打ち込みも控えめ。前作の"Profesion
alka"があまりにも力作だったので、ち
ょっと地味な印象を受けるものの、全体
的な統一感は見事。アコーディオンの
哀しいメロディが強烈に耳にこびりつく
ダンス・ナンバー#8が特にいい。しかし
、フクロウ怪人の着ぐるみみたいなジャ
ケット衣装はどうにかならなかったので
すかね。悪趣味というより、変(^^;

LEPA_BRENA1.JPG VESNA_PISAROVIC1.JPG SEVERINA1.JPG

The Best Of Lepa Brena
Lepa Brena

The Best of Vesna Pisarovic
Vesna Psarovic

Severgreen
Severina

(P)2003 Grand Production (P)2004 City Records (P)2004 City Records
Disc 1
1,Sanjam
2,Janos
3,Perice moja merica
4,Mace moje
5,Sitnije, cile sitnije
6,Beli se beli moj beli biseru
7,Bato bato
8,Miki mico
9,Cetiri Godine
10,Imam Pesmu da vam pevam
11,Jugoslovenka
12,Ja pripadam samo tebi
13,Robinja
14,Pozeli srecu drugima
15,Cik pogodi
16,Udri mujo
17,Jedan dan zivota
18Cacak
19,,Mile voli disko
20,Dama iz londona
21,Duge noge
Disc 2
1,Luda za tobom
2,Dva dana
3,On ne voli me
4,Lagarija, Lagara
5,Ja nemam drugi dom
6,Ti si moj greh
7,Sve mi dobro ide osim ljubavi
8,Nocas mi srce pati
9,I da odem iza leda bogu
10,Pomracenje sunca
11,Pariski lokal
12,Sta je bilo, bilo je
13,Okreces mi leda
14,Golube
15,Evo zima ce
16,Ti ne znas
17,Takve i bog cuva
18,Hej seki seki
19,Ti me podsecas na srecu
20,Gde si ti
21,Hajde da se volimo

1,Ti si kriv
2,Dolje na koljena
3,Spremna sam
4,Da znas
5,Bjezi od mene
6,Kao da je vrijeme
7,Sasvim sigurna
8,Ljubomora
9,Ne dam da odes
10,Poslije svega
11,Sve na svijetu
12,Ja cekam noc
13,Jutro donosi kraj
14,Da je meni (oko moje)
15,Za tebe stvorena
16,Da sutra umrem
17,Ivane
18,Svrha ljubavi

1,Adam i Seva (Turkish Chicken)
2,Bros (Recuerdo)
3,Hrvatica
4,Niti s tobom, nit bez tebe (Samoca)
5,Sama na sceni (Minijatura)
6,Bojate bane buski
7,Ma daj (French Connection)
8,Tuge od sna
9,Iz glave
10,Sta me sad pitas sta mi je

 旧ユーゴスラヴィアのマドンナというべき大物Lepa Brenaの、80年代前半からのヒット曲を集めたベスト盤。バルカン・ポップというよりも通俗的な歌謡ポップ色が強く、全体的にはとても泥臭いイメージ。チトー政権時代の楽曲なんかも含まれているので仕方ないか。なので、曲によってかなり好き嫌いが別れるかもしれません。個人的には「怪僧ラスプーチン」か「ジンギス・カン」かといった感じのスラブ風ダンス・ポップDisc 1#8、超キャッチーなアラブ風オリエンタル・ダンス・ポップDisc2 #4や#7、Goran Bregovicが大好きな人にはたまらないお祭り騒ぎなロマ節炸裂の#10辺りが結構好き。まさしく大衆エンターテインメントといった感じ。

 イメージ的にはクロアチアのカイリー・ミノーグって感じでしょうか。超美形なVesna Pisarovicの新曲入りベスト・アルバム。思いきりボニーMなオープニングが心くすぐる#3、エース・オブ・ベースの"Beautiful Life"そのまんまな哀愁歌謡ダンス・ポップ#6、ちょっとロマっぽいホーン・セクションが面白いユーロ・ハウス#8、カトリーナ・アンド・ザ・ウェイヴスの大ヒット"Walking On Sunshine"そっくりの爽やかポップ・ロック#11、往年のデヴィッド・フォスター風のセンチメンタルなバラード#12など、バルカン色をかなり抑えた作品が多く、良質のユーロ・ポップスといった印象。  のっけから飛ばしまくりの力作。スルタンの宮殿で舞い狂うかのようなオリエンタル・エレクトロ・ファンク#1の豪快でスケールの大きいカッコよさ!Severinaのパワフルでハスキーなボーカルにもシビれます。R&Bに自由奔放なロマのエッセンスを絡めたお祭りファンク#3、哀愁漂う情熱的なバラード#4、ゴリゴリな打ち込みがカッコ良い悲哀溢れるキャッチーなロマ・ファンク#6(しかも途中でフラメンコ・ハウスになっちまう!)、アコーディオンの切ない音色にキスやため息が絡むエロティックでエキソチックなユーロ・ハウス#7など、捨て曲なしの充実した1枚。バルカン・ポップ初心者はここから手をつけるべし!文句なしの傑作です。

UPDATE!

SEVERINA_BEST.JPG JELENA1.JPG JELENA2.JPG

The Best of Severina
Severina

Jelena Karleusa
Jelena Karleusa

Magija
Jelena Karleusa

(P)2005 City Records (Croatia) (P)2002 Heaven Music (Croatia) (P)2005 City Records (Croatia)
1,Adam i Seva
2,Vrati se pod hitno
3,Ko je kriv -duet with B.Novkovic
4,Iz glave
5,Niti s tobom, nit bez tebe
6,Ja samo pjevam
7,Ti si srce moje
8,Djevojka sa sela
9,Rastajem se od zivota -duet with Z.Bebek
10,Da si moj
11,Tvoja prva djevojka
12,Trava zelena
13,Od rodendana do robendana
14,Ante
15,Prijateljice
16,Kreni
17,Dalmatinka
18,Sta me sad pitas sta mi je
1,Manijak
2,Samo ze tvoje aci
3,Pazi se
4,Moj dragi
5,Ne, ne, ne
6,Radoznala
7,Jos te volim
8,Zar ne
9,Love
10,Manijak (remix version by Valentino)

produced by Phaebus
1,Slatka mala
2,Magija
3,Nisi u pravu
4,Da te nisam prevarila
5,Ne smem da se...
6,Upravo ostavljena
7,Ide maca oko tebe
8,Krada
9,Sve je dozvoljeno
10,Moli me

produced by FIVOS
 91年のデビュー以来発表された9枚のアルバムから選曲されたSeverina初のベスト盤。最新作“Severgreen”からの選曲が4曲もあるので、実際にはダイジェストに近いような内容。しかし、それ以前のアルバムが現在では全て廃盤になってしまっているので、新しいファンにとっては必携の1枚だろう。リイシューでもされない限りこのアルバムでしか古い音源が聴けないのは少々残念。しかし、こうして過去の作品を聴くと、改めて“Severgreen”が彼女にとって大変な野心作であった事が分る。全体的に民族色は強いものの、軽くて野暮ったい作りの楽曲が多い。  一昨年から昨年にかけてヨーロッパを中心にUKや日本のクラブ・シーンでも大ヒットしたギリシャの歌姫Despina Vandiのオリエンタル・トランス“Gia”のオリジナルを歌ったのがこのJelena Karleusa。これは、そのオリジナル・バージョン#2を含む、彼女の通算7枚目に当たるアルバムで、Despina Vandiのバージョンも手掛けたPhaebusによる全面プロデュース作品。ウルトラ・ゴージャスでセクシーなルックスから想像できないコブシ効きまくりのパワフルなボーカル、そしてエキゾチックな汎地中海系オリエンタル・クラブ・サウンドが思う存分に楽しめる1枚。とにかく、このJelena姐さん、カッコいいです。楽曲的には出来不出来のバラつきが目立ち、#2の完成度が高すぎることもあって、それ以外は比較的地味な印象。それでも、トライバルでプリミティブなバルカン・サウンド#3やスケールの大きなオリエンタル・ファンク#6辺りはクセになる仕上がり。

 よりパワフルにスケール・アップしたJelena姐さんの最新アルバム。ロシアのクラブ系ユニットHi-Fiがヒットさせた“Arabianca”のカバー#1で幕を開けるのだが、これがまた超ハイテンションでトランシーな大箱向けオリエンタル・クラブ・アンセムの傑作。完全に頭がグルグル回ります。今回も楽曲の出来にバラつきがあるものの、全体的にサウンド・プロダクションは豪華で、プリミティブかつダンサンブルな仕上がり。ほど良い哀愁感とトライバルなオリエンタル・ビートがキャッチーな#3、これまた超ヘヴィーなトライバル・ビートが迫力溢れるオリエンタル・トランス#6、エロエロ度満載のグルーヴィーで遊び心に溢れたベリー・ダンス・ナンバー#7、そして超トライバルで妖艶で土着的なオリエンタル・ファンクの大傑作#8と、もうお腹一杯。ノックアウトです。

CECA1.JPG CECA2.JPG CECA_DECENIJA.JPG

Hitovi 1
Ceca

Hitovi 2
Ceca

Decenija
Ceca

(P) Hi-Fi Centar (P) Hi-Fi Centar (P)2001 Grand Production
1,Beograd
2,Idi dok si mlad
3,Fatalna Ljubav
4,Znam
5,Maskarada
6,Vreteno
7,Ja jos spavam u tvojoj majici
8,Megamix
9,Sta je to u tvojim venama
10,Crni sneg
11,Ko na grani jabuka
12,Doktor
13,Kuda idu ostavljene devojke
14,Kukavica
15,Kad bi bio ranjen
1,Kukavica
2,Kuda idu ostavljene devojke
3,Oprosti mi suze
4,Pustite me da ga vidim
5,Da li to ljubav pravi od nas slabice
6,Idi dok si mlad
7,Vazduh koji disem
8,Da si nekad do bola voleo
9,Maskarada
10,Roden sa greskom
11,Votka sa utehom
12,Zarila sam zar
13,Dokaz
14,Crveno
15,Devojko vestice
16,Volela sam volela
17,Lepotan
18,Nije monotonija
19,Nevaljala
1,Zabranjeni grad
2,Brze, brze
3,39.2
4,Dragane moj
5,Zadrzacu pravo
6,Bruka
7,Batali
8,Decenja
9,Tacno je
10,Nemoj mi prici

produced by Aleksandar Milic
 セルビア・モンテネグロの国民的スーパー・スター、Ceca Raznatovic(ツェツァ・ラズナトヴィッチ)のベスト盤第1弾。1988年のデビューから2000年までの通算10枚のアルバムより選曲されている。どれも民族色の強いエキゾチックで哀愁感溢れる楽曲ばかりで、コブシの効いた安定感のある力強いボーカルが素晴らしい。しかしまあ、旧ユーゴの女性アーティストは揃いも揃って美形ばかり。その中でもCecaの美貌は抜きん出ているが、地に足の着いた逞しい歌いっぷりには感服する。ポップス・ファンだけでなく、コアなワールド・ミュージック・ファンにも強くオススメしたい。  こちらがベスト盤第2弾。この人の楽曲は、どこか懐かしさを感じさせると言うか、聴いていて郷愁を誘うような叙情感に満ちている。エキゾチックで物悲しげな民族音楽的哀愁感に繊細なポップ・センスを融合させたような感じで、バルカン半島文化圏特有の世界観とでも言えばいいのか。繰り返し聴くたびに心に染み渡ってくるような、不思議な魅力に溢れている。特にオススメは#5、#6、#9、#11、#12、#14辺りか。いずれも、日本人の琴線に触れる素晴らしい楽曲ばかり。  Ceca Raznatovicの通算11枚目に当たるアルバム。これまでの叙情的なバルカン民族的世界観にアンビエントなサウンド・アプローチを施した、大人のための洗練されたワールド・ミュージックが展開される。ギリシャやトルコといった近隣国の音楽との共通性を保ちながらも、独自の路線を歩んでいると言えるだろう。トランシーなアレンジを施したダンサンブルな#3にしても、過度な汎地中海系クラブ・サウンド的アプローチをあえて避け、幻想感溢れる耽美的な楽曲に仕上げている。女王の風格すら漂う貫禄の1枚。

CECA_LONDON.JPG DORIS_HITOVI.JPG TAJCI.JPG

London Mix
Ceca

Najveci Hitovi
Doris

Zlatna Kolekcija
Tajci

(P)2005 Miligram Music (P)2005 City Records (P)2005 City Records
1,Zamalo
2,Pazi sa kime spavas
3,Zabranjeni grad
4,Plan B
5,Gore od ljubavi
6,Ne gusi me
7,Prljavo
8,39.2
9,Stereo bol
10,Trula visnja
1,Projdi zoro
2,More
3,Jedini
4,Necu propast ja
5,Zeljo moja
6,Nespokoj
7,Kao ti
8,Moja jube lipi cvite
9,Marija Magdalena
10,Gabrijel
11,Vrijeme prastanja
12,Sudnji dan
13,Oprosti mi
14,Da si tu
15,Krivi ljudi
16,Malo mi za sricu triba
17,Nije mi vrime
18,Teret Ljubavi
1,Hajde da ludujemo
2,Moj mall je opasan
3,Ti nemas prava na mene
4,Dvije zvjezdice
5,Zauvljek devetnaest
6,Bube u glavi
7,Millon godina
8,Smokvica
9,Srce me je izdalo
10,Ti nemas snage
11,Pravim se da te ne volim
12,Generacljo moja
13,Be my baby
14,Let's go crazy
15,Hajde da ludujemo (party extended)
16,Hari Mata Hari - Sedamnaest ti je godina
17,Noc od kristala (Zagrebfest '87)
 過去2枚のアルバムから選曲した楽曲をクラブ系サウンドにリミックスした企画盤。今までとは打って変わって、ギリシャのDespina VandiやトルコのTarkanを彷彿とさせるトライバルで汎地中海的なアプローチを聴かせており、全く違った一面を見せてくれる。オリエンタル風P-ファンクな仕上がりの#4やベリー・ダンス・ミーツ・2ステップな#6、アラビックR&Bといった感じの妖艶でファンキーな#7など、いずれもキャッチーかつダンサンブルな出来映えで、凝りに凝ったサウンド・プロダクションも素晴らしい。  クロアチアの国民的スター、Doris Dragovicのベスト盤。この人のアルバムも軒並み廃盤なので、現在手に入るのはこのベスト盤のみ。ギリシャのNana Moskouriにも通じるような、シャンソン風の上品なフォーク・ナンバーが多い。歌声も包み込むように優しい温かみのあるもので、クセがない分だけ万人受けするのかもしれない。個人的には可もなく不可もなくといった印象なのだが、Celine Dionや森山良子辺りが好きな人にはオススメ。バルカン半島の良心といった感じだ。  これまた好き嫌いが分れそうだが、アイドル・ポップの王道を行くクロアチアのトップ・アイドル、Tajciのベスト盤。80年代後半から90年代半ばまで活躍した人で、ジャケット写真ではイマイチ分らないが、往年のバルドーを豊富とさせる小悪魔的魅力のとてもキュートな人だ。歌声も若さ溢れて元気いっぱい。楽曲的には60年代のフィル・スペクターやビーチ・ボーイズ、モータウン・サウンドに影響されたような感じで、とてもポップでキャッチー。同世代のカイリー・ミノーグよりもロックンロール色が強いのが特徴で、個人的には結構好きです。

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