バカラ Baccara
ディスコ・アーティスト列伝<5>

 

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 70年代のユーロ・ディスコを語る上で絶対に欠かすことの出来ない名曲、「誘惑のブギー」(Yes Sir, I Can Boogie)を世に放ったスペイン出身の女性デュオ。スペイン語訛り丸出しの舌足らずな英語でため息まじりに歌うボーカルが強烈に印象に残るが、それ以上にこの「誘惑のブギー」は音楽史上初めて世界的な成功を収めた生粋のユーロ・ディスコとして非常に重要な作品と言えるだろう。
 もちろん、ヨーロッパ産ディスコというのは、彼女たちの登場以前から存在はしていた。ミュンヘン・サウンドの立役者であるジョルジョ・モロダーが手掛けたドナ・サマー、ユーロ・ディスコ界最大の商売人フランク・ファリアンの手掛けたボニーMなどはその代表例だろう。しかし、彼らの作品は明らかにアメリカのディスコ・ミュージックの影響を強く受けていた。つまり、黒人音楽をベースにしながらヨーロッパ的なアプローチを試みていたものと言える。
 まず、ディスコというもののルーツから遡ってみよう。世界で最初のディスコはフランスで生まれたと言われている。50年代末にパリで人気を集めたナイト・クラブ“La Discoteque”がその発祥の地とされている。もともと、欧米では食事や酒を楽しみながら踊れるナイト・クラブが、上流階級を中心とした夜の社交場として定着していた。そのルーツはジャズが市民権を得た1920年代と言われる。クララ・ボウのようなフラッパー・ガールが、夜な夜なチャールストンのリズムに踊り狂い、男たちの間を渡り歩いていたような時代だ。
 本来、そうしたナイト・クラブで演奏される音楽はジャズ・バンドやオーケストラによる生演奏が当たり前だった。しかし、第2次世界大戦後はレコードが庶民の間でも広く普及し、ヒット曲の流行もめまぐるしく変わるようになった。そんな時代を背景に、“La Discoteque”では最新のヒット曲のドーナツ盤を取り揃え、客のリクエストに応えたところ、これが評判となったのだ。
 この“La Discoteque”のスタイルはたちまち世界中で普及し、パリの“Chez Regine”、ニューヨークの“Arthur”や“Le Club”、ロンドンの“Whisky A Go Go”といった高級クラブがこれに習った。さらにニューヨークでは、芸術家やファッション業界関係者などの流行に敏感な人々の集まる社交場としてディスコが盛んになり、さらに60年代末にはアンダーグランドなゲイ・ディスコが生まれた。
 こうした、ディスコ文化の成熟とともに独自の音楽ジャンルも生まれてくる。ディスコという特殊な空間に相応しい最先端のダンス・ミュージックが求められるようになったのだ。もはやディスコは流行の音楽に合わせて踊る場所ではなく、新しい音楽の発信源となりつつあった。
 こうして、フランスで生まれたディスコ文化はアメリカで育まれていった。しかし、ディスコが広く一般に市民権を得るようになったのはヨーロッパである。アメリカではもっぱらアンダーグランド・シーンに向けて発信されていたディスコ・ミュージックだったが、ヨーロッパでは大衆ポップスに積極的にディスコ・ミュージックの要素が取り入れられていった。もともと、ヨーロッパのマーケットは、アメリカに比べて新しい文化に対してかなり柔軟かつ寛大なところがある。アメリカ出身のアーティストでさえ、本国よりも先にヨーロッパでヒットを放ったケースも少なくない。
 しかし、そうしたヨーロッパ産のディスコも、殆どの作品は黒人音楽をベースにしていた。ドナ・サマー然り、ボニーM然り。ディスコ・ミュージックのルーツはモータウン・サンド、フィリー・サウンドといった黒人音楽にある。アバでさえ、“Dancing Queen”のリズムを生み出すのにジョージ・マクレエの“Rock You Baby”を参考にしていた。その一方で、ヨーロッパにも独自のダンス・ミュージックのルーツがある。ワルツやポルカ、ギリシャのライカ、スペインのフラメンコなどが挙げられるだろう。そうしたヨーロッパのルーツ・ミュージックを積極的に取り入れていたのは、本来はジェームズ・ラストやポール・モーリアといったイージー・リスニング系のオーケストラだった。また、ドイツを中心としたシュラガーと呼ばれる歌謡ポップスもワルツやポルカをベースにしたダンス・ミュージックに積極的だったが、あくまでもローカル・ベースでのヒットに終始していた。バカラの作品は、こうしたヨーロッパ独自のダンス・ミュージックに黒人音楽的なリズム・パターンを取り入れたもので、本来のディスコ・ミュージックとは対照的な位置にあったと言えるだろう。
 いわゆる黒人音楽優勢のディスコ・シーンで、「誘惑のブギー」のような純ヨーロッパ産ディスコが世界的なヒットを記録したのは画期的な出来事だった。そして、彼女たちの成功を機に、次々と非黒人音楽的ディスコ・ミュージックがメジャー・シーンを席巻していくことになる。
 そういえば、かつてヨーロッパ産のディスコを蔑視する音楽評論家が、その弱点として“ヨーロッパ人のリズム感のなさ”というのを挙げていたが、それは全くの見当違い。論点がズレている。ドナ・サマーやボニーMの作品にリズム感がないとは決して言えないだろう。確かに、彼らは黒人だったが、その楽曲を作り出していた作曲家もプロデューサーも生粋のヨーロッパ人、白人である。評論家たちの言う“リズム感のない”作品というのは、ただ単に黒人音楽ではなくヨーロッパの伝統音楽にルーツがあったというだけの話で、同じ土俵で比べようとすること自体が間違っているのである。

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Mayte Mateos(左)  Maria Mendiolo(右)

 さてさて、肝心のバカラに話を戻そう。バカラが誕生したのは1977年。先述したように、彼女たち自身はスペインの出身だが、当時の西ドイツでレコード・デビューを果たした。メンバーはマイテ・マテオス(Mayte Mateos)とマリア・メンディオーロ(Maria Mendiolo)。
 マイテは1951年3月3日、マリアは1952年4月4日の生まれ。二人はもともとスペインのテレビ局所属のバレエ団メンバーだった。意気投合した二人はバレエ団を離れて“ヴィーナス”というフラメンコ・デュオを結成し、ナイト・クラブに出演したり避暑地で観光客向けにフラメンコを披露していた。そんな彼女たちのパフォーマンスを見たドイツRCAレコードの重役だったレオン・ディーンは、すぐに彼女たちとレコーディング契約を結ぶ。2ヵ月後、ハンブルグを訪れた彼女たちはプロデューサーのロルフ・ソーヤ(Rolf Soja)に紹介され、デビュー曲をレコーディングする。それが“Yes Sir, I Can Boogie”(「誘惑のブギー」)だった。ちなみに、グループ名はバラの名前から取られたもの。
 このデビュー曲“Yes Sir, I Can Boogie”はたちまち大ヒットを記録し、地元西ドイツでは8週間もの間ヒット・チャートの1位を独占した。その他、世界7カ国でナンバー・ワンを獲得するメガ・ヒットとなり、スウェーデンでは何と20週に渡って1位の座をキープするという驚異的な売り上げを記録した。特に画期的だったのは、この種のユーロ・ディスコには冷淡なイギリスでの1位獲得。アメリカではチャートの上でこそヒットはしなかったものの、世界的なスマッシュ・ヒットとして紹介されて話題になった。結局、“Yes Sir, I Can Boogie”は世界中で1600万枚を売り上げる超メガトン級のヒットとなり、バカラはギネス・ブックで“世界で最もレコードを多く売った女性デュオ”として認められた。
 さらに、セカンド・シングルとしてリリースされた“Sorry, I'm a Lady”も西ドイツ、ベルギー、オランダでナンバー・ワンを記録した他、イギリスで8位、スウェーデンで3位と好調なセールスを記録。バカラはヨーロッパで最も有名な女性デュオとなった。ストリングスを多用したゴージャスで華麗なサウンド、セクシーなドレスに身を包んだエレガントでフェミニンなイメージは、まさにユーロ・ディスコ黄金期を象徴するものだった。
 その後も、1979年までの間に“Darling”、“Parlez-vous Francais?”、“The Devil Sent You To Lorado”などのトップ10ヒットを連発したが、ディスコ・ブームが下火になりつつある中で、次第にセールス的に伸び悩んでいく。また、リスナー層の若年化もセクシーなアダルト路線で売っていた彼女たちには不利だった。
 そして1981年、バカラはニュー・シングル“Sleepy Time Toy”をリリースするが、発売直前になって回収されてしまう。自分のソロ・パートが少ない事に怒ったマリアが、録り直しを求めてレコード会社を訴えたのだった。結局、これが原因でプロデューサーのロルフ・ソーヤと袂を分かつ事となり、全く新しい制作チームでアルバム“Bad Boys”をリリース。世間ではディスコ・ブームが終焉を迎えていたこともあり、ポップ・ロック路線にイメージ・チェンジを図ったものの、セールス的には全くの惨敗。これを最後に、バカラは解散をしてしまう。

 その後、マイテとマリアはそれぞれソロ・アーティストとして活動するが、残念ながらどちらも全く成功しなかった。そこで、1980年代半ばから、マイテとマリアはそれぞれ別のパートナーと共にバカラを結成する事になる。これがなかなかややこしい。特に、90年代以降ヨーロッパでリリースされている廉価版のベスト・アルバムは、両方のバカラによるリメイクものを収録しているものが多く、それでもジャケットにはオリジナル・メンバーの写真を使っていたりするので、果たしてどちらのバカラによる演奏なのかが判断つきにくいのである。
 まず、バカラの生みの親であるレオン・ディーンのもとに残ったマリアは、ヴィーナス時代からの友人であるマリサ・ペレズ(Marissa Perez)と共にニュー・バカラを結成。ジャーマン・ユーロの名プロデューサー、ルイス・ロドリゲス(Luis Rodriguez)のプロデュースで1989年に“Fantasy Boy”、“Touch Me”、“Call Me Up”の3枚のシングルをリリースした。中でも“Fantasy Boy”は西ドイツを中心にヒットを記録し、日本でも哀愁系ユーロの名曲としてかなりヒットした。
 さらにニュー・バカラは90年に“Yes Sir, I Can Boogie”のリメイク・バージョンをシングルとしてリリース。新曲で構成されたアルバム“Fun”も発売された。その後、マイテのバカラが“Yes Sir,I  Can Boogie '99”でヒットを飛ばす一方で、マリア版バカラの方もアルバム“Made In Spain”('99)、“Face To Face”('00)をリリース。2003年には、バカラとしてリメイク・ベスト“Greatest Hits 2003”もリリースしている。ちなみに、マイテも一時期ニュー・バカラを名乗っていたことから、“Fantasy Boy”など一連のニュー・バカラはマイテのグループであるという情報もあった。しかし、ジャケット写真などを見比べてみると一目瞭然。“Fantasy Boy”のニュー・バカラはマリアとマリサのデュオに間違いない。
 さて、その一方のマイテだが、当初ジェーン・カマーフォード(Jane Comerford)という女性と共にバカラを再結成。イギリスのハイエナジー系レーベルLoading Bayからベット・ミドラーのカバー“Wind Beneath My Wings”を1993年にリリースするが失敗。何度か相方を変えた末に、クリスティーナ・セヴィーラ(Cristina Sevilla)という女性と共に“Yes Sir, I Can Boogie '99”とアルバム“Baccara 2000”をリリース。古巣のBMG-Ariola(旧RCA)からの発売で大々的なプロモーションをされた事もあり、ヨーロッパ各国で大ヒットを飛ばした。その後、スウェーデンに拠点を移し、2004年にはシングル“Soy Tu Venus”でユーロビジョン・ソング・コンテストにスウェーデン代表としての出場を試みたが、レナ・フィリップソンに代表の座を奪われた。
 こうして、現在ヨーロッパでは2組のバカラが活動を行っている。マイテの方は2005年に相方のクリスティーナが脱退し、パロマ・ブランコ(Paloma Blanco)を新しいパートナーとして迎えたばかり。一方のマリアは現在もマリサと共にグループ活動を続けており、昨年はウィーンのショッピング・センターにある“ウォーク・オブ・スターズ(スターの舗道)”にバカラとして手形を刻んだ。一応、生みの親であるレオン・ディーンがマネージメントをしているマリア版バカラの方が、公式には正統のバカラということになるのだろうか・・・?
 まあ、何はともあれ、“Yes Sir,I Can Boogie”のヒットだけで30年近くも第一線で食いつないでいるというのは、よく考えれば凄いことではある。

ヴィーナス時代のマイテとマリアの映像 ココ で見れます!

“Yes Sir I Can Boogie”のテレビ・ライブ映像 ココ で見れます!(生歌です!)

“Darlin'”のテレビ映像 ココ で見れます!(画質悪いです)

“Fantasy Boy”(マリア版のニュー・バカラ)のプロモ・クリップ ココ で見れます

“So Tu Venus”(マイテ版バカラ)のテレビ・ライブ ココ で見れます!

BACCARA_COLORS.JPG LIGHT_MY_FIRE.JPG BEST.JPG YES_SIR.JPG

Baccara (1977)/Colors (1979)

Light My Fire (1978)
/Bad Boys (1981)

Yes Sir, I Can Boogie

Yes Sir, I Can Boogie (1977)

(P) CD-Maximum (Russia) (P) CD-Macimum (Russia) (P)1994 BMG Ariola (Germany) (P)1977 Manhattan Records (USA)
Baccara
1,Yes Sir, I Can Boogie
2,Love You Till I Die
3,Granada
4,Gimme More
5,Koochie-Koo
6,Mad In Madrid
7,Sorry, I'm A Lady
8,Cara Mia
9,Feel Me
10,Can't Help Falling In Love
11,Number One
12,Don't Play Me A Symphonie
Colours
13,Ay,Ay Sailor
14,For You
15,One, Two, Three, That's Life
16,I'll Learn To Fly Tonight
17,Boomerang
18,Body-Talk
19,Roses In The Snow
20,By 1999
21,Groovy Kinda Lovin'
22,Sing Our Love A Lullaby

Light My Fire
1,Baby, Why Don't You Reach Out?/Light My Fire
2,Parlez-vous Francais?
3,La Bamba
4,My Kisses Need A Cavalier
5,Adelita
6,Yummy, Yummy, Yummy
7,Darling
Bad Boys
8,Bad Boys
9,Last Night
10,Ohio
11,Love Control
12,Spend The Night
13,Rio
14,Boogaloo
15,Colorado
16,Mucho, Mucho
17,Woman To Woman
18,Heart, Body and Soul
19,Love Songs
Bonus tracks
20,The Devil Sent You To Lorado
21,Somewhere In Paradise

1,Yes Sir, I Can Boogie
2,The Devil Sent You To Lorado
3,Cara Mia
4,Parlez-vous Francais?
5,Number One
6,Yummy, Yummy, Yummy
7,Sorry, I'm A Lady
8,Granada
9,Baby Why Don't You Reach Out?/Light My Fire
10,La Bamba
11,Koochie-Koo
12,Adelita
13,Somewhere In Paradise
14,Darling
15,Gimme More
16,Can't Help Falling In Love
Side 1
1,Yes Sir, I Can Boogie 6:50
Side 2
1,Yes Sir, I Can Boogie 6:50
 バカラの記念すべきデビュー・アルバムとサード・アルバムをカップリングしたCD。さすが、デビュー・アルバムは優れた楽曲揃いで、これぞユーロ・ディスコの真髄!といった感じ。もう社交界にでもデビューしちゃいそうな勢いの煌びやかさ。ミラー・ボールよりもシャンデリアが似合うような華やかさです。アルバム・トラックの中では、お色気満点エロエロ・ディスコの傑作#4が特にオススメ。一方のサード・アルバムは、基本路線はユーロ・ディスコながらも、シュラガー的な歌謡ポップスの色合いが濃厚。牧歌的なヨーロピアン・ポップスの醍醐味を楽しめる。なので、純粋にディスコを期待すると肩透かしを食うかも。  こちらはセカンドとラスト・アルバムのカップリング。エイミー・スチュアートもディスコ・カバーしたドアーズの名曲を編曲した#1は、フラメンコ・ギターをフューチャーした12分近くにも及ぶ大作。まるでサンタ・エスメラルダです。個人的には、ドラマチックで切ないメロディとエロティックなボーカルが絶妙なムードを醸しだす哀愁系ユーロ・ディスコの大傑作#7が超オススメ。小学生の頃からのお気に入りです。ええ、ませガキでした。ボーナス・トラックの#21も非常に良く出来たバラード。一方のラスト・アルバムは、全く売れなかったのが納得の仕上がり。中途半端な50年代風ロックン・ロールなど当時でも時代遅れな楽曲ばかりで、統一感ゼロ。  典型的な選曲によるオリジナル・バージョンのベスト盤。基本的に、BMG-Ariolaからリリースされているベスト盤なら、廉価盤であってもちゃんとオリジナル・バージョンを収録しています。ちなみに、アルバムでは12分近くあった#9は5分弱に編集されたシングル・バージョン。こうして全盛期のヒット曲をまとめて聴くと、彼女たちの作品がポルカやフラメンコ、マズルカなどヨーロッパ各地の伝統的大衆音楽をベースにしていた事がよく分ります。まさに黒人音楽とは対極の位置にある、ヨーロッパならではのディスコ・サウンドですね。そういった意味では、ヨーロピアン・ポップスとして聴くべきなのかもしれません。  こちらはアメリカのみでリリースされた12インチ・シングル。中古市場では15000円〜20000円くらいで取引されている激レア・アイテムです。ところが、10年くらい前にソウル・ミュージック専門の中古レコード屋で2000円ほどで購入。値付けする人の価値観に左右される部分が大きいというのが、中古盤捜しの面白さだったりします。さて、肝心のロング・バージョン。オープニングのため息の部分が、ストリングスのみだったオリジナル・バージョンと違ってズンドコズンドコとドラムが入ります。あとは、サビを何度も繰り返すだけで、ミックス自体はオリジナル・バージョンと何ら変わりません。当時の典型的なロング・バージョンのパターンですね。

FANTASY_BOY.JPG TOUCH_ME.JPG YES_SIR1990.JPG DIE_HIGHLIGHTS.JPG

Fantasy Boy (1989)

Touch Me (1989)

Yes Sir, I Can Boogie (1990)

Die Highlights

(P)1989 Victor (Japan) (P)1989 Bellaphon (Germany) (P)1990 RTL/Summer Records (UK) (P)1997 Laser Light (Germany)
1,Fantasy Boy (Extended) 7:03
2,Fantasy Boy (Radio Version) 3:42

produced by Louis Rodriguez
Side A
1,Touch Me 7:00
Side B
1,Touch Me (Single Version) 3:40
2,Touch Me (Instrumental) 4:00

produced by Louis Rodriguez
Side A
1,Yes Sir, I Can Boogie (Radio Cut)
2,Yes Sir, I Can Boogie (Boogie Club Mix)
Side B
1,Yes Sir, I Can Boogie (Mega House Mix)
2,Yes Sir, I Can Boogie (House Mix)

produced by Martin Colgan
1,Yes Sir, I Can Boogie
2,Set Me Free
3,Fantasy Boy (Extended)
4,Say A Little Prayer
5,We All Need Love
6,Without You
7,F.U.N.
8,Touch Me (Extended)
9,Call Me Up
10,Are U Alone Tonight
11,I Lose Control
12,I Want U
13,Never Gonna Give Up
 C・C・キャッチやモダン・トーキングとの仕事で有名なルイス・ロドリゲスをプロデューサーに迎えたマリアのニュー・バカラによる大ヒット・ユーロ。まさしくモダン・トーキング路線の哀愁歌謡ユーロの王道を行く作品で、日本でもディスコを中心に当時大ヒットしました。くどいくらいに切ないメロディが日本人の琴線に触れるという感じですねー。クセになります。  こちらはニュー・バカラのセカンド・シングル。サウンドそのものは、ザ・フラーツやディヴァイン辺りのボビー・O作品を彷彿とさせるハイエナジーで、特にシンセサイザーの使い方なんかはオー・ロメオの“One More Shot”辺りに近い感じ。ただ、楽曲そのものはインパクトに欠ける出来で、ちょっと弱いかな。前作と比べると平凡過ぎるといった印象。  ニュー・バカラによる「誘惑のブギー」のリメイク。数あるリメイクの中でもベストの出来映え。特に、原曲のイメージを崩すことなく、90年代仕様のユーロ・ハウスとして甦らせたA面のミックスはお見事。タイトでパーカッシブな打ち込みが非常にカッコいい。一方、B面のミックスはアンダーグランド・ハウスを意識しすぎたせいか、かなり違和感のある仕上がり。  1990年にリリースされたアルバム“Fun”にシングル“Fantasy Boy”、“Touch Me”、“Call Me Up”をカップリングしたコンピレーション。#1は左の12インチに収録されているラジオ・カットと同じバージョン。この“Fun”というアルバムが、非常に凡庸なユーロ・ダンス・ポップばかりの退屈な作品だったので、シングル曲以外は正直どうでも良いです。

YES_SIR99.JPG BACCARA_2000.JPG POP_STARS.JPG GREATEST_HITS2003.JPG

Yes Sir, I Can Boogie '99 (1999)

Baccara 2000 (1999)

Yes Sir, I Can Boogie

Greatest Hits 2003 (2003)

(P)1999 BMG-Ariola (Germany) (P)1999 BMG-Ariola (Germany) (P)2001 Sonotec GMBH (Germany) (P)2003 Universal/Turbo (Russia)
1,Radio-Mix feat Michael Universal 3:30
2,Radio-Mix 3:30
3,Lite Rap feat Michael Universal 3:30
4,Extended-Mix feat Michael Universal 4:54
5,Karaoke Version 3:30

produced by Thorsten Brotzmann
1,Yes Sir, I Can Boogie '99
2,Carino
3,Sorry, I'm A Lady
4,The Clapping Song
5,The Devil Sent You To Lorado
6,Para Siempre Mi Amor
7,Torero
8,Parlez-vous Francais?
9,Darling
10,Concrete And Clay
11,Summer Love
12,Yes Sir, I Can Boogie '99 feat Michael Universal
13,Hit Mix feat Michael Universal
1,Darling
2,Gracias a la vida
3,Love You Till I Die
4,Sorry I'm A Lady
5,Body Talk
6,The Devil Sent You To Loredo
7,Yes Sir, I Can Boogie
8,Copacabana
9,Torero
10,Don't Play Me A Symphony
11,For You
12,When I Get Lonely
13,My Kisses Need A Cavalier
14,Parlez-vous Francais?
15,Ay Ay Sailor
16,I Do, Ido

1,Yes Sir, I Can Boogie 2003
2,Sorry, I'm A Lady
3,Si, Si Senor (Gimme More)
4,Parlez-vous Francais?
5,Woman In Love
6,Someday
7,The Devil Sent You To Lorado
8,Yes Sir, I Can Boogie (Mega-Dance Mix)
9,Spanish Medley
10,Baccara-Megamedley

 こちらはマイテ率いるバカラによる「誘惑のブギー」のリメイク。当時流行だったユーロ・ヒップ・ホップ(ユーロビートとヒップ・ホップの中間みたいな音)の要素を盛り込んだ仕上がりで、オリジナルのイメージを最大限に生かしているという意味では良心的なバージョン。ただ、それだけ。ボーカル的にもニュー・バカラの方が遥かに良かった。まあ、オリジナルでリード・ボーカルを取っていたのはマイテの方だったんですけどね。歌唱力は当時から全く成長してません。まあ、その点ではオリジナルに忠実なのかも(苦笑)。

 往年のヒット曲のリメイクと新曲で構成されたマイテ版バカラのフル・アルバム。さすが、古巣BMG-Ariolaからのリリースだけあって、リメイクはどれもオリジナルに忠実な仕上がりで、その点では安心して聴くことが出来ます。まあ、見方を変えると芸がない、という事にもなりますが・・・。さて、新曲の方はというと、マカレナ丸出しの#4(ベル・スターズのカバー)、マイテがスペイン語で作詞を手掛けたフラメンコ・ハウス#7など、可もなく不可もなくのラテン・ダンス・ポップ揃い。全体的に非常に無難な作品です。  これが謎のリメイク・ベスト盤。ボーカルは明らかにマイテなのですが、どこからどう聴いてもソロで歌っているんですよねー。詳しいクレジットが一切ないので、レコーディング時期も不明。ただ、恐ろしくチープなバック・トラックから推察すると、90年代前半辺りに低予算で制作されたものではないかと思います。それにしても、ジャケットには全盛期の写真が使われているので、マニアでもない限り、知らずに買った人は激怒ものでしょーねー。とても聴くに耐えない、無残な仕上がりとしか言いようがありません。  2002年にドイツのユニバーサルからリリースされたリメイク・ベストのロシア盤。ニュー・バカラから改名したマリア版バカラです。ガラージ風のフラメンコ・ハウスにリメイクした#1は、オリジナルの良さを生かしきれず残念な仕上がり。新曲#3は往年のバカラを思わせる生粋のユーロ・ディスコで、個人的には結構好き。バーブラ・ストレイサンドの名曲をヒップ・ホップ風にカバーした#5は大失敗でしたねー。あまりにも無理がありすぎです。#8は1990年のラジオ・バージョン。ということで、決して悪くはないものの、即席で作っちゃいました感は拭えない1枚ではあります。

SOY_TU_VENUS.JPG YES_SIR2005.JPG GOLDEN_HITS.JPG SATIN.JPG

Soy Tu Venus (2004)

Yes Sir, I Can Boogie 2005 (2005)

Golden Hits (2008)

Satin.......in black & white (2008)

(P)2004 M&L Records (Sweden) (P)2005 ZYX Music (Germany) (P)2008 Eurotrend (EU) (P)2008 Edel Records (Germany)
1,Soy Tu Venus (Radio Version) 2:59
2,Soy Tu Venus (Spanish Version) 2:59
3,Soy Tu Venus (PVC One 5 Radio Edit) 4:20 *
4,Soy Tu Venus (PVC One 5 Club Mix) 8:18 *
5,Soy Tu Venus (Karaoke Version) 2:59

produced by Habolin/Jansson/Olausson
*remixed by PVC One 5
1,Radio Edit 3:00
2,Extended Mix 7:09
3,Tribal Club Mix 5:32
4,Club 33 Mix 7:05
5,Instrumental 7:09

produced by Amadeus Crotti & Luis Rodriguez
1,Yes Sir, I Can Boogie
2,Sorry I'm A Lady
3,Darling
4,Parlez-Vouz Francais?
5,The Devil Sent You To Lorado
6,Body Talk
7,Ay, Ay Sailor
8,Love You Till I Die
9,I Do, I Do
10,For You
11,Torero
12,When I Get Lonely
13,My Kisses Need A Cavalier
14,Gracias A La Vida
15,Don't Play Me Symphony
16,Copacabana
17,Copacabana (Remix)
1,Nights in Black Satin
2,Sorry I'm A Lady (New Version)
3,Cara Mia (New Version)
4,Girls Are One Half Of Heaven
5,Yes Sir, I Can Boogie (Latin Version 2008)
6,Yes Sir I Can Swing
7,Simply Forget
8,The Devil Sent You To Lorado (New Version)
9,The Mathematix Of Love
10,Sleepy-Time-Toy (New Version)
11,Darling (New Version)
12,(I Don't Want) To Lose Lautrec
13,German Medley (Preview Single Edit)

produced by Rolf Soja
 歌姫カローラやレッドネックスが在籍するスウェーデンの人気レーベル、M&Lからリリースされたマイテ版バカラのシングル。スウェディッシュ・ポップらしい爽やかでメロディアスなダンス・ナンバーで、突き抜けるようなストリングスの音色が気持ちいい。ただ、アンダーグランド色を押し出したリミックス#3、#4は退屈そのもの。  さて、いつまで出続けるのでしょう「誘惑のブギー」のリメイク。歌うはマリア版バカラ。さすがに、もうネタは尽きてきたという感じですねー。プロデュースには懐かしいルイス・ロドリゲスの名前もあるものの、どうも出がらし感は否めません。さすがに正攻法のリメイクでは勝算なしと踏んだのか、#3と#4はダブ的なハウス・ミックスに仕上げてますが、「誘惑のブギー」である必要なし。  上記の“謎のリメイク・ベスト”と同一内容のベスト盤が再びリリースされました。どうやらこれ、マイテではなくてマリア版バカラによるレコーディングらしいんですよね。時期的には90年代半ばの模様。それにしては恐ろしくチープなバックトラックです。ボーナス・トラックとしてオリジナル・ソング#16のリミックスが入っていますが、これも安手のグランドビートといった感じで寒い・・・。  マイテが約27年ぶりにロルフ・ソーヤと組んだ、話題のオリジナル・アルバムです。約半分が過去作品のリメイク・バージョンなわけですが、本家プロデューサーの手によるものとくれば、その意味合いも違ってきますよね。“誘惑のブギー”をチャチャチャ風にリメイクした#5はまずまずの出来。新曲ではメロウ&爽やかな#1がオススメ。全体的にラテン色の濃い仕上がりです。

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