イタリア映画黄金期を代表する職人監督
アントニオ・マルゲリティ 〜Antonio
Margheriti〜
イタリアの娯楽映画が全盛だった時代を象徴する名物監督である。アンソニー・M・ドーソン(Antohny M.
Dawson)の変名を使う事も多かったので、昔はイギリスの俳優アンソニー・ドーソンと混同される事も多かった。
SFからホラー、西部劇、刑事ドラマ、戦争スペクタクル、カー・アクション、コメディ、サスペンス・・・と、そのフィルモグラフィは文字通り何でもあり。その無節操ぶりはイタリアの職人監督ならではと言えるだろう。ただ、これといった代表作があるわけでもなく、作品数も数多のイタリア娯楽映画監督と比べても特に多いわけではないマルゲリティが、実に40年近くもの長きに渡って作品を撮り続ける事ができたのは興味深い。
マルゲリティの監督としての才能・手腕については、少なくとも批評家の評価は厳しかった。その主だった原因としては、確固たるスタイルの欠如が挙げられる。マリオ・バーヴァやセルジョ・コルブッチ、フェルナンド・ディ・レオ、セルジョ・ソリーマといった批評家好みの職人監督たちが常に一貫した演出スタイル・手法を確立していたのに対し、マルゲリティは明らかに器用貧乏だった。
その一方で、彼は低予算の映画を見栄えの良い作品に仕上げる才能には長けていた。傑作こそものにしないものの、とんでもない駄作・失敗作も生み出さず、そこそこの作品を仕上げてくるのだ。その点ではプロデューサー好みの監督だったと言えるだろう。
その手堅い演出には早くから定評があり、60年代には「惑星からの侵略」('65)、「さまよえる惑星」('65)、「惑星大戦争」('65)の3本のSF映画をMGMの資本提供でアメリカ市場向けに制作している。また、アンディ・ウォーホル一派のポール・モリッシーがイタリアの大物プロデューサー、カルロ・ポンティの元で「悪魔のはらわた」('73)と「処女の生血」('74)を撮った時も、その演出の余りの酷さに途方に暮れたポンティが助けを求めたのがマルゲリティだった。
インディーズ映画特有の場当たり的な即興撮影の手法しか知らないモリッシーは、いわゆる劇映画の演出に関しては素人同然だった。マルゲリティはノー・クレジットでスーパーバイザーの役割を担当し、撮影現場に脚本を持ち込む事すら知らないモリッシーのクルーに映画撮影のノウハウを教えたのだ。「処女の生血」に至っては、マルゲリティが追加撮影まで行っている。
先にマルゲリティの演出にはスタイルがないと断言したが、厳密に言うと彼の作品には一貫したポリシーと特長がある。その一つが、残酷描写とセックスの抑制だ。イタリアの娯楽映画の醍醐味と言えば過激なエログロだが、マルゲリティはあえてそれらをオブラートに包んで見せる。“我々は神経を逆なでするようなものを、見たくない人に無理矢理見せる権利はない”と本人も生前に語っていた。
ただ、唯一の例外がある。しかも、桁外れの例外が。バイオレンス・ホラーの問題作「地獄の謝肉祭」('80)だ。ベトナムで捕虜として監禁されていた時に空腹のあまり人肉を食らった帰還兵が、病院から脱走して狂ったように人の肉を求める。しかも、このカンニバリズム、伝染するのだ。
明らかにロメロの「ゾンビ」とコッポラの「地獄の黙示録」を掛け合わせた企画もの映画。マルゲリティ本人は“あの残酷描写は反戦のメッセージだった”としながらも、“プロデューサーがロメロの「ゾンビ」のパクりを求めていた”と正直に認めている。こうした臆面のなさこそが、映画監督アントニオ・マルゲリティ独特のバイタリティというか、映画屋根性の証だったと言えよう。
また、彼はミチチュアを使った特撮を好んで使う。もちろん、そこには予算的な問題も絡んでくるのだが、それ以前に彼はミニチュア撮影が大好きだったのだ。それは、自身のミニチュア特撮工房を持っていた事からもよく分る。カー・アクション「ターボクラッシュ」('81)や冒険アドベンチャー「アポロンの秘宝」('83)のカー・チェイス・シーンでは、精巧に作られたミニチュア・セットとラジコンを使用しており、なかなか良く出来た仕上がりだった。また、戦争アクション「狼どもの戦場」('84)の工場爆破シーンや「コマンドー・レオパルド」('85)のダム決壊シ−ンのミニチュア特撮も迫力があった。
自作以外でもセルジョ・レオーネ監督の「夕陽のギャングたち」('71)やジェリー・カーラ監督の「チキン・パーク」('94)でも特撮を担当。息子エドゥアルド・マルゲリティが監督した「ブラック・コブラ3」('90)も手掛けている。
初期のフィルモグラフィーにSF作品が多いこと、また本人が長年製作を夢見て遂に実現できなかった企画が「ほら吹き男爵の大冒険」であることなども併せて考えると、実は彼は生粋のファンタジストだったのかもしれない。
アントニオ・マルゲリティは1930年9月19日、イタリアはローマに生まれた。もともとは電気技師を目指していたのだが、映画好きが高じて二十歳の時に国立映画実験センターに入学。卒業後は助監督として現場に携わっていた。そんな彼が関わった企画の一つに、火山に関するドキュメンタリー映画があった。結局この作品は製作が中止されてしまうのだが、マルゲリティはミニチュアを使ってメッシーナ火山の噴火を再現したテスト・フィルムを撮影する。これをプロデューサーのゴッフレード・ロンバルドがいたく気に入り、その数年後にSF映画「SOS地球を救え」('60)の監督にマルゲリティを起用する。これが彼の監督デビュー作となった。
この「SOS地球を救え」は、軌道を外れてコントロールを失った宇宙ステーションを民間人である宇宙レポーターが救い、地球への衝突を回避するというサスペンスフルなSF活劇。テンポが遅いために80分足らずの上映時間が非常に長く感じる作品だが、科学的根拠に基づいた宇宙ロケットや宇宙服などの細かいディテール描写は見事で、「2001年宇宙の旅」以前に作られたSF映画としては最も技術的クオリティの高い作品の一つ。
ちなみに、この作品ではマルゲリティはアンソニー・デイジーズ(Anthony
Daisies)を名乗っている。しかし、デイジーズという名前があまりにも女性的(ひなぎくの意味)なことからアメリカの配給元に受けが悪く、以降アンソニー・ドーソンもしくはアンソニー・M・ドーソンを名乗るようになる。
この変名という習慣はイタリア映画の特色の一つで、中には10近くの変名を使い分ける人までいる。これは純粋にビジネス的な理由からで、イタリア人がアングロ・サクソン系の名前を名乗ることによって、あたかもアメリカ映画であるかのように装うのである。一番有名な例がセルジョ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」。主演のクリント・イーストウッドはアメリカ人だからいいとして、監督のレオーネはボブ・ロバートソン、製作のアリーゴ・コロンボはハリー・コロンボ、撮影のマッシモ・ダラマーノはジャック・ダルマス、美術のカルロ・シーミはチャールズ・シモンズ、特殊効果のジョヴァンニ・コリドーリはジョン・スピード、音楽のエンニオ・モリコーネはダン・サヴィオ、俳優でもジャン・マリア・ヴォロンテがジョニー・ウェルズ、ベニト・ステファネッリがベニー・リーヴスといった具合。主演がイーストウッドだし、クレジットだけ見たら完全にアメリカ映画だと錯覚してしまう。それもこれも、世界中に映画を配給するためにイタリア人が編み出した裏技だったのである。
続く「地球最終戦争」('61)も、宇宙の彼方の惑星から地球を破壊するために送られた巨大隕石を阻止しようとする宇宙パイロットたちの活躍を描く作品だが、あまりにも長閑なテンポのために緊迫感が皆無という代物だった。だが、その一方でリアルな宇宙開発基地の描写やギリシャ神話にも似た世界観はユニーク。
こうしてイタリアではあまり作られる事のなかったSF映画というジャンルでキャリアをスタートさせたマルゲリティは、次に当時の流行だったスペクタクル史劇を手掛ける。それが「ヘラクレスの怪獣退治」('63)、「黄金の矢」('63)、そして「ローマの崩壊」('64)である。「ヘラクレスの怪獣退治」と「ローマの崩壊」は撮影が同時進行で、「ヘラクレスの怪獣退治」はマルゲリティの指示の元で当時彼の助監督だったルッジェロ・デオダートが現場を仕切った。しかし、大地震によってローマが破壊されるという大スペクタクル・シーンが見物の「ローマの崩壊」の撮影に時間を取られたために、「ヘラクレスの怪獣退治」の方は途中からデオダートに演出を全て任せてしまったらしい。
他にも、「殺し屋への挑戦状」('66)ではマカロニ・ウェスタン、「ライトニング・ボルト大作戦」('67)では犯罪アクションと、当時人気のジャンルに次々と手をつけたマルゲリティだったが、やはりこの時代の彼のフィルモグラフィーで際立っているのはSFとホラーのジャンル。
SFでは先述したMGMの援助で製作された「惑星大戦争」「惑星からの侵略」そして「さまよえる惑星」の3本が秀逸だ。中でも「惑星からの侵略」は怪奇色の強いSFサスペンスで、人間を縮小してアタッシュケースに入れてしまうシーンはなかなかショッキングだった。
ホラーでは「顔のない殺人鬼」('63)、「幽霊屋敷の蛇淫」('64)そして日本未公開の「死の長い髪」(Long Hair of
Death・'64)。どちらも独特の世界観を持った作品で、当時は不当に過小評価されていたが今ではカルト映画として人気が高い秀作。
まずは「顔のない殺人鬼」。舞台はドイツのライン川沿いにある古城。かつての城主が使用していた拷問具が数多く展示されている異様な雰囲気の城内で起こる惨劇を描く怪奇サスペンスだ。原題にもなっている“ニュールンベルグの処女”と呼ばれる拷問具は、中に人間を入れて殺すために扉の内側に針を備えた鉄製の彫像。現代の城主マックスと結婚した花嫁メアリーは、ある晩“ニュールンベルグの処女”の中に惨殺体があるのを発見して気絶する。翌朝、召使に発見されてベッドに運ばれたメアリーだったが、死体は跡形もなく消えており、誰も彼女の話を信じようとしない。ナチズムというドイツの歩んだ近代史の悲劇を物語の背景に織り込んだ風変わりなムードのゴシック・ホラーで、演出そのものは冗長だが妙に後を引く作品だった。また、日本語タイトルにもなっている殺人鬼の特殊メイクの凄まじいインパクトも必見。
作品のクオリティとしては「幽霊屋敷の蛇淫」の方が明らかに上だろう。ロンドンを訪れた作家エドガー・アラン・ポーを取材した若手ジャーナリストのアラン。ポーの語る幽霊譚をバカバカしいと一蹴する彼に、その場に居合わせた貴族のブラックウッド卿がある賭けを申し出る。幽霊が出ると噂され、今は廃墟となっているブラックウッド家の古城で一晩を過ごせれば賞金を出すというのだ。多くの人が、この城で姿を消したという。幽霊の存在などはなから信じないアランは、その申し出を受け入れる。
その古城の中で、彼は一人の女性と出会う。エリザベスと名乗るその美しい女性と甘いひと時を過ごすアランだったが、突如として現れた男にエリザベスは胸を刺されて殺される。男の後を追うアランだったが、男はおろかエリザベスの死体まで消えてしまう。そして、何事もなかったかのように彼の前に現れるエリザベス。その他にも、二人連れの新婚夫婦や幽霊現象を研究する学者などが次々と現れるが、彼らは全てこの世のものではなかった。
夜ごと城に現れては自分が死に至った悲劇を再現する幽霊たち、廃墟となった城に突如として灯る明かりとワルツの甘い音色、そして人々が賑やかに踊るパーティー。幻想的かつ悲劇的なイメージの数々は、日本の怪談にも通ずる湿った空気と繊細な優美さを兼ね備えており、非常に魅力的だ。特に序盤、廃墟となった城の中、静かに流れてくるワルツの音色と共に扉の向こう側の広間で踊る男女の姿が現れる下りの叙情的な美しさはなかなかのもの。マルゲリティの代表作と言って過言ではないだろう。
この作品は後に「蜘蛛の巣の虜」(日本未公開・'70・Nella
strerra morsa del
ragno)としてカラーでセルフ・リメイクされている。こちらは一転して、現在でも評価の低い作品で、マルゲリティ本人も“カラーでのリメイクは失敗だった”と語っているが、個人的にはさほど酷い作品ではないと思う。たしかに、オリジナルの幻想的かつ詩的な優美さは半減してしまっているが、ロジャー・コーマンのポー・シリーズを彷彿させるゴシック・ムードは捨てがたいものがある。
「死の長い髪」は、バーヴァの「血塗られた墓標」で当時ホラー・クイーンの名を欲しいままにしていたバーバラ・スティールを主演に迎えた作品。15世紀の中央ヨーロッパを舞台にしたゴシック・ホラーで、魔女のレッテルを張られて処刑された高貴な女性の復讐を描くという点で明らかに「血塗られた墓標」を意識した作品。スティールが2役を演じるというのもそのまんま。ただし、殆どの資料でスティールが処刑された女性とその娘の2役を演じているとされているが、これは誤り。彼女が演じているのは地主に殺された長女ヘレンと、その甦りであるメアリーの2役。
中世ヨーロッパのフォルクローレ的雰囲気に満ちた世界観がユニークで、クライマックスの炎の祭りの醸しだすキリスト教以前のヨーロッパの土着的風習の香りが独特だった。
70年代以降のマルゲリティはより精力的に様々なジャンルを手掛けていく。
最も異色な作品は、「ジェーン・バーキンinヴェルヴェットの森」('73)だろう。そのタイトルの通り、ジェーン・バーキンという、およそホラー映画のイメージからは遠い、当時最も時代の先端をいっていた女優を主演に起用。しかも、そのダンナでフランスの国民的な作曲家セルジュ・ゲインズブールがコロンボを彷彿とさせるとぼけた風貌の刑事を演じるというオマケまで付いたゴシック・ホラー。19世紀のヨーロッパの古城を舞台に、財産を巡って繰り広げられる連続殺人を怪奇色たっぷりに描く。ちょっとレズビアン・チックな描写もあって、イタリア産ホラーのファンには魅力的な作品だが、映画的なクオリティとしては消化不良。話題性だけは超一流の作品だった。
「真・西部ドラゴン伝」('76)では、マカロニ・ウェスタンとカンフー映画を融合。同じような趣向の作品でマリオ・カイアーノ監督の「荒野のドラゴン」('73)というのがあって、仕上がり的にはどっちもどっちではあったが、荒唐無稽な面白さという点では「荒野のドラゴン」の方が数段上だった。それでも、リー・ヴァン・クリーフを主演に据えた「真・西部ドラゴン伝」の方が興行的価値はあったかもしれない。
この時期のマルゲリティ作品には、このリー・ヴァン・クリーフのように、大御所の国際的スターが次々と起用されている。出来上がりは凡庸だった「ワイルド・トレイル」('75)ではリー・ヴァン・クリーフの他に「ローラ殺人事件」や「影なき殺人」といったフィルム・ノワールの名優ダナ・アンドリュースに「悪人と美女」などの名バイプレイヤー、バリー・サリヴァン、さらには「太陽の下の18歳」などで日本でも一世を風靡したカトリーヌ・スパーク、「燃えよドラゴン」のジム・ケリー、「三人の名付け親」や「黄色いリボン」の西部劇スター、ハリー・ケリー・ジュニアという豪華な顔ぶれが揃った。
さらに、「ユル・ブリンナーの殺人ライセンス」('76)では、ユル・ブリンナーにバーバラ・ブーシェ、マーティン・バルサム。ピラニア版ジョーズに犯罪アクション、さらにはダム決壊のパニックまで盛りこみすぎて収集がつかなくなってしまった珍作「キラーフィッシュ」('78)ではテレビ「600万ドルの男」で人気絶頂だったリー・メジャースにカレン・ブラック、文豪ヘミングウェイの孫娘にして当時世界的なトップ・モデルだったマーゴ・ヘミングウェイ、ヴィスコンティやキューブリックといった巨匠に愛された社交界の花形マリサ・ベレンソン、60年代の青春スター、ジェームズ・フランシスカスといった具合。
マルゲリティが個人的には最もお気に入りだという「New
Yorkスクイーズ・ゲーム」('80)にしても、ヴァン・クリーフ、カレン・ブラック、エドワード・アルバートなどハリウッド映画と見まごう顔ぶれ。ちなみにこの作品、「宝石泥棒大逆転」というタイトルでも知られており、日本ではそれぞれ別々の作品としてマルゲリティのフィルモグラフィーに紹介されているが、全く同じ作品なのでご注意。
そして、80年代のスタートを飾ったのが先述の「地獄の謝肉祭」。ショットガンでどてっ腹にぽっかり穴をあけるシーンなど、あまりにもあからさまな残酷描写の連続で、アメリカを含めて各国でカット上映ないし上映禁止されたという曰く付きの作品。娯楽映画のマーケットをアメリカに独占されつつある中、センセーショナリズムで売るしかなくなりつつあったイタリア映画産業を象徴していたとも言えるだろう。
この「地獄の謝肉祭」のベトナム戦争シーンで初めてフィリピンのジャングルでの撮影を経験したマルゲリティは、これを機に「戦場の謝肉祭」('81)、「トルネード2」('82)、「トルネード」('83)、「ジャングル・レイダース」('83)、「ザ・ゴールデン・コブラ」('83)、「狼どもの戦場」、「コマンドー・レオパルド」と、次々とフィリピンをベトナムや南米に見立てた戦争アクションを撮っていく。フィリピンでの撮影の利点は何と言っても人件費の安さだったが、ほとんど未開地といっても過言ではないフィリピンのジャングルでの撮影は過酷そのもので、「トルネード2」に出演したアニー・ベルは撮影中に過労でダウンしてしまった。彼女によると、マルゲリティと撮影クルーはフィリピンでの撮影に慣れていることもあってジャングルの気候や環境も熟知しており、その姿はさながら映画の中に登場するコンバット部隊のようにタフだったという。
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SOS地球を救え |
地球最終戦争 |
顔のない殺人鬼 |
幽霊屋敷の蛇淫 |
(P)2003 Alpha Video (USA) | (P)2003 Alpha Video (USA) | (P)2003 Shriek Show (USA) | (P)2002 Synapse Films (USA) |
画質★☆☆☆☆ 音質★☆☆☆☆ | 画質★★☆☆☆ 音質★☆☆☆☆ | 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ | 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ |
DVD仕様(北米盤) カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード:ALL/79分/製作イタリア |
DVD仕様(北米盤) カラー/スタンダード・サイズ/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード:ALL/84分/製作イタリア |
DVD仕様(北米盤) カラー/ワイド・スクリーン/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード:1/90分/製作イタリア・フランス 映像特典 オリジナル予告編 フォト・ギャラリー |
DVD仕様(北米盤) モノクロ/ワイド・スクリーン/モノラル/音声:英語・フランス語/英語字幕/地域コード:1/89分/製作イタリア 映像特典 アメリカ版予告編 アメリカ公開バージョンのオープニング スチール・ギャラリー |
監督:アントニオ・マルゲリティ 脚本:エンニオ・デ・コンチーニ 撮影:マルチェロ・マスチオッキ 特殊効果:チェザーレ・ペアーチェ 音楽:ゴードン・ザーラー 出演:リック・ヴァン・ヌッター ギャビー・ファリノン アーチー・サヴェージ デヴィッド・モントレサー |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:トマッソ・サゴーネ 脚本:エンニオ・デ・コンチーニ 撮影:マルチェロ・マスチオッキ 音楽:マリオ・ミラルディ 出演:クロード・レインズ ビル・カーター マヤ・ブレント ウンベルト・オンシーニ |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:マルコ・ヴィカリオ 原作:フランク・ボガート 脚本:エルネスト・ガスタルディ エドモンド・T・グレヴィル アントニオ・マルゲリティ 撮影:リカルド・パロッティーニ 音楽:リズ・オルトラーニ 出演:ロッサナ・ポデスタ クリストファー・リー ジョルジュ・リヴィエール ジム・ドーレン ルシール・サン・シモン パトリック・ウォルトン |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:レオ・ラックス マルコ・ヴィカリオ 脚本:セルジョ・コルブッチ ジョヴァンニ・グリマルディ 撮影:リカルド・パロッティーニ 音楽:リズ・オルトラーニ 出演:バーバラ・スティール ジョルジュ・リヴィエール マーガリート・ロブサム アルトゥーロ・ドミニチ シルヴァーノ・トランキーリ シルヴィア・ソレンテ ウンベルト・ラホー |
マルゲリティの記念すべきデビュー作品。ストーリーなどの詳細は上記本文を参照して下さいませ。主演のリック・ヴァン・ヌッターは「007/サンダーボール作戦」のボンドの相棒フェリックス役で有名な俳優。でも、イマイチ顔が印象に残らないんですよねー(^^;ヒロイン役のギャビー・ファリノンはロジェ・ヴァディムの傑作「血とバラ」に出ていた可憐な女優さん。いかつい黒人の宇宙船乗務員役のアーチー・サヴェージはフェリーニの「甘い生活」にダンサー役で顔を出していた人。脚本のエンニオ・デ・コンチーニは「イタリア式離婚狂想曲」でアカデミー賞脚本賞を受賞した大御所。本作では何故かワシリー・ペトロフというロシア人名でクレジットされている。SFなら宇宙開発がお得意のロシア人・・・というわけでもなかろうに。過去に正式にソフト化された事のない作品ゆえ、このAlpha版のDVDは有難いが、いかんせん画質・音質が最悪。 | 前作とほぼ同じスタッフで撮影された2作目。詳細は上記本文を参照。主役の天才老科学者を演じるのは「カサブランカ」の警察署長役や「透明人間」をはじめとするユニヴァーサル・ホラーでも御馴染みの名優クロード・レインズ。かなりの老人に見えるが、撮影当時まだ63歳。まあ、昔に比べて今の60代が若く見えるのだから仕方ないか。巨大隕石を阻止しようとする宇宙パイロット役を演じるビル・カーターもアメリカの俳優だが、大役はこれ一本限り。ジョナサン・デミ監督の「愛されちゃってマフィア」にもチョイ役で出ていた。注目はレインズを慕う若い科学者を演じるウンベルト・オルシーニ。後にヴィスコンティの「地獄に堕ちた勇者ども」で反ナチを掲げて抹殺されるヘルベルト役や「狼の挽歌」で最後にジル・アイアランドと一緒にブロンソンに射殺される悪役といった大役を演じる名優だが、当時はまだ駆け出し。当然だが、若くて初々しい。 | 狂った殺人鬼の特殊メイクが悪夢のように強烈印象に残るゴシック・ホラーの異色作。詳細は上記本文を参照。製作を担当しているのが「黄金の7人」の監督として有名なマルコ・ヴィカリオということで、ヒロイン役はヴィカリオの奥様ロッサナ・ポデスタ。ハリウッド史劇「トロイのヘレン」で世界一の美女と謳われたスターだが、やはり「黄金の7人」シリーズのイメージが強いせいか、恐怖に震える清楚な若妻という役どころに多少の違和感が(笑)。また、ドラキュラ俳優クリストファー・リーが珍しく召使という脇役で登場。マックス役のジョルジュ・リヴィエールはフランスの俳優だが、イタリア映画への出演が多く、マルゲリティ作品には「幽霊屋敷の蛇淫」にも主演している。脚本に参加しているエルネスト・ガスタルディはイタリア娯楽映画の黄金期を支えた名脚本家の一人で、特にジャロと呼ばれる猟奇サスペンスで秀作を数多く手掛けている。 | マルゲリティの代表作。このアメリカ版DVDは画質の素晴らしさも去ることながら、英語版ではカットされてしまったシーンを含むフランス公開バージョンを元にテレシネされた完全版を収録というのが嬉しい。作品の詳細は本文を参照。注目は脚本に参加しているセルジョ・コルブッチ。マカロニ・ウェスタンの名匠だが、もともとは本作の監督も手掛ける予定だった。脚本まで手掛けたものの、他の企画に忙しく、代役としてマリオ・バーヴァ、リカルド・フレーダに声をかけたが、やはり多忙のため断られ、最終的にマルゲリティに白羽の矢が立った。共同で脚本を手掛けたのは喜劇王トトの作品や史劇を数多く手掛けたジョヴァニ・グリマルディ。音楽は「世界残酷物語」の“モア”で有名なリズ・オルトラーニ。なお、「血塗られた墓標」でバーバラ・スティール扮する魔女アーシャの愛人役を演じたアルトゥーロ・ドミニチがヘンリー・クルーガーの変名で出演。 |
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Long Hair of Death (1964) |
Web of the Spider (1970) |
ジェーン・バーキンinヴェルヴェットの森 |
ジェーン・バーキンinヴェルヴェットの森 |
(P)2005 Eclectic DVD (USA) | (P)2003 Legacy Entertainment (USA) | (P) (株)エプコット (Japan) | (P)2005 Blue Underground (USA) |
画質★★★☆☆ 音質★★☆☆☆ | 画質★★☆☆☆ 音質★★☆☆☆ | 画質★★☆☆☆ 音質★★☆☆☆ | 画質★★★★☆ 音質★★★★☆ |
DVD仕様(北米盤) モノクロ/ワイド・スクリーン/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード:ALL/95分/製作イタリア |
DVD仕様(北米盤) カラー/スタンダード・サイズ(トリミング)/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード:ALL/102分/製作イタリア |
DVD仕様(日本盤) カラー/ワイド・スクリーン/モノラル/イタリア語音声/日本語字幕/地域コード:2/87分/製作イタリア |
DVD仕様(北米盤) カラー/ワイド・スクリーン/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード:ALL/95分/製作イタリア 映像特典 脚本家ジョヴァンニ・シモネッリ インタビュー |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:フェリーチェ・テスタ・ゲイ 脚本:エルネスト・ガスタルディ ブルーノ・ヴァレリ アントニオ・マルゲリティ 撮影:リカルド・パロッティーニ 編集:マリオ・セランドレイ 音楽:カルロ・ルスティケッリ 出演:バーバラ・スティール ジョルジュ・アーディソン ハリーナ・ゼレフスカ ウンベルト・ラホー ラウラ・ヌッチ |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:ジョヴァンニ・アデッシ 脚本:セルジョ・コルブッチ ジョヴァンニ・グリマルディ ジョヴァンニ・アデッシ アントニオ・マルゲリティ 撮影:グリエルモ・マンコリ サンドロ・マンコリ 音楽:リズ・オルトラーニ 出演:アンソニー・フランチオサ ミシェル・メルシエ クラウス・キンスキー ピーター・カールステン シルヴァーノ・トランキーリ カリン・フィールド |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:ルイジ・ナンネリーニ 脚本:アントニオ・マルゲリティ ジョヴァンニ・シモネッリ 原作:ピーター・ブライアン 撮影:カルロ・カルリーニ 音楽:リズ・オルトラーニ 出演:ジェーン・バーキン ハイラム・ケラー フランソワーズ・クリストフ ヴェナンティノ・ヴェナンティーニ アントン・ディフリング ダナ・ギア ルチアーノ・ピゴッツィ セルジュ・ゲンズブール |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:ルイジ・ナンネリーニ 脚本:アントニオ・マルゲリティ ジョヴァンニ・シモネッリ 原作:ピーター・ブライアン 撮影:カルロ・カルリーニ 音楽:リズ・オルトラーニ 出演:ジェーン・バーキン ハイラム・ケラー フランソワーズ・クリストフ ヴェナンティノ・ヴェナンティーニ アントン・ディフリング ダナ・ギア ルチアーノ・ピゴッツィ セルジュ・ゲンズブール |
バーヴァの「血塗られた墓標」に似たゴシック・ホラー。詳細は上記本文参照。こちらも脚本のエルネスト・ガスタルディ以下、マルゲリティ組が多数参加。スタッフで注目は編集を手掛けたマリオ・セランドレイ。「郵便配達は二度ベルを鳴らす」や「熊座の淡き星影」など初期から中期にかけてのヴィスコンティ作品の全てを手掛けた大御所で、ヴァレリオ・ズルリーニの「激しい季節」や「鞄を持った女」、フランチェスコ・ロージの「シシリーの黒い霧」や「真実の瞬間」といった戦後イタリア映画を代表する傑作を数多く手掛けた人物だ。また、音楽のカルロ・ルスティケッリは「ブーベの恋人」で日本でも人気の高い作曲家。俳優では、悪役の傲慢な地主の息子を演じたジョルジュ・アーディソンは数多くのスペクタクル史劇やマカロニ・ウェスタンに出演したブロンドの2枚目スター。司祭役で顔を出すウンベルト・ラホーは、イタリアン・ホラーには欠かせない名脇役だ。 | 「幽霊屋敷の蛇淫」のセルフ・リメイク。詳細は本文参照。セルジョ・コルブッチとジョヴァンニ・グリマルディの書いたオリジナルの脚本にマルゲリティらが変更を加えているが、ストーリーは基本的にオリジナルと一緒。撮影を担当したグリエルモ・マンコリとサンドロ・マンコリは兄弟で、共に60年代から80年代にかけてのイタリア産娯楽映画には欠かせない撮影監督。今回アラン役を演じるのはヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞した「夜を逃れて」や「長く熱い夜」、イタリアン・ホラー・ファンにはアルジェントの「シャドー」の主演でも御馴染みのアンソニー・フランチオサ。エリザベス役は「アンジェリーク」シリーズや「ピアニストを撃て」で有名なフランス女優ミシェル・メルシエ。さらにエドガー・アラン・ポー役にクラウス・キンスキーという素晴らしいキャスティング。そういえば、キンスキーってマルキ・ド・サドの役もやってた事あったな。 | 日本語字幕が付いている以外に取り柄のない日本盤。画質は悪いし、カット版だし。製作のルイジ・ナンネリーニと脚本のジョヴァンニ・シモネッリは、後にルチオ・フルチの怪作「ナイトメア・コンサート」を手掛けたコンビ。撮影のカルロ・カルリーニは巨匠ロベルト・ロッセリーニ監督の「不安」や「ロベレ将軍」、「ローマで夜だった」やフェリーニの「青春群像」を手掛けた名カメラマン。その一方で「愛のエマニエル」や「バージン・エクソシスト」なんかも手掛けており、意外に何でもござれの人だった様子。しかし、何と言っても本作の目玉はジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールという世紀の問題作「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」を世に放ったフレンチ・ポップの名物カップルの共演。「スローガン」や「ガラスの墓標」など、2人の共演自体は全く珍しくないけど、イタリアン・ホラーへの出演というのはビックリである。 | 今まで古いPALビデオや画質最悪のブート・ビデオでしかお目にかかる事の出来なかった作品だが、ここへきて日本盤・アメリカ盤と立て続けに正規版DVDがリリースされたのはイタリア映画ファンとしては嬉しい限り。特に、このアメリカ盤は画質・音質の素晴らしさでは過去最高のパッケージ化。脚本を書いたシモネッリのインタビューというオマケまで付いている。まあ、大した話はしてないけどね(笑)今で言うところのニートみたいな屈折美青年役のハイラム・ケラーはフェリーニの「サテリコン」の美少年役で当時ヨーロッパでは人気のあった俳優。名門一族の相談役の牧師を演じるヴェナンティノ・ヴェナンティーニはマカロニ・ウェスタンから戦争アクションまで、イタリアの娯楽映画には欠かせない名脇役だった。英語が達者なこともあって、ハリウッド映画にも多数出演している。また、戦争映画のナチ将校役を数多く演じたアントン・ディフリングが悪役で登場。 |
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地獄の謝肉祭 |
アポロンの秘宝 |
コマンドー・レオパルド |
(P)2002 Image Entertainment (USA) | (P)1988 日本コロンビア (Japan) | (P)2005 Anchor Bay (UK) |
画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ | 画質--------- 音質---------- | 画質★★★★☆ 音質★★★☆☆ |
DVD仕様(北米盤) カラー/ワイド・スクリーン/モノラル/英語音声/字幕なし/地域コード:1/96分/製作イタリア 映像特典 ドキュメンタリー 撮影現場ビデオ・ツアー ヨーロッパ版予告編 日本版予告編 ポスター&スチル・ギャラリー アメリカ公開版オープニング テキスト・エッセイ キャスト&スタッフ・フィルモグラフィー |
VHS仕様(日本盤) カラー/ワイド・スクリーン/モノラル/英語音声/日本語字幕/99分/製作イタリア・トルコ |
DVD仕様(イギリスPAL盤) カラー/ワイド・スクリーン/ステレオ/音声:英語・ドイツ語/英語字幕/99分/製作西ドイツ・イタリア 映像特典 メイキング・ドキュメンタリー フィルモグラフィー |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:マウリツィオ・アマティ サンドロ・アマティ 脚本:アントニオ・マルゲリティ ダルダノ・サケッティ 撮影:フェルナンド・アリバス 音楽:アレクサンダー・ブロンクステイナ 出演:ジョン・サクソン エリザベス・ターナー ジョヴァンイ・ロンバルド・ラディチェ トニー・キング シンツィア・デ・カルロス ウォーレス・ウィルキンソン ヴェナンティノ・ヴェナンティーニ |
監督:アントニオ・マルゲリティ 脚本:ジョヴァンニ・シモネッリ ジョヴァンニ・パオルッチ 撮影:サンドロ・マンコリ 美術:マッシモ・アントニオ・ゲレン 音楽:アルド・タンボレッリ 出演:デヴィッド・ワーベック ジョン・スタイナー スージー・サドロウ ルチアーノ・ピゴッツィ リカルド・パラチオス アキーレ・ブルニーニ |
監督:アントニオ・マルゲリティ 製作:エルウィン・C・ディートリッヒ 脚本:ロイ・ネルソン 撮影:ピーター・バウムガルトナー 特殊効果:エドゥアルド・マルゲリティ 音楽:エンニオ・モリコーネ 出演:リュイス・コリンズ クラウス・キンスキー マンフレッド・レーマン クリスティナ・ドナディオ ジョン・スタイナー トーマス・ダネンベルグ ルチアーノ・ピゴッツィ |
イタリアン・ホラーの悪名高き問題作。カルト的人気の高さを反映してか、ファンには嬉しい豪華仕様でのDVD化。特に、当時の撮影現場(アトランタ)を再訪するビデオ・ツアーは面白い。さすがに20年以上も経つと街の風景も様変わりしていて、時の流れを感じざるを得ない。さて、マルゲリティのフィルモグラフィーの中でも特に異彩を放つ本作、脚本を手掛けたダルダノ・サケッティのカラーが色濃く反映されている部分も多いだろう。サケッティはイタリアン・ホラーの名物脚本家で、ルチオ・フルチの作品も数多く手掛けている。そのフルチの「地獄の門」でこめかみにドリルで穴を空けられてたジョン・モーゲンことジョヴァンニ・ロンバルド・ラディチェが本作では腹に穴を空けられている。イタリアン・ホラー・ファンの間では熱烈に愛されている名物俳優だ。また、フルチの「サイキック」で崖から投身自殺して顔面崩壊するジェニファー・オニールの母親役を演じていたエリザベス・ターナーがジョン・サクソンの妻役で出演しているのも注目。 | トルコのカッパドキアを舞台にした秘宝アドベンチャーもの。完全に「インディ・ジョーンズ」シリーズのパクりで、ジョン・リス・デイヴィスにソックリなトルコ人まで登場する。低予算ながら、精巧なミニチュア特撮の仕上がりはなかなかのもので、結構楽しめる。しかし、あの腰の抜けるような「フラッシュダンス」もどきの主題歌はなんとかならなかったもんか・・・(苦笑)。美術を担当したマッシモ・アントネッロ・ゲレンはフェリーニの「アマルコルド」や「カサノバ」を手掛けた人物で、70年代以降のイタリア娯楽映画には欠かせない名美術監督。主演のデヴィッド・ワーベックとジョン・スタイナーの2人も70年代以降のイタリア娯楽映画に数多く出演しているイギリス人俳優。特に、ジョン・スタイナーはあのリンゼイ・ケンプ・カンパニーにも在籍していた本格的な舞台俳優だった人物で、「サロン・キティ」で演じたナチ将校役のニューロティックな存在感が印象深い。また、イタリアン・ホラーの名物俳優アラン・コリンズことルチアーノ・ピゴッツィの好々爺ぶりがまた愉快だった。 | 80年代にマルゲリティが量産した戦争アクションの中でも、最も出来映えのいい作品。製作のエルウィン・C・ディートリッヒは60年代以降西ドイツでアクションからホラー、ソフト・ポルノまでありとあらゆるジャンルを量産していた名物プロデューサー。「ワイルド・ギース」や「オフサイド7」といった戦争アクション大作も手掛けているので、この手の映画は得意分野だったと言えるだろう。また、イタリア映画界の誇る巨匠エンニオ・モリコーネが音楽を担当しているのにも注目。主演のリュイス・コリンズは、イギリスの大ヒットTVドラマ「特捜班CI☆5」で当時ヨーロッパ中で人気のあった俳優。神父役のマンフレッド・レーマンはマルゲリティの「狼たちの戦場」にも出ており、ドイツでは声優としても有名な人。なお、本DVDには当時恐らくテレビ向けに撮影された舞台裏のドキュメンタリーが収録されており、気難しいことで悪名高かったクラウス・キンスキーの素顔などが垣間見れる。 |