アンバー Amber
進化を続けるハウス界の女王

 

AMBER.JPG

 

 入れ替わりの激しいダンス・ミュージックの世界では、殆どのアーティストが1〜2曲のヒットで消え去っていく。アーティスト生命なんか2〜3年も持てばいい方だ。そのうちヒットに恵まれなくなり、ある程度の才能がある者はソングライターやプロデューサー、はたまたバック・ボーカリストなどの裏方に回る。根強いファンがいれば、クラブ・イベントなどのドサ周りであと数年は食っていけるかもしれない。そうでなければ、文字通り跡形もなく消えてしまうのみ。そんな厳しい世界で、実に10年もの間第一線で活躍し続けているのが、このアンバーである。
 しかも、彼女が非常にユニークなのは、ヨーロッパ出身のアーティストでありながら、アメリカのクラブ・シーンで圧倒的な支持を得ているという点だろう。そもそも、アメリカではユーロ・ダンス系のアーティストを軽く見る傾向が強く、たとえヒットに恵まれたとしても殆どの場合一発屋で終わってしまう。そうした中で、アンバーはデビュー以来5曲ものクラブ・チャート・ナンバー・ワン・ヒットを、さらに5曲のクラブ・チャート・トップ・テン・ヒットを放っている。今年でデビュー10周年になるが、その人気は全く衰えを見せていない。

 アンバーは本名をマリー・クレール・クレメール(Marie-Claire Cremers)という。オランダ生まれで、ドイツで育った。父親はオペラ歌手、母親は作曲家で声楽家、ピアノ教師という音楽的に大変恵まれた家庭だった。当然のように音楽の道を志すようになったアンバーは、音楽学校で声楽を学んだ後、本名でバック・ボーカリストやスタジオ・ミュージシャンの仕事をしていた。そんな折に知り合ったのが、90年代に世界各国で一世を風靡したドイツ出身のダンス・ミュージック集団リアル・マッコイ。
 バーマン・ブラザーズと名称を変えた彼らのプロデュースで、1996年にシングル“This Is Your Night”をリリースした。これが本国ドイツのみならずヨーロッパ各国で大ヒットとなり、さらにアメリカでもビルボードのダンス・チャートで10位をマーク。翌年にはポップ・チャートでも24位まで上がる大ヒットとなり、一躍注目を集めた。続く“Colour Of Love”がダンス・チャート5位、“One More Night”が9位というヒットを記録し、ファースト・アルバム“This Is Your Night”もリリースされた。
 99年にはセカンド・アルバム“Amber”を発表。ここからのファースト・シングル“Sexual (Li Da Di)”はヨーロッパ中で大ヒットを記録した他、アメリカでもビルボードのダンス・チャートで初の1位を獲得。さらに“Love One Another”、“Above The Clouds”と立て続けに1位を記録し、その人気を不動のものとした。
 その後、リミックス・アルバムをリリースし、2001年にはシングル“Yes”がまたまたダンス・チャートで1位に。2002年にはアルバム“Naked”をリリースし、シングル“You Need To Be Naked”がダンス・チャート1位となった。さらに“Anyway (Men Are From Mars)”が12位を記録。
 2004年には“You Move Me”が4位、2005年には“Voodoo”が13位、今年に入ってからも“Just Like That”が9位といった具合に、リリースするシングルはことごとくダンス・チャートの上位に顔を出している。

 その人気の秘密は、数多のクラブ系アーティストとは一線を画する彼女のアーティスト性にあると言っていいだろう。当初はキャッチーでポップな平均的ユーロ・ダンス系ボーカリストだったアンバーだが、作品を追うごとにアーティストとしての自我を確立してきている。特にここ数年は、彼女自身や妹、母親が作詞を手掛けるようになり、女性の性やライフ・スタイルについて赤裸々に本音を曝け出すような作品を次々と発表。踊るための音楽であるダンス・ミュージックという枠を超え、幅広い層のリスナーにアピールするような作家性を兼ね備えているところに、彼女ならではのアーティストとしての強みがあるように思う。

“This Is Your Night”のプロモ・クリップ ココ で見れます!(画質悪し)

“Sexual”のプロモ・クリップ ココ で見れます!

THIS_IS.JPG THIS_IS_REMIX.JPG COLOUR_OF_LOVE.JPG ONE_MORE_NIGHT.JPG

This Is Your Night (1996)

This Is Your Night (1996)

Colour Of Love (1996)

One More Night (1997)

(P)1996 Tommy Boys Music (UK) (P)1996 Tommy Boys Music (UK) (P)1996 Tommy Boy Music (USA) (P)1997 Tommy Boy Music (USA)
1,Radio Mix 3:40
2,Original 12" Mix 5:40
3,Sunday Night Mix 8:44
4,Mousse T Mix 6:34
5,1018 Dub 7:51
6,DJ Enrie Dub 5:07

produced by The Berman Brothers
#3 & #5 remixed by Junior Vasquez
#4 remixed by Mousse T.
#6 remixed by DJ Enrie
1,Helicopter Remix 8:05
2,1018 Mix 8:27
3,Berman House Mix 5:49
4,DJ Enrie Workout Mix 5:07
5,Sunday Night Bump Dub 6:00

produced by The Berman Brothers
#1&4 remixed by Ratcliffe/Barnes
#2 & 5 remixed by Junior Vasquez
#4 produced by DJ Enrie
1,Berman 12" Mix 6:39
2,Spike Club Mix 8:27
3,Cibola Mix 7:00
4,Original Edit 3:30
5,Spike Dub Mix 7:40
6,This Is Your Night (Mousse T Remix) 6:35

produced by The Berman Brothers
#2 & #5 remixed by Darrin Friedman
#3 remixed by Steve Chavez,Charles Chavez & Armando Garza.
1,Berman Brothers 12" Mix 5:25
2,Hani's Club Mix 6:57
3,Hani's One More Dub 6:02
4,Berman Brothers Ibiza Dub 6:01
5,Being With You (Reel Soul Club Mix) 8:39
6,Being With You (Reel Soul Dark Club Mix) 7:56
7,Hani's Num Club Mix 9:53
8,Fitch Bros Club Mix 10:10
9,Fitch Bros Dub Mix 7:00
10,Original Version 3:30

produced by The Berman Brothers
#2,#3 & #7 remixed by Hani
#5 & #6 remixed by Bobby Guy & Ernie Lake
#8 & #9 remixed by The Fitch Bros.
 記念すべきデビュー・ヒット。いかにもリアル・マッコイらしい、ポップでキャッチーなユーロ・ハウス。当時は、これ一発で消えるだろうと誰もが思っていました。ボーカル・サンプリングとエフェクトを多用したJunior Vasquezの#3と#5は、いかにも彼らしいアゲアゲの爆走ハード・ハウス。Mousse Tによるマイアミ・ディスコ風の#4は、いまひとつ楽曲に馴染まず残念賞的な仕上がり。  こちらはリミックス盤。出来映えとしては、全体的に可もなく不可もなくといった感じでしょうか。#2ではフリースタイルのブレイク・ビーツを随所で引用、ちょっとVasquezらしからぬ雰囲気が面白い。とはいえ、彼ってフリースタイル畑出身の人なんですよね。まあ、原点回帰ってとこでしょうか。個人的にはメリハリの効いたハードな打ち込みがカッコいいDJ Enrieの#4がお気に入り。  ハッピーでフワフワとしたポップなユーロ・ハウスに仕上がったセカンド・シングル。一番の聴きものはNY系ハード・ハウスの名リミキサー、Darrin Friedmanによる#2と#5でしょう。Joi Cardwell辺りを思わせるシャープで無駄のないアンダーグランドなハード・ハウスに仕上げており、オリジナル・ミックスとは全く違った雰囲気を作り上げてます。  初期のアンバー作品の中でも最も好きな作品。ドリーミーで浮遊感のある非常に美しいユーロ・ハウス。いずれのリミックスも手堅い仕上がりながら、中でもボニーMの「怪僧ラスプーチン」のハンド・クラップとドラムを巧みに引用した#7は秀逸な出来映え。カップリング曲の#5も、計算し尽くされた複雑な打ち込みとピコピコしたシンセ・エフェクトがユニークなハード・ハウスの秀作。

SEXUAL.JPG NAKED.JPG ANYWAY.JPG JUST_LIKE_THAT.JPG

Sexual (Li Da Di) (1999)

The Need To Be Naked (2002)

Anyway (Men Are From Mars) (2002)

Just Like That (2006)

(P)1999 Tommy Boy Music (USA) (P)2002 Tommy Boy Enter. (USA) (P)2002 Tommy Boy Enter. (USA) (P)2006 JMCA (USA)
1,Original Radio Edit 4:38
2,Thunderpuss 2000 Edit 3:47
3,Ripe & Juicy Club Mix 5:42
4,Thunderpuss 2000 Club Mix 8:27
5,Thunderdub 6:54
6,KLM Vocal Mix 9:00
7,KLM Dub 7:05

produced by The Berman Brothers.
#2,#4 & #5 remixed by Barry Harris & Chris Cox
#6 & #7 remixed by Keith Litman
1,Original Radio Edit 3:50
2,Thunderpuss Radio Edit 4:00
3,Thunderpuss Stripped Mix 8:47
4,Thunderpuss Tribapella 6:04
5,Guido Osorio's Virgin Mix 9:11

produced by Wolfram Dettki
#2-#4 remixed by Chris Cox & Barry Harris
#5 remixed by Guido Osorio
1,Chris Cox Radio Mix 4:02
2,Al B.Rich Radio Edit 3:51
3,DJ Encore Radio Edit 4:09
4,Al B.Rich Club Mix 10:17
5,DJ Encore Club Mix 7:23
6,That Kid Chris Dub 9:13

produced by Wolfram Dettki
co-produced by Chris Cox
#2 & #4 remixed by Albert Castillo & Rich Pangilinan
#3 & #5 remixed by DJ Encore
1,Jason Nevins Radio Remix 3:41
2,Wolfram Dettki Birthday Girl Ballad 3:37
3,Solar City vs DJ Rico Radio Mix 3:48
4,Sweet Rains Main Radio Remix 3:44
5,Jason Nevins Club Mix 9:53
6,Solarcity vs DJ Rico Anthem Mix 9:43
7,DJ Jeff Barringer "Dancing" Club Anthem Mix
8,Belmares & Preve Club Mix 9:27
9,Corbo & Atchison's Club Mix 8:41
10,Solar City vs DJ Rico Power Dub 7:58

produced by Wolfram Dettki
#1 & #5 remixed by Jason Nevins
#3, #6 & #10 remixed by Scott Anderson & DJ Rico
#4 remixed by Igor Kisil & Johan Brunkvist
#7 remixed by DJ Jeff Barringer
#8 remixed by Roland Belmares & Francis Preve
#9 remixed by Rick Corbo & Curtis Atchson
 アンバーの人気を決定付けたメガ・ヒット・シングル。エレガントで幻想的なユーロ・ハウスの佳作で、バカ受けしたのも納得の1曲。しかしながら、この“リ・ダ・ディ、リ・ダ・ディ、リ・ダ・リ・ダ・ディ・・・”ってサビは、デンマークのMaria Montellのヒット曲“Di Da Di”の完全なパクりですよね!?その辺りがどうも腑に落ちないので、素直にいい曲だね、とは言えないんですよね・・・。  バーマン・ブラザーズの元を離れた最初のシングル。今までのユーロ・ハウス路線にオルタナ的な要素を加えた野心的な作品で、彼女ならではの独特な世界観が楽しめる。Thunderpussによるリミックスは一転して華やかかつゴージャスなハード・ハウスで、素晴らしくキャッチーでフロア映えのする仕上がり。Guido Osorioによる#5も非常にポップな出来。  こちらもアコースティックで爽やかな雰囲気を前面に押し出したネオアコ風の素晴らしい佳作。アンバーのボーカリストとしての実力も十分に堪能でき、ただのダンス系シンガーではない事を知らしめた1曲と言える。原曲のイメージを最大限に生かした爽快感溢れるユーロ・ハウスに仕上がった#2と#4、幻想的でアッパーなハイエナジーに仕上げた#3と#5など、リミックスも秀逸です。  自ら設立したレーベルからの最新シングル。もともとはバラード作品ながら、超豪華なリミックス陣によるクラブ・ミックスが詰め込まれている。一番期待していたJason Nevinsによる#1と#5が凡庸な仕上がりでガッカリしたものの、Erin Hamiltonのリミックスでもお馴染みのSolar CityことScott Andersonの手掛けた#3と#10はツボを心得たアッパーかつキャッチーで豪快なハード・ハウスに仕上がっていて大満足。

戻る