90's DANCE CLASSICS
ACE OF BASE エース・オブ・ベース

 

 

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 90年代に世界で最も成功したバンドの1つ。今となっては懐かしい名前だが、彼らが出てきた時はうるさ型の音楽評論家やスノッブなロック系音楽ファンまでもが、こぞってその音楽性を絶賛したものだった。90年代以降の音楽シーンはダンス・ミュージックに寛容だった・・・というよりも、ダンス・ミュージック抜きには音楽シーンを語れないような時代になっていたのである。
 スウェーデン出身で男女四人組ということからアバと比較され、実際にファースト・アルバムが全世界で2300万枚という驚異的な記録を樹立するに至り、アバに匹敵するようなスーパー・グループになるかと思われた。が、そうならなかったのは、やはりデビュー当初に売れすぎてしまったせいなのかもしれない。
 最初のヒットとなった“All That She Wants”は、レゲエとユーロ・ポップスを合体させてクラブ・ミュージックで仕上げるというスタイルが新鮮に受け取られ、その独特のサウンドは彼らのトレード・マークとなった。
 これがちょっとしたユーロ・レゲエ・ブームを巻き起こすわけだが、おかげでレコード会社からは似たような楽曲ばかりを要求されるようになる。一夜にしてスーパー・スターになったとはいえ、まだまだポッと出にすぎない彼らにしてみれば、やはりレコード会社の意見に従うしかなかったろう。
 セカンド・アルバム“The Bridge”ではレゲエ色を一掃し、ストレートなユーロ・ポップスに挑んだものの、セールス的にはイマイチだった。それが原因で彼らの発言力が弱まったせいか、サード・アルバム“Flowers”ではレコード会社からの横槍に振り回されることとなる。自信作だった“Life Is A Flower”は北米マーケット向けに歌詞の変更などのリニューアルを強要され、さらにバナナラマのヒット曲“Cruel Summer”のカバーまで歌わされる羽目に。
 おかげでシングル・ヒットには恵まれたものの、彼ら自身はミュージック・ビジネスの世界に辟易してしまい、4年後にリリースされた4枚目のアルバム“Da Capo”が失敗すると、そのまま休眠状態に入ってしまったのである。
 また、彼ら自身が“All That She Wants”のイメージを覆すような楽曲を生み出すに至らず、その後も平均的なユーロ・ポップス・バンドの枠を打ち破ることができなかったのは、当然のことながら彼らのアーティストとしての限界にも大きな要因があっただろう。アバと比べてしまうこと自体が酷なことなのかもしれないが、やはり器の違いは歴然としている。
 ただ、限りなくヨーロッパ的な彼らの音楽がアメリカでも素直に受け入れられたこと、そしてアバ以来久しく途絶えていたスウェディッシュ・ポップスの伝統を復活させ、スウェーデンを世界第3の音楽大国に成長させるきっかけを作ったことは大いに評価すべきだと思う。

 メンバーはヨナス・ベルグレンとマリン・ベルグレン、イェニー・ベルグレン、そしてウルフ・エクベルグの4人。ヨナスとマリン、イェニーの3人は兄妹だ。もともとヨナスが友達と結成したテクノ・バンドにマリンとイェニーが参加。その後、兄妹以外のメンバーが脱退してしまったため、ヨナスの友人だったウルフを誘い、新たにバンド名をエース・オブ・ベイスと変更した。
 ヨナスは“アバを好きだと公言すること自体が恥だった頃から、アバ・ファンだと言い続けて良かった”と後に語っているように、もともと熱狂的なアバ・ファンだった。マリンやイェニーも同じようにアバを敬愛しており、彼らは当初からストレートなポップ・ミュージックを志向していた。が、地元の音楽シーンではヘビメタやテクノが主流で、彼らはなかなか脚光を浴びるチャンスに恵まれなかったという。
 そうした中で、彼らに可能性を感じたプロデューサーのジョン・バラードがレコード会社を幾つも紹介してくれたが、どこでも門前払いを食ってしまったらしい。結局、唯一彼らに興味を示したのが、デンマークの弱小レコード会社メガ・レコードだったというわけである。
 そのメガ・レコードと契約したエイス・オブ・ベースは、92年にデビュー・シングル“Wheel Of Fortune”をリリース。しかし、残念ながらチャート・インすら出来なかった。ところが、スウェーデンの新進プロデューサー、デニズ・ポップに彼ら自身が売り込んで制作したセカンド・シングル“All That She Wants”が、デンマークのヒット・チャートで1位を獲得。この機を逃してはなるまいとメガ・レコードは急遽アルバムの制作を要請し、ほんの1ヶ月足らずでデビュー・アルバム“Happy Nation”を完成させた。
 その後、“All That She Wants”は93年に入って世界各国でリリースされ、イギリスやドイツ、イタリア、フランスなどでナンバー・ワンを記録。母国スウェーデンでも2位に輝いた。アメリカでは“ヨーロッパ的すぎる”という理由で各レコード会社からディストリビュートを断られ続けたが、最終的にアリスタ・レコードが権利を獲得。大方の予想に反して、見事全米チャート2位をマークした。
 当初は見向きもされなかった“Wheel Of Fortune”もヨーロッパ各国でセカンド・シングルとして再発され、ドイツやスイスなどでトップ10入りを果たす。さらに、北米ではセカンド・シングルとなった“The Sign”が全米ナンバー・ワンを獲得。ドイツやスペイン、オーストラリアでも1位となり、イギリスやイスラエル、スウェーデンなどでも2位をマークした。最終的に、デビュー・アルバムからは合計で7曲ものヒット・シングルが生まれている。
 かくしてスウェーデンを代表する世界的なスーパー・スターとなったエイス・オブ・ベイス。95年のセカンド・アルバム“The Bridge”ではアバを彷彿とさせるピュアなユーロ・ポップスへと路線変更し、母国スウェーデンやドイツ、フランスなどヨーロッパ各国では概ね好評だった。
 しかし、アメリカやイギリスではチャート・アクションで苦戦を強いられ、トータル・セールスは前作を遥かに下回ってしまう。それでも、アメリカだけで200万枚以上を売り上げているのだから、普通に考えれば立派な数字なのだが。
 いずれにせよ、レコード会社にとっては期待外れの数字だったらしく、サード・アルバムの制作に当たって、アリスタ・レコードの社長クライヴ・デイヴィスはバナナラマのヒット曲“Cruel Summer”のカバーを押し付けてきた。オリジナルにこだわりたいバンドとしては不本意極まりなかったわけだが、レコード会社の期待に応えるためには仕方のない選択だったと言えよう。
 サード・アルバム“Flowers”(アメリカと日本では“Cruel Summer”)は98年の夏にリリースされ、ファースト・シングル“Life Is A Flower”がイギリスで5位、スペインで7位、デンマークで2位など、ヨーロッパ各国でまずまずの成績を残した。一方、アメリカでは“Cruel Summer”がファースト・シングルとしてリリースされ、皮肉にも“Don't Turn Around”以来久々の全米トップ10ヒットを記録する。
 その後、99年に新曲入りのベスト盤“Singles of the 90s”をリリースしたほかは、表立った活動を休止してしまったエイス・オブ・ベース。02年になってようやく、4枚目のアルバム“Da Capo”を発表した。しかし、メンバー自身が既にバンド活動にあまり積極的ではなく、十分なプロモーション活動も行われなかったことから、各国でのアルバム・セールスは軒並み低調。アメリカやイギリスでは発売すらされなかった。
 この失敗を機にバンドは完全休眠状態に入り、メイン・ボーカルだったマリンは音楽活動そのものから離れてしまう。バンドは07年頃からライブを中心として徐々に活動を再開するが、マリンだけはメンバー復帰することなく、どうやらショー・ビジネスの世界から足を洗ってしまったようだ。もともと、彼女は“有名人になるつもりはなかった”と公言して憚らなかっただけに、引退そのものが時間の問題だったのかもしれない。
 08年暮れにはDVDを含む3枚組のベスト盤をリリース。今年は7年ぶりとなるオリジナル・アルバムを発表する予定らしいが、今のところレコード会社との契約すら決まっていない。

 

ALL_THA_SHE_WANTS.JPG ALL_THA_SHE_WANTS_US.JPG WHEEL_OF_FORTUNE.JPG HAPPY_NATION.JPG

All That She Wants (1992)

All That She Wants (1992)

Wheel Of Fortune (1992)

Happy Nation (1993)

(P) 1992 Metronnome (Germany) (P)1993 Arista Records (USA) (P)1993 Metronome (Germany) (P)1993 Metronome (Germany)
side A
1,12-inch Version 6:49 ビデオ
2,Madness Version 3:32
side B
1,Fashion Party (Dance Mix) 4:15
2,Banghra Version 4:19

produced by Denniz Pop&Joker/Buddha
1,Single Version 3:31 ビデオ
2,Extended Single/Dub 7:56
3,Banghra Version 4:15
4,12" Version

produced by Denniz Pop&Joker/Buddha
1,Wheel Of Fortune (7" Mix)3:44 ビデオ
2,Wheel Of Fortune (12" Mix)5:27
3,Wheel Of Fortune (Clubmix)4:39
4,My Mind (Dancemix)4:19 *

produced by T.O.E.C.&Joker/Buddha
*produced by Joker/Buddha
1,Radio Edit 3:32 ビデオ
2,12" Version 6:39 ビデオ
3,Album Version 4:11

produced by Joker/Buddha
 ヘビーなレゲエのリズムにヨーロッパ的な哀愁メロディ。ダンス・シーンがイタロ・ハウス全盛の当時にあって、このサウンドは少なからず斬新で衝撃的でした。これがきっかけで、次々と似たようなユーロ・レゲエ作品が出てきましたっけ。あまりにも流行り過ぎたため、今となっては気恥ずかしさもあるナンバーですが、名曲なことは間違いありません。A面の#2はイタロ風のポップなハウス・ミックス。B面の#1はアルバム収録曲のリミックスで、いかにもなテクノ・ハウスです。  こちらはアメリカ盤のマキシ・シングル。#2はオリジナル・ミックスを北米向けにエディットし直したロング・バージョンです。#4の12インチ・バージョンと大して変わりありません。ヨーロッパ盤にも収録されていた#3のバングラ・バージョンは、よりアンダーグランドでオリエンタルな味付けを施した仕上がりですが、正直なところイマイチです。ちなみに、プロデューサーとしてクレジットされているJokerはヨナスの、Buddhaはウルフのニックネーム。  もともとデビュー曲としてデンマークで発売された作品で、“All That She Wants”のメガ・ヒットを受けて再リリースされました。基本的には同じ路線のユーロ・レゲエ・ナンバーです。ってか、ソックリと言っちゃっても良いでしょう(笑)#2は純粋なエクステンデッド、#3はよりディープで重たい感じのアンダーグランド・ミックスです。悪くはないかな。カップリングの#4はアルバム収録曲のリミックス。インストに近いディープなテクノ・ハウスです。  ヨーロッパにおけるサード・シングルがこれ。やはり“All That She Wants”路線のナンバーですが、メロディの美しさはピカイチで、個人的には結構好きな作品。とても幻想的でもの悲しい雰囲気のユーロ・レゲエです。フランスで1位を獲得したほか、ドイツやオーストリア、スウェーデンなどヨーロッパ各国でトップ10入りを果たしてます。#2の12インチ・バージョンはオリジナル・ミックスを踏襲しつつ、よりエニグマ的なゴシック感を強調した仕上がり。グッドです。

HAPPY_NATION_REMIXES.JPG THE_SIGN_ORIGINAL.JPG THE_SIGN_US.JPG DONT_TURN_AROUND_US.JPG

Happy Nation (1993)

The Sign (1993)

The Sign (1993)

Don't Turn Around (1994)

(P)1994 Metronome (Germany) (P)1993 Mega Records (Denmark) (P)1994 Metronome (Germany) (P)1994 Arista Records (USA)
1,Gold Zone Club Mix 5:41
2,7" Gold Zone Edit 3:48
3,Gold Dub Edit 4:36
4,Moody Gold Mix 4:03

produced by Joker/Buddha
remixed by Tommy Ekman & Douglas Carr
1,Radio Edit 3:09 ビデオ
2,Long Version 4:43
3,Dub Version 5:10

produced by Denniz Pop, Douglas Carr & Joker/Buddha
side A
1,The Remix 5:40
side B
1,Ultimix 6:44 ビデオ
2,Dub Version 5:10

produced by Denniz Pop, Douglas Carr & Joker/Buddha
A1&B2 remixed by Denniz Pop, Douglas Carr & Joker
B1 remixed by Les Massengale & Mark Roberts
side 1
1,Groove Mix Edtended 5:19 * ビデオ
side 2
1,Stretch Version 5:59
2,Radio Groove Mix 3:40 *

produced by Tommy Ekman & Per Adebratt
* remixed by Richie Jones
 こちらは約1年後にヨーロッパでリリースされたリミックス。オリジナルにメロウな幻想感を加えた仕上がりで、大きな違いこそないものの、なかなか悪くない出来栄えです。リミックスに参加しているトミー・エクマンは、80年代からスウェーデンで活躍する有名プロデューサー。レゲエ・バンド、インナー・サークルのスウェーデン盤リミックスも手掛けています。一方のダグラス・カーはLeila KやDr.Albanのプロデューサーとして知られる人。その後、2人はリアル・マッコイのプロデュースも手掛けています。  一部の地域でのみリリースされた“Waiting For The Magic”を挟んで、ヨーロッパでは5枚目のシングルとして発売されたのが、この曲だったわけなんですね。もう、ほぼ完全に“All That She Wants”の焼き直しといった感じ。ただ、こちらの方がよりポップで明るいイメージだったためか、世界9カ国以上でナンバー・ワンを獲得する驚異的なヒットとなりました。#2は文字通りのロング・バージョン。ただ、尺的にクラブ・プレイ向けではないこともあり、US盤には収録されませんでした。  で、こちらがリミックス盤。A面#1のリミックスはデンマークとスウェーデン、ドイツ、オランダの4カ国でのみリリースされた貴重なバージョン。とはいっても、半ばダブに近い感じのハウス・ミックスで、クラブ・プレイには使えるかもしれませんが、宅聴き用にはちょっと辛いかも。一方、B面#1のリミックスは、もともとアメリカのリミックス・サービス会社ウルチミックスが制作したバージョン。オリジナルのロング・バージョンをベースに、クラブ・プレイし易いようにエディット&リミックスが施されてます。  アメリカでは“The Sign”に続くサード・シングルとしてリリースされた曲。一般的にはアズワドのカバーと思われていますが、もともとはティナ・ターナーのB面ソングです。ファースト・アルバムのアメリカ盤発売に際して、アリスタ・レコードの要請を受けてレコーディングをされたカバー作品だったようですね。A面#1のリミックスはオリジナル・ミックスをジャジーにした感じのポップな仕上がり。B面#1のリミックスは、よりクラブ・プレイ仕様のアンダーグランド・レゲエになっています。

DONT_TURN_AROUND_REMIXES.JPG LIVING_IN_DANGER.JPG HAPPY_NATION_ALBUM.JPG THE_BRIDGE.JPG

Don't Turn Around (1994)

Living In Danger (1994)

Happy Nation (1993)

The Bridge (1995)

(P)1994 Metronome (Germany) (P)1994 Arista Records (USA) (P)1993 Metronome (Germany) P)1995 Metronome (Germany)
1,Radio Groove Mix 3:40 *
2,The Aswad Mix 6:40 ビデオ
3,Groove Mix Extended 5:15 *
4,Happy Nation (Moody Gold Mix) 3:59

produced by Tommy Ekman & Per Adebr
att
* remixed by Richie Jones
1,Single Remix 3:10 * ビデオ
2,Album Version 3:19
3,Old School Mix 4:56 **
4,D-House Mix 10:09 **
5,Principle Mix 8:50 ***
6,Buddha Mix 3:35 ****

produced by Tommy Ekman & Per Adebr
att
* remixed by Tommy Ekman & Per Adebr
att
** remixed by David Morales
*** remixed by Jamie Principle
**** remixed by Buddha
1,All That She Wants 3:30
2,Don't Turn Around 3:48 ビデオ
3,Young And Proud 3:56
4,The Sign 3:08
5,Living In Danger 3:41
6,Voulez-Vous Danser 3:17
7,Happy Nation 4:13
8,Hear Me Calling 3:48
9,Waiting For Magic (Total Remix 7")3:50
10,Fashion Party 4:10
11,Wheel Of Fortune 3:52
12,Dancer In A Daydream 3:37
13,My Mind (Mindless Mix) 4:08
14,All That She Wants
  (Banghra Version)4:14
15,Happy Nation (Remix) 3:45
1,Beautiful Life 3:41
2,Never Gonna Say I'm Sorry 3:16
3,Lucky Love 2:54
4,Edge Of Heaven 3:51
5,Strange Ways 4:16 ビデオ
6,Ravine 4:40
7,Perfect World 3:56
8,Angel Eyes 3:41
9,Whispers In Blindness 4:12
10,My Deja Vu 3:22
11,You And I 4:06
12,Wave Wet Sand 3:19
13,Que Sera 3:47
14,Just 'N' Image 3:06
15,Lucky Love (Acoustic Version)2:54
16,Experience Pearls 3:59
17,Blooming 18 3:38
 ヨーロッパでは6枚目のシングルとなったこの作品。アメリカでの4位を筆頭に、イギリスで5位、ドイツで6位、カナダで1位という大ヒットとなりました。で、このリミックス盤ですが、#2ではアズワドがリミックスを手掛けています。彼ら自身のバージョンを踏襲したアレンジになっていますが、しっかりとエイス・オブ・ベースらしさを残しているのは職人技と言うべきでしょう。エイス・オブ・ベース版では、これがベストの出来栄えです。  こちらもアメリカ盤向けに制作されたナンバーで、アルバムからの最後のシングルとなります。よりアップテンポでキャッチーなレゲエ・ナンバーに仕上がってますね。リミックスの中では、大御所デヴィッド・モラレスの手掛けた#3が面白いと思います。これがバリバリのラテン・フリースタイルなんですよ。#4はいかにも当時のモラレスらしい流麗なハウス・ミックス。こちらも悪くないです。逆に#5と#6はどちらも凡庸といった印象。  記念すべきデビュー・アルバム。こちらはオリジナルのヨーロッパ盤に、US盤用として制作された#2や#5などの新曲とリミックスを加えて再発された“U_S_Version”です。やはりレコード会社からの要請により急ピッチで制作されたせいでしょうか、シングル曲とアルバム・トラックにおける出来不出来の落差が激しいという印象。アルバムとしての完成度はいまひとつかもしれません。#15は12" Versionのエディット版です。  前作のユーロ・レゲエ色を残しながらも、よりストレートなヨーロピアン・ポップス路線を打ち出したセカンド・アルバム。今回はイェニーとメリンの2人もソングライトに参加しており、バンド全体のカラーが反映された作品と言えるかもしれません。全編を通して北欧的な幻想感で統一されています。シングル曲以外でもイェニーの書いた#6やオリエンタル色の強い#7など美しい楽曲が収録されています。ただ、似たような曲の多いのが玉に瑕ですが。

LUCKY_LOVE.JPG LUCKY_LOVE_ORIGINAL.JPG LUCKY_LOVE_US.JPG BEAUTIFUL_LIFE.JPG

Lucky Love (1995)

Lucky Love (1995)

Lucky Love (1995)

Beautiful Life (1995)

(P)1995 Metronome (Germany) (P)1995 London/Mega (UK) (P)1996 Arista Records (USA) (P)1995 Arista Records (USA)
1,Original Version 2:52 ビデオ
2,Acoustic Version 2:52
3,Extended Original Version 4:49

produced by Denniz Pop, Max Martin & Joker
1,Original Version 2:52
2,Acoustic Version 2:52
3,Raggasol Version
4,Amadin Remix 5:39
6,Armand's "British Nites" Remix 11:25

produced by Denniz Pop, Max Martin & Joker

#4 remixed by Amadin
#5 remixed by Armand Van Helden
1,Frankie Knuckles Classic Club Mix 7:22
2,Vission Lorimer Funkdified Mix 6:02
3,Amadin Mix 5:39
4,Lenny B's Club Mix 7:08
5,Armand's British Nites Mix 11:21
6,Acoustic Version 2:52

produced by Denniz Pop, Max Martin & Joker

#1 remixed by Frankie Knuckles
#2 remixed by Pete Lorimer & Richard Vission
#3 remixed by Amadin
#4 remixed by Lenny Bertoldo & Marc Pirron
#5 remixed by Armand Van Helden
1,Single Version ビデオ
2,12" Extended Version
3,Junior's Circuit Bump Mix
4,Vission Lorimer Club Mix
5,Lenny B's House of Joy Club Mix
6,Uno Clio Mix

produced by Denniz Pop, Max Martin & Joker

#3 remixed by Junior Vasquez
#4 remixed by Pete Lorimer & Richard Vission
#5 remixed by Lenny Bertoldo & Marc Pirrone
#6 remixed by Uno Clio
 セカンド・アルバムからのファースト・シングル。トレードマークとなったレゲエ風の打ち込みを残しつつ、ちょっとノスタルジックで甘酸っぱい、爽やかなポップ・ナンバーに仕上がりました。楽曲のイメージからすると、#2のアコースティック・バージョンはドンピシャだと思いますね。#3はオリジナル・バージョンにブレイク・ビーツなどを織り込んだロング・エディット。個人的には、こちらの方が聴き応えあるように感じるんですけどね。  こちらはカレンダー封入の限定盤リミックス・シングル。一応、#3はラガソウル・ミックスということらしいのですが、出来栄え的にはかなり微妙かも(笑)E-Typeやパパ・ディーのプロデューサーだったDJコンビ、アマディンの手掛けた#4は、いかにもな感じのディープ・ハウス。今や大御所の仲間入りを果たしたアーマンド・ヴァン・ヘルデンによる#6は立派な大作ではありますが、どうも彼の尻軽な音作りが好きになれないんですよね。  で、今度はアメリカ盤。北米ではセカンド・シングル扱いでした。こちらは、やはり大御所フランキー・ナックルズの手掛けた#1が目玉でしょうか。優雅なピアノの使い方なんか、まんまナックルズですね、という感じですが、全体の構成は実に見事。聴かせどころのツボを心得ています。#2と#4も北米向けのリミックスですが、個人的には完全にパスしたい出来。特に当たり外れの激しいレニーBによる#4は、原曲の良さを殺しています。  北米でのファースト・シングルがこちらです。よくぞこれを一発目に持ってきました、といった感じの王道的ユーロ・ダンス・ポップ。この歌謡曲路線丸出しのキャッチーな哀愁系メロディはかなり好きでした。やはりベストなのは#2のエクステンデッド。エモーショナルでアップリフティングなヴァスケスのミックス#3も、原曲のツボを見事に押さえた出来栄えです。#4も悪くありませんが、残念ながら#5と#6は聴くに堪えない代物でした。

NEVER_GONNA_SAY.JPG NEVER_GONNA_SAY_US.JPG FLOWERS.JPG LIFE_IS_A_FLOWER.JPG

Never Gonna Say I'm Sorry (1995)

Never Gonna Say I'm Sorry (1995)

Flowers (1998)

Life Is A Flower (1998)

(P)1996 Metronome (Germany) (P)1996 Arista Records (USA) (P)1998 Mega Records (EU) (P)1998 Mega Records (Denmark)
1,Short Version 3:16 ビデオ
2,Long Version 6:35
3,Rock Version 4:00 ビデオ
4,Sweetbox Funky Mix 6:46

produced by Denniz Pop, Max Martin & Joker

#3 remixed by Par Aldeheim
#4 remixed by Geo
1,Album Version 3:16
2,Sweetbox Extended Mix 6:46
3,Lenny B's Club Mix 8:24
4,Lenny B's Organ-ic House Mix 7:14

produced by Denniz Pop, Max Martin & Joker

#2 remixed by Geo
#3&4 remixed by Lenny Bertoldo
1,Life Is A Flower 3:44
2,Always Have Always Will 3:44 ビデオ
3,Cruel Summer 3:33
4,Travel To Romantis 4:08 ビデオ
5,Adventures In Paradise 3:30
6,Dr.Sun 3:33
7,Cecilia 3:53
8,He Decides 3:07
9,I Pray 3:16 ビデオ
10,Tokyo Girl 3:34
11,Don't Go Away 3:39
12,Captain Nemo 4:01
13,Donnie 4:37 ビデオ
14,Cruel Summer (Big Bonus Mix)4:05
1,Original Version 3:45 ビデオ
2,Reggae Version 3:32
3,Extended Version 5:44
4,Soul Poets Night Club Mix 5:20
5,No Good Lover 3:54

produced by Per Adebratt, Tommy Ekman & Joker

#4 remixed by Soul Poets
 かなり“All That She Wants”に酷似した作品。どうやら、その点は彼ら自身も意図していたようですが、過去の作品の焼き直しを躊躇することなくやってしまう辺りは、彼らの人気が長続きしなかった理由なのかもしれません。楽曲としては決して悪い出来ではないんですけどね。本作はリミックスもなかなかの仕上がり。70's風のガラージ・ディスコに衣替えした#4はかなりカッコいいですし、ハード・ロック仕立ての#3も面白いと思います。  こちらはアメリカ盤マキシ。レニーBによるリミックス#3は原曲のイメージをかなり尊重しており、ストレートなくらいにキャッチーでアップリフティングなハウス・バージョンに仕上がっているのが意外でした。一方の#4はトライバル感を強調したハード・ハウス仕様で、こちらも悪くありません。あまり好きなミキサーではないんですが、これは数少ない例外かも。ちなみに、楽曲そのものは英米共にチャート・インせず、その他の国でも低調でした。  彼らのディスコグラフィーの中では最もバラエティが豊かで、アルバムとしての完成度も高い1枚かと思います。特にモータウン・サウンドにオマージュを捧げた#2のポップな爽快感は格別。メランコリックで叙情的なユーロ・ハウス・ナンバー#4も大好きな作品です。思うに、彼らは本作でアバのようにピュアなポップ・バンドへの脱皮を図ったのかもしれません。それが十分に成功したとは言えないものの、まずまずの健闘ぶりだとは思います。  楽曲的には“Lucky Love”の路線を受け継ぎつつ、よりアコースティック感を大切にした作品と言えるでしょう。一応、#2ではバンドのお約束としてレゲエ・スタイルに仕上げていますが、こちらも従来の彼らのイメージとはだいぶ異なるかもしれません。#4ではゴスペル風のガラージ・ハウスに衣替えされていますが、こちらの出来はイマイチ。原曲の良さを生かしきれていません。アルバム未収録のカップリング曲#5も印象に薄い作品です。

LIFE_IS_A_FLOWER_REMIXES.JPG CRUEL_SUMMER.JPG CRUEL_SUMMER_US.JPG WHENEVER_YOURE_NEAR_ME.JPG

Life Is A Flower (1998)

Cruel Summer (1998)

Cruel Summer (1998)

Whenever You Near Me (1998)

(P)1998 Mega Records (Denmark) (P)1998 Polydor Records (Germany) (P)1998 Arista Records (USA) (P)1998 Arista Records (USA)
1,Milk Inc. Club Mix 5:12
2,Sweetbox Remix 6:15
3,Absolom Remix 7:43
4,Soul Poets Night Club Mix 5:19
5,Milk Inc. UHT Radio Mix 3:40

produced by Per Adebratt, Tommy Ekman & Joker
#1&5  remixed by Ivo Donckers
#2 remixed by GEO
#3 remixed by Cristophe Chantzie
#4 remixed by Soul Poets
1,Radio Edit 4:05 ビデオ
2,Cutfather & Joe Mix 3:33
3,Hartmann & Langhoff Short Mix 3:23
4,Hartmann & Langhoff Club Mix 7:45

produced by Stephen Hague, Joker & Buddha

#2 produced by Cutfather & Joe
#3&4 remixed by Hartmann & Langhoff
1,Album Version 3:32 ビデオ
2,Hani Radio Mix 3:33 *
3,KLM Radio Mix 3:40 **
4,Hani Num Club Mix 8:12 *
5,KLM Club Mix 10:27 **

produced by Cutfather & Joe

* remixed by Hani
** remixed by Keith Litman
1,Album Version 3:29 ビデオ
2,Strobe's Radio Remix 3:24 *
3,Strobe's Lollipop Mix 3:20 *
4,Nikolas & Sibley
   Dance Radio Edit 3:39 **
5,Nikolas & Sibley Dance Mix 8:51**
6,Strobe's Subway Mix 3:16 *

produced by Ole Evenrude

* remixed by Strobe
** remixed by Steven Nikolas & Brendon Sbley
 こちらはリミックス盤。ベルギーのトランス系プロデューサー、イヴォ・ドンカースの手掛けた#1は、いかにものイケイケなユーロ・トランス。こういう音は生理的に受け付けません(笑)同じくベルギー出身のクリストフ・シャンツィスによる#3も、スペイシーなユーロ・トランスで、個人的には好みじゃありません。一方、ヘヴィーなファンク・ロック・スタイルに仕上げた#2はまずまずの出来だと思います。トータルでは、ちょっと微妙な一枚かもしれません。  アリスタ・レコードの要請でレコーディングさせられた、バナナラマのカバー・ソング。ラジオ・オンエア向けの#1を情熱的なラテン・ハウス風に仕上げたのは、なかなか良いアイディアだとは思います。当時はラテン・サウンドがトレンドでしたし。デンマーク出身のカットファーザー&ジョーによる#2がアルバム・バージョン。ミー&マイで有名なハートマン&ラングホフによる#3と#4は、いかにも北欧らしいキラキラ感と透明感を併せ持ったハウス・ミックスに仕上がってます。  んでもって、こちらがアメリカ盤になります。ディー・ライトやアリシア・キース、ジャスティン・ティンバーレイクを手掛けているハニによるリミックス#2と#4は、フワフワとした軽めの音作りが個人的にあまり好きじゃないかもしれません。一方、浜崎あゆみのリミックスも手掛けていたキース・リットマンによる#3と#5も、比較的平凡なスピード・ガラージといった按配で、特にこれといって特筆すべきものではないように思います。やはりヨーロッパ盤の方が好きですね。  “Life Is A Flower”のアメリカン・バージョンがこちら。“人生は色とりどりの花のようなもの”という歌詞がヨーロッパ的過ぎてアメリカ人には理解できない、という理由で歌詞とタイトルの変更を迫られたそうです。ったく、アメリカ人たら(笑)音の方もアメリカ人好みのフォーク・ロック仕様に変更。リミックスでは、シェールやモニファを手掛けたニコラス&シブリーによるハウス・ミックス#4と#5がまあまあの仕上がりですが、全体的にはパッとしません。

EVERYTIME_IT_RAINS.JPG CEST_LA_VIE.JPG BEAUTIFUL_MORNING.JPG UNSPEAKABLE.JPG

Everytime It Rains (1998)

C'est La Vie (1999)

Beautiful Morning (2002)

Unspeakable (2002)

(P)1999 London/Mega (UK) (P)1999 Polydor (Germany) (P)2002 Edel Mega (Denmark) (P)2002 Edel Mega (Denmark)
1,Everytime It Rains
2,Everytime It Rains
  (Soul Poets Club Mix)
3,Travel To Romantis (Wolf Mix)

produced by Cutfather & Joe
#2 remixed by Soul Poets
1,C'est La Vie (Always 21)
  (Radio Version) 3:26
2,Megamix (Short Version) 3:24
3,Cecilia (Ole Evenrude Mix) 4:35
4,Megamix (Long Version) 7:19
5,C'est La Vie (Always 21)
  (Remix) 3:56

produced by Jimmy James, Sonny Peterson & Sig Rossby
#2&4 mixed by Glenn Olsson & Mathias Enberg
#3 produced by Ole Evenrude
#5 remixed by Discomatic
1,Radio Version 2:59 ビデオ
2,Spanish Fly Radio Edit 2:57
3,Groove Radio Edit 2:46
4,Spanish Fly Club Version 5:16
5,The Music Video

produced by Pontus Soderqvist

#2&4 remixed by Spanish Fly
1,Radio Edit 3:14 ビデオ
2,Junk & Function/M12 Radio Mix 3:06
3,Fairlite Radio Mix 3:20
4,Filur Radio Mix 3:21
5,Don't Stop

produced by Jonas von der Burg, Harry Sommerdahl & Jonas Berggren.

#2 remixed by Junk&Function and M12
#3 remixed by Fairlite
#4 remixed by Filur
 もともとはアニー・レノックスのために書かれたという美しいバラード。アルバム“Flowers”からの最後のシングルとなりました。ソウル・ポエッツによるリミックス#2は、原曲のイメージをそのまま残した幻想的なハウス・バージョンで、なかなか悪くないと思います。また、カップリングで収録された#3もお気に入り。もともとハウス・ナンバーだった作品を、アコギ・メインのフォーキーなポップ・ソングとして甦らせており、原曲のセンチメンタリズムをとても上手く生かしていると思います。  ベスト盤のリリースに先行して、新曲として発表されたシングル。モターウン風のノスタルジックなポップ・ソングを狙った作品ですが、残念ながら不完全燃焼といった印象ですね。なんだかとても中途半端。いかにもなユーロ・トランスに仕上げた#4も、同じく残念な出来栄えです。#3はアルバム“Flowers”収録曲のリメイクですが、オリジナル・バージョンとの違いはあまり感じられません。一応、#2と#4のメガミックスが目玉だったらしいですが、こちらもただ切り貼りしただけの安易な出来です。  4枚目のアルバム“Da Capo”からのファースト・シングル。ちょっとゴスペル・チックなテイストを加味した、爽やかなフォーク風ポップ・ソングです。悪い曲ではないんだけど、いまひとつ印象に残らないというのが正直な感想。耳ざわりはいいんですけどね。おかげで、3年ぶりの新曲だというにも関わらず、母国スウェーデンですらトップ10入り出来ませんでした。スパニッシュフライによるリミックス#2と#4も、70年代ディスコっぽいギター・リフがキャッチーなものの、結果としては可もなく不可もなく。  “Da Capo”から最後のシングルがこちら。オリジナルは“All That She Wants”路線のユーロ・レゲエ。いくらファンでも、そろそろいい加減にしませんか?という心境になること必至です(笑)まあ、メロディ作りに関しては、これまでの作品とは違ったものをという工夫も感じられるのですが、音作りがほとんど同じですからね〜。逆に、ディスコ・ファンク調に仕上がった#2の方が、ちょっと捻ったメロディの面白さを存分に生かしているように思います。

ACED.JPG

Aced!

(P) no credits
1,All That She Wants
  (Grabbing Hands Mix)9:16
2,Waiting For Magic (Symbols Mix)8:21
3,Don't Turn Around
  (Goodbye Mix)10:53
4,Happy Nation (Multiculture Mix)13:22
5,Wheel Of Fortune
  (Round and Around Mix)10:09
6,The Sign (Eye Contact Mix)12:00
7,Voulez-Vous Danser (Paris Mix)6:41
 これは93年〜94年頃にかけて出回っていたブート盤。“未発表リミックス集”と銘打ってますが、ぶっちゃけ言うと海賊リミックスですね(笑)でも、これが侮るなかれ、どれも非常によく出来ているんですよ。むやみにゴチャゴチャいじることをせず、かといって単なるオリジナル・ミックスのエディットに終ることもなく、サンプリングやオーバーダブを駆使しながら、随所にさり気ない遊びを入れていくあたりのセンスはなかなかだと思います。

 

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