アバ・オリジナル・アルバム・レビュー (8)

グレイテスト・ヒッツ VOL.2
Greatest Hits Vol.2 (1979)

 

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オリジナル盤ジャケット

日本盤CDジャケット

曲目リスト

オリジナル盤

CD盤

日本盤CD (1986)

アルゼンチン盤LP

side 1
1,Gimme! Gimme! Gimme!
  (A Man After Midnight)
2,Knowing Me, Knowing You
3,Take A Chance On Me
4,Money, Money, Money
5,Rock Me
6,Eagle
7,Angeleyes
Side 2
1,Dancing Queen
2,Does Your Mother Know
3,Chiquitita
4,Simmer Night City
5,I Wonder (Departure)
6,The Name Of The Game
7,Thank You For The Music
1,Gimme! Gimme! Gimme!
  (A Man After Midnight)
2,Knowing Me, Knowing You
3,Take A Chance On Me
4,Money, Money, Money
5,Rock Me
6,Eagle
7,Angeleyes
8,Dancing Queen
9,Does Your Mother Know
10,Chiquitita
11,Simmer Night City
12I Wonder (Departure)
13,The Name Of The Game
14,Thank You For The Music
1,Gimme! Gimme! Gimme!
  (A Man After Midnight)
2,Knowing Me, Knowing You
3,Take A Chance On Me
4,Money, Money, Money

5,Angeleyes
6,Waterloo
7,Hasta Manana
8,Dancing Queen
9,Does Your Mother Know
10,Chiquitita
11,Simmer Night City
12,The Name Of The Game
13,Thank You For The Music
14,Fernando
side 1
1,Gimme! Gimme! Gimme!
  (A Man After Midnight)
2,Knowing Me, Knowing You
3,Take A Chance On Me
4,Rock Me
5,Eagle
6,Estoy Sonando
7,Angeleyes
Side 2
1,Dancing Queen
2,Does Your Mother Know
3,Money, Money, Money
4,Summer Night City
5,The Name Of The Game
6,Thank You For The Music

 

 1979年秋からスタートしたワールド・ツアーに併せて、ポーラ・レコードが企画したアバのオリジナル・ベスト・アルバム第2弾。ニュー・シングル“Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)”を筆頭に、76年から79年までのヒット曲を中心に選曲されている。
 9月13日のカナダはエドモントンでの公演で幕を開けたアバ初の本格的なワールド・ツアー。同じくカナダのヴァンクーヴァーを経て、アメリカのシアトル、ポートランド、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、ラスヴェガス、ミネアポリス、シカゴ、ニューヨーク、ボストンなど、合計で17都市を巡るという大規模なものだった。
 ちなみに、ラスヴェガスではアラジン・ホテルのコンサート会場を使用。アバはメンバーの意向で有名人や関係者などを優遇するような席を基本的に設けていなかったのだが、ここではホテル側が勝手にVIP席を最前列に用意していた。それを見たベニーが激怒して、スタッフにVIP席を全て撤去させてしまったという。ところがこのVIP席、実はマフィア関係者のためのものだったらしく、それを知ったアメリカ側のプロモーターは身の危険を感じてこっそりと会場を抜け出したそうだ。
 10月7日に行われたカナダのトロント公演を最後に北米ツアーを終えたアバは、10月19日のスウェーデンはヨーテボリでの公演を皮切りにヨーロッパ・ツアーをスタート。ストックホルム、コペンハーゲン、パリ、ロッテルダム、ミュンヘン、チューリッヒと巡り、オーストリアのウィーンでコンサートを行った10月29日、この“Greatest Hits Vol.2”が世界ほぼ同時に発売されている。

 先述したとおり、新曲の“Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight)”を筆頭に、最初のオリジナル・ベスト“Greatest Hits”以降に発売されたヒット曲で構成されたアルバム。
 ただ、全てのヒット曲が網羅されているわけではなく、その一方でシングル・カットすらされていない楽曲も含まれている。まず、選曲から洩れてしまったのが“Voulez-Vous”。これは恐らく、当時の評判やチャート・アクションがあまり芳しくなかったこと、アルバム“Voulez-Vous”の発売から半年ほどしか経ってないことなどを考慮し、人気の高い“Angeleyes”をチョイスする代わりに“Voulez-Vous”を外したのだろう。
 一方、シングル・カットされていないにも関わらず選ばれたのが“I Wonder (Departure)”。とはいえ、ライブ・バージョンが“The Name Of The Game”のB面に収録されたし、コンサートでもレパートリーとして人気の高い楽曲だったので、あまり違和感は感じない。各オリジナル・アルバムからの選曲バランスというのも考慮されたのだろう。
 また、75年のアルバム“ABBA”に収録されていた“Rock Me”が選曲されているのも意外に受け取られるかもしれない。これにはちょっとした事情がある。“Greatest Hits”発売後の76年にオーストラリアとニュージーランドでシングル・カットされ、それぞれトップ10の上位にランクする大ヒットになったのだ。アバにとってオセアニアは重要なマーケット。それゆえに、選曲から外すことは出来なかったのかもしれない。
 かくして、ワールド・ツアーが盛り上がりを見せる中でリリースされた本作。イギリスとカナダ、ベルギーで見事ナンバー・ワンを獲得したほか、オーストリアとスイス、ジンバブエで2位、ニュージーランドとアルゼンチン、スペインで3位、オランダで4位、フランスとフィンランドで5位、ドイツで6位と軒並み大ヒットを記録。イギリスだけで200万枚を売り上げたという。
 その一方で、オーストラリアではツアーから外れていたせいか最高20位とイマイチ。アメリカでも46位止まりだったものの、当時のアバのアメリカにおけるチャート・アクションから鑑みると、これはまずまずの成績だったと言えるだろう。
 ちなみに、母国スウェーデンでは新曲“Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight”をシングル・カットせず、スティッグ・アンダーソンの独断でアルバムのみの発売だった。というのも、スウェーデンはもともとシングルよりもアルバムが中心のマーケットだったからだ。ところが、イギリスからの輸入盤シングルが大量に出回ってしまい、通常のシングル盤より高額であるにも関わらずチャート16位をマークするヒットに。そのおかげで肝心のベスト盤のセールスが伸び悩んでしまい、結果的に最高20位までしか上がらなかった。
 なお、日本では翌80年の来日ツアー直前にリリースされ、オリコン・チャートで最高2位を記録。これは当時“Voulez-Vous”に次ぐ大ヒットで、日本におけるアバ・ブームが最高潮に達していたことを物語っている。

 その後、ブレーメンやフランクフルト、ブリュッセルなどを経て、ロンドンのウェンブリー・アリーナでの6公演を全てソールド・アウトさせたアバ。会場にはレッド・ツェッペリンのメンバーや坂本龍一なども駆けつけた。さらにスタフォード、グラスゴーでのコンサートを行った彼らは、11月15日のダブリン公演をもってヨーロッパ・ツアーを終了させている。
 ちなみに、このワールド・ツアーで着用したレオタードは彼らのトレードマークとなり、マドンナも2006年の“Confessions Tour”における“Hung Up”の衣装としてコピーしている。

 

CONCERT_1979.JPG

 

<楽曲解説>

Gimme! Gimme! Gimme! (A Man After Midnight) ギミー!ギミー!ギミー! ビデオ
 ご存知、マドンナの大ヒット曲“Hung Up”のサンプリング・ネタとしても知られる大ヒット曲。本作からの先行シングルとしてリリースされた新曲で、ベルギーとフィンランド、フランス、アイルランド、スイスでナンバー・ワンを獲得したほか、オーストリアとオランダ、ノルウェーで2位、ドイツとイギリスで3位、オーストラリアで8位をマークしている。日本のオリコン・チャートでも17位を記録し、当時のアバにとって日本における最大のヒット・シングルとなった。
 実は、もともとアバは新曲として、本作を含む3作品を候補に挙げていた。1つがバラード・ナンバーの“Lady Bird”。ただ、これはバック・トラックのレコーディングが完成した段階でボツになってしまったため、具体的にどのような楽曲だったのかは分からない。
 次に有力な候補だったのが、“Rubber Ball Man”という作品。こちらはT-Rexの“Get It On”を彷彿とさせるようなロック・ナンバーで、アグネッタとフリーダのボーカルをフューチャーしたデモ・バージョンまで製作されていた。その後“Under My Sun”というタイトルに変更され、よりアバらしいポップでライトなアレンジが施されている。フリーダのソロによるデモ・バージョンも吹き込まれ、北米ツアーのリハーサルでも演奏されたものの、最終的にはこちらもボツになってしまった。
 そして、最後に残ったのが、この“Gimme! Gimme! Gimme!”である。もともとのオリジナル・タイトルは“Been and Gone and Done It”。マドンナもサンプリングした、インスト部分のシンセ・リフが強烈なインパクトを残すディスコ・ナンバーだ。また、アバのディスコ・ナンバーの中でも特に黒っぽいベース・ラインが印象的で、当時の彼らが黒人音楽のリズム感を確実に掴んでいたことを物語っている。だからこそ、“Summer Night City”や“Voulez-Vous”を遥かに上回る大ヒットを記録したのだろう。中でも、中盤のベース・ギターとストリングス、コーラスの幻想的な絡みは出色の出来栄えだ。
 ただ、ビヨルンとベニーの2人にとっては、それほど思い入れのある作品ではなかったようだ。特にベニーはこの作品についてかなり否定的で、“唯一良かったのはインスト・パートだけさ。あれは独創的だった。マドンナがサンプリングしたいと思ったのも不思議じゃないね”と語っている。
 ちなみに、この作品をサンプリングしたのはマドンナが初めてではない。イタリアのThe Tamperer featuring Mayaというグループが2000年にリリースしたシングル“Hammer To The Heart”の中でも、メロディに若干のアレンジを加えた上でサンプリングされている。この“若干の”というのが微妙なのだが、恐らく万が一訴えられた際にも言い訳が出来るようにという工夫なのだろう。というのも、どうやら本人たちに無断で使用しているらしく、ジャケットなどにもサンプリングのクレジットは一切ない。
 また、有名なところではスウェーデンのギタリスト、イングウェイ・マルムスティーンがヘビメタ・バージョンのカバーをリリース。その他、イレイジャーやA★ティーンズ、レザー・ナンなどのアーティストがカバー・バージョンを発表しており、フランスのオーディション番組“Star Academy”の出場メンバーがカバーしたシングルは同国のヒット・チャートで1位を獲得している。
 なお、本作のオフィシャルな12インチ・バージョンは存在しないものの、82年にアメリカのリミックス・サービス会社ホット・トラックスが、当時のアトランティック・レコードから正規の音源を借りて7分20秒のロング・バージョンを制作。こちらは当時DJのクラブ・プレイ用としてのみ出回っており、一般向けには市販されていない。

¡Dame! ¡Dame! ¡Dame! ギミー!ギミー!ギミー!(スペイン語バージョン)
 こちらはスペイン語アルバム『グラシス・ポル・ラ・ムシカ』収録用にレコーディングされたスペイン語バージョン。

 

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