アバは本当にシングルだけのバンドなのか?

 

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 長いこと音楽評論家の間では“アバはシングルだけのバンドである”という評価が当たり前のようにまかり通ってきた。アバのベスト盤を紹介するレビュー記事で“アバはシングル向きのバンドだから、これ1枚聴けば十分”といったような内容の解説をうんざりするほど見てきている。その傾向は国内外を問わない。果たしてアバのアルバムはシングルを売るためだけのショー・ケースに過ぎなかったのか?アバのアルバムはシングルに比べてクオリティが劣るのか?アバのアルバムを1枚でも聴いた事のあるリスナーであれば、その答えは明白だろう。当然、否である。しかし、一方で実は完全に否定できない部分もあるにはあるのだ。


 まず、彼らの音楽制作活動を理解する上で、大前提として知っておかなければならないのは、ポーラー・レコードの社長であり彼らのマネージャーであったスティッグ・アンダーソンのビジネス戦略である。当時、アバが世界各国でリリースしたレコードを並べてみると、ある事に気付く。アメリカ盤はアトランティック・レコード、イギリス盤はCBS系のエピック・レコード、ドイツ盤はポリドール・レコード、フランス盤はヴォーグ、日本盤はビクター系列のディスコ・メイト(当初はフィリップスだった)・・・といったように、国によって全く違うレコード会社からリリースされているのだ(現在はユニバーサル・ミュージックが世界での配給権を持っている)。
 特に、エピック・レコードやポリドール・レコードは当時でも既に世界中に配給網を持つメジャー会社で、わざわざ国ごとに違うレコード会社と契約を結ぶ必要は本来ならばなかったはずなのである。現在のレコード業界でもそうだが、世界マーケットを狙って作品を発表するアーティストは、世界中に子会社や支社、専属契約会社を持つ大手レコード会社と契約を結び、その配給網を利用して一気に作品を供給するというのが当たり前のビジネス・モデル。それはアバの時代でも同じだ。しかし、スティッグ・アンダーソンは敢えてその方法を取らなかったのである。当時としては非常に画期的な事だったと言えるだろう。
 まず、アバの所属するレコード会社、ポーラー・レコードはスウェーデン国内にしか配給網を持たない独立系の会社だった。ちなみに、当時のスウェーデンにはCBS系のキューポル・レコード(ソロ時代のアグネッタが所属)、EMIスヴェンスカ(ソロ時代のフリーダが所属)というメジャー系列のレコード会社があった。いずれにせよ、アバが世界進出を図るに当っては、ターゲットとする国に配給網を持つレコード会社とライセンス契約を結ぶ必要があったのだ。確かに、一番手っ取り早い方法はメジャー会社と契約を結んで、その世界的な配給網を利用することだったろう。しかし、スティッグはそのアイディアがアバにとっては逆に不利に作用すると考えたのだ。
 メジャー会社であれば、当然彼らよりもビッグ・ネームのアーティストを多数抱えている。プロモーション活動の優先順位を考えると、アバが後回しにされてしまうのは目に見えていた。ヨーロッパの片隅にある小さな国から来た正体不明のアーティストなんかよりも、音楽ビジネスのメッカであるイギリスやアメリカ出身のアーティストが優遇されるのは当たり前の事だった。また、ポピュラー・ミュージックにプロモーションは必要不可欠である。作品の出来不出来と同じくらい重要だと言っても過言ではない。次から次へとレコードが量産されるポピュラー・ミュージックの世界では、効果的なプロモーションこそが売り上げを左右する。人々の耳に届かなければ、どんなに音楽の出来が素晴らしくても意味がないのである。
 さらに、自分たちの作品を他者の手に委ねるということは多くの危険を孕む。アーティストの意図するところとはかけ離れた売り方をされる事もあるだろうし、何よりも一度世界中にばらまかれたら最後、自分たちの目が届かなくなってしまう。スティッグは、自分たちの作品をコントロールできなくなってしまうことを最も危惧していた。
 そこで、スティッグはターゲットとする国へ直接出向き、その国のレコード会社をつぶさに訪ね、その中で最もアバの作品に力を入れてくれるレコード会社と契約を結ぶという手段を選んだ。マーケットが存在する国であればアフリカであろうとジャマイカであろうと、鞄に契約書を一式入れて自ら乗り込んでいったという。
 さらに彼は、各国のレコード会社からレコードの売り上げ枚数だけではなく、ラジオのリクエストやリスナーのアンケート情報などを逐一取り寄せた。それをデータ化する事によって国ごとにリスナーの傾向を読み取り、その国のマーケットに最適な楽曲をシングル・カットするようにしたのだった。なので、アバのアルバムからのシングル・カット曲は、国によって順番が違ったり、A面とB面が逆だったり、はたまた他の国ではシングル・カットされていないような曲が発売されていたりする。

 そこで、ビヨルンとベニーに課せられたのは、どれをシングル・カットしてもおかしくないような楽曲でアルバムを構成することだった。そもそも、彼ら自身シングルとしてリリースできるだけのレベルにない作品を公に発表するつもりなどさらさらなかった。それだけに、約10年間の活動期間中に彼らが作曲した作品の数に比べて、実際に陽の目を見た作品はかなり少ない。90年代半ば以降、コレクターズCDという名のブートCD市場でアバの未発表曲、つまりボツとなった楽曲のデモ・テープ音源が数多く出回るようになって徐々に分かってきた事だが、彼らはかなりの数の楽曲をスタジオで吹き込んでいた。が、その多くが正式にリリースされることのないまま倉庫の奥隅に追いやられていったのだった。
 そうした作品が本当に出来が悪かったのか・・・というと、実はそうでもない。少なくとも、他のアーティストならシングルにはしないまでも、アルバム・トラックとしては使用していたであろうだけのクオリティは十分に保っていた。事実、スヴェン&ロッタの“ファンキー・フィート”のように、彼ら自身はボツにしたものの、他のアーティストに提供されてシングル・カットされたような楽曲もある。
 それだけ、彼らは自分たちの作品に対して非常に厳しい判断を下していた。例えば、今ではアバの代表作の一つとして名高い大ヒット曲「サマー・ナイト・シティ」。彼らはこの作品を失敗作と見なしており、“リリースするべきではなかった”と後悔している。ちょうどこの頃、アバは新作をしばらくリリースしていなかった。各国から次のシングルを望む声が寄せられていたが、かといって前作の「ジ・アルバム」からシングルをカットするのには時期が経ちすぎていた。そこで、ミキシングに不満は残るものの、唯一シングルとして相応しいと思われた「サマー・ナイト・シティ」を苦肉の策として発売したのだった。結果的には各国でトップ10に入るヒット曲となったものの、ビヨルンとベニーはその出来に大いに不満で、結局「サマー・ナイト・シティ」は彼らのオリジナル・アルバムに収録される事はなかったのである。
 このように、アバのアルバムはどこから切り取ってもおかしくない、シングル予備軍の集合体だったと言えるだろう。それでも、ビヨルンとベニーはアルバムの選曲をする際には細心の注意を払った。特に全体のバランスに配慮し、似たような楽曲がある場合は躊躇することなく選曲から外している。「フェルナンド」やB面ソングの「ラブ・ライト」、「エレーン」といった作品がオリジナル・アルバムに収録されていないのはそうした理由からなのである。彼ら自身、“最も重要なのはアルバムだ”と断言している。ゆえに、創作活動も基本的にはアルバムの構想を念頭に置いた上で行われていた。

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アグネッタ&ビヨルンの家族写真(ピアノの上は長女リンダ)

こちらはペットの犬と自宅でくつろぐフリーダ&ベニー

 以上のように、アバはアルバムを最重要視していたアーティストであったが、同時にシングル・カットも視野に入れた上で作品を発表していたのである。ゆえに、彼らがシングルだけのアーティストであるという評価は極めて不当であるものの、100%間違っているとも厳密には言い切れない。それゆえに、世界中でリリースされてきたアバのベスト盤には、シングル曲だけではなくアルバム・トラックも数多く含まれているというケースが少なくない。シングル・カットはされていないにも関わらず、シングルと同じくらい愛されている楽曲が少なくないのだ。その最たる例が「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」だろう。アバ活動停止後に企画されたベスト盤“I Love ABBA”の発売に合わせて83年にシングル・カットされたものの、発表当時は世界中のどこでもシングル・カットはされなかった。しかし、「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」はアバのテーマ・ソングとも言えるほど世界中で愛唱され、イギリスの往年の大歌手ヴェラ・リンやノーランズなど数多くのアーティストがカバーしてきた。
 そう、アバがシングルだけのアーティストと誤解される理由の一つに、そのベスト盤の多さが挙げられるだろう。全盛期から世界各国でリリースされてきたベスト盤の数は、オリジナル・アルバムのそれを遥かに上回っている。ただ、それはあくまでもアバが当時のポップ・アーティストとしては寡作で、ファンの需要に供給が追いつかなかったために各国のレコード会社が苦肉の策としてベスト盤を乱発したという事情がある事を忘れてはいけない。当時は、流行のポップ・アーティストなら年に2枚アルバムを出す事も決して珍しくはなかったが、アバは実質的な活動期間である10年の間に合計で8枚しかオリジナル・アルバムを出していない。今なら珍しくもない事なのだが。
 また、彼らのリバイバル・ブームのきっかけとなったベスト盤「ゴールド」の驚異的なセールスも、そうした印象に拍車をかけた。1992年にリリースされた「ゴールド」は、イギリスでは92年と99年にアルバム・チャート1位を獲得し、2004年には4位に返り咲くという前代未聞のベスト・セラーとなった。アメリカでも最高位は63位だったものの、何と104週にも渡ってトップ200にランクされて300万枚以上のセールスを記録。アメリカで最も売れたアバのアルバムとなった。結果的に、「ゴールド」はアメリカのみならず世界的に見てもアバにとって最大のヒット・アルバムとなり、実に2500万枚以上というとんでもない数字を記録している。世界中で大旋風を巻き起こしたデスティニーズ・チャイルドが1990年から2005年までの間にリリースした総てのアルバムのトータル・セールスが3000万枚というから、比べてみればその凄さが分るだろう。しかも、現在でも世界中のどこかでチャート・インしているのである。ちなみに、2006年6月現在でドイツのアルバム・チャートで95位にランクされている。

 さらに、アメリカの著名な女性音楽ジャーナリスト、エリザベス・ヴィンセンテッリが著書“ABBA Gold”の中で、多くの評論家がアバをシングルだけのアーティストという先入観で見る理由として、ポピュラー・ミュージックの歴史におけるアルバムというメディア形態の功罪について触れている。もともと、60年代までポピュラー・ミュージックはシングル盤を中心に形成されてきた。LPレコードはクラシックやジャズといった大人向けのパッケージであって、若年層を主なターゲットとする流行歌はシングル盤や4〜5曲を収録したEP盤が主流だったのである。
 アルバムというのはもっぱらヒット曲を集めて作られるか、もしくはシングルを2〜3曲散りばめて、後は他人のカバー曲や“フィラー(Filler)”と呼ばれる穴埋め用の楽曲で構成されるというのが常だった。レコード会社としては、アルバムはビジネス的に効率のいい形態だった。何故なら、シングル盤よりも利益額が遥かに大きいからである。そのため、大半が質の悪い穴埋め曲で占められたようなアルバムが横行するようになり、ポップ・アーティストのLPは出来が悪いというジンクスのようなものが出来上がってしまう。その典型的な例が60年代のモータウン系アーティストのLPだろう。シュープリームスやスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの作品は、シングル曲こそ名作ばかりだが、アルバム単位になると聴くに耐えられないような代物が多かった。
 そうした中で、アルバムという形態を一つの作品として考えて作られた最初のLPがビーチ・ボーイズの傑作「ペット・サウンド」(1966年)であり、これを契機にボブ・ディランやビートルズが完成度の高いアルバムを次々とリリースしていく事になる。しかし、こうした動きはあくまでも一部のロック系やフォーク系のアーティストの間での動きであり、アバの登場した70年代当時はまだポップ・ミュージック=シングルという固定概念がまかり通っていたのである。現在でも、ビジネス優先でアルバムを制作しているポピュラー系アーティストは決して少なくない。いや、大半のアーティストがそうだと言っても過言ではないだろう。アバは大衆向け音楽を志向しながら、その精神において芸術家であったがゆえに、不当な評価を下されてきたアーティストだったと言えるだろう。
 ベスト盤でしかアバを聴いたことがない、という人は是非ともアルバムにチャレンジして欲しい。彼らの音楽的教養の豊かさと幅広さに驚くこと請合いである。

※以下のCDは2005年にリリースされたボックス・セット“The Complete Studio Recordings”を参照しています。単品販売されているアルバムとはボーナス・トラックの曲目に違いがありますので、ご了承下さい。

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Ring Ring (1973)

Waterloo (1974)

Abba (1975)

(P)Polar Music/Universal (EU) (P) Polar Music/Universal (EU) (P) Polar Music/Universal (EU)
1,Ring Ring
2,Another Town, Another Train
3,Disillusion
4,People Need Love
5,I Saw It In The Mirror
6,Nina, Pretty Ballerina
7,Love Isn't Easy (But It Sure Is Hard Enough)
8,Me And Bobby And Bobby's Brother
9,He Is Your Brother
10,She's My Kind of Girl
11,I Am Just A Girl
12,Rock'n Roll Band
bonus tracks
13,Ring Ring (Bara du slog en signal)(Swedish Version)
14,Ah, Vilka Tider
15,Merry-Go-Round
16,Santa Rosa
17,Ring Ring (Spanish Version)
18,Wer im wartesaal der liebe steht
19,Ring Ring (German Version)

produced by Benny Andersson & Bjorn Ulvaeus
1,Waterloo
2,Sitting In The Palmtree
3,King Kong Song
4,Hasta Manana
5,My Mamma Said
6,Dance (While The Music Still Goes On)
7,Honey Honey
8,Watch Out
9,What About Livingstone
10,Gonna Sing You My Lovesong
11,Suzy Hang Around
bonus tracks
12,Ring Ring (US Remix)
13,Waterloo (Swedish Version)
14,Honey Honey (Swedish Version)
15,Waterloo (German Version)
16,Hasta Manana (Spanish Version)
17,Ring Ring (1974 Remix, Single Version)
18,Waterloo (French Version)

produced by Benny Andersson & Bjorn Ulvaeus
1,Mamma Mia
2,Hey, Hey Helen
3,Tropical Loveland
4,SOS
5,Man In The Middle
6,Bang-A-Boomerang
7,I Do, I Do, I Do, I Do, I Do
8,Rock Me
9,Intermezzo No.1
10,I've Been Waiting For You
11,So Long
bonus tracks
12,Crazy World
13,Medley: Pick a Bale Of Cotton/On Top Of Old Smokey/Midnight Special (1978 Mix)
14,Mamma Mia (Spanish Version)

produced by Benny Andersson & Bjorn Ulvaeus
  アバがまだアバと名乗る前の、実質的なファースト・アルバム。いわゆる“アバらしさ”には著しく欠けているものの、当時のバブルガム・ロックの美味しいところばかりを詰め込んだ良質なアルバムで、不当に評価が低い作品。超キャッチーでノリノリのビート・ナンバー#1や#6、ノスタルジックで心和むメロウ・ナンバー#8や#11など、理屈抜きで楽しめるポップ・ナンバーが満載。1972年に発売のデビュー・シングル#4も、当時のニュー・シーカーズ辺りを思わせるラブ&ピースなコーラス・ナンバーでとても爽やか。全体を包み込むちょっとセンチメンタルな雰囲気も素敵で、木枯らしの吹く季節にピッタリな1枚です。ちなみに、#3はアバの作品としては唯一のアグネッタによる作曲。これがまた乙女チックで胸がキュンとなる小粋なバラードなんですよねー。  ユーロビジョン・ソング・コンテスト優勝の勢いに乗ってリリースされたセカンド・アルバム。ロックン・ロールからレゲエ、スパニッシュ・ポップ、グラム・ロック、リズム&ブルースと、やりたいことを片っ端からやっちゃったという感じで、荒削りな若々しさがみなぎる1枚。それでいて、ちゃんと大衆ポップスとして成立しているのだから大したもんです。ユーモア感覚溢れるクレイジーなロックンロール#3やハードでヘヴィーなギターが炸裂するグラム・ロック#8なんか、あまりにもクイアーで面白すぎ。そうかと思えば、センチメンタルで美しいスパニッシュ風バラード#4やロマンティックなワルツ風バラード#6のような正統派のユーロ・ポップも聴かせてくれる。その幅広い音楽性には舌を巻きます。ちょっとエッチで洒落の効いたブギウギ・ナンバー#7も傑作。  このアルバムから、いよいよ全盛期に突入。とは言うものの、実は当時アバはスランプに陥っていて、このアルバムも当初はあまり売れなかった。ところが、3枚目のシングル#4がオーストラリアでブレイクした事をきっかけに世界中で大ヒットし、アルバムもミリオン・セラーに。若さと勢いで聴かせた前作と比べて、本作は音楽的な方向性が安定した分、既に貫禄みたいなものすら感じさせます。それでも、R&B風のファンキーで切れ味の良いロック・ナンバー#2や、コアなレゲエ・ナンバー#3、そして超クールなレア・グルーヴ・ナンバー#5、ビッグバンド・ジャズ風のノスタルジックな#7など、ジャンル的には非常にバラエティー豊か。後のユーロビートの原型とも言えるポップで爽快な#6や、ため息が出るほどに美しいフォーク・バラードの傑作#10も大好き!

ARRIVAL.JPG THE_ALBUM.JPG VOULEZ_VOUS.JPG

Arrival (1976)

The Album (1977)

Voulez-Vous (1979)

(P) Polar Music/Universal (EU) (P) Polar Music/Universal (EU) (P) Polar Music/Universal
1,When I Kissed The Teacher
2,Dancing Queen
3,My Love, My Life
4,Dum Dum Diddle
5,Knowing Me, Knowing You
6,Money. Money, Money
7,That's Me
8,Why Did It Have To Be Me
9,Tiger
10,Arrival
bonus tracks
11,Fernando
12,Happy Hawaii
13,La reina del baile (Dancing Queen)
14,Conociendome, Conociendote
15,Fernando (Spanish Version)

produced by Benny Andersson & Bjorn Ulvaeus

1,Eagle
2,Take A Chance On Me
3,One Man, One Woman
4,The Name of the Game
5,Move On
6,Hole In Your Soul
7,Thank You For The Music
8,I Wonder (Departure)
9,I'm a Marionette
bonus tracks
10,Al andar
11,Gracias po la musica

produced by Benny Andersson & Njorn Ulvaeus

1,As Good As New
2,Voulez-Vous
3,I Have A Dream
4,Angeleyes
5,The King Has Lost His Crown
6,Does Your Mother Know
7,If It Wasn't For The Nights
8,Chiquitita
9,Lovers (Live A Little Longer)
10,Kisses Of  Fire
bonus tracks
11,Summer Night City
12,Lovelight
13,Gimme! Gimme! Gimme (A Man After Midnight)
14,Chiquitita (Spanish Version)
15,Dame! Dame! Dame!

produced by Benny Andersson & Bjorn Ulvaeus
 20世紀を代表する名曲#2を含む、アバのエポック・メイキング的作品。一般的にも、このアルバムで“アバ・サウンド”が完成したと言われてますね。ビヨルンとベニー、そしてエンジニアであるマイケル・B・トレトウの崇拝するフィル・スペクターの片腕ラリー・レヴィンも大絶賛してました。爽快でスケールの大きなポップ・サウンドを聴かせてくれる#1なんか、ビヨルンとベニーの目標だったビーチ・ボーイズへの最高のオマージュとも言える傑作。また、牧歌的な民族舞踊のエッセンスを取り入れた#4や、スウェディッシュ・トラッドに取り組んだインスト・ナンバー#10など、自らの音楽的ルーツに対するリスペクトをストレートに表現しているという点でも、彼らの音楽への愛情が素直に表現された1枚と言えるでしょう。

 アバのロック・バンドとしての一面が最も顕著に現れたアルバムで、その完成度の高さは“Arrival”以上かもしれない。幻想的でスケールの大きなシンセ・サウンドと、ギタリストJanne Schafferの卓越したプレイが素晴らしい#1、R&Bのリズムを生かしたクール導入部からフォーク風のパワフルなサビへの転調が芸術的な傑作#4、アグネッタの超高音シャウトが強烈に耳をつんざく豪快なロックン・ロール#6など、非の打ち所のない完璧な楽曲のオンパレード。ドラマチックなロック・バラード#3、そしてアバのテーマ曲とも言えるスタンダード・バラード#7など、静と動のコントラストも見事で、その巧みに計算された楽曲構成にも感心させられます。壮大で牧歌的な民族音楽風のシンフォニー・ロック#5もイチオシ。

 一時期、知ったかぶった音楽評論家たちがアバにディスコ・グループというレッテルを貼っていたもんでしたが、彼らが正面きってディスコというジャンルに挑んだのは、実はこれ1作だけ。前作で芸術面における一つの頂点を極めた彼らが、一転して思い切りダンサンブルでキャッチーなサウンドを伸び伸びと聴かせてくれる。それでいて、全体的にクリスタル・クリアな統一感があり、その北欧らしい爽やかさと叙情的なメランコリーの絶妙なサジ加減はアバならでは。バロック音楽的な煌びやかさに満ちたファンキーなキラー・ディスコ#1から圧巻。アバしか創り出せないキャッチーなユーロ・ディスコの傑作#2、まさに天国を垣間見るかのようにファンタジックなダンス・ポップ#4、グルーヴィーなアーバン・ディスコ#7など名曲揃い。

SUPER_TROUPER.JPG THE_VISITORS.JPG WATERLOO_30TH.JPG

Super Trouper (1980)

The Visitors (1981)

Waterloo
-30th Anniversary Edition- (2004)

(P) Polar Music/Universal (EU) (P) Polar Music/Universal (EU) (P) Polar Music/Universal (EU)
1,Super Trouper
2,The Winner Takes It All
3,On And On And On
4,Andante, Andante
5,Me And I
6,Happy New Year
7,Our Last Summer
8,The Piper
9,Lay All Your Love On Me
10,The Way Old Friends Do
bonus tracks
11,Elaine
12,Andante, Andante (Spanish Version)
13,Felicidad

produced by Benny Andersson & Bjorn Ulvaeus
1,The Visitors
2,Head Over Heels
3,When All Is Said And Done
4,Soldiers
5,I Let The Music Speak
6,One Of Us
7,Two For The Price Of One
8,Slipping Through My Fingers
9,Like An Angel Passing Through My Room
bonus tracks
10,Should I Laugh Or Cry
11,No hay a quien culpar
12,Se me esta escapando
13,The Day Before You Can
14,Cassandra
15,Under Attack
16,You Owe Me One

produced by Benny Andersson & Bjorn Ulvaeus
1,Waterloo
2,Sitting In The Palmtree
3,King Kong Song
4,Hasta Manana
5,My Mama Said
6,Dance (While The Music Still Goes On)
7,Honey Honey
8,Watch Out
9,What About Livingstone
10,Gonna Sing You My Lovesong
11,Suzy-Hang-Around
bonus traclks
12,Ring Ring (US Remix)
13,Waterloo (Swedish Version)
14,Honey Honey (Swedish Version)
15,Waterloo (German Version)
16,Waterloo (French Version)
bonus DVD
1,Waterloo (Eurovision Song Contes BBC)
2,Waterloo (Melodifestivalen SVT)
3,Honey Honey (Star Parade,ZDF)
4,Hasta Manana (Senoras y senores,RTVE)
 80年代を迎えて、アバのサウンドが著しく変化を遂げつつある事を強く印象付けた傑作アルバム。アバ・ファンの間でも圧倒的に人気の高い一枚。それまで10代〜20代のリスナーをメイン・ターゲットとしてきた彼らだが、ここでは明らかに大人のリスナー層を意識してます。殆どシャンソンの領域とも言える傑作バラード#2は、20世紀を代表する名曲の一つと言っても過言ではないでしょう。その他、フランス映画のワン・シーンを思わせるようなドラマチックでノスタルジックな#7、ハメルーンの笛吹き男にインスパイアされた牧歌的でシュールな#8、幾重にもレイヤーを重ねたシンセサイザーとヴォコーダーでビーチ・ボーイズ・サウンドを再現したロックン・ロール#3、来るべきハイエナジー・サウンドの時代を予見したエレクトロ・ディスコ#9など、ポップとアートのバランスを絶妙に保った緻密で濃厚なサウンドに圧倒されます。  アバの作品の中で最も芸術性の高いアルバム。ここまで来ると、もうチャート系のポップ・アルバムとは言えないでしょう。しかも、その完成度は極めて高く、個人的には最も好きなアバのアルバムです。全体的に暗くて幻想的な作品で、その陰鬱さみたいなものが胸を締め付けるくらいに切ない。中でも、ブロードウェイのミュージカル・ナンバーと言ってもおかしくない#5や、成長してゆく我が子を見つめる母親の複雑な感情を歌った#8は聴く者の感情に直接訴えかける力強い傑作。また、80年代半ばのニューウェーヴ・テクノを先取りしたシュールで壮大な#1やナチズムやファシズムといった20世紀ヨーロッパの負の歴史を歌った#4の巧みに計算し尽くされた音作りは、まさにビヨルンとベニーの芸術家としての真骨頂。そして、軽やかで哀愁感溢れるユーロ・レゲエの傑作#6。聴くたびに味わいの広がる秀作です。  「恋のウォータールー」のユーロビジョン・ソング・コンテスト優勝30周年を記念してリリースされた特別盤。CDとDVDの2枚組で、DVDには非常に珍しいテレビ映像が収録されています。中でもスペインの音楽番組に出演した際の“Hasta Manana”の映像はかなり貴重。また、ユーロビジョン・ソング・コンテスト決勝戦での映像というのも、ドキュメンタリー映像などで何度も使用されてきていますが、ここで収録されているのは当時イギリスのBBCで放送された実況中継そのまま。演奏の始まる前に、事前に会場近辺で撮影されていたグループ紹介の短い映像が流れたりして、文字通りあの時代にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ります。ヨーロッパのみでのリリースなのでDVDはPAL盤になってしまいますが、PAL対応プレイヤーを持ってない人でもPCで見る事が出来ます。ファンなら迷うことなく買いの1枚ですね。

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